こめかみ(目尻と耳の間)や側頭部(耳の上)の頭痛や片頭痛の原因として最も多いのは噛む筋肉(そしゃく筋)のこわばりによるものです。そしゃく筋には咬筋・側頭筋・内側翼突筋・外側翼突筋の四つがありますが、体表で観察できるものは咬筋と側頭筋です。咬筋は下顎の下端の角(エラと多くの人が呼ぶところ)と耳から頬にかけてある骨(頬骨弓)との間を結び、側頭筋は下顎の上端とこめかみの上部にあたる側頭窩を結んでいて下顎を上方に引き上げ、口を閉じたり、そしゃくを行う働きをしています。

側頭部の頭痛(咬筋と側頭筋)

 歯ぎしりや噛みしめの癖を持っている人は恒常的にそしゃく筋がこわばっています。筋肉は強くこわばりますと痛みを発しますので、歯ぎしりや噛みしめの癖を持っている人は、いつ側頭部の頭痛になってもおかしくない状態にある言えます。
 また多くの人が誤解しているのですが“噛みしめ癖”というのは、グッと力を入れて噛みしめる癖のことだけではありません。普通の人はリラックスしたとき、口は閉じていても上の歯と下の歯は離れた状態にあります。それがそしゃく筋が作動してない状態です。ところが口を閉じたときには歯も閉じるのが当たり前だと誤解している人がたくさんいます。いかに軽い力だったとしても、上の歯と下の歯があっている状態はそしゃく筋が作動している状態です。その状態でずっといますと筋肉はこわばった状態になりますので、頭痛や頭重を起こしやすい状態になってしまいます。
 歯ぎしりの癖を持っている人も同様です。またこれらの癖を持っていなくても、一時的に重たいものを運ぶなど力を目一杯使ったために歯を食いしばり、筋肉がこわばって頭痛を起こしてしまう場合もあります。一時的なこわばりであれば頭痛薬で痛みを和らげ、食事や会話をしているうちに筋肉のこわばりが取れてきて普通に戻ることが考えられます。(口を開く動作はそしゃく筋を引き伸ばす動作なので筋肉が弛む)それでもスルメやおかきなど硬いものをたくさん食べたりしますと筋肉は強くこわばることが考えられますので、好きでもほどほどにしておくのがよいと思います。

 こわばってしまったそしゃく筋を弛めるための一番簡単な方法は口を大きく開けて筋肉を引き伸ばすようストレッチすることです。そしゃく筋を指圧してみて硬さや痛みを感じると気づいたときには、あくびをするように口を大きく開けて筋肉を引き伸ばしてください。それだけで側頭部の頭痛が軽減するかもしれません。
 ところが筋肉のこわばりが非常に強くしぶとい場合は、それだけでは無理なので強制的に筋肉を弛める方法を用いなければなりません。
 噛みしめや歯ぎしり、食いしばりによる筋肉のこわばりが原因の頭痛は、そしゃく筋がゆるんでしまえば、それだけで症状は解消します。

 上記以外の理由で側頭部に頭痛や片頭痛を起こしてしまう理由としては、肩甲骨や肋骨の位置が歪んでいることや血行が悪いことが考えられます。
 肩甲骨や肋骨が歪むと、その歪みに合わせて首の筋膜が緊張状態になります。それが側頭部や頬の筋膜を引っ張ってしまい頭痛を起こしてしまう可能性が考えられます。これについては一般の人では判断がつけられないと思いますので専門家に委ねることをおすすめします。(整形外科ではわからないと思いますが)
 血行不良による片頭痛に関しては、静脈の流れが悪く血液がなかなか出て行ってくれないところに後から後から動脈が入ってきてしまうためズキンズキンとなってしまうとイメージしていただくのがよいかと思います。
 ポイントとなるのは“静脈”であり、鎖骨下静脈が一番の目のつけどころですが、それは鎖骨と肋骨の関係になりますので体の歪みが関係します。あるいは顎関節や頭蓋骨の歪みによって頭部表面の静脈の流れが悪いというのも考えられます。いずれにしましても骨格と筋肉の状態を整えることで片頭痛もすぐに改善されることがほとんどです。