ゆめとわのblog

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 「出っ尻・出っ腹の体型」と言いますと、一般的には、肥満傾向でお腹が前に大きく出ていて、お尻も大きくて、腰が少し反っているようなイメージかもしれません。ところが、痩せていても、からだの骨格として出っ尻・出っ腹の人がいます。そして実際、そのような人はたくさんいます。

 たとえば「腰(骨盤)にからだを乗せて立つ」という表現を皆さんはどのように受け止められるでしょうか?
 アスリートや骨格に歪みの少ない人はすぐに理解できるかもしれません。しかしこのイメージ的な表現、骨盤にからだを乗せる(委ねる)ということが実感として理解できない人は多いかもしれません。しかしながら、このことは私が皆さんに理解していただき、是非実現していただきたいと思っていることの一つです。
 座っているときも、立っているときも、骨盤にすっかり委ねることができるようになりますと、足や膝や太股にかかる負担は小さくなりますし、自然と顔や首や肩から力が抜けた状態になりますので、噛みしめの癖や肩こりなどもかなり軽減するようになります。

 ところが実際のところ、私のところに来店される人達の多くはこの状態とは違っています。現代はスマホやパソコンなどの影響もあってか、首が前に出いている人が本当にたくさんいます。そして、そのような人達のほとんどは、骨格的に、出っ尻・出っ腹の状態になっています。今回は、首が前にでていることと、出っ尻・出っ腹の関係について取り上げてみます。

第6頚椎と第4腰椎と骨盤の関係

 首の骨である頚椎は7個あります。ガクンと頭を前に倒したときに首の後側つけ根のところに大きく飛び出している突起は頚椎の7番目、第7頚椎の棘突起(きょくとっき)です。そして、その飛び出した第7頚椎のすぐ上にある棘突起が第6頚椎ですが、それが前方に落ちている人がたくさんいます。頚椎がどのような状況にあるのかを把握することは触り慣れないと難しいのですが、首を真っ直ぐに戻したときになんとなく第6頚椎が戻りきらず、前方に取り残された感じがすることで認識できるかもしれません。

 私のこれまでの経験で申し上げれば、第6頚椎が前に落ちている(=第6頚椎が下を向いている)人は第4腰椎も下を向いた状態(=第4腰椎棘突起は上に動く)になっています。そして同時に大腰筋(だいようきん)が働きの悪い状態になっています。大腰筋は腰部を安定させるために非常に重要な働きをしています。

 私たちの骨格は、側面から見ますと頚椎がやや前弯していますが、その反動的に胸椎がやや後弯しています。そして腰椎は再び前弯しますが、第3~第5腰椎の間でカーブが大きくなって仙骨、つまり骨盤に続いています。
 ですから本来であれば、腰を反ったり、骨盤を前後に動かす動作(腰振りダンスなど)では第4腰椎を支点にして脊椎(背骨)が動くことになります。

 ところが第6頚椎が前方に落ち込んでいたり、首が前に出ていたり、猫背の人は第4腰椎が良い状態ではありません。腰椎の前弯が乏しくてストレートに近かったり、酷い場合は前弯ではなく反対に後弯していることもあります。

 先ほど申し上げた「腰(骨盤)にからだを乗せて立つ」と表現できる状態は、上図の左側のような脊椎の状態になっていて、頭部を含めた上半身の重さが骨盤に真っ直ぐ乗っかる状態になっています。
 右側の図のように首が前に出て腰椎の前弯も乏しくなった場合は、頭部も含めた上半身の重心ラインが骨盤より前になりますので、前のめりのような感じになってしまいます。つまり「出っ腹」の状態です。痩せていても下腹だけ出ているような人がいますが、それはこのような原理によるものだと思います。
 上半身が前に出いていることは、全身的に見ますと相対的に下半身(骨盤)が後方にあるということですから、つまり「出っ尻」の状態です。
 上半身が前のめりのような状態ですから、からだはバランスをとるために自然と下半身の重心を後方に移動します。ですから、自ずとからだは「かかと重心」になってしまいます。

 ですから「出っ尻・出っ腹」状態や下腹部が前に出ている状態を改善しようとするのであれば、理屈としましては第4腰椎を整えることを中心に腰椎の前弯を正すことがポイントになります。
 ダイエットするなどしてお腹が出ないように努力してみても、なかなか効果が現れないと感じている人は、是非第4腰椎を中心に腰椎を整えることを行ってみてください。素速く効果が現れるのではないかと思います。
 そして、第4腰椎を整える上で、要になるのは第6頚椎の在り方であると私は考えています。

後斜角筋のこわばりによる影響

 第6頚椎が歪んでしまう理由はいくつかありますが、最も多く見受けられる理由は後斜角筋(こうしゃかくきん)のこわばりによるものです。
 後斜角筋は第4~6頚椎と第2肋骨を繋いでいる筋肉ですから、こわばって常時収縮している状態になりますと、常に第4~6頚椎を下方に引っ張り続ける状況になります。これによって第6頚椎が前方に落ちてしまう状態がもたらされます。

 後斜角筋は、咬筋の深層筋線維と連動しますので、噛みしめの癖を持っている人は常にこわばっています。(耳穴のすぐ側がコチコチに硬い人)

 また、付着しているのは第2肋骨ですが、内肋間筋がこわばっている人は常に第2肋骨も含めて肋骨が下にある状態ですから(息を吐き出して胸が下に下がった状態)後斜角筋は下方に引っ張られた状態になっていてこわばっています。息を大きく吸っても鎖骨やそのすぐ下の肋骨がスムーズに上がってこない人はこのような状態の人です。
副鼻腔と肩甲骨と腰部の働き 参照) 

 さらに手指~腕~肩関節にかけての状態によって第2肋骨が歪んでいることがありますが、それによって後斜角筋がこわばっていることもあります。
 私は仕事柄、毎日母指をたくさん使っていますが、その影響で短母指屈筋や短母指外転筋とその関連が常にこわばっています。そして、それによって後斜角筋がこわばった状態になっています。

 私は毎朝30分ほどウォーキングをしていますが、首が前に落ちていて骨盤に上半身がちゃんと乗っていないと感じることがしばしばあります。そんなときは上の写真の赤く塗ったところあたりをキューッと指圧しながら歩くようにしていますが、それだけでからだが真っ直ぐになって気持ち良く歩くことができるようになります。大腰筋の働きも向上して仙骨も前傾するようになりますので、意図しなくてもどんどん脚が前にでるようになり、お尻をプリプリさせながら歩くことができるようになります。運動を盛んにしていた20代の頃に戻ったような感じになります。

