お腹の冷えが胃の不調につながるというお話しです。
 本来は噛みしめによる顎関節の不調で当院を訪れた女性なのですが、慢性的な胃の不調を抱えていて病院で処方される胃薬を欠かすことができない状態です。
 この方は寒い季節だけでなく真夏の暑さが厳しいときでもお腹が冷えています。「アイスクリーム好きですか?」と尋ねると「毎日食べるのが生きがいの一つ」とのことです。毎日のアイスクリームはまずいです。アイスクリームは半ば氷を直接胃の中に入れているようなものです。お腹が冷えないわけがありません。私は「では、アイスを口の中で溶かしきってから飲み込んでください。」とはかない抵抗を示すのですが、どうするかは本人次第です。

 この方はだいたい月に一度くらいのペースで来店していました。胃の調子を整えるためではなく、噛みしめによる顎関節の不具合を調整するためです。(噛みしめてしまう原因は心理的ストレスによるものです。その原因は職場にあるので、回避できません。)
 ところが私が気になってしまうのは胃の方です。
 「ただお腹を温めて大切にするだけで良くなるのに‥‥」とつい心の中で思ってしまいます。
 元々の体質に加えアイスクリームという敵がいて、それを月に一度お腹を温めたからといって根本的な解決にはつながりませんが、それでも私の思いを伝えるために必ずホットパックでお腹を温めながら、腹筋の働きがよくなるような施術を行っていました。
 そして前回、業務で使っているホットパックを貸し出しました。「これをレンジで2分30秒チンして、寝るときにお腹にのせてください。毎日やってください。」と言葉を添えて。

 その後2月経っても音沙汰がありません。「毎日ちゃんと温めているのかなぁ。調子はどうなのかなぁ」、などと時々思い出しては気になっていました。
 そうしたら、一昨日電話が入って「顎がまたガクガクで‥‥。でも、毎日温めていたら胃はすごく調子いいです」と予約の電話が入りました。
 昨日来店されましたが、確かに胃の状態は良いようです。お腹の感じも良くなっていて呼吸も楽にできていました。ただ、咬筋がものすごく硬くなっていて顎の不具合は増強していました。
 「同じようなものを見つけて買ったので返却します」とホットパックを返してくれました。

 レンジでチンして温めるホットパックは薬局などで手軽に手に入りますが、実際のところあまり良いとは思いません。ここで使っているのは、30分くらいしか実用的な温度を保つことはできませんが、湿気を含んだ熱を出してくれるものですし、結構高温になりますので短時間でお腹を温めることができます。ちょうど蒸しタオルで30分くらい温度を保ってくれるようなものです。
 この方が買われたのは6000円くらいと仰っていました。

 特に女性にとっては“お腹の冷え”は大敵だと思っています。婦人科系の不調や病気で悩まれている方には是非、お腹を積極的に温めることをお勧めします。また、今は健康でも、予防のためにお腹を温めてください。これから寒い季節に変わっていきますので、”シャワーで済ます”ということはなくなるかもしれませんが、湯船にゆっくり浸かる時間を増やしてください。そして腹巻きなどもしてください。