ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

 超大型台風21号が接近してきた昨日、「頭痛とめまいがする」と訴える方が来店されました。
そして「台風の影響かな? どうして低気圧や台風が近づくと体調が悪くなるんですか?」と質問されました。
 関節痛を抱えた高齢者もよく同じようなことを言われます。「低気圧が近づくと膝が痛くなる。どうして?」
 気象病という名称も付けられているようですが、気圧の変化が自律神経に影響を与え体調を崩しやすくなると説明されています。

 私はこれまで、からだの中でセンサーとして働いている部分は胸であると考えてきました。胸が環境の変化を始めいろいろなものを感じ、それによってからだが変化すると考えてきました。実際、肋骨は閉じたり開いたり、硬くなった柔らかくなったりして環境や心理に反応しています。
 ですから、昨日頭痛とめまいを訴えて来店された方に対して一番最初に胸を触り観察しました。案の上、胸の筋肉(大胸筋)は強くこわばっていて肋骨の動きが制限されていました。ですから呼吸も悪い状態で、息を吸うことも吐くことも満足にできていませんでした。

 「頭痛とめまい、か?」と私は心の中で考えました。胸が動かないので呼吸が満足にできないために、頭が酸欠状態のようになって頭痛とめまいを発症してしまったという仕組みも考えられます。しかし、そうであるなら「息苦しくて、頭痛とめまいがする」という表現になると思うのですが、そうではなかったので、今回の根本的な原因は「胸ではないかもしれない」と思いました。
 そして「頭痛とめまい」ということは頭の問題ですから、まず頭を観察していきました。すると後頭部がとても硬くなっていました。「そういえば今日来た(別の)お客さん達も後頭部が硬かったな」と思いました。台風と後頭部は関係性があるのかもしれません。そして、後頭部が柔らかくなるようにと思いながら、後頭部にそっと掌を当ててみました。

小脳と延髄

 後頭部は延髄と小脳の場所です。延髄は呼吸と心臓のコントロールを行っているところです。小脳の働きについてはまだまだ未解明のことが多いのですが「めまい」とは関わり合いがあると考えられるようになっていますし、私は自律神経との関わりも大きいのではないかと思っています。

 台風(低気圧)の影響で後頭部が硬くなり小脳を圧迫しているので頭痛とめまいをもたらしているのか、あるいは小脳が低気圧に反応して緊張状態になってしまったためにめまいを起こし、かつ後頭部の筋肉が収縮して頭痛の原因となっているのか、どちらかかもしれないと考えました。
1分ほど手を当てていますと、後頭部が少しずつゆるみ始めました。するとそれまで全然できていなかった腹式呼吸ができるようになってきましたので、胸がゆるみ始めたこともわかりました。7~8分は後頭部に掌を当てたままにしていましたが、すっかりからだや頭や首から緊張が取れリラックスした状態になりました。

 低気圧に弱い人は、後頭部に掌を当てたり、あるいは首~後頭部にかけてホットタオルなどで温めたりすることで楽になるかもしれないと思いました。皆さんも試してみてください。

足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
メールアドレス info@yumetowa.com
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 血液やリンパ(体液)の循環を考える時、まず動脈系と静脈系とに分けて考えることになります。動脈系は心臓の拍動によるポンプ力と血管の弾力性、毛細管現象を利用して大きな動脈や、そこから枝分かれしていく細い動脈、そして末端の毛細血管まで動脈血を届けます。一方、静脈系(リンパを含む)は全身の細胞で消費された血液、炭酸ガス(二酸化炭素)、新陳代謝で死骸となった細胞など老廃物が体液の中に混じったものですが、血管(静脈)とリンパ管の中に取り込んで心臓に還る道を進みます。
 血管が脈を打っているのは動脈ですが、それは心臓の拍動と連動して血管の筋肉が収縮したり弛緩したりしながら酸素と栄養豊かな動脈血を全身の細胞まで運んでいます。動脈と静脈系の一番の違いは、(心臓から離れた)静脈系は心臓や血管の力で血液やリンパ液を運ぶことができませんので、周りの筋肉の力を借りて進まなければならないことです。ふくらはぎや足首周辺の体表には静脈瘤や青紫色のうっ血状態ができやすいのですが、それは静脈が体表にあり、心臓から遠く離れたところは静脈の流れが停滞しやすいことを現しています。
 足やふくらはぎが「第2の心臓」と呼ばれることがあります。それは歩くことによって足やふくらはぎの筋肉が収縮・弛緩を繰り返しますが、それが「乳搾り」のような作用をもたらして静脈やリンパの流れを生み出しますので、心臓の働きに似た作用をしていると考えるからです。

静脈系の大切さ
 医学の世界で循環系と言えば、心臓と動脈に主眼がおかれているのかもしれません。よく耳にする「血圧」「動脈硬化」という言葉はこのことを象徴しています。心臓の働きが弱いと血液を血管(動脈)に送り出す力が乏しくなりますので動脈血がからだの隅々まで十分には行き渡らないかもしれません。たくさん酸素を消費するのは脳ですが、血圧が低かったり、他の要因で脳に動脈血が十分に行き渡らなければ酸欠状態になってしまい頭の回転が鈍ったり、ボーッとしたりしてしまいます。低血圧の人は理解できるのではないでしょうか。
 また、心臓には十分な力がありますが、動脈硬化によって血管の弾力性が失われたり、血管の中が狭くなってしまい、十分な量の血液が細胞に届かなくなってしまうかもしれません。すると心臓はますますポンプ力を高めてからだの隅々まで血液を届けようと対応することになります。これは心臓に余計な負担を掛けることにですし、高血圧の原因になります。

 さて、これら動脈系の問題以外に静脈系の問題で循環が悪くなってしまうことがあります。そして、こちらの方がよほど日常的で身近な問題だと私は思っています。
 例え話になりますが、高速道路が渋滞してしまう状況をイメージしてみてください。その場所は長く続く緩い下り坂が上り坂に変わった辺りが多いと言います。緩い下り坂では、それほどアクセルを踏まなくても車は順調な速度を保ってくれますが、その状態で上り坂に変わりますと自然と速度が低下してしまいます。すると後を走っている車は、下り坂を走っているにもかかわらず前の車の速度が低下したためにブレーキに足を掛ける状態になってしまいます。さらにその後を走行している車は、前の車のブレーキランプが点灯したので警戒してブレーキを踏み速度を落としますが、その連鎖が後続車に次々と続いてしまい、結局長い渋滞となってしまいます。渋滞箇所には特別何事もないわけですが、そこを抜けるとき「一体何が原因だったんだろう?」と思われた経験のある人はたくさんいると思います。つまり、前が詰まったために後から押し寄せてくるものの速度が低下し、やがてさらに後続が身動きの取れない状態になってしまう状況です。
 心臓も血管も何の問題もないのに静脈の流れる速度がが低下したために、動脈血が前に進めなくなる状況があります。
 血液を消費する細胞の様子を観察しますと、動脈血が細胞内に入る入口と、動脈血が消費され静脈血となって出て行く出口があります。「入口には後から後から動脈血がたくさんやって来るのですが、出口が詰まっているので細胞内に入っていけない、前に進めない」といったことが起こります。これが静脈系の問題により血液循環が停滞してしまう例です。
 そして、病気と診断されるわけでもないのに、血行不良にともなう体調不良やむくみや”頭がスッキリしない”などの症状に悩まされることがありますが、それは、静脈系の停滞が原因になっていることが多いのだと思います。

静脈とリンパの還り方
 心臓はポンプ力の圧で動脈血を勢いよく大動脈に送り出すわけですが、一方で大静脈の側は陰圧(心臓に吸い込む力が働く)になります。ですから心臓に近い大静脈や静脈の血液は心臓に吸い込まれるようにして還ることになります。ところがこの陰圧の力は心臓から遠く離れたところや細い血管には及びませんので、別の仕組みを利用して静脈血やリンパ液は心臓への還り道を進まなければなりません。