第4腰椎と大腰筋と大内転筋

 先ほども申し上げましたが、腰椎の前弯で重要なのは第3~5腰椎の大きなカーブと柔軟性です。子供たちのこの部分はフニャフニャですが、大人たちのこの部分は加齢にしたがって残念ながらどんどん硬くなっていき、柔軟性が失われてしまいます。
 腹ばいになった状態で腕を伸ばして上半身だけ反ろうとしたとき、小学生くらいまでの子供たちはなんの苦もなく腕を真っ直ぐに伸ばしきることができますが、大人たちは腰椎に柔軟性がありませんので骨盤を浮かせないと腕を伸ばすことができなかったりします。腰椎が後弯している人は、この動作すら危なっかしく見えてしまいます。

 ハワイのフラダンスやブラジルのサンバの踊りなどでは腰を非常に柔軟に、そして素速く動かしながら踊るわけですが、そのためには第3~5腰椎の柔軟性が何よりも重要です。この部分が硬い人は腰(骨盤)を振るような動作は非常に負担ですから、踊り続けることはできないと思います。

 加齢に伴って、あるいは悪い姿勢や強い衝撃などによって腰椎椎間板ヘルニアを患ってしまうことがありますが、その最も多い場所は第4腰椎と第5腰椎の間だということです。また、腰部の病気であります 「分離すべり症」「変性すべり症」も第4、第5腰椎に多いということです。
 つまり、腰椎下部の第4、第5腰椎は骨盤(仙骨)との連結部位でもあり、背骨(脊椎)の中で最も負担が掛かかる部位ですから故障を起こしやすいところだと考えることができます。ですから常に良い状態にしておきたいものです。

腰椎の前弯に最も関係が深い大腰筋

 大腰筋は腰椎の椎体を前方に引っ張っています。それによって腰椎の前弯が保持されるわけですが、特に腰椎前弯のカーブが最も大きくなっている第3~第5腰椎においては大腰筋の働きがとても重要です。仮に大腰筋の働きが悪くなりますと腰椎の前弯が乏しくなりますので「出っ尻・出っ腹」の状態になってしまいます。また、腰椎の椎間もしまりがなくなって不安定になりますので、周辺の筋肉がガチッとこわばってしまい、筋肉緊張による腰痛を招いてしまいます。
 また今回説明しておりますように、第6頚椎が落ち込むことと連動して第4腰椎も下方にずれ落ちた状況になりますと、それだけで大腰筋の働きは悪くなってしまいます。するとやはり腰部全体が不安定になります。そして大腰筋と連動する大内転筋の働きも悪くなりますが、すると立った時にお尻に力が入らない状況になってしまいます。

 冒頭に取り上げました、「腰(骨盤)にからだを乗せて立つ」状態というのは、実は「大内転と中殿筋がしっかりと働いて、お尻の穴をキュッと締めるようにして立つことができる」状態と同じことです。しっかり立とうとしますと仙骨が前傾して、太股内側から膝内側にかけて力が集中しますが、その反面、太股の前面やふくらはぎや足には余計な力が入らなくなります。足の指先を曲げることなくしかっりとした立位を保つことができます。
 足の指が曲がっている人が大変多いのですが、そのような人は足の指を曲げることでバランスを取りながら立っている、つまり指先で踏ん張って立っているということですが、それは好ましい状態ではありません。

 体操選手が演技の前にキュッとお尻を絞って立ちますが、それは正しく骨盤にからだを乗せている状態です。このような立位を実現するためには大腰筋の働きが良くなって、連動して大内転筋、中殿筋の働きが良くなる必要があります。
 中殿筋や大内転筋の能力を十分に引き出すためにも、大腰筋がしっかりと働ける状態を保つことは重要です。
(中殿筋や大内転筋をたくさん鍛えても、要である大腰筋がしっかり働けない状況であれば、それら筋肉の能力を十分に引き出すことができません。)


 以上、説明させていただきましたことを要約しますと、出っ尻・出っ腹の骨格を克服してスマートな体型と骨格を実現するためには以下の二つのポイントが重要だと考えられます。
①第6頚椎を整えること‥‥後斜角筋のこわばりを解消する
②第4腰椎を中心に腰椎の前弯を実現する‥‥大腰筋の働きが重要

 そしてキーワードとして、「噛みしめ癖」、「内肋間筋=胸式呼吸」、「手の母指ライン」、「仙骨の前傾」、「中殿筋と大内転筋」などが挙げられます。

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 時々、足を着くと足裏やかかとや小指のライン、親指のラインが痛むという人が来店されます。
 痛む場所や、痛みを出す状況によって原因は異なりますが、今回は“着地すると小指側が痛む”、“歩くと小指側が痛む”ことについ説明させていただきます。

 痛みを出すのはほとんど筋肉の問題です。着地の時は、からだの重みを受け止めるために足のアーチが沈むわけですが、その時に筋肉は伸びるようになります。もし筋肉の中にこわばって伸びることのできない部分(筋線維)がありますと、そこが痛みを発するようになります。
 あるいは着地の時ではなく、歩行時など地面を蹴って前に踏み出そうとするときに痛むのであれば、それは筋肉がうまく働くことのできない状態になっているために、地面を蹴ることができないからです。
 その判別は、体重が掛かっていない状態で痛みを出す部分を指圧するとわかります。指圧で痛むのであれば、それは筋肉のこわばりによるものです。状態がひどくなりますと、そっと触れるだけでも痛みを感じることがあります。
 指圧しても痛くないのであれば、それは筋肉のこわばりによるものではなく、力が入らないために小趾を上手く動かすことができないからだと考えられます。小趾を支え、動かす担当をしている筋肉の働きが悪いので、他の筋肉に負担が掛かっていることが考えられます。

筋肉のこわばりによって着地時に痛みが生じる

 筋肉がこわばってしまう理由はいくつか考えられますが、足の小趾側の筋肉に限定しますと、だいたい二つの理由に絞られます。

①小趾中足骨が不安定な場合

 踵から小趾先にかけて中間のところに第5(小趾)中足骨があります。

 この骨が不安定ですと、そこに付着している筋肉(短小趾屈筋)はこわばってしまいます。骨は筋肉が働くための足場としての役割を担っていますが、骨格が不安定だということは足場が不安定になっているということですので、筋肉はリラックスすることができないで常に緊張状態になってしまいます。

