「椅子から立ち上がるときが痛い」「ベッドから起き上がるときが痛い」「歩き始めのときが痛い」「寝返りがうてない」というのはギックリ腰もしくは、それ同様の症状です。あるいは過去のギックリ腰や殿部の損傷が完全に治っていないということです。
 ギックリ腰にも程度がありまして、ひどいものであれば衝撃とともに「やってしまった」という感覚が湧き上がりますが、程度の非常に軽い場合は、私が質問しても「覚えがない」という返答になります。あるいは「このままだとギックリになりそうで」と思われて来店された場合は、ほとんどが既にギックリになった状態です。
「電車を待つ間5分くらい冷たいベンチに腰掛けていたら次の朝起き上がれなくて」というのもギックリの類です。
 私が“ギックリ”という言葉を使うのは、施術する場所が何処かということで決めています。通常の腰痛は、腰や殿部をケガや打撲をしたわけでもないのにもたらされるので、体のいろいろな歪みのしわ寄せが腰に集中して痛みを発していると考えることができます。ですから、腰痛のための施術ですが、腰や殿部を直接施術することはほとんどありません。
 ところが、ギックリ(急性腰痛)は腰や殿部を損傷してしまったり、スジ(筋肉や筋膜)を伸ばしてしまったためにもたらされますので、直接腰や殿部(ほとんどが仙骨・尾骨部)を施術します。

 腰や殿部を損傷しますと、力が入らなくなります。程度がひどければ全身の力が入りません。ですから、固まったまましばらくは体をまったく動かせなくなったりします。程度が軽ければ、ある特定の動作で力が入らなくなります。寝返りが打てない。起き上がれない。立ち上がれない。前屈ができない。腰を伸ばせない。等々いろいろありますが、力が入らないというのがその特徴です。それでも歩き続けたりしていますと血液の循環が良くなって、それなりに筋肉が働くようになりますので痛みが軽減します。ところが歩いた後、少しの間椅子に座って休み、その後立ち上がろうとすると再び痛みに襲われたりします。
 こういう場合は患部を揉んでもまったく良くなりません。損傷した部分を修復する以外に方法はありません。

 ギックリになってしまうのは、それなりに原因があります。体の歪みや筋肉の張りに、筋肉はそれでも耐え続けていたものが急に冷えて耐えられなくなったとか、限界状態で耐えていたところに重たい物をもったり強い運動をしたために限界をこえてしまった場合など、つまり肉離れに似た状態です。尻もちをついたとか尾てい骨を打撲して損傷してしまったというのもあります。あるいは過去のギックリ腰の傷が完全には治っていなくて、何かの拍子にそこに傷が入ってしまったというのもけっこうあります。

 私はギックリの施術を行うときは、まずふくらはぎから下と手への施術から始めます。ギックリになってしまうほど体が頑張っていたということは、よく使う手足の筋肉もハリハリになっているということです。ですからそれらを施術することによって体全体をニュートラルな状態に戻し、腰部や殿部に負荷が掛からない状態にしておいてから、傷ついた部分を修復する施術を行っています。
 私の施術は手だけで行い機械や道具は一切使用しませんが、損傷部分の修復に際しては最後にマグレインという小さな玉を損傷部分に貼ります。ピッタリ損傷部分に当たれば、それまでの腰痛が嘘のように軽減して体が思うように動かせるようになります。皆さんは「摩法のようだ」と言いますが、摩法でも特殊技術でもなく、単に、損傷して働かなくなった点のような部分を何かで補うと働けるようになるというだけのことです。あとは何日かマグレインを貼り続けていれば損傷部分が回復しますので、ギックリ腰が改善するという理屈です。ただ、この損傷部分はミリ単位の小さな部分であり、体表からは観察できませんので、その場所を特定するのは技術と経験が必要ではありますが。

 もう何年も、寝返りで痛みが出るとか、ある特定の動作ができないという人が時々来ます。もしその人が過去にギックリ腰を経験したことがあるのであれば、その傷が治りきっていないためかもしれません。捻挫もそうですが、こういう損傷は何十年経っても治らない場合があります。そのような場合も、きちんと損傷部分を修復すれば状態は改善します。ですから腰痛治療のために、あるいは痛みを軽減するためにマッサージや湿布に頼っている方は、一度損傷部分修復の施術を受けられることをおすすめします。