座り続けることで一番負荷を受けるのは骨盤です。ですから骨盤がしっかりしていないと、長く座り続けるのができない状態になります。下半身がだるくなったり、シビレが生じたり、腰に痛みを感じるようになるでしょう。
 骨盤が安定しない理由として考えられることは幾つもありますが、代表的なものを取り上げてみます。

①ギックリ腰や骨盤の打撲・損傷
 これまでの経験で言いますと、ギックリ腰で一番損傷の受けやすい部分は仙骨と尾骨の境目付近です。そして尾骨のすぐ右側を損傷してしまったケースが圧倒的に多いです。その理由についてははっきりしませんが、右足重心の人が非常に多いからかもしれません。(重心のある方の筋肉が伸びているという報告がある)
 この場合に多い骨盤の状態は、仙骨が時計回りに歪み、左の腰骨(腸骨)が後に傾き、右の腸骨は前に傾きながら右側に歪んでいます。仙骨と腰骨(腸骨)との関節を仙腸関節と言いますが、その関節がゆるんでしまうため骨盤全体が不安定になります。骨盤が言わばグラグラ不安定なので、骨盤につながっている腰部の筋肉や殿部の筋肉は緊張してパンパンに張ってしまいます。これがギックリ腰の典型的な状態です。
 ギックリ腰以外にも尻もちをついて尾てい骨が痛くなったとか、殿部を打撲して一時歩くこともままならなかった、という経験をしているようであれば、その損傷部分がきちんと回復していないかぎり、骨盤はずっと不安定のままです。それがたとえ10年前、20年前の損傷であったとしても、きちんと治っていなければ骨盤は不安定のままです。
一時の強い痛みが消えたからといって治ったわけではありません。このことを私は大きな声で言いたいのです。捻挫も同様です。ちゃんと治っていなければ、必ず体の何処かに歪みが行き、様々な症状として現れると思います。
骨盤の安定

②仙骨が歪んでいる場合
 骨盤の中心は仙骨です。仙骨が歪むと骨盤全体が歪みます。特に骨盤を損傷したわけでもないのに仙骨が歪んでしまうのは、手や足の状態による場合がほとんどです。
 仙骨の状態は背筋(脊柱起立筋群)のなかで背骨に一番近いところを通っている固有筋群の状態に影響されます。そしてこの筋肉群は手の小指側と足の親指側の筋肉と連動しますので、手と足の使い方が問題になってきます。手でなんかを強く握る動作は小指外転筋という掌の一番外側の筋肉を使うのですが、この筋肉がこわばってしまいますと背中の固有筋群もこわばります。例えば、右手で何かを握る動作を多くしていますと、背骨のすぐ右側にある固有筋群がこわばり、仙骨の右側を引っ張り上げるように作用します。仙骨の右側が上に引き上げられると左側は下がり、仙骨が反時計回りに少しだけ回転した状態になってしまいます。これによって骨盤は歪みます。
 
③腰骨(腸骨)が歪んでいる場合
 右足体重(重心)の人がとても多いのですが、“体は重心の偏っている側の筋肉が伸びる”という法則があるようです。つまり多くの人が、右半身が弛んで左半身がこわばっているということになります。もちろん日常作業での筋肉の使い方の方が体に与える影響は強いですから「右肩の方が凝っている」という人がいて当然です。
 この法則は施術をしているとうなずけることばかりです。腰痛の人に対する施術では、最初はベッドにうつ伏せで寝ていただくことがほとんどです。すると多くの人が左殿部の方が右に比べて浮いています。左の股関節が右側に比べて硬く伸びが悪いからです。腰骨(腸骨)は左側が後に傾き、それに合わせて左の肩甲骨も後に傾いている人が多いです。腰も左側が張っている人が多く、右の肩甲骨は右(外)にずれていますので右肩から首にかけて張りがあり、それが強いコリだと感じているのかもしれません。
 話を腰に戻して、左の腸骨が後に傾いている影響で仙骨の上部が右(時計回り)に歪んでいる人が多いのですが、その状態が進みますと先ほど記した仙腸関節が不安定になります。それによって長く座り続けると痛みや違和感を感じるようになります。

④重心が体の外側にある場合
 たびたびこのブログに登場する“前鋸筋のこわばり”ですが、それによって重心が体の中心ではなく外側に行ってしまいます。こういう人は足の小指側を使って歩くようになりますが、下半身も股関節も外側が張ってしまいます。厳密に言うと骨盤ではなく股関節の問題になりますが、このような場合も長く座り続けることが苦になってしまいます。太もも(大腿骨)が外側にずれるため殿部の筋肉が張ってしまい、そこが椅子の座面に着いていることがつらくなってしまうのです。座りながら、しょっちゅう重心を左と右のお尻に交互に移動させている人はこのような人かもしれません。

 以上の四つが、じっと座り続けていられない理由のほとんどです。その他、坐骨神経痛のとき、股関節の状態が悪いとき、首や肩周辺の状態が悪いときなどもこのような状態になることがあります。