 小趾中足骨が不安定になる理由としましては、ふくらはぎ外側面の筋肉(短腓骨筋、第3腓骨筋)がこわばっていることがまず考えられます。
 また小趾が捻れている場合も小趾中足骨は不安定になります。外反母趾や内反小趾の人は母趾も小趾も基本的に捻れています。足の外側に重心の掛かっている人も小趾が捻れていることが多いです。立ったり歩いたりしたとき、小趾を捻るように使ってしまう可能性が高いからです。
 さらに、足の横アーチが機能していない「開張足」でも小趾中足骨は不安定になります。「だんびろの足」とは、今は言わないのかもしれませんが、力感の乏しいベチャッとした足です。

 開張足を防ぐためには、筋肉としては母趾内転筋(ぼしないてんきん)を良い状態に保っておく必要があります。
 母趾内転筋の働きが悪くなる理由としましては、まず第一に、ヒールの高い靴などによる影響があげられます。ヒールの高い靴を履きますと踵が浮いた状態で着地している状況になりますから、足のMP関節が甲側に曲がった状態で立ち続けることになります。それはMP関節周辺に負担を強いることになりますし、母趾内転筋を伸ばしつづけていることになります。筋肉は伸ばし続けられますと、やがてゆるみきってしまい働きが悪くなってしまいます。つまり、母趾内転筋が疲弊して縮まなくなってしまいますので、足が横に拡がり横アーチが失われてしまいます。

 また、特に高いヒールを履いたこともないのに母趾内転筋の働きが悪くなっている場合もあります。筋肉は「連動する」という大きな特徴をもっていますので、母趾内転筋自体に問題がなくても連動する筋肉がゆるんで働きの悪くなった状態になりますと母趾内転筋の働きも悪くなってしまいます。
 膝裏の一番奥にあります膝窩筋は母趾内転筋と連動関係にあります。膝窩筋は膝を曲げる筋肉(屈筋)に属していますが、例えばO脚などで反張膝(普通以上に伸びた状態の膝、バレリーナの膝)の状態になりそれが固定化しますと、膝窩筋が伸びてゆるんだ状態になってしまいます。それによって連動する母趾内転筋の働きが悪くなり開張足になってしまうこともあります。また、手のひらにも母指内転筋がありますが、手指の使い過ぎなどで手の母指内転筋が疲弊しますと、連動関係で足の母趾内転筋の働きが悪くなります。

 高いヒールを履いたことによって、あるいは筋肉の連動関係によって母趾内転筋の働きがわるくなりますと開張足になりますが、それは小趾中足骨だけでなく足趾や足の骨全体の不安定を招くことになりますので、当然、小趾に関係する筋肉がこわばったり、あるいはこの後に説明いたします「小趾を動かす筋肉の働きが悪くなる」状態を招くことになります。

②小趾の捻れや踵の歪みによる場合

 足の小趾側の一番外側にはMP関節付近から踵にかけて小趾外転筋(しょうしがいてんきん)があります。

 ところで、足のトラブルの一つに“内反小趾”があります。足の小指(小趾)が内側に捻れていて、さらに小趾のMP関節が4趾から離れた状態になり、小趾先からMP関節付近の外側に痛みを伴う状態のことです。外反母趾と対称的な状態ですが、外反母趾の人の多くは内反小趾にもなっています。
 さて、小趾先からMP関節にかけて内側に捻れますと小趾外転筋はこわばります。あるいは踵の骨が歪んだり、外くるぶし(外果)の位置が歪んだりしますと小趾外転筋がこわばることがあります。また、筋肉連動の関係で小趾外転筋がこわばることもあります。

 経験的に申し上げますと、小趾外転筋だけがこわばったとしても、床に着地しただけで痛みを発するということはほとんどありません。①で説明しましたように小趾中足骨の不安定な状態が重なったり、その他の要因が重なったときに痛みを発する場合が大半です。


筋肉の働きが悪くて踏ん張ることができずに痛みを発する

 小趾を支えたり、小趾を動かす筋肉の働きが悪く、荷重に耐えられなかったり、歩行時などで、うまく地面を蹴ることができないので他の足趾(指)に負担が掛かって痛みを出してしまう場合があります。その原因としましては血行不良やケガなど外傷による影響が考えられます。あるいは筋肉連動の関係で、小趾に関係する筋肉の働きが悪くなっている場合もあります。

 「朝、起きがけの第一歩を踏み出すときなどに痛みを感じる」というのは血行不良によって筋肉の働きが悪くなっていることが考えられます。「動いているうちに、少しずつ痛みが和らいでくる」というのであれば、血液が循環することで筋肉の働きが回復してくるということですから、まず血行不良について考えたり対策する必要があります。
 朝の起きがけだけでなく、座った状態から立ち上がって一歩を踏み出すと必ず痛む、というような場合もありますが、このような場合は血行不良だけでなく、その他の要因が絡んでいると思われます。
 いずれにせよ、筋肉の働きが悪い状態になっているためにしっかり骨格を支えることができくて、踏ん張ることができない状態になっているということです。

 次にケガの影響について考えてみます。例えば足の甲側(外踝の前くらい)を捻挫したり、小趾を骨折したりして、その傷が治りきっていない場合などです。
 ねん挫による最も大きな影響は靭帯が伸びてしまったために関節がグラグラと不安定になってしまうことです。関節は踏ん張りが効かない状態になりますので、体重を支えることができなくなってしまいます。歩いたり、走ったりする運動などから受ける負荷に耐えられない状態ですので痛みを発します。
 骨折の場合は動かすこともできなくなりますので、尚更負荷に耐えられないので痛みをはしますが、医師が「骨折は治った」と診断された後も、骨膜の状態が元に戻っていないことがあります。と申しますか、ほとんどの場合、骨がくっついただけでは完全に治癒しているとは言えません。捻挫も骨折も「腫れが引いて痛みが取れた」だけでは完全に回復したとは言えないと私は考えています。骨に付着している筋肉や関節に関係する筋肉の働きがしっかり戻った状態になるまで治癒させないと、何年経っても、何十年経っても、自然にしっかりした状態に戻ることはほとんどないと言えます。加齢などによって筋力が低下しますと「昔の古傷が痛む」という状況が現れますが、それは「実は傷がまだしっかりと治っていない」ことの現れだと考えています。
 つまり、もうすっかり忘れてしまうほど昔の捻挫や骨折の影響によって、「着地すると痛みを感じる」、「歩くと痛む」という症状が現れることも、十分に考えられることです。
 また、爪を深爪したり、何かに打撲したり、ちょっとした傷がついてしまった、といった「些細なことに思われること」の影響でも同じような状況になることがあります。
 このような場合は、何よりも傷をしっかり治すことが優先されます。いくらマッサージしたり、湿布を貼ったりしてみても痛みの原因は治まりません。