 心臓から離れている四肢(腕や脚)の静脈には弁があって、静脈血が心臓に向かう一方通行になる仕組みになっています。静脈の血管やリンパ管は自身が収縮したり弛緩したりする力は大してありませんので、周りの筋肉の力を借りて血液を運ぶ仕組みになっています。筋肉は収縮しますと太くなります。すると静脈の血管は圧迫されることになります。それは血管が搾られる状態になりますので中の血液は押し出されるわけですが、弁がありますので心臓に向かう方向にだけ押し出されます。次に筋肉が弛緩しますと血管が拡がるわけですが、すると弁と弁で区切られた血管の部屋に後からの血液が入ることになります。そしてまた筋肉の収縮に合わせてその血液が前に進むわけですが、このような仕組みを利用して四肢の静脈血は心臓の陰圧が及ぶ太い静脈まで進み、最終的に心臓に還ります。
 細胞から放出された体液で、静脈に取り込まれなかったものはリンパ液としてリンパ管に入り、心臓に戻る道を進みます。リンパ管も静脈同様、周りの筋肉の力を借りてリンパ液を進めますが、やはり弁があって逆流しない仕組みになっています。

細胞内の動脈・静脈・リンパ

・静脈もリンパも、流れ方の特徴を簡単に言い表しますと以下の通りです。
①自身の力ではなく、周りの筋肉の働きを利用して流れている。
②弁があって逆流しない仕組みになっている。
 ですから、筋肉の働きが悪くなりますと静脈とリンパの流れが悪くなりますので血液を含んだ体液全体の流れが悪くなってしまうことになります。

鎖骨下静脈と鼡径部
 四肢ではなく体幹の太い静脈は心臓の吸い込む力によって心臓に還りますが、その流れが悪くなりやすいところが二箇所あります。一つは、鎖骨と第1肋骨の隙間を通っている鎖骨下静脈です。もう一つは、骨盤の鼡径部を通っている大腿静脈です。

鎖骨下静脈と鼡径部

 鎖骨下静脈が通っている鎖骨と第1肋骨の間は狭い隙間ですが、さらに鎖骨も肋骨も歪みやすいので、狭い隙間がなお一層狭くなってしまい血管が圧迫され鎖骨下静脈が悪くなってしまうことがしばしば起こります。

 そして、全身のリンパ液が合流して心臓に還るリンパ管も最終的に鎖骨下静脈に合流しますので、鎖骨下静脈の流れが悪くなりますと静脈だけでなくリンパの流れも停滞することになります。(詳しくは、https://www.kango-roo.com/sn/k/view/1844 参照してください)
 顔や手や膝下から足にかけてはむくみやすいところですが、それらばかりでなく実際は全身がむくんでしまうことになります。
 上記の図を見ていただきたいのですが、点線で示されている大腿静脈~下大静脈はからだの深部を通って心臓の下方から還りますが、それ以外の手~腕、体表の静脈は下半身の大伏在静脈も含めてすべて鎖骨下静脈となって心臓の上方から還りますので、鎖骨下静脈の停滞は全身に影響を与えることになります。実際、施術で鎖骨と第1肋骨を整えて鎖骨下静脈がよく流れるようにしますと、足趾や足首の方からむくみが取れていったりします。頭部がパンパンになっている状態も鎖骨下静脈を整えることでかなりスッキリします。

鎖骨下静脈の通り道

 下半身ばかりがむくんでしまう人がしばしばおります。あるいは下半身の血行が悪く、下肢の冷えが辛く感じる場合があります。このような場合は鼡径部の大腿動脈と大腿静脈の流れを考える必要があります。そして鼡径部の問題は、多くの場合、股関節の問題が絡んでいると考えてもよいと思います。

鼡径部

 鼡径部は余裕がある隙間ではありません。そこに大腰筋、腸骨筋、恥骨筋があります。ここで大原則を是非覚えて欲しいのですが、それは「筋肉はこわばると太くなる」という性質です。“こわばる”というのは収縮しっぱなしになって硬くなっている状態のことですが、「筋肉が張る」というのも同じようなものです。
 例えば一日中座り仕事で椅子に座っている時間が長いとします。座る姿勢は股関節を90°に曲げるわけですが、その状態を続けますと腸骨筋がこわばった状態になります。すると狭い鼡径部の隙間の中で腸骨筋が太くなりますので、大腿静脈も大腿動脈も大腿神経も圧迫され続ける状態になります。大腿動脈は心臓の拍動と連動する血管の力で圧迫された中でも血液を流すことができるかもしれません。しかし大腿静脈とリンパ管にはそのような力はありませんので、静脈系は流れが弱くなります。ですから、仕事が終わった頃には下半身がむくみ、足首のところには靴下の痕がバッチリ付いてしまいます。

鼡径部のリンパ

 また股関節が歪んで、例えば大腿骨が少し骨盤から離れた状態になりますと腸骨筋も大腰筋も恥骨筋も緊張してこわばり、太くなってしまいます。すると上記と同じように静脈系は流れが悪くなります。そして実際のところ、股関節の歪みは動脈の流れにも影響しますので、「股関節がおかしいとエネルギー全体の流れが悪くなる」という状態になります。これは歯ぎしりの原因になりますし、手汗や足裏の汗の原因になります。

循環を改善するために必要なこと
 上記で説明してきたことを簡略してまとめますと以下の通りです。
・病気ではない日常的な循環不良は、静脈とリンパの流れを主体に考えて対処した方がよい
・静脈もリンパも管自体の力で血液やリンパ液を送ることは難しいので、周りの筋肉を利用している。
・全身的な循環を考えるときには鎖骨下静脈と鼡径部をチェックすることが大切。

 こんなことがあります。
 膝の調子が悪く、あるいはむくみが常態化し、膝周りがこちこち硬くなっている人に対し、膝小僧(膝蓋骨)を動かして膝の関節包をストレッチしますと滞っていた血流やリンパの流れが急に回復して、たちまち膝周りが細くなり柔らかくなったりします。
 捻挫して後、何年経っても腫れぼったさが取れない足首。捻挫で損傷した靱帯に手指をあてて靱帯の回復促していますと間もなく水膨れが消失しだし足首がスッキリし始めることがあります。それは溜まっていたリンパ液が靱帯機能の回復に伴って流れ出したからです。

 先ほどまで、静脈系の流れ方は周りの筋肉を収縮させたり弛緩させたりすることで「乳搾り」のように血管やリンパ管を圧迫することで血液やリンパが前に進むと説明しました。しかし、これだけしか方法がないのであれば、むくんだ状態にならないためには、あるいは下肢静脈瘤を防ぐためには「いつも筋肉を使っていなければならないのか?」という疑問が生じます。
 実際、この考え方に基づいて開発されたのが着圧靴下とか着圧ストッキングの類ではないかと思います。常に圧を加え続けることで静脈に余計な血液が溜まらないようにする、リンパ管にリンパ液が停滞しないようにする、そんな考え方ではないかと想像します。しかし、これは本来の在り方ではありません。
 筋肉を動かしていなくても、靱帯や筋肉や筋膜の状態を整えることで、静脈もリンパも流れるという現実があります。これを私は「筋肉などがしっかりしていれば」という表現で皆さんには説明していますが、この観点はとても重要だと思います。
 その現れが膝関節包のストレッチや捻挫で損傷した靱帯機能の回復によって停滞していた静脈やリンパが流れ出すという現象です。
 昼間座り続けて夕方パンパンにむくんでしまった下半身も、一晩寝て朝起きるとむくみが改善しているのは、こわばっていた腸骨筋が寝ることで伸ばされこわばりが取れたため鼡径部の流れが改善したからだと考えることができます。
 ですから、確かに静脈もリンパも周りの手助けによって血液やリンパを流しているわけですが、その「手助け」を得るためには、筋肉を動かして収縮と弛緩を繰り返すこと以外に、筋肉、筋膜、靱帯など軟部組織を整えることが重要です。さらに関節に歪みがあって流れが悪くなっていることもありますので、関節の歪みを整えることも重要です。

