ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

 昨晩、娘の会話で「土踏まずのところが盛り上がったインソールを使うと足が疲れにくい」という話を耳にしました。歩くと少し痛いけど足の疲れは減るということでした。私としてはちょっと気になる話だったので、すかさず娘に立ってもらい足を確認しました。扁平足ではないのですが、それに近い状態でした。体重がかからない状態では足の縦のアーチはあるのですが、立つとそのアーチがぐっと減ってしまいます。
 
 足には重力(体重)を分散して疲労を防ぐために横と縦と外側の3つのアーチがあります。横のアーチがない人は足の5本指が広がっていて「だんびろ」とか「ばんびろ」とか言われているかもしれません。外反母趾・内反小趾のひとは横アーチがない場合が多いですね。外側のアーチについてはまた後日取り上げようと思いますが、今回娘の足を観察して気になったのは内側の縦アーチです。土踏まずはそのアーチによってもたらされているわけですが、そこが盛り上がったインソールが販売されているということは扁平足気味の人がたくさんいるということなのでしょうか。

足骨格内側面
扁平足

 さて、足の内側には第一中足骨、内側楔状骨、舟状骨という骨があります。この3つの骨が上の方に引っ張り上げられているのでアーチができています。ですから扁平足気味の人は、この3つの骨が下がってしまっているということです。
 第一中足骨と内側楔状骨と舟状骨に関係する筋肉は、前脛骨筋(ぜんけいこつきん)と後脛骨筋(こうけいこつきん)です。後脛骨筋は舟状骨を引っ張り上げるというよりも、舟状骨、楔状骨など足裏の骨をしっかりさせる意味合いの方が大きいかもしれません。
 内側の縦アーチをつくるために第一中足骨と内側楔状骨を引っ張り上げているのは前脛骨筋です。この筋肉は、歩くとき前足になった親指を浮かせる働きもしていますので、ちょっとした段差でも足がつまずきやすい時などは、前脛骨筋の働きが悪くなっていることが考えられます。つまずきやすくなり、(アーチがないため)立っているのが疲れやすいので、「足がだいぶ弱くなってきた。歳かなぁ?」などと感じている人がいますが、歳には関係なく単に前脛骨筋の働きが悪いだけかもしれません。

 娘を立たせたまま、両腕の筋肉を少し操作しました。するとグニャッとなっていたアーチがしっかりして「立ちやすい!」となりました。娘の腕を触ったところパンパンに張っていましたので、前脛骨筋の働きが悪くなっているのは手の方に問題があると思ったからです。
 筋肉には連動性という仕組みがあります。前脛骨筋は体の前面少し外側の筋肉と連動性があります。(専門的になりますが、前脛骨筋―外側広筋―外腹斜筋―三角筋―上腕二頭筋―橈側手根屈筋―短母指屈筋と連動します。)
 前脛骨筋をたくさん使うような運動をしたわけでもないのに働きが悪くなっているのは、連動する筋肉のどこかに働きが悪いところがあるからです。多くは、普段たくさん使っている“手”に原因があります。ですから実際に整体で整えるとしたら、手を施術することになります。昨晩は家で仕事などしたくなかったので、手に問題があると思ったものの、それは別の時に整えることにして、とりあえず橈側手根屈筋をちょっと操作してみただけです。

足三里

 一般の人にこんな筋肉連動の話をしても難しいので、毎晩ケアしていただければそれなりに効果がでると思われることを一つ提案させていただきます。
 「足三里(あしさんり)」という非常に有名な、効果の期待できるツボがちょうど前脛骨筋にあります。そこの深い部分を親指の先で強く押し続けてください。場所は、強く押すと「ズーン」とか「ジーン」とか感じるところです。片方ずつ2分くらい押し続けますと、なんとなく血の巡りが良くなり体の雰囲気が変わってくる感じがすると思います。それをやっていただくと前脛骨筋の働きが良くりますので、足のアーチがしっかりすると思います。