足のバランスと痛み

 たとえば、捻挫や骨折などの古傷がしっかり治っていない状態だったとしても、あるいは多少、小趾中足骨などがグラグラしている状態だったとしても、足裏全体でバランス良く立てる状態であり、効率よい歩き方ができる状態であれば、痛みを感じることはないかもしれません。それは、体重や運動による負荷が足裏全体に均等に分散されますので、小趾に対する負荷がそれほど掛からないからだと考えられます。
 ところが、足の外側(小趾側)に重心が掛かっている人の場合、歩行で着地するときは必ず小趾側に負荷が集まってしまいます。立っていても足の内側が浮き気味なって小趾側に負荷が掛かってしまいます。
 足の骨格がしっかりしていて、筋肉の働きに問題がないのであれば、このような状態でも痛みを感じることはなく、ただ「疲れやすい」という感じがするだけかもしれません。ところが疲労が溜まったり、筋肉が少し変調したり、骨格が不安定な状況になったりしますと痛みを感じるようになるかもしれません。そして、このようなケースは多いかもしれません。しばらく安静にして疲労が回復しますと痛みを感じることがなくなってしまう場合などです。

 一口に「足のバランスを整える」と言いましても、それは何かの運動をしたり、マッサージをすることなどで簡単にできることではありません。からだ全体のバランスを整えることが必要になりますので、やはり専門家に任せるのがよいかと思います。


 今回のテーマについての最初のブログは2015年2月に投稿しましたが、その後も読まれていらっしゃる人が多いようですので、今回は内容を増やして書き直しました。
 私はブログに対するコメントは受け付けない設定にしております。コメントに対する返答が時間的に難しいと考えているからです。
 時々、メッセージをいただくことがありますが、要望や質問などがございましたら、メッセージあるはメールにてお送りください。

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(過去に投稿した記事を修正・加筆したものです)

 歯ぎしり、噛みしめ、食いしばりが癖になりますと、からだに悪い影響を与えます。肩こり、首の痛み、頭痛といった直接的な症状を招く可能性が高まるだけでなく、顔やからだに歪みをもたらしますので、肩関節、股関節、膝関節などに不具合が生じる可能性もあります。胸郭が歪みますと呼吸が悪くなったり、動悸や胸の圧迫感、のどの詰まり感といった症状をもたらすことがありますが、その原因は“噛みしめ癖”だったということもよくあることです。
 テレビやいろいろな媒体を通じて「普段は奥歯を合わせないようにしましょう」「噛みしめないように常に注意を払いましょう」みたいな情報は多くの人にも届いていると思いますが、それだけではまったく不十分で、解決には至らないと私は常々思っています。
 寝ている間に行ってしまう噛みしめや歯ぎしりは“注意のしようがない”ですし、歯科医師はマウスピースで対策することを奨励されているようですが、確かに歯や歯茎は守られますが、歯ぎしりや噛みしめの癖が改善されるわけではありません。たとえば、顎関節の不具合をマウスピースで対処しようとする試みの道理が私には理解できません。反対に、マウスピースの厚さの分、顎が開いた状態になりますので、口呼吸の可能性がでてきますし、噛みしめる筋肉(=そしゃく筋)には余計に力が入ってしまうのではないかと思えてしまいます。


噛みしめてしまう理由を2つの面で考える

 精神的に緊張状態になりますと自律神経の交感神経が優位な状態になります。イライラ、心配、不安、恐れなども交感神経を優位にしてしまう原因になりますが、このような状態の時には、無意識下に噛みしめてしまったり食いしばってしまったりすることは誰もが経験されていることだと思います。ですから「精神的な要因で噛みしめてしまう」という現実は存在しますが、精神面は私の専門外ですので、ここでは肉体面を中心に噛みしめてしまう理由について考えてみます。

①エネルギーや血液の循環が悪い可能性

 私たちは馬鹿力を出そうとするとき、歯を食いしばって最大限の力を発揮しようとします。それは噛みしめる筋肉(=そしゃく筋)が全身筋肉の司令塔のような役割をしているからです。先ずそしゃく筋を収縮させることによって全身に力(エネルギー)が伝わります。ポカンと口を開いたままでは強い力を発揮することはできません。
 また、例えば鉄棒にぶら下がったとして、最初のうち、手や腕などが疲労していない間は歯を食いしばることもなく平然と鉄棒を握り続けることができます。ところが手や腕が疲労してきますと口元に力が入り出し、いよいよそれだけでは耐えきれなくなりますと歯を強く食いしばって頑張ろうとします。
 この二つの状況の時、つまり一つはエネルギーをたくさん回して強い力を発揮しようとする時、もう一つは筋肉が疲労状態になり、そのままでは負荷にからだが負けてしまうような時、私たちは食いしばったり、噛みしめたり、歯ぎしりをするのかもしれません。

 このように考えますと、からだから力を抜いた状態(リラックス状態)では体内エネルギーが順調に回らないので“噛みしめてエネルギーを回そうとしている可能性がある”と考えることができます。あるいは、眠っている時には血液循環が不良な状態になってしまい内臓の働きを保つことができないので、歯ぎしりをして頑張っているのかもしれない”と考えることもできます。

 血液循環について考えてみます。昼間(活動時)は交感神経が優位になって心臓の働きが活発化しますが、心臓はそのポンプ力(=血圧の力)で動脈血を回していますので、肩関節や股関節などが多少歪んでいても血液を循環させることができます。しかし夜中(睡眠時)は、心臓は休養時間となって機能を低下させますので血圧も低下します。睡眠時は副交感神経が優位になって内臓の働きが活発になります。血液は小腸に集まって、その日に摂取した食物からの栄養を血液の中に吸収しますが、小腸に血液を集める力は心臓のポンプ力よりはるかに小さいですから、肩関節や股関節に歪みがありますと全身の循環が上手くできなくなってしまうと考えることができます。そうなりますと消化・吸収・栄養という私たちの生命を維持するための内臓の働きが悪くなってしまいますので、無意識に歯ぎしりをしたり、噛みしめたりして力を伝え、血液循環やエネルギー循環を高めようとしているのではないかと私は考えています。
 実際のところ、歯ぎしりの悩みを持っている人には、股関節に歪みや問題を抱えた人が多くいます。四十肩や五十肩の経験者で、肩関節をしっかり改善することなく中途半端な状態にしている人などには、噛みしめ癖を持った人が多くいます。

 また循環の問題では“冷え”も考えなければなりません。寒いところに長時間いますと、からだがとても冷たくなって血液循環が低下しますが、やがてからだが震えだしたり、顎がカタカタしたりします。これは熱をつくるためにからだが勝手に起こす反応ですが、歯ぎしりの原理にも通じるように思います。