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 一般に「足首の関節」と呼ばれている足関節は専門的な用語で脛骨、腓骨、距骨と呼ばれる骨で形成されています。そして脛骨と腓骨は専門的な分野ではしばしば登場して解説される、言わばメジャーな存在ですが、距骨についてはほとんど語られることがありません。今回は、このマイナーな存在ですが、しかしとても重要な距骨についてお話しをさせていただきます。

 私たちの足の骨格は、足根骨と呼ばれる距骨、舟状骨、立方骨、踵骨、外側・内側・中間楔状骨の7つの短骨と、足趾(足の指)を形成している中足骨、趾骨でできています。
足の骨

 
足関節

 かかとは踵骨の後部ですが、踵骨の上面に距骨が位置し、ふくらはぎの骨である脛骨と腓骨と関節を形成しています。(足関節)
 私たちは二足歩行ですから、立った時には脚(大腿骨、脛骨、腓骨)が地面に対して垂直の関係になります。そして地面に対して真っ直ぐに掛かる重力(体重)を足の骨格で受け止めバランスを取っているわけですが、その最前線の働きをしている骨が距骨です。
 距骨がグラグラしていますと、体重を足でしっかり受け止めることができないという不具合が生じます。立った時に足裏全体に満遍なく重力が分散するような状態が理想ですが、距骨が不安定な人は小趾側の方に体重がかかったり、かかとやつま先の方に体重がかかってしまったりという具合になってしまいます。
 距骨が不安定なとき、そこに体重の重みが掛かってきますと、距骨はそれに耐えられなくなりますので、からだはその重みを他の骨で受け止めようとします。その骨が踵骨ならば「かかと重心」ということになりますし、足趾の方になりますと「つま先重心」となります。
 例えば、高いヒールの靴を履いたとします。かかとが浮いた状態ですから足の指は甲側に曲がります。すると、つま先重心になるのと同時に足の横アーチが崩れてしまいます。この状況は外反母趾や内反小趾になりやすい状態ですが、高いヒールを履かなくても重心がつま先に掛かってしまう人は、同じようになる可能性が高いと言うことができます。
 かかとに重心がある人は、歩くと踵に負担がかかりますが、それはアキレス腱にも負担が掛かり、ふくらはぎの筋肉に負担がかかることにつながります。ですから、歩くとふくらはぎがすぐに張りを感じ、くるぶしやかかと周辺に痛みを感じるようになるかもしれません。
 ですから、かかと重心やつま先重心にならないためにも、距骨を安定させることが必要です。

かかと重心の人は距骨に体重を乗せることができない
 私のところに来店される人たちは、かかと重心の人が多いのですが、その理由の大半は距骨が歪んでいて不安定なので体重を乗せることができないからです。私たちのからだは精妙にできていまして、ある動作をするときに、準備が整った状態であれば何の苦もなくその動作を行うことができますが、準備が整っていない場合は同じ動作を他のところを使って行うようになっています。
 距骨の状態が安定していて体重を乗せても十分に耐えられる状態に準備ができていれば、立った時にからだは自然と距骨に体重を乗せます。しかし距骨が不安定で体重の負荷に耐えられない場合は、からだが距骨の準備が整っていないと判断して、自然に別な場所に体重が乗るようにしてしまいます。意志に反してかかと重心になってしまうのは、そういうからだの仕組みによるものだと思います。ですから、かかと重心(=距骨が不安定)の人が軽く膝を曲げて体重を距骨に乗せようとする場合、それはスムーズさに欠けた無理な動作になってしまいますので、脚がピクピクしだしたり、ふくらはぎが張って重たくなったりしてしまいます。

距骨の安定性テスト

 スキーやスノーボードは、膝を曲げてスネの前面や足首の前面に重心を掛けて滑らなければなりません。そうしなければスキーやボードが先に行ってしまい、すぐに尻もちをついてしまいます。そしてこの足首とスネの前面に重心を掛ける動作は、距骨に何の問題もない人は苦もなく当たり前のように行うことができます。ところが距骨に体重を乗せることができない人は、意図的に足首を曲げるようにしないとスネの前面に重心を掛けることができません。
 距骨の安定している人は、立った状態で少し膝を曲げて足首の前面辺りに重心を持ってこようとしたとき、足首を曲げている感覚はほとんど感じません。単に重心が足首の前面辺りにあるのを感じるのみです。ところが、かかと重心の人は同じ動作をしたときに”足首を曲げている”ことを感じます。しかし重心が足首の前面にあるようにはあまり感じられず、次第に太股や膝周辺が疲労してプルプルしてくるかもしれません。これは、その人の状態にとっては無理な姿勢であるということを現しています。

歩行における距骨の重要性
 歩き方について度々質問を受けますが、誤解されずに説明することはとても難しいことだとと感じています。これまでいろいろな角度で、いろいろな説明の仕方で歩き方を改善するためのアドバイスを行ってきましたが、その場ではできても次回来店されるときには元の悪い歩き方、さえない歩き方に戻ってしまっている人がほとんどです。解釈の仕方がまちまちであるということもあります。また「たかが歩き方一つでそんなに違うのか?」と聞かれたことも何度もありますが、ほとんどの人が歩き方一つで筋肉の状態がすっかり変わってしまうことを信じていないからかもしれません。「20歩で筋肉の状態は変わります。」と私は思っています。脚のマッサージを20分ほど行って筋肉をほぐしたとしても、歩き方が悪ければ20歩歩くだけで元の悪い状態に戻ってしまいます。また反対に、筋肉のバランスが悪くなったとしても、良い歩き方を20歩していただければ、筋肉のバランスは改善します。「負のスパイラル」「正のスパイラル」という言葉がありますが、歩き方、歩くこと、はそういう流れを全身の筋肉にもたらすものだと考えています。ですから、なんとか皆さん、良い歩き方を身につけていただきたいと思っています。

 例えば「足の踵外側から着地して、最後に母趾で地面を蹴る」ように足を使うことが良いという説明もあるようですが、良い歩き方をしている人は確かにそのようになっています。しかしそれは結果としてそうなっているというものです。もし、そんなことを意識しながら歩こうとしますと、それはとてもぎこちない動作になってしまいますし、首や肩や足などに余計な力が入ってしまうので「自然な感じ」から遠ざかってしまいます。なかなか良い歩き方には近づかないことでしょう。

 歩くことは「前に進む」ことですから、重心がスムーズに前に前にと移動しなければなりません。そしてここが誤解を受けやすい部分なのですが、重心が前に移動することと、上半身が前に突っ込む(進む)ことはまったく反対のことです。上半身が前に行ってしまう人は下半身が置き去りにされるということですから、重心は後ろに残ったままになってしまいます。

重心位置左右の比較

 距骨が安定している人は重心を前に移動することが苦もなくできますので、歩くときに前足が着地した後、膝がスムーズに前に出て前へ前へと重心が移動していきます。一方距骨が不安定で体重を乗せることのできない人は、前足を着地した後、膝が前に出てきません。ですから足首を曲げて腰を前に出さないとないと反対の足を前に出す動作ができません。このような動作は上半身を前に突っ込むような形になりますので、脚が後からついてくるような歩き方になってしまいます。そして歩くとふくらはぎや足首周辺が疲労し、時には痛みを感じるようになってしまいます。
歩き方比較_軸脚

 
距骨を歪ませる様々な要因
 「この歪みさえ修整できれば、からだの機能がすっかり変わるのに‥‥。解ってはいるけど、なかなか手強い」。今の私にとって、そう感じてしまう一つが距骨の調整です。距骨は靱帯によって隣り合う骨と繋がっていますので、隣り合う骨が歪んでいたり、靱帯の状態がおかしかったりすることで歪みが生じます。
 そして足首の捻挫を経験した人は、それをしっかり治さない限り何十年経っても靱帯が伸びた状態だったり、それをカバーするために他の靱帯が硬くなっていたりします。それらは確実に距骨の歪みにつながっています。
 距骨と隣り合う舟状骨には後脛骨筋が繋がっています。足関節で隣り合う脛骨と腓骨は上部では膝関節に関係していますので膝関節がおかしかったり、O脚、X脚、内股、ガニ股の人は足関節が歪むことで距骨が影響を受けている可能性がとても高いです。
 その他にも、かかと重心やつま先重心の状態で長い年月が経ったことにより、かかと周辺の筋膜が硬くなったり、足の指に関係する筋肉が強くこわばってしまったことなどの影響で距骨が不安定になっているということもあります。

・三角靱帯のこわばり
 
足関節内側の靱帯

 足の内側(母趾側)、脛骨(内果)と距骨と踵骨と舟状骨の間には大きく強力な三角靱帯があります。かかとの内側が硬く縮んで、かかとが内側に傾いている人がたくさんいます。内くるぶし(内果)のすぐ下の奥に硬い塊があって、それを強く押しますと痛みを感じますが、そのような人は三角靱帯が硬くこわばっている人です。足が不安定なので、三角靱帯を硬く縮ませておくことで、かろうじて距骨、舟状骨、踵骨など足根骨が体重に耐えられる状態を保っているのかもしれません。
 この硬くなってしまった三角靱帯の働きを戻すための施術(指圧でほぐす)は痛みを伴いますが、それによって距骨の状態が改善することがあります。

・捻挫によりゆるんだ靱帯の影響
 
足関節外側の靱帯

 一番多い足首の捻挫は、足を外側にくじき、外くるぶしの周辺を損傷してしまうものです。捻挫した初期は炎症がおこりますので足首周辺が熱をもって痛くなります。それから水膨れで足首が腫れ上がりますが、冷やすこととサポーターやテーピングなどで足首を固定して保護することが対処方法になります。このような状態も何日か経つと炎症が治まり、腫れが引いて痛みだけが残る状態になります。やがて安静時の痛みは取れ、歩いたり体重を掛けたり、動かすと痛みを感じる程度になり、そしてその痛みもなくなり普通に歩くことができるようになります。すると捻挫の治療は終了となりますが、だいたい2週間から1ヶ月くらいの期間を要します。これが一般的な捻挫治療の過程だと思いますが、靱帯がしっかり元の状態に戻ったかどうか、という観点は重要視されていないようです。
 しかし、靱帯が元の状態に戻りませんと踵骨の不安定な状態は解消されません。捻挫で伸びてしまった靱帯の機能が戻っていない人は、かかとを掴んでゆらゆら揺らしますと、あまり反発せずに揺れてしまいます。この状態は踵骨が不安定な状態であり、踵骨と接している距骨も当然不安定になります。

・下腿(脛骨と腓骨)が捻れている、歪んでいる
 足関節は脛骨と腓骨と距骨の3つの骨で成り立っていますので、どれかの骨が歪んでいますと足関節は歪んでしまいます。
 例えば靴を履いたとき「右足は何の問題もないけど、左足はくるぶしが靴に当たって痛みを感じる」という場合、靴がおかしいのではなく、左足のくるぶしの位置が下がっているということです。足を外側にくじくことが多い人は外くるぶし=腓骨が下がっていることが多いのですが、このような人は足の小趾側がから着地してしまう傾向が強い人です。これは足関節が歪んでいるということですが、距骨も歪んで不安定である可能性が高いです。そしてこのような人が多いのが実情です。
 脛骨と腓骨の歪みや捻れについては、普通の人にはなかなか解りにくいことですし、来店された方々の話を伺っても、整形外科や接骨院などで指摘される様子もないようです。しかし、実際はほとんどの人が大なり小なり歪みを持っています。その歪みが許容範囲内にあれば、距骨の安定にそれほど影響を及ぼしませんが、許容範囲を超えてしまいますと距骨に体重を乗せることができなくなり、かかと重心などになってしまいます。

距骨がしっかり安定すると、重心移動がスムーズになる
 とても大雑把な言い方になりますが、いわゆる「運動神経の良い人」と「運動神経の鈍い人」の最大の違いは重心移動がスムーズに行えるかどうかではないかと私は思っています。「重心移動」という意味も、苦手な人にとっては解りにくいことかもしれません。
 例えば立った状態で、片脚を一歩前に出す動作をした場合、重心移動が上手くできる人は自ずと頭や上半身が軸足側に残った状態で、腰から下だけが前方に移動するような仕草になります。しかし重心移動が苦手な人は、前足を出すと同時に頭や上半身も前に出てしまい、腰部が取り残されたような状態になってしまいます。実際、「からだは前に出るけど重心は後ろに残ったまま」と言える状態です。
 これまで、このような人たちに様々なやり方や説明の仕方でなんとか重心移動がスムーズにならないかとアドバイスしたり、トレーニングをしてきましたが、ほとんどの人が、その時はできてもすぐにやり方が解らなくなってしまうという状態でした。
 重心移動がないままに動作をしますとケガをしやすくなりますし、効率が悪いのですぐに疲労してしまいます。
 掃除機を上手に操作するためには重心移動が欠かせません。重心(足腰)を前に移動しながら、そのリズムに合わせてホースを持っている手が前に伸び、重心を後ろに移動しながら手を引くのが効率的な使い方です。ところが下半身をほとんど使わずに腕だけでホースを操作している人がいます。これではすぐに疲れますし、腰が痛くなってしまいます。「掃除機をかけるのが苦手で‥‥」という人は重心移動の苦手な人と言えるかもしれません。

 どうすれば重心移動を理解して、体得してもらえるのだろうか? そんなことがいつも私の頭にあって、いろいろ考えているわけですが、ふと「距骨を整えればどうなるだろうか?」という思いが湧き起こりました。そして、それまで上手に歩くことができなかった人の距骨を整えてみました。すると何のアドバイスもしなくとも歩行時の重心移動が上手にできるようになり、普通に歩くことができるようになりました。その後、何人もの人に試してみました。歩き方がおかしい人は、「かかとから着いて‥‥、親指で蹴って‥‥」と考えてしまいがちですが、「一切何も考えないで、ただ普通に歩いてください」とやっていただきますと、皆さん重心移動ができるようになり、歩き方が軽やかになります。
 歩行動作における重心移動の要は、前に踏み出した脚の膝が、着地後まっすぐ前に出せるかどうかだと私は思っています。膝が外側に向かってしまうようだとガニ股歩きですし、内側に向かってしまうと内股歩きです。膝が前に出なければ、上半身先行で下半身が後から付いてくるような歩き方になります。

 良い歩き方を実現するには距骨のことだけでなく、他にもチェックすべき要素が幾つかあります。大腰筋や中殿筋の働きも大切です。しかし先ずは距骨に体重を乗せてもしっかり支えられる状態になっていることが大切なように思います。

自分で距骨を整える方法
 来店されれば施術で距骨を整えますが、長年の使い癖による靱帯や筋肉の”癖”は、「形状記憶」のように感じます。今整えても、歩き方や立ち方が変わらなければ、何日か後には再び元の歪んだ状態に戻ってしまいます。最近歪んだのであれば、一回の施術ですっかり整うかもしれません。しかし、歪んでから何年も、何十年も経っているものはなかなか強敵です。
 ですから、日々の生活の中でご自分でできる改善方法はないかと、いつも頭を悩ませているのですが、「ケンケン(片脚立ちジャンプ)」は一つの方法かもしれません。まだ幾人かの人で試しただけですが、片脚立ちで、小さいジャンプでもよいので何度か飛んで着地することを繰り返しますと足首の前面(距骨)を上手く使わざるを得なくなります。この動作によって足首周辺の歪みや捻れが改善することもありますが、距骨に体重を乗せるという感覚が養われ、からだが「かつての記憶」を取り戻すことが効果的なのかもしれません。
 小学生の時、まだまだ身軽で「ケンケン」など苦とも思わなかった頃、からだはバランス良く動いていました。ジャンプして片脚だけで着地することは、片足に全体重が乗るということですが、そんな理屈は関係なしに普通にできていました。ところが大人になるに従って、からだの歪みが進行したり、筋肉の柔軟性が失われたりして、かつてのように軽やかにケンケンすることができなくなってしまいます。
 しかし、何日間か繰り返し練習していますと、少しずつ出来るようになり、バランスが整ってくると思います。片足で10回ケンケンし、反対の足も同様に行い、その後歩いてみます。うっすら距骨に体重が乗る感覚が味わえるかもしれません。その後、もう一度10回ずつケンケンを行い、歩いてみます。すると先ほどより体重が乗る感覚が大きくなると思います。こんな練習をしていますとだんだん足でしっかり立つことが出来るようになり、距骨に体重が乗ル陽になると思います。大切なことは足首を柔らかく使うことです。ジャンプが無理なら背伸びのようにつま先を着けたまま踵を浮かして着地するだけもで良いと思います。「フワッ」と足首を使い、決して地面と衝突しないことです。それが距骨に体重を感じる効果的な方法です。更に、手や首や顔や上半身に力を入れないことです。最初はバランス良く着地できませんので、手など上半身の何処かに力を入れて“こらえよう”としてしまうかもしれません。しかし、それでは練習の意味がありません。最初の内は動きは小さくても良いので、着地した後も平然と立っていられるように、足首をどう使えば良いかを会得するために練習してください。
 練習がまあまあ上手くいったとします。すると歩き方が変わります。歩きやすさを実感すると思いますし、「バネのある歩き方」というものが少しずつ理解できると思います。
 また、今日上手くできたとしても、明日やってみますと上手くできないかもしれません。しかし、そんなことにめげずに次の日も同じように練習してください。練習方法が間違っていなければ、10日もすれば、外を歩いている自分の歩き方が変化していることに、ふと気づくと思います。


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 医学界では、頭蓋骨はほとんどずれない、動かないことになっているようです。「頭蓋骨や顔が変形してしまう、寝て起きると顔が変わっているし、枕に後頭部をつけて寝ることはペシャッとなりそうで怖い」と医師に訴えても「あり得ない」と言われ、精神科に回されそうになると仰っていました。
 私は実際の解剖を経験したこともなく、直に頭蓋骨や骨盤を触ったこともありません。ですから「頭蓋骨が変形することはない」「仙腸関節もたやすく動くことはない」と言われますと、「確かに解剖所見ではそうかもしれません」と思いますが、同時に「屍体と生体では違うのではないか」と思います。私は筋肉や皮膚の上からしか頭蓋骨や骨盤を触ることはありませんが、常に生きているからだを触っていますので、頭蓋骨や仙腸関節が簡単に動くことはよく知っています。

 私が整体の学校に通っていた頃、先生は骨盤の模型を手に取りながら、「このように骨盤は表面も裏面も強靱な靱帯でガチガチ固められているので仙腸関節はほとんど動かないと考えられる」と説明していました。確かに「靱帯(関節を強固にし、その運動を制御する)」という言葉の印象と模型を見せられた印象で想像しますと「仙腸関節を動かすことは大変なことだ」と感じてしまいます。

マシュマロのように感じた頭蓋骨
 むくみで悩んでいる人はよくおわかりだと思いますが、足のむくみが強いとき、スネを指で押しますと凹みができてしばらく戻らなかったりします。頭蓋骨の弛み方が進行しますと、これと同じような感じになります。頭を左から右に押しますと、そのように頭が変形してなかなか戻らなくなります。頬骨を押しても同様になります。それはむくみの激しいときに皮膚を押すと凹んでなかなか戻らなくなるのに似ています。「まるでマシュマロのようだなぁ」、私がもっとも重症だと感じた頭蓋骨の状態です。
 歩く一歩一歩の振動で頭の骨がそのように揺らされ、頭を横に回すと後頭部や頭頂部が時間遅れで後から着いてくるような感じになってしまいます。それまで一つにまとまって一体化していた頭蓋骨がバラバラに動いてしまうように感じられるのだと思いますが、その不安感は大変なものだと思います。
 このような状態になってしまった人は「まさかこんなに酷くなるとは‥‥」と後悔されますが、同時に「もう生涯、元の状態には戻らないかもしれない」と強烈な不安感に襲われるようです。医師に相談しても「理解してもらえない」と感じてしまうのであれば、尚更そうだと思います。

ゆるみきってしまった筋膜、縫合はじっくり取り組むしかない
 20歳を超えたばかりの若い女性は、額の吹き出物やニキビが気になり、四六時中それらをいじったり、つぶすようにして頭蓋骨を押していたと言います。そうしているうちに少しずつ頭蓋骨がゆるみだし、あるとき「自分の顔がおかしくなっている」と危機感を感じ、美容整形や整体院を訪ねるようになったということです。整体院ではいろいろなやり方で頭蓋骨をいじられ、美容整形で顔にメスをいれるようになり、益々歪みと不安定さが増し、私のところに来店されました。
 「いじりすぎたために筋膜がゆるみ過ぎてしまい、何度も直接頭蓋骨を動かしたので縫合関節がゆるんで形が変わり、安定性がなくなってしまった」というのが実際の原因だと思います。
 こうなってしまったら、筋膜を元の状態に戻し、ゆるんでしまった縫合関節を元の状態に戻すしか方法はありません。それは時間と手間のかかることです。忍耐力が必要です。しかし、これしか方法がないと私は思います。
 この女性は最初は週に2度ほど来店され、それが週1になり、やがて月に2度ほどのペースになりましたが、1年近く来店されました。「気になって、気になって、つい触っていじってしまう」という癖がなかなか抜けなかったようです。

 皮膚や筋膜は触り方次第で、しっかりしたり、反対にゆるんでしまったりします。時々電話で「何処をどう触ればいいのか?」と問合せを受けますが、言葉で説明できるものではありません。実際に体験していただいて、やり方を覚えて帰っていただきたいのです。やり方自体は非常に簡単です。しかし、触る深さと集中力と意識が大切です。テレビに気を取られながら触り続けても意味のないばかりか、悪い影響を与えてしまうかもしれません。

 この若い女性は、今はだいたい3週間に一度くらいの間隔でケアのために来店されますが、「気になって触ってしまうことはもうなくなった」と言います。今の安定した状態からすれば、いったいあの時の状態は何だったのか? と思えます。
 
生身の私たちの骨格は固定されたものではない
 施術をしていて「硬いなぁ!」と感じるものは筋肉や靱帯や筋膜など軟部組織です。それらが硬くなっているために骨格が動かしにくというのはありますが、骨格が硬くて動かしようがないと感じることはありません。

頭蓋の主な縫合01

 頭蓋骨は20以上の骨が縫合関節というしっかりとした結合組織で結びついて一体化していますので「硬く固定されたもの」という印象をお持ちかもしれません。しかし実際には呼吸をする度に少し拡がったり縮んだりしています。そしゃくする度に少し動きますし、喋る度に動いています。関節があるということは、そこが動くようにできているということです。動かなくて済むならたくさんの関節がある必要はありません。

骨盤の靱帯

 それは骨盤の仙腸関節も同様です。骨盤の模型を見ますと、仙腸関節は強力な靱帯でガッチリ固められていますので、まったく動きが制限されているように思えます。実際、学校の授業で先生はそのように説明されていました。しかし、実際には歩く度に仙腸関節は動いていますし、立ったり座ったりする時に骨盤の形は変わりますが、それは仙腸関節が動いているから可能になります。もし仙腸関節がガッチリ固定されて動かないような状態でしたら、私たちの動作はロボットのようになってしまい、しなやかな動きはできなくなってしまいます。
 腰痛やギックリ腰の時には、私たちの動きにスムーズさが欠けてしまいますが、それは仙腸関節の動きにしなやかさが欠けてしまうからだと考えてもよいと思います。
 生気が失われてしまった、単なる物質としての靱帯、筋肉、筋膜、骨などを観察しますと「仙腸関節も頭蓋骨もほとんど動かない」という結論になるかもしれませんが、それは生きている生身の私たちには全然あてはまらないと私は考えます。

簡単に動いてしまうので、直接骨格を動かさない
 「整体」に対する一般的なイメージは「骨をボキボキする」ということのようです。ですから、そのようなことを一切しない私の施術は「何という施術方法なのか?」としばしば聞かれます。
 例えば、なんとなく肩関節や手指の関節に違和感を感じるので、故意に動かして「バキッ」と音を鳴らす癖を持った人がいます。それによって関節がはまり、スッキリすると言います。それはそれで整体の一つの手法ですから、ボキボキ直接骨を動かす整体も「あり」だと思います(私には上手くできませんが)。
 但し、頭蓋骨は別です。下顎骨を除いた頭蓋骨表層の骨は「縫合」という接続方法で隣の骨と結びついていますが、一つ一つの骨はパズルのピースのような関係性で頭蓋骨全体を形作っています。ですから一つが狂いますと全体に影響が及ぶことになります。どれかの骨を押し続けますと、その周辺の縫合がゆるみます。すると、その骨が安定性を失いグラグラすることになりますが、加えて頭蓋骨全体が歪みだし不安定になることになります。

 頭蓋骨を形作っている縫合関節は柔らかくて丈夫です。これは頭蓋骨に限ったことではありませんが、私たちのからだの骨格は「強く押すと反発する。そっと柔らかく触る(圧する)と動きがわかる」という特性があります。この特性を利用して私は、骨が上や下や右や左に「ずれている」と把握しています。見た目で骨のずれを察知しているのではなく、軽く圧して骨の動き具合を感じて判断していますが、こうした頭蓋骨の特性を無視して頭蓋骨をいじりますといろいろと問題が起きる可能性が高まります。
 コルギや小顔整体などで、頭蓋骨をグイグイ押し込みますと、最初は反発します。それは「強く押すと反発する」という特性です。ところが何度も何度も同じことを繰り返したり、あるいはたった一回かもしれませんが、縫合関節が反発する力を失ってしまいますと頭蓋骨は簡単に変形するようになります。コルギや頭蓋骨を直接操作する小顔整体はこの特性を利用して頭蓋骨を変形させているのかもしれないと思えてしまいます。他にも機械や電気を使って縫合を意図的にゆるめ、頭蓋骨が変形しやすい状態にしている方法があるのかもしれません。

 何処か一部分の縫合関節がゆるんだだけの状態であれば、すぐに取り返すことができます。しかし一部分の縫合がゆるんだだけでも頭蓋骨全体は歪みますし、そこに不安定さまで混じってきますと、気持ちとして「何とかしなければ」という思いが心を埋めるようになり、施術を重ねたり、自分でいじり続けることが制御できなくなってしまったりするようです。するとゆるんだ縫合の箇所が増えてしまいますので、益々頭蓋骨は不安定になり、やがてマシュマロのような頭蓋骨への道を歩むことになってしまうのだろうと思います。

  •  最初は頭蓋骨が反発するので「もっと強く押して屈服させよう」という思いでいじり始める。
  • そんなことを繰り返しているうちに、突然反発しなくなる時がやってきて「これは上手くいくかも(小顔になるかも)」と思い、さらにいじり続ける。
  • 「なんか骨の一部が落ち込んでいるように感じはじめ、ちょっと不安」
  • 「目や鼻など感覚器官に不調を感じ始め、顔面に違和感を感じ始める」
  • 焦る気持ちも混じり、「なんとかしなければ」と強く思うようになって、負のスパイラルへの道を進んでしまう
 屍体ではなく、生きている私たちの頭蓋骨やからだの骨格の関節は、丈夫ですが、とても柔軟です。ですから骨は簡単に動きます。硬く固定されたように見える頭蓋骨は、実は(ある範囲の中で)簡単に動かすことができます。ですから私はあえて「直接頭蓋骨を操作してはいけない」と申し上げたいのです。
 今から少し前、コルギがとても流行った頃、「自分で行うコルギ」みたいな本が売られていました。「どうしてこんな危険なものが一般に売られているのだろう?」と、ゾッとしました。個人的な見解ですが、まったく恐ろしいことだと思います。

絶望も、諦めることも必要ない
 頭蓋骨や顔を乱して、深い悩みや絶望感にさいなまれてしまった人が何人も来店されました。顔や頭は私たち自身(自己)に一番近いところですから、そこが物理的に不安定になりますと精神的にもとても不安定になってしまいます。
 「もう、生涯元の状態には戻らないかもしれない」
 心全体が不安感で埋まってしまいます。しかし、忍耐強く地道に修復に取り組んでいけば必ず元の状態、不安感が消える状態になる日が来ます。それまでに3ヶ月以上、あるいは半年くらい時間を要するかもしれません。人によっては1年以上になってしまうかもしれません。

 ゆるみきってしまった縫合や筋膜は、そう簡単には力を回復しません。時々来店していただき施術を行いますが、それだけでは足りませんので、自分で修復のためのケアをし続けなければなりません。改善に取り組み始めた当初は3歩進んで2歩後退、あるいは3歩後退しているように思える日々が続きますが、ある日を境に急に力を回復して関節が安定する時がやってきます。そんな部分が少しずつ増え、やがて頭蓋骨全体がしっかり安定するようになり、心が安らぐ時が必ず訪れます。忍耐、忍耐、忍耐の日々を何日も経験しなければなりませんが、やはりこの地道なやり方が王道だと思います。ゆるんでしまった縫合や筋膜の働きを即効的に回復させるための特効薬的手段はないと思います。特殊能力をもったヒーラーなどにはそういう力があるかもしれませんが、一般的には無理です。
 このような状態に陥った人は「他にもっと有効な方法はないのか?」と耐えきれずに私に迫ってきたりしますが、それは無理なのです。しかし、やがて、必ず安定した状態に戻るのです。

 私が知っている頭蓋骨はこういう特性を持ったものです。そして、解剖学的に顔は内臓(腸管)が表に飛び出したものだと解釈されていますので、顔や頭をいじることは内臓を直接いじっていることと同じことになります。ですから本当に細心の注意を払って取り扱わなければなりません。「エイヤー!」と気合いを入れて一気に取り扱う類のものではないのです。
 今も顔で悩まれている人、顔をいろいろいじっている人、そのような人がたくさんいると思いますが、どうぞくれぐれも注意していただきたいと、そう願っています。

足つぼ・整体 ゆめとわ
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  顎に関係する症状といえば、顎関節症、反対咬合、噛みしめ食いしばり癖、歯ぎしり癖、片噛み癖、といったところでしょうか。
 これらの症状に共通していることは、そしゃく筋から力が抜けない、あるいはついついそしゃく筋に力が入ってしまう、ということです。顎から力が抜ければ大きな問題にはなることはありませんが、本人の意思や自覚に関係なく筋肉に力が入った状態、筋肉が収縮したままの状態が存在するので、問題を解決することがしばしば厄介になってしまいます。
 「どうすれば力が抜けるのか?」この問題はそしゃく筋に限らず全身の筋肉に当てはめることもできます。力を抜くことができればリラックスできますし、呼吸も楽になります。ところが、それがなかなか実現できないので、いつもスッキリしない状態、常に不定愁訴を抱えた状態になってしまいます。

骨格がしっかりしていれば筋肉から自然と力が抜ける
 私はしばしば骨と筋肉の関係について、骨は筋肉が自らを動かすための「足場」という表現を使います。
 私たちがコンクリートやアスファルトなど地面のしっかりしたところに立ったり、歩いたりするときは安心できますので余計な力を使わずにすみます。ところが足場がとても不安定な場所を歩かなければならないとき、例えば細い吊り橋などを渡らなければならないとき、精神的にとても緊張しますが、からだも硬直して動きがとても悪くなります。筋肉もこれと同様です。基本的に骨と骨の間に筋肉があって、筋肉が伸び縮みすることによって骨を動かすので動作が生まれます。この動作を生み出すとき、筋肉は必ず一方の骨を足場にして自らを伸縮して他方の骨を動かします。腕の動きであれば、肘から肩関節にかけての上腕骨を足場に上腕二頭筋、上腕三頭筋という筋肉が伸縮して肘から手首にかけての前腕を動かして肘の曲げ伸ばしを行います。ですから上腕骨がしっかりしていないと上手く肘を曲げることができなかったり、あるいは力を抜いても筋肉がこわばったままなので肘が伸び切らない状態になってしまいます。
 このように筋肉の能力を十分に発揮してもらうためには、その条件として骨格の安定がとても大切です。

側頭筋と咬筋02

舌骨上筋群と舌骨下筋群

 さて、顎関節の動きや顎関節の状態にこのことを当てはめて考えてみます。
 細かい部分では違っている点もありますが、ざっくり表現しますと、顎を閉じる、つまり上顎骨に下顎骨を近づける働きをする主な筋肉はそしゃく筋(外側翼突筋を除く)です。反対に顎を開く(開口)ための主な筋肉は舌骨上筋群と呼ばれる筋肉です。ですから私たちが食事や会話などで顎を使うときは、そしゃく筋と舌骨上筋群がタイミングよく伸びたり縮んだりしながら協働して顎を動かしているということになります。
 重力がありますので、下顎を引き上げる方が引き下げるよりたくさんの力を必要とします。ですからそしゃく筋の方が舌骨上筋群よりはるかに筋力が強くなっています。

 さて、ここで顎を開く動作をそしゃく筋を中心に考えてみます。
 そしゃく筋には体表から触ることのできる側頭筋と咬筋があります。
 側頭筋はしばしば片頭痛おこす側頭部の側頭骨及び前頭骨を足場に、下顎骨の筋突起につながっています。収縮することで下顎骨を引き寄せて口を閉じ、弛緩伸長することで下顎骨を落として開口する動作を行います。
 咬筋は頬骨から耳にかけて繋がっている頬骨弓を足場に下顎骨のエラ(下顎角)につながり、側頭筋同様収縮することで下顎を引き上げ、弛緩伸長することで開口する動作を行います。

内側翼突筋と外側翼突筋

 体表から触ることのできないそしゃく筋として内側翼突筋と外側翼突筋があります。
 内側翼突筋は頭蓋骨の深部にあります蝶形骨を足場に下顎骨(下顎角)の裏側につながっています。口の中に指を入れて頬の内面を触ろうとするとき、歯茎と頬肉の間に壁のように硬くなっているものがありますが、それが内側翼突筋です。収縮することで下顎を引き上げる点は咬筋や側頭筋と同様ですが、それ以外に下顎を横に動かして、そしゃく時の複雑な動きを可能にしています。
 外側翼突筋は、蝶形骨を足場に顎関節のところで下顎骨につながっています。収縮すると顎関節で下顎を少し前に出します。この動きはとても繊細で、閉じて半ばロックがかかったような状態の顎関節からロックを外す働きをします。つまり外側翼突筋の収縮は他のそしゃく筋とは反対に開口に働きます。

 ですから、口を開く動作では咬筋、側頭筋、内側翼突筋が弛緩伸長し、外側翼突筋が収縮しなければなりません。筋肉の弛緩伸長は、簡単に表現しますと“リラックスして力が抜ける”ことです。
 ここで足場の話を思い出していただきたいのですが、安心感と共にリラックスして力が抜けるためには足場がしっかりしている必要があります。つまり側頭骨、頬骨弓、蝶形骨が安定していないとこれらの筋肉から上手く力が抜けないことになります。自分では一生懸命力を抜こうと努力するのですが、それは無理なのです。

顎が落ちるという感覚
 リラックスしているとき、あるいは無意識のとき、口は閉じているけれども顎は少し開いて奥歯が離れた状態になっているのが普通の状態です。口呼吸にならないように意識している人は奥歯を噛み合わせて口が開かないようにしているかもしれませんが、それは噛みしめ状態、つまりそしゃく筋が作動して少し収縮している状態です。収縮力はそれほど強いものではありませんので、短時間のことであればほとんど問題にならないと思いますが、何時間にもわたってそのような状態を続けていますと、そしゃく筋はこわばった状態になってしまい頭痛を招いてしまうかもしれません。このような人は、ご自分では噛みしめている意識はありませんので、「頭痛の原因は噛みしめです」と指摘されても腑に落ちず納得ができないかもしれません。しかし実際には、そしゃく筋から力が抜けない状態で、側頭筋の収縮が側頭部を圧迫して起こす緊張型頭痛になっています。

 さて、例えば椅子に座ってからだを緊張感から解放しますと下顎がスッと落ちるように動きます。夜、眠るために布団に入って目を閉じますと自然と顎がゆるんで下顎が落ちます。状態の良い人は、このようになっているはずです。そしてそのような人は、食物をモグモグとそしゃくする際、顎を開く時にも同じように「顎が落ちる」感じで顎関節が動いているのが感じられると思います。
 ところが、このような説明にまったく納得できない人、何のことやらさっぱり理解できない人、そのような人もいます。結論を先に言いますと、そのような人は顔の骨格が下がっている人です。
 「顎が落ちる感覚」というのは咬筋、側頭筋、内側翼突筋がゆるんで、あとはほとんど重力によって下顎が下がっている状態であると言い換えることができます。頭蓋骨の骨格がしっかり安定していれば、容易に咬筋、側頭筋、内側翼突筋から力を抜くことができますので、重力任せにしておくことができます。
 反対に、顔面が下がって頭蓋骨が不安定な状態の人は、咬筋、側頭筋、内側翼突筋から力を抜くことができません。顎関節を開くために、下顎骨を下に引っ張る舌骨上筋群を通常以上に働かせて下顎を引き下げなければなりません。このような状態の人は、リラックスするために奥歯が噛み合わない状態をつくろうと試みても、舌骨上筋群を収縮させた状態を保たなければならないため、とても疲れてしまいます。ですから、奥歯を噛み合わせた状態(=咬筋、側頭筋、内側翼突筋が少し収縮した状態で、舌骨上筋群が作動していない状態)の方が楽に感じられると思います。布団に入って眠りにつくとき、奥歯を合わせていた方が落ち着くのであれば、顔の骨格が下がっているか、頭蓋骨が不安定な状態である可能性が高いと考えられます。

骨格が自然と持ち上がるのが正常?
 結論を先に言いますと、顎を開こうとしたとき、つまり下顎を下げようとしたとき、自然な反応(反作用)として上顎骨、頬骨、前頭骨、側頭骨などが僅かに上に動きます。そのようにしてからだは頭蓋骨を安定させ、顎関節が脱力できる状態にしているようです。
 鼻筋の一番上、眉間の辺りに軽く指を当てて観察してみます。普通の状態の人であれば、下顎を下ろそうとするのと同時に眉間がわずかに上に動くのが感じられると思います。眉間のすぐ上には前頭筋という表情筋がありますが、それが微妙に収縮するのも感じられると思います。
 ところが、頭蓋骨の下がっている人、表情筋の働きが悪い人などはこのようには動きません。顎を開くときに脱力することができないため力を必要としてしまいます。
 正常に近い状態の人は食物をそしゃくする場合、下顎を下ろすときにはほとんど力を使いません。ですから、顎を引き上げて噛むときにだけ力を使えばよい状態す。往路は休んで、復路だけ力を使うようなリズムでそしゃくすることができます。一方、顎を開くときにも力を使わなければならない人は、往路も復路も力を使う状態ですから、息を抜いて休むことができないので筋肉は疲労しやすくなります。
 こういう意味でも、頭蓋骨を整え、表情筋の働きを整えることは大切なことだと言うことができます。

