ここは神奈川県西部、小田原市の片田舎にあります。小田急線の栢山(カヤマ)という素朴な駅の駅前に店舗がありますが、それでも東京から定期的に通ってくださる人や、時々とんでもない遠くから来てくださる人もいます。
 東京からはだいたい2時間くらいの旅なので、月に2回程度なら、私も「また来てください」と遠慮なく言えます。ところが、さすがに北海道とか東北、中京、関西とかになりますと、“一発勝負”という気構えで施術を行なわなければなりません。
 効率よく施術を行うため、事前に電話でいろいろお話を伺い、たとえば顔の問題であれば現在と問題を抱える前の写真をメールしてもらったりしています。
 実際施術を行うとき、私が常に探し出して修正しようとするのは、その症状をもたらすに至った根本的な原因です。遠くにお住まいの方がわざわざ旅費と時間をかけてこちらに来ようとされるのは、お近くの整形外科や治療院などで何度も治療を行ったが思うような結果を得ることができなかったというのがほとんどの理由です。ということは、それまでの治療方法は原因の見立てが間違っていたか、治療方法が的を得ていなかったかのどちらかだと思います。
 体というのは本当に微妙なものです。何十年前の骨折や捻挫、あるいは手術が現在の症状をもたらす根本原因になっていることはよくあることです。他の先生方はそう考えないかもしれませんが、私はそう考えています。

 昨日は、本当に遠くから、顔の噛みしめの問題でお客さんが来られました。右側の噛みしめが強くて、言葉を出そうとしてもノドのところでつかえてしまいスムーズに話すことができない、そして常に顔の右側が緊張状態にあるという訴えでした。
 実際に顔を触りますと、確かに右側の咬筋がガチガチに硬くなっていました。こういう人はけっこういます。歯ぎしりの癖や食いしばりの癖を持つ人は、このような状態になります。ところが普通はそういう人でも、言葉を発することに困難が生じるような状況にはなかなかなりません。
 それで施術をしながらいろいろお話を伺っていく中で、十何年も前にスキーをしていて高いところから着地するとき、尻から落ちてしまい身動きが取れない状態になったことがある、という話が出ました。これはとても重要な情報です。骨盤が歪んでいて、それが原因で常にノドにテンションが掛かった状態になっているのではないかと連想しました。そして体をみていくと、右半身がこわばった状態になっていて常に顎の右側を下に引っ張る力が働いていました。呼吸も「息を吸っても右側の腹部に何かがあって上手くお腹が伸びてくれない」という症状の話も出ました。来店された主訴ではありませんが、ご本人はいつも気していたのです。
 その後、骨盤を修正し、右側の硬くなった咬筋を弛め、その他体の右側にこわばりをもたらす筋肉を調整しましたが、それで喋りの問題が解消されたほか、本人が常に感じていた右半身の緊張感もなくなり、「とても楽になった」と喜んで帰られました。
 顔の問題と骨盤の歪みの関係性というのは一般の人はとても連想できないことでしょう。とこが“体は一つながり”ですから、必ず影響し合っていると私は考えます。顔と骨盤に関連性はないと見立てるのが多くの治療院かもしれません。しかしそれでは、症状が改善される見込みは果てしなくゼロになってしまいます。

 ですから、1回か2回限り(一泊二日)の施術でどうにかしたいとお考えの方は、昔のケガや体における大きな出来事を思い出して、それを事前に教えていただきたく思います。事前に電話でお話しし、私がいろいろ質問させていただきながら、その応えを聞くことによって施術者としての準備をさせていただきたいと考えております。

 私と同じような方針で施術を行っているところはないか? と質問の電話やメールを頂くこともありますが、残念ながらそういう治療院や整体院は今現在ありません。将来的には協力し合える整体院を幾つかつくっていきたいと考えています。