②筋連動の影響や骨格の歪みで噛みしめ状態になっている

 筋肉が硬くなっている場合、それは“肩こり”などと同じように単純に凝り固まっている場合と、筋肉自体が収縮していて硬くなっている場合があります。単純に凝り固まっている場合は揉みほぐしたり指圧したりしますと初めのうちは強く痛みを感じますが、次第に気持ち良さが感じられるようになります。いわゆる「痛キモ」状態です。ところが筋肉が収縮してこわばっている場合は、軽く触れただけでも痛みを感じたり、引き伸ばそうとしますと辛い痛みだけを感じ「痛キモ」の感じにはなりません。

 単に噛みしめや歯ぎしりの癖によって顎周辺がガチガチに硬くなっている場合は、筋肉の使いすぎによる硬さ(硬結)ですから持続的指圧などで硬さは次第にほぐれていきます。
 一方、筋肉(そしゃく筋)が収縮状態にあって硬くなっている場合は、収縮している原因を解決しなければなりません。それをせずに硬い部分を強く指圧して無理やり柔らかくしようとしますと強い痛みを感じ続けますし、筋肉を傷めてしまう可能性もあります。

 歯ぎしり、噛みしめ、食いしばりに直接関係しているそしゃく筋は、胸鎖乳突筋、斜角筋、胸骨舌骨筋、甲状舌骨筋など首周りの筋肉と連動関係にありますので、それらの筋肉の状態によってこわばったり(収縮)、ゆるんだり(弛緩)します。骨格の歪みは首回りの筋肉に変調をもたらし、その影響で連動するそしゃく筋がこわばって噛みしめ状態になってしまうことがあります。

 また、肩や胸の骨格が歪んでいますと、それだけで本人の意志には関係なく「噛みしめた状態になってしまう」という現象が起こります。
 例えば胸(胸郭)や鎖骨が本来の位置よりも下がりますと、首の筋肉や筋膜が下顎を下に引っ張るようになります。下顎が下に引っ張られる状況は、”口が開いてしまう力”が掛かり続けているということです。するとからだは、無意識にその力に対抗しようとして、そしゃく筋など口を閉じる筋肉に力を入れて収縮力を高め、口を閉じた状態を保とうとします。運動会の綱引きで、相手に引っ張られると均衡を保つためにこちらも力を増して引っ張るようになるのと同じ原理です。
 この原理を胸や鎖骨が慢性的に下がっている人に当てはめますと、そしゃく筋は本人の意志に関係なく慢性的に収縮している状態になってしまうということです。そして、この状態は即ち、噛みしめた状態になっているということです。このような場合に噛みしめ状態を解決するためには、そしゃく筋をほぐしてゆるめることではなく、下顎が引っ張られている状況を解決することが必要なことです。

 ほとんどの人は、奥歯が噛み合っていなければ「噛みしめていない」と考えています。しかし実際には、歯がくっついていなくても筋肉的に“噛みしめ状態”は存在します。そしゃく筋が常に収縮して緊張している状態です。そしてこのような状態の人に施術を行い、そしゃく筋が緊張状態から解放されていきますと「顎がゆるんで下顎がだんだん離れていく」という驚きに近い感想をいただきます。意志に関係なく顎が動いてゆるんでいくからです。

 以上記しましたとおり、“噛みしめ”に対して施術を行う時には、噛みしめの原因がエネルギー循環にあるのか、それとも筋連動や骨格の歪みの影響によるものなのかを識別しなければなりません。

 実際の施術では、一つの噛みしめ状態を解除するために、からだから得た情報を元に幾つかのアプローチを行っていきます。そして、その人が噛みしめてしまう原因を特定していき、日常生活での注意事項としてアドバイスしています。
 噛みしめてしまう原因は人それぞれですが、多くの人に共通して見受けられるものもありますので、以下に幾つか取りあげてみます。

筋連動による噛みしめ状態の例

・親指の先のこわばりが影響して噛みしめ状態になる

 その若い男性は学生の頃、毎日毎日勉強ばかりしていたということです。顎周辺の問題と座り続けることができないという問題を抱えています。顎周辺の問題はそしゃく筋のこわばりによる噛みしめ状態です。座り続けることができない問題は骨盤(特に仙骨)を立てることができないので、骨盤に体重を乗せることができないからです。座っていてもすぐに寝そべった状態になってしまいます。
 勉強を続けていたことで、ペンを使い続けていたことと、腋の下を開き続けていた(=両肘を上げた状態)ことが連想できました。筆圧も高いので親指と示指に力が入ってしまう癖を持っていることもわかりました。

 この人の問題を改善する要は、右手親指先の強いこわばりを取ることでした。学生時代何年も親指に力を入れていたことから、爪の横から母指球にかけて根深いこわばりがあり、それによって肩甲骨が影響を受け、右のそしゃく筋にこわばりが生じていました。施術で母指のこわばりを解消していきますと、顎が次第にゆるんでいきました。顎の問題はそれだけでほとんど良くなりました。さらに骨盤も立つようになり、座り続けることが可能になりました。

 スマホ操作などで親指の先を酷使している人はたくさんいます。それが噛みしめの原因、顎関節症の原因になっている可能性も考えられます。右手母指をたくさん使ってスマホを操作している人で、顔の右側が左に比べて縮んでいたり下がっていたりしていると感じているなら、それは母指先のこわばりが原因かもしれません。

・胸が下がっているために噛みしめ状態になっている

 バストの位置が下がったように感じている人は「加齢のせい?」と考えているかもしれませんが、多くの場合、実際に胸郭、つまり肋骨全体が下がって骨盤に近づいているからです。その原因についてはここでは取り上げませんが、胸が下がった結果として首の筋肉が緊張します。するとそれはそしゃく筋に連動し、自ずと噛みしめ状態を招いてしまいます。その他にも喉の調子が悪くなったり、舌も硬くなりますので滑舌が悪くなったり、息苦しさを感じ続けたりするかもしれません。
 この問題を解決するためには胸郭を正しい位置に戻すことが必要ですが、それは腹筋の状態(縮んでいる)を改善することがポイントになります。お腹が冷えていると腹筋が縮んで胸が下がってしまうことはよくあることですが、それ以外では足や足底の問題が原因になっている場合が多くあります。硬く平なコンクリートのなど上を歩いている現代人は、足や足底が柔軟性を失いこわばってしまう傾向にあります。そのこわばりが腹筋のこわばりにつながり胸を下げ噛みしめ状態や舌の硬さをもたらしている可能性があります。足首を柔らかく動かしたり、足底や足趾を揉みほぐしたり、硬くなっている踵の両側を揉みほぐしたりすることは対策として有効です。

・膝下の骨がずれていることによる噛みしめ状態

 欧米人に比べますとO脚だったり、O脚気味だったりする割合が高いのが私たち日本人の体型ですが、それが膝下の骨(脛骨と腓骨)の外側へのずれによるものだとしますと、いろいろと問題が生じてきます。

 膝下の骨が外側にずれる理由はいくつかありますが、一番多いのは太股外側の筋肉が緊張(収縮)して膝下の骨を外側に引っ張っていることです。立った時に足の小趾側に体重が掛かってしまう人(重心が外側に逃げてしまう人)は、この傾向にあります。膝下が外側にずれますと太股内側の筋肉は緊張して張ります。(途中の原理は省略しますが)すると結果的にそしゃく筋は収縮します。顔の表情にも緊張感が生じると思います。
 また膝下の骨は外側だけでなく後側(踵側)にずれることもよくありますが、すると股関節の働きや鼡径部の血流にも影響が生じ、エネルギー循環の問題から噛みしめや歯ぎしりの問題を生じてしまうことも考えられます。
 階段をゆっくり降りることが苦手な人(パタッと足を着いてしまう人)、正座した状態から立ち上がるのが苦手な人、「膝小僧が目立つ」と感じている人は膝下が後方にずれているかもしれません。

 以上の項目以外にもそしゃく筋がこわばってしまう原因はありますが、最近目立つのは以上の3項目です。


 「たかが噛みしめや歯ぎしりくらいで‥‥」と思われる方はたくさんいらっしゃると思います。私もかつてはそう思っていました。ところが、からだを整えることを追求していますと、どうしても噛み方や噛みしめや歯ぎしりの問題と、歩き方の問題は解決しなければならないことであると思うようになりました。
 しかしながら現実的な施術では、時間的制約もありまして、十分に満足するまでやりきれない場合がほとんどです。歯や歯茎や顎周辺などそしゃくに関係することと、“歩くこと”は私たちのからだをしっかりしたものに保つための核心です。そのことを多くの人に認識していただきたいと常々思っております。

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(以前に投稿した記事を修正加筆したものです)

 車や電車や飛行機などに長時間座り続けているとお尻の骨(坐骨付近)が次第にゴツゴツしだし辛くなったり痛くなったりする経験はどなたにでもあると思います。
 その原因は“お尻が疲れるから?”というのが一般的な見解だと思いますが、中には1~2分くらいしか座っていないのに坐骨付近が痛くなってしまう人がいます。ですから一概にお尻の疲労が原因であるとは言えません。今回はこのことについて考えてみたいと思います。

ハムストと坐骨の関係

 太ももの裏側の筋肉をハムストリング(略して“ハムスト”)と言います。ハムストリングは坐骨から始まって太ももの裏を通り膝下の裏側につながっている筋肉群です。
 ハムストリングは坐骨を筋肉の出発点(起始)としていますので、坐骨の状態に深く関係する筋肉です。筋肉の性質上、同じ筋肉のどこかに働きの悪い部分が生まれますと別の部分がこわばって硬くなるという仕組みがあります。例えばハムストリングの中間部分、ちょうど太ももの裏側、座面についているところにゆるんだ部分ができますと、起始部の坐骨に近いところにこわばりができてしまいます。筋肉はこわばりますと硬くなりますので、“坐骨が尖ってゴツゴツした感じがする”という症状が現れます。
 基本的に、筋肉は同じ状態を長時間保つことが得意ではありません。特に伸ばされた状態で長時間耐えることは苦手です。椅子に座り続けることは、ハムストリングが座面に接触し続けることですが、加えて太ももの重みがかかっていますので、筋肉・筋膜・皮膚が重さに耐えながら伸ばされ続けているということです。時々立ったり歩いたりして筋肉を動かすことができれば、伸ばされ続けている状態は一時的に解消されて、一端リセットされますので筋肉が疲弊することもないのですが、そういうことができない場合は、筋膜や筋線維が伸ばされ続ける状態に耐えられなくなり、疲弊して収縮できなくなってしまう部分ができてしまう可能性が高まります。それは喩えて言いますと、筋肉や筋膜に“伸びきってしまい縮むことができなくなってしまったゴム”のような部分ができてしまうということです。そうなりますと筋肉全体の働き(収縮力)が悪くなりますので、それを補うように同じ筋肉の別の部分にキュッと硬く縮まったこわばりの部分が発生することになります。
 座り続けていますと次第に坐骨部分が尖ったように感じたり、あるいは坐骨周辺に“妙にありありと感じられる硬いもの”が感じられるようになることがありますが、それはこのような原理で生じます。

 坐骨が痛くなる理由は他にもありますが、“座り続けていると痛くなる”といった場合はこのような仕組によるものが最も多いと思います。また、何らかの理由でハムストリングがゆるんでしまっている人は座ると間もなく坐骨が痛くなったり腰が痛くなったりしてしまいます。ハムストリングはスポーツで肉離れを起こしやすいところですが、肉離れを患っている人は座面に太ももをつけるだけでも耐えられなくなってしまうことでしょう。

 さて、映画館などで長時間座り続けていなければならないときに坐骨や腰が痛くなった場合などの対処法としては、太ももと座面の間に手を入れて温めたり擦ったりしてハムストリングのゆるみを改善するようにすることが良いと思います。お尻をモゾモゾ動かしたり、お尻の痛くなったところに手を当てたりするより効果的です。

ハムストリングがゆるんでしまう理由

 上記のように筋肉が何かに長時間接触していたり、荷重がかかり続けていたりしますと筋線維が伸びて収縮できない部分ができ、筋肉の働きは悪くなりますが、それ以外にも筋肉がゆるんで働きが悪くなってしまう状況はあります。
 一つは使いすぎによるものです。これは筋肉疲労のことであり、この場合は休養することによって機能を回復することができます。
 もう一つは血液循環不良によるものです。端的な例は“冷え”です。からだ全体が冷えたり、部分的に冷えたりしますと動脈の巡りが悪くなり、細胞に十分な酸素が届けられないので筋細胞の働きが悪くなって筋肉はゆるんだ状態になってしまいます。
 その他には神経の問題もあります。ハムストリングで申せば、坐骨神経がコントロールしている筋肉ですので、坐骨神経の状態が悪くなりますと筋肉は働きの悪い状態になります。
 また他の筋肉の影響によってゆるんでしまう場合もあります(これが一番多いかもしれません)。例えば腰や膝が悪くて、歩いたり立ったりするときに下半身全体で踏ん張ることができない状況になりますと、自ずと通常以上に足の指に力を入れて頑張ることになります。それによって足裏や足趾(足指)の筋肉はカチカチにこわばりしますが、その影響でハムストリングがゆるんでしまうことがよく起こります。ふくらはぎはパツンパツンに張っているのに、お尻や太ももの裏はユルユルといった感じです。高いヒールを履いている人、靴のサイズが合っていない人、かかと体重の人、歩き方の悪い人、背中の丸まった人、こういう人達の足趾はこわばっていることが多いのですが、すると筋肉の連動関係、拮抗関係でハムストリングはゆるんでしまうのです。