 土踏まずの盛り上がったインソールがどんなものかわかりませんが、素材が硬ければやはり体には負担になると思います。体重を分散させて足に負担がないようにするのがアーチの役割ですから、そのアーチ部分が沈まないのであれば、地面からの衝撃は直接的に足裏にきます。インソールを使うのであれば、素材を良く吟味していただきたいと思います。

 多くの“めまい”は、内耳(三半規管)がある側頭骨(耳のある骨)のズレや鎖骨下静脈(鎖骨と第1肋骨の間)の流れを改善することによって速やかに改善していきます。施術としては1回か2回ですむのがほとんどです。ところが今回の方のめまいはなかなか強敵でした。
 その方は70歳近くの女性です。10月11日に来店され、「斜め右上を向くとグワングワン目が回ってしまう」というのが症状でした。過去のめまいの状況について話を伺うと「40代の時と50代の時に一回ずつめまいの症状があって病院で治療を受けたがなかなか回復せず、40代の時は1年くらい、50代の時は1年半くらい症状が治まらなかった。」「病院に行っても治療らしきことはせず薬を出されるだけなので、今回は病院には行っていない。」ということでした。
 ベッドに横になったもらい、めまいのテストをしました。めまいのテストは、首を横と縦に何回か振ってもらい、それぞれ筋肉の働きが落ちるかどうか、つまり身体から力が抜けてしまうかどうかを確認する単純なものですが、これがけっこう的確に当たります。めまいの兆候を持っている人は、頭を動かした後、軽ければ1秒くらい、状態が重ければ5秒とか、しばらくの間力が入らない状態になってしまします。横に回したとき力が抜ける場合は内耳に問題があり、上下に振ったとき力が抜ける場合は血流に問題があるのではないかと私は考えていますが、それが正しいかどうかはわかりません。目安としているだけです。そしてこの方は横も縦も両方力が抜けてしまう状態でした。
 その後、頭蓋骨を整える施術と鎖骨下静脈の流れを整える施術を約1時間ほど行いました。そしてテストしたところ施術前よりはだいぶ良くなりましたが、それでも少しだけ力が抜ける状態でしたので、もう一度来ていただくことにしました。なお、当初の訴えである右上を向いたときにめまいがするというのはおさまりました。ただ、帰りがけ玄関で靴を履いて立ち上がったときにクラッとしたようなので、今回のは普通のめまいとは少し違うのかな? と思いました。

 結局、その後何回か来ていただいたのですが、「午前中は大丈夫だけど夕方になると症状が現れる」「今日は大丈夫かな、と思っていたけど布団を上げ下ろししたときにめまいがした」「一昨日は治ったかと思ったけど、昨日は朝からめまいがひどかった」「めまいというかクラッとすることはあったけど時間は5秒くらいで短くなった」など症状が一進一退を繰り返す状態が2週間ほど続きました。
 そして私もいろいろ考え、最初の簡単なテストのやり方だけでなく、書類を見てもらい、その文字がしっかり見えて頭に入るかどうか、それをやや下を向いた状態、やや上を向いた状態、右を向いた状態、左を向いた状態で確認してもらったりしました。立った状態、座った状態でどう変化するかなどもテストしました。
 そうしますと、座った状態で右目だけ角度によって文字がにじむことがわかりました。座った状態で見え方が変わるということは、鼡径部(股関節)に問題があることが予測できまして、もも上げをしてもらうと案の定右側の上げ方がちょっと不自然でした。その後、過去のいろいろな病歴や不具合歴などを尋ねていきますと、かなり前に美容師の仕事をしていてドライヤーをかけると左肘が痛くなり腱鞘炎になったことがあるということでした。
 左腕は全体に筋肉が張った状態でしたが、確かに肘はゆるんでいました。そしてそのゆるんだ左肘を修正してしっかりさせると右目の状態が良くなりました。さらに鼡径部で血流が悪くなっているので、そこも調整しました。そして3日後に再び来ていただくことにしました。
 
 再び来店されたとき3日間の状態をお尋ねしましたが「一度だけ、夕食の後しばらくテレビを観ていて立ち上がるときに少しクラッとしたが、あとは大丈夫だった」ということでした。この方はめまい以外にも左膝に力が入らなくