今の時代、とても多くの人が高血圧の薬を常用しています。高血圧の基準値が時ともに下がり始め、昔は140を超えると高血圧だったものが、いつの間にか135になり今では130になっているようです。普通の人は医師からそう言われたり、テレビなどの情報でそう言われますと、そう思うしかないわけですが、それで薬を常用するのは何かがおかしいと思ってしまいます。
 本来、薬というのは病気を治すためのものであり、治ったら飲むべきものではないはずです。ところが「今は血圧も大丈夫だけど、念のために飲んでおいた方がいいようなことを医師から言われた」みたいな話を聞きます。毎日飲む必要があるなら、それは薬ではなく食物と同じになってしまいます。体が薬を食事と同じように受け取るようになると、薬を飲まないと体が不調になってしまうという状態を招くのではないでしょうか。一種の中毒です。仮に高血圧の薬は副作用がほとんどないと言ったところで、やはり薬は薬で、合成化合物です。体には不自然なものであるのは間違いのないことです。
 私もこの2月から3月にかけては血圧が上がります。150とか行ってしまうときもあります。あまりそういう状態が続くとさすがにクリニックに行って血圧の薬を出してもらいますが、飲んでも2週間で止めてしまう場合がほとんどです。それが医学的に正しいかどうかは知りませんが、やはり薬は病んでいるときに飲むものであって、状態が良くなったら止めるべきものであるという考えが根強いようです。

 さて、医学的見解は別にして、高血圧について考えてみたいと思います。
 そもそも血圧というのは、心臓がそのポンプ力を使って血液を送り出すことによって生じる圧力ですから、言い換えれば、頭の天辺にまで血液を上げるために圧力がどれくらい必要かという数値でもあると思います。
高血圧の人は普通の人以上に血圧を上げないと血液が頭の天辺まで届かないという意味でもあります。ですから、寝ているときと立っているときとでは当然血圧は変わります。寝ている方が重力が減りますので、軽い力で頭まで血液が届くわけですから。
 そう考えますと、高血圧になってしまったということは、それまでの圧力では頭まで血液が届かないと心臓が判断して心臓の力を増している状態であるということも言えます。同じ高血圧でも血管というよりは心臓に負担が掛かっている状態と考えることができます。この状況を単純に考えますと、血管を弛めて拡げる薬は的外れになります。血管を拡げて血圧を下げますと、更に血液は頭に届きにくくなるからです。それよりも何処かに血液の流れを邪魔しているところがあると考えて、それを治すようにするのが正しい方法ではないでしょうか。
 時折、首肩のこりを改善すると血圧が下がる人がいます。そういう人は、このような状態かもしれません。首や肩の筋肉がコリコリに硬く太くなって血管を圧迫しているため、そのコリがなくなると血液の流れがよくなりスムーズに頭部に血液が届くので、心臓はそんなに頑張らなくてもよくなったと考えることもできます。

 また、血圧は動脈血管に掛かる圧力ですが、動脈と静脈は切っても切れない関係です。血液は心臓から出て静脈を通って心臓に還ってくる循環ですから、静脈の流れが悪いと循環が停滞しやすくなります。そうしますと心臓に還ってくる血流量が減りますので心臓は益々力を出して強制的にでも血液を循環させようとするはずです。これが血圧を上げる要因にもなりますし、心臓に負担を強いる原因にもなります。静脈の滞りは不整脈とか動悸とかに関係があるのではないかと思います。全身の静脈の流れでは、先日も取り上げました鎖骨下静脈と鼡径部の状態をまずチェックしてみる必要があります。実際、その部分を整えますとむくみが取れるほか、全身の機能が良くなり、体はリラックスします。

 動脈硬化などによって動脈の血管が硬くなったり、細くなったりしますと血圧が上がるのは当然の理屈です。特に動脈硬化に対しては高血圧は血管を損傷する最大の要因かもしれません。ですから、そういう場合は薬を使って血管を弛めて拡げ、高血圧の状態にならないように細心の注意を払う必要がありますし、長期にわたって薬を手放すことはできないでしょう。
 しかし高血圧のすべてが血管の問題ということではないと思います。この問題は専門家に委ねるしかありませんが、私のところに来られる高齢者のほとんどは、高血圧の薬を何年も毎日飲み続けていて、地元クリニックの医師からは半ば“歳をとっているから薬を飲むのは当然”という感じで今の状態を続けるように言われています。それが安全だと。高血圧は多くの人が罹る病気なので、皆があまり考えず受け入れ、医師の側もごく普通に対応していますが、何処か感覚が麻痺しているように私は感じてしまいます。

 私は数年前の3月に突如として唇の端がしびれ出しました。脳梗塞の兆候であることはすぐにわかりましたので、すぐさま最寄りの脳外科を訪れました。血圧を測ったら180とかあって、脈搏も1分に120回とかでした。緊急で血圧を下げる処置をしていただきましたが、その後は2週間ほど血圧の薬を飲みましたが、それで薬は止めました。
 これはあくまでも私の想像ですが、脳梗塞で詰まったものを除去するために体が自ら心臓を活発に動かし、血流を増大させたのではないかと思うのです。血流の勢いを増すことによって詰まった物を押し流そうとしたのではないかと。
 毎年、この寒い時期になりますと血圧は上がります。血管が細くなるからでしょう。しかし春を過ぎて温かくなりますと高血圧ではなくなります。それは血管が弛むからでしょう。
 このように血圧が季節によって違うのは当然の理屈だと思います。それを一概に“130以上は高血圧”と決めつけて、“薬を飲まなければならない”とするのは、科学的のように見えて、どこか非合理的な結論の出し方に思います。
 皆さんはどう思われますか。

 なお、私は医者ではありませんので、ここに記したことはあくまでも私個人のひとつの考え方として捉えてください。ただ、やはり一人一人が高血圧、あるいは低血圧についていろいろ考えてみることは必要だと思ったので取り上げました。