筋肉は同じ状態を長く続けることが苦手

 今となってほとんど死語になりつつある“根性!”は、私の幼い頃、漫画「巨人の星」の時代にはごくごく一般的な言葉でした。「姿勢を正しく保ち続けることができないのは忍耐力が足りないからだ」などとよく言われたものです。今、この仕事についていろいろな方と接していますと、“耐えられる身体”と“耐えられない身体”という判別がつきますので、「今の状態では、それ(姿勢良く座り続けようとすることなど)は無理です」などと申し上げることがあります。
 ところが現実の今の社会では、この“無理”を強いられている場面がけっこうあります。デパートなどの売り場で働いている人は、お客さんが居ても居なくても座ることは許されない、などと耳にします。接客が忙しくて動き回っているのであれば、からだは疲労しますが、筋肉は同じ状態をじっと耐え続けるといった状況にはなりませんので疲弊してゆるんでしまう可能性は少ないです。ところが暇で動くこともないのに、座ることは許されず立ち続けていなければならない状況になりますと、筋肉は無理を強いられることになります。下半身の筋肉が疲労してきて次第に働き悪い状態になるわけですが、それでも立ち続けていなければならないとなりますと、無意識に肩や背中に力を入れて頑張り続けるようになってしまいます。肩こりがきつくなったり、背中の張りに辛さを感じる原因の一つであると思います。
 また反対にPC作業などで一日中座り続けていなければならない、というのも筋肉には良くありません。姿勢が崩れていくのは当然のことだと思います。筋肉は、それ自身が伸びたり縮んだりするようにできています。つまり伸縮を繰り返すのが本来の在り方ですので、どちらか一方に偏るという使い方は間違っているのです。
 職場環境改善を取りざたされている今日、整体的な観点で申し上げれば、企業側はこういうことにも配慮する必要があると思います。売り場の片隅、お客さんから見えないところに少しの時間でも座れる椅子を用意すことも職場環境の改善ではないでしょうか。
 座り続けることの多い仕事では、上司の方が積極的に声を掛けて、時々立ったり歩いたりすることを促すことも大切なように思います。


 今回のテーマは「座るとお尻の骨(=坐骨)が痛くなる」というものですが、その最も多い理由は太股裏の筋肉(ハムストリング)や筋膜がゆるんで働きの悪い状態になっていることだと私は思っています。
 筋肉や筋膜の働きが悪くなっているところに、さらに物(座面)と接触したり、荷重がかかったりしますと、筋肉や筋膜は耐えられなくなって反乱を起こすように、坐骨周辺を硬くして痛みとして訴えるようになります。
 ですから、このような場合は、痛いところ(坐骨周辺)を揉みほぐして弛めることが解決策ではなく、ゆるんで働きの悪くなっている部分の機能を回復させることが正しい対処方法です。そこを間違えますと状態が悪化することがあります。

 お尻が痛いからと、太股の裏に低周波治療器の端子を貼ったりする場合は、細心の注意が必要です。強い力(電力)でハムストリングを刺激し続けた結果、坐骨周辺だけでなく、お尻全体が硬くなって坐骨神経痛に苦しむようになった人を知っています。くれぐれも注意してください。


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 長年、介護の現場で働いている男性がいます。一口に介護職といってもいろいろな作業内容がありますが、この男性は責任者であり、かつ、現場ではかなりの力を要求される仕事をされています。
 その過酷な作業によってギックリ腰もしばしば経験されていますが、今の一番の悩みは腕と手に十分な入らないことです。数年前に右肩を損傷しました。毎日毎日、多くの人を抱える作業をしていて腕の筋肉が耐えられなくなり、肩の腱(上腕二頭筋長頭腱)を損傷してしまいました。悩まれた挙げ句、手術によって治療されたのですが、術後は以前ほど力を使うことができませんので、左腕の方に負担が掛かるようになってしまいました。
 本人は右腕を損傷した経験もありますので慎重に作業をしていたようですが、やがて左腕も疲弊してしまい右腕と同じ運命をたどるようになってしまいました。結局、両肩を手術することになってしまったのです。

 今は左肩の手術から1年ほど経過したところですが、すっかり現場の仕事に復帰されています。ところが二月ほど前に、両方の前腕の筋肉が痛みだしたということで来店されるようになりました。そして同時に、これまで不安を感じたことのない膝にも不安を感じるようになっていました。
 週一回のペースで3回来店されました。それで前腕の問題は解決しましたが、私は違う面で不安を感じていました。
 「手術によって両方の肩周辺に十分な力が入らなくなってしまったので、手と腕の力に頼って作業をするようになってしまったようで、前腕や手の筋肉に疲労がたくさん蓄積してしまったようです。その影響で腕に痛みが現れたり、膝に力が入らなくなって不安を感じるようになってしまったのだと思います。」と申し上げました。
 そして「ですから、難しいかもしれませんが、腕への負担を可能な限り減らすようにして欲しいですし、疲労回復のケアも毎日ちゃんとやって欲しい。」と申し上げました。

 それから2週間ほどした頃、今度は「ギックリ腰になったしまった」ということで来店されました。ギックリ腰に対する施術を行い、それは一度ですみましたが、やはり私が感じたのは腕と手への負担でした。
 そして、その後2週間経って「左膝が全然曲げられなくなって、歩くこともまともにできない。足を地面に着くと痛い。」ということで来店されました。
 「ギックリ腰はその後すっかり良くなったのでその影響ではないと思うし、筋を伸ばしたり打撲したわけでもないのに急に膝かおかしくなって、あれよあれよという間にどんどん悪化してこんな状態になってしまった。何かの病気にでもなったのかな?」と不安な表情でした。
 この後、膝が曲がらなくなってしまった仕組みについてはお話ししますが、結局、施術したところは左手と左前腕が中心でした。手と腕の筋肉が使いすぎや疲労によってバランスを失い、その影響が骨盤と大腿骨との関係を歪め、それによって膝がほとんど曲げられない状態になってしまったのです。
 結局、60分の施術ですっかり症状は消えましたが、「残念ですが、もう肩や腕は仕事内容に耐えられない状況になってしまったと思うので、2週か3週に一度は来店されて、施術を受けた方がいいですよ。そうしなければ、同じことを繰り返すことになると思います。」と申し上げました。

