私たちの体型は、子供の頃は“伸びやかな感じ”だったものが加齢とともにだんだんと”ずんぐり”あるいは”ゴツゴツ”しだしてしまうものです。「大人になっても伸びやかでいられるためにはどうしたらいいのかな?」とつい考えてしまいます。
 加齢によって筋肉の質そのものが少しずつ柔軟性を失ってしまう、ということもあります。それは仕方がないことなのかもしれません。それ以外では、普段の姿勢や体の使い方に偏りがあって、全身的に体型が崩れてしまう、というのもあると思います。こちらは整体的手法でなんとかできる分野です。

 今回は小殿筋を中心に、O脚を例にとり考えてみます。
 お尻には殿筋とよばれる筋肉が3つあります。一番外層が大殿筋、その深部に中殿筋、最も深部に小殿筋があります。大殿筋はお尻の厚みに関係し、椅子から立ち上がる、階段を昇るなど重力に対抗するときに働きます。中殿筋は歩く動作で片足立ちになるときバランスをとるなどの働きをします。そして小殿筋は中殿筋と合わせて下肢を横に開くときなどに働きます。
 O脚は、多くの場合、その出発点は股関節だと私は考えています。股関節で太ももが外に開いてしまうため膝と膝の間が離れてしまい、しかし踵と踵を合わすように体が自分で調整するために軽いO脚となってしまうのではないでしょうか。(それがちょうど施術前の写真です)
 その他に内股や反張膝はO脚の大きな特徴ですが、そこにはまた別の問題も絡んできますので、今回は股関節における小殿筋との絡みについてだけ取り上げます。
小殿筋のこわばりとO脚

 小殿筋は下肢を横に開く(外転するという)ときに働く筋肉と申し上げましたが、つまり収縮すると大腿骨が外に開くことになります。ガニ股の人、少々O脚気味の人、大転子が外に出っ張っているように感じる人、これらの人は小殿筋がこわばっている可能性が高いです。O脚歴が長い人は小殿筋のこわばり以外にも下肢の筋肉に変調があります。
 小殿筋がこわばってしまう原因として多く見受けられるのは、内転筋の働きが悪いことです。立位や歩行時に足の小指側に重心が行ってしまう人は内転筋の働きが悪いと考えられます。ですから施術方法としては内転筋として一番深くにある短内転筋がしっかり働くようにすることに重点をおきます。

O脚と猫背の改善

 写真の場合は、下肢では短内転筋の働きを良くすることだけを行いました。その他には肩が内側に巻き込むような状態でしたので、それを前鋸筋や顔への施術で修正し、腹筋にもこわばりがあってお腹の伸びが悪かったので、それを足先へ施術で修正しました。
 モデルの人は26歳ですが、60分程度の施術でここまでスタイルが伸びやかになりました。腹筋の伸びも良くなったためバストの位置も上がりました。もう少し肩まわりを修正すれば理想に近い状態になると思います。

 この人のO脚は目立つほど進んだ状態ではありませんでしたので、小殿筋と前鋸筋だけの修正でこのようになりましたが、状態がもっと進んでいる人の場合は、他にも修正しなければならない項目が出てきます。