足の力が弱くなってきた人は、杖にしようか、それともシルバーカーにしようかと選択に迷う時がいずれ訪れることでしょう。
 私のところに月に一度程度の割合で訪れる85歳の方は、「息子夫婦がシルバーカーを買ってくれたんだけど、どうも格好悪くて使えないよ。出かけるときは杖を使うようにしている。」と言います。
 また、スーパーにはカートが置いてありますが、足がおぼつかない人もカートを使うと歩き方が楽になっているように感じられます。
 今日は、お客さんから「母が先月脳梗塞で入院し、退院したんだけれど、それから歩くことがだいぶ弱くなってしまい、ほとんど外に出なくなってしまった。杖でも買ってあげようかと思っているんだけど‥‥」と相談されました。
 私は「もし本人が『格好悪いとか、年寄りくさくて嫌だよ』と言わなければ、シルバーカーの方が良いですよ。」と言いました。「何故なら杖は使い方を間違えやすく、杖に頼って体を支えようとすると手にものすごく力を入れてしまい、それがかえって歩けない状態を悪化させてしまうからです。」とつけ加えました。

 ギックリ腰を経験した人ならわかると思いますが、足腰に力が入らない状態になりますと、例えば床から起き上がるとき、あるいは椅子から立ち上がるとき、腕を踏ん張り、腕の力を使って立ち上がる動作をするようになります。すると手の筋肉に強い力を入れることになりますので、手の筋肉に強いこわばりができます。このこわばりは全身に伝わっていき、腰や膝の筋肉にも影響を与えます。それによってますます足腰の働きが悪くなってしまいます。現に私は、ギックリ腰で訪れた方や高齢者で腰や膝が辛いという方々には必ず手の揉みほぐしをおこなっています。そして手を使わないで椅子から立ち上がれる状態にしています。それが症状解決に欠かすことのできない必要条件と考えているからです。そして、「なるべく手を使わないようにして立ち上がってくださいね。ソファーや低い椅子は使わずに、スッと立ち上がれる椅子を使ってください。」と言います。

 冒頭の85歳の方は「足が痛くて‥‥!」とやってくることが多いのですが、私は「草取りしたんですか? それとも杖で歩いたんですか?」と聞きます。(この辺りは古い町で地の人の家はみんな庭が広いので雑草取りが大変みたいです。)草取りも杖も手に関係しますが、足が動かないほどになっているときは、手がガチガチです。

 杖は本来片方の脚の代わりを果たすものです。両方の脚に力が入らないのを杖一本に頼るようにはできていないのだと思います。ですから格好悪くとも、シルバーカーを選んだ方が快適だと思いますが、いかがでしょうか。