膝が曲がらなくなる理由

 「膝が曲がらない」という症状は大きく3つに分けて考えます。

 一つは関節がずれていることです。変形性膝関節症が典型的ですが、そこまで状態が悪くなくても膝関節がずれた状態になりますと、膝を曲げるときに「膝の内側が痛む」、あるいは「膝の外側が痛む」状況になることがあります。そして、この状態を長引かせますと「膝に水が溜まる」症状が現れますが、それによって更に膝が曲げられなくなることがあります。

 二つ目は「膝を曲げることはできるけど、正座をすることができない」といった症状です。正座は単に膝を曲げることだけでなく、自分の体重がふくらはぎに乗っかりますので、その重さを柔らかく受けとめるように、ふくらはぎの筋肉がゆるまなければなりません。ふくらはぎの筋肉がこわばったままの状態でゆるむことができなければ、長く正座をすることはとてもできませんが、この時に要になるのは膝裏にあります膝窩筋(しつかきん)であったり、足首周辺の靱帯であったりします。

 三つ目はふくらはぎや太股裏の筋肉が収縮しない、あるいは伸びないために膝を曲げることができない状態です。
 専門書等によりますと、あるいは専門家の一般的な認識では、膝を曲げる動作においてははふくらはぎの筋肉(腓腹筋)とハムストリング(太もも裏の筋肉)は収縮することになっています。

 確かにそれは大きな意味では正しいことです。しかし、もっと細かく観察しますと、腓腹筋外側頭と半腱様筋は収縮しますが、腓腹筋内側頭と大腿二頭筋長頭は伸びることになります。もし、腓腹筋内側頭や大腿二頭筋長頭がこわばっていて上手く伸びることができない状態になっていますと、膝を曲げることができなくなってしまいます。そのこわばり具合によってどれだけ膝を曲げることができるかは変わってきますが、この状態の特徴としましては、上記の二つと違って痛みを感じることはないのですが、単に「それ以上曲げることができない」という状況になります。(もちろん、無理してそれ以上曲げようとしますと非常に強い痛みを感じますが。)
 そして状態が酷い場合は、歩く動作程度の膝の小さな屈曲もできなくなりますので、「歩くことができない」あるいは「足を地面につくこともできない」などとなってしまうこともあります。

 さて、この度登場していただいた人は、三つめの理由によって少しも膝が曲がられなくなっていました。
 その具体的な理由は上記でも説明しましたように大腿二頭筋長頭が強くこわばっていて連動する腓腹筋内側頭もこわばっているために、少しも伸びることができなかったからです。ですから「ほとんど膝を曲げられない」状態になっていました。
 そして大腿二頭筋長頭が強くこわばっていた理由は、骨盤の右側が歪んでいて大腿二頭筋長頭の出発点である坐骨結節が内側に入っていたからですが、その理由を追っていきますと、やはり左肩の不安定性からくる左手と左前腕の筋肉の問題が根本的な原因でした。ですから膝の症状ではありましたが、重点的に施術を行ったのは左手でした。

 膝に違和感を感じてから短時間のうちに膝を曲げることができなくなり、「足を着くことができないくらい膝を少しも曲げることができない」状態になってしまったのですから、本人はとても不安に感じたようです。「何か、膝が重い病気にでもなったしまったのか?」と思ったそうです。そして、その原因が左手周辺の問題であり、左手や左前腕を施術することで症状がすっかり消えてしまったことにも驚いていました。

膝裏を伸ばして、膝が曲げられなくなってしまった

 今回の主題であります「腕と膝の関係」とはかけ離れますが、今回登場していただいた人と同じように、三つ目の筋肉の問題で膝が曲げられなくなってしまった別のケースがありましたので紹介したいと思います。

 その人の場合はズリッと右足を滑らせて転んでしまったことがきっかけですが、「転ぶまい」として踏ん張ったときに右膝の裏を伸ばしたような気がしたということでした。その場では、特に症状が現れたわけではなかったそうですが、夜ベッドに入るために膝を曲げたときに「ズキッ」と驚くような痛みに襲われ、それ以来膝を深く曲げることができなくなってしまったとのことでした。
 この人の場合は、半腱様筋が伸びてしまったことが原因でした。膝を曲げるときに半腱様筋は収縮するのですが、筋線維を傷めてしまったために収縮できない部分ができてしまったのです。膝を深く曲げる動作では、半腱様筋全体がしっかり収縮できる状態になっていることが必要ですが、筋線維の一部に収縮できない部分ができてしまったので半腱様筋の収縮が不完全な状態になってしまいました。ですから、膝を途中までしか曲げることができませんし、それ以上曲げようとしますと、「収縮できない部分を強制的に収縮させる」ことになりますので、突然強い痛みに襲われることになります。イメージとしましては「余った肉が挟まれて潰される」ような感じの痛みです。
 ですからこのような場合は、損傷して収縮できなくなってしまった筋線維を丁寧に手当てして回復を促すしかありません。もしこの時、方法を間違えてストレッチしたり、揉みほぐしたりしますと、益々筋線維は収縮できない状態になってしまいますので、症状を悪化する可能性が高くなります。


 今や人生100年の時代となりました。20歳代までは「からだに不安を感じたこともなく」、30歳代では「疲労や肩こりを感じ、時々腰痛も感じ」、40歳代以降はスッキリしない日々が多くなったり、からだの不具合や不調に悩まされる日々が訪れたりします。
 そして五十肩や腰痛や膝痛に悩まされる日々も増え、70歳頃になりますと体力の低下を感じ、病院を訪れる日々も増えますが、さらに人生は30年近く残っているというのが現実となっています。
 高齢者になりますと、人生に対するいろいろな欲はかなり減るとは思いますが、「最後まで自分の足で歩き続けていたい」というのがせめてもの願いとなるのかもしれません。そして、そのためには腰や股関節や膝や足首などの状態を快適な状態に保っておくことが大切です。中でも膝は、女性にとっては加齢にともなって壊しやすい部位ですから、常日頃から良い状態に保っていただきたいと思っています。
 何度も何度も申していますが、変形性膝関節症にならないように、既になってしまった人は症状を悪化させないように、十分に注意をしていただきたいと思っています。

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