食物を噛みながら息苦しくなってしまうのは異常な状態
 食事中のお喋りが好きな人は、口に物を入れた状態でクチャクチャしながら噛んだり喋ったりする傾向があります。それは行儀の良いことではありませんが、整体的な観点では特に問題はありません。ところが、お喋りしながら食べているわけでもないのに、口を閉じてモグモグ噛み続ることができず、クチャクチャ噛んで、噛んでいる途中で息継ぎしなければならないような人や子供がいます。その状態は整体的に見て芳しくありません。
 顔の骨格が下がっていたり、表情筋(顔面神経)の働きが悪かったりしますとモグモグそしゃくしながら鼻から息を入れることができにくくなります。ですからすぐに口を開いて口呼吸をしてしまいます。あるいは食べながら口呼吸をするため、モグモグせずにクチャクチャ口を開いてそしゃくするようになります。(親御さん達はお子さんのこのサインを見逃さないで欲しいと私は思っています。)
 そうなりますと歯ぎしり、噛みしめ、首肩の凝り、浅い呼吸、胃腸の不調といった症状を招きやすくなります。それは小さなお子さんでも同じです。本人はまったく自覚していないかもしれませんが、3歳とか5歳とかの幼児でも肩こりになっているのを見たりします。お腹が硬くなって、顔が下がっているのです。
 乳幼児でも足裏が硬くなっている子がたくさんいます。硬く平らなところばかりを歩いていることが原因の一つだと考えられます。足裏が硬くなって腹筋がこわばり、頭蓋骨を下に引っ張ってしまうので顔が下がります。すると、そしゃくが上手くできなくなりますが、そういう一連の流れが考えられます。

「顎先が小さい?」‥‥舌骨上筋群や喉がこわばっている
 反対咬合ではありませんが下顎が少し前に出る傾向にある人が、「私の顎が小さいのはどうしてですか?」 と、まったく予想外な質問をされました。私は下顎が目立つような感じを気にしているのかな? と思っていたからです。「顎は十分に大きいけれど」と一瞬心の中で思いましたが、「そうか、顎先からすぐに喉の膨らみになっていることを指摘しているのか」と思い直しました。
 「顎の下(底面)がスッキリしていない」、「首と喉と顎の境がよくわからない」、「喉が硬く大きくなっている」と感じている人はこの方と同じような状態にあります。 下顎の底面には、顎を下に引っ張って開口させる舌骨上筋群があります。そして、喉のすぐ上にある舌骨から首の前面を胸骨まで繋いでいる舌骨下筋群があります。
 普通に食べたり喋ったりしている程度の顎の開閉では、舌骨上筋群が働くだけで事足りるため、舌骨下筋群を使うことはあまりないと言います。欠伸するほど大きく口を開いたり、声楽家や歌手の方が声帯の能力をフルに引き出して歌うときなどは舌骨下筋群がたくさん使われます。
 顎の底面が狭く、すぐに喉仏にぶつかってしまうような人は、舌骨上筋群も舌骨下筋群もこわばっているということですが、その理由は二つ程考えられます。
 一つはすでに記しましたが、骨格が不安定な状態なので開口時にそしゃく筋から力を抜くことができず、主に舌骨上筋群の力で下顎を引き下げなければならない時です。舌骨上筋群に通常以上の負荷をかけることになりますので、筋肉がこわばり、硬く太くなってしまいます。
 顎が落ちる感じで開口できる場合は、舌骨上筋群に負担を掛けることもありませんので、リラックスした状態で顎を使うことができます。ですから筋肉が変調状態になることはありません。

舌骨上筋_口腔底2

 二つ目は、舌骨上筋群の中で顎舌骨筋とオトガイ舌骨筋を主体に使っているからです。この二つの筋肉は下顎やオトガイ(顎先)の方に舌骨を引きつける働きをしますので、オトガイのすぐそばに舌骨を含めた喉が来てしまいます。すると舌骨と胸骨を繋いでいる舌骨下筋群は引っ張られた状態になりますので、こわばって硬くなってしまいます。このような方は反対咬合になりやすい傾向ですが、仕草によって顎先に梅干しのようなシワを持ったこわばりが発生します。最近はこのような人が増えたようにも感じます。

オトガイ舌骨筋・顎舌骨筋優位の顎ライン
 
 二重顎も含め下顎の底面がスッキリしていない場合、舌(舌筋)や舌骨上筋群がゆるんで落ちていることと、ここで取りあげましたように舌骨上筋群や喉がこわばって膨らんでいるようになっている場合があります。
 舌がゆるんでいる場合は、イビキや無呼吸症候群の危険性が高まります。舌骨上筋群や喉がこわばっている場合は、呼吸がしづらい、頭部への血行不良、目や鼻などの感覚器官に支障が現れる、舌の動きも含めてそしゃくや喋りに不具合を感じるなどの症状が現れる可能性が高いと思われます。

顎を上手に使うために
 噛みしめや歯ぎしり、食いしばり癖などの影響でそしゃく筋が強くこわばり、顎関節症になったり、顎の調子が悪かったり、頭痛や首のコリで辛い思いをしている人はたくさんいます。また、噛み合わせがしっくりいかないために不快な思いをしていたり、奥歯で食物を噛むことができない人もいます。
 時々、噛み合わせについてとても細かい情報を教えてくださったり、同時に学説的なことについて質問される方もいます。しかし現在の医学的な見解では、頭蓋骨はほとんど固定されていて「動かない」ということを基準にして理論が展開されているようですので、私のこのような話はまったく受け入れられないことでしょう。
 「頭蓋骨は簡単に動きます」そして、「だから頭蓋骨を直接動かしては危険です」という現場で実感している認識を土台として申し上げれば、「頭蓋骨は動かない」という見解でいる限り、医学は噛み合わせや嚥下やそしゃくに関する問題を解決することはできないと思います。

 自然現象は、作用があれば必ず反作用があるというのが法則です。下顎が下がれば上顎は反作用として上がります。下顎が上がれば、上顎は下がります。下顎は腹側(陰)であり、上顎は背側(陽)です。ですから下顎を自然に落とそう(下げよう)とするなら、同時に上顎が自然と上がる状態にしておかなければなりません。上顎は背側ですから、尾骨・仙骨から出発して後頭部にくっついている背筋がしっかりしている必要があるのです。
 その他にも、眼鏡をかけ続けているため鼻骨が下がり上顎が下がっている、ご飯をあまり噛まないのでそしゃく筋の働きが悪くなり、側頭骨が歪んで上顎が下がってしまう、いつも下を向いているので首の後面が伸びてしまい上顎が下がっている、というのもあります。
 いずれにせよ、陰と陽は一対であり、互いに影響を及ぼし合う関係ですから、下顎の動きを快適にしようと考えるならば、上顎側(背側)を良い状態にしておかなければなりません。これを平たく表現しますと、「頭蓋骨が安定していて顔が下がっていない状態」が顎を上手に使うためには必要だということになります。

 顎の問題で悩まれている方は、原因として考えられる要素としていろいろあるかもしれませんが、骨盤、背筋、首という視点で考え直してみますとヒントになることが浮かんでくるかもしれません。


顎関節の動き01
顎関節の動き02

顎関節の動き03

顎関節の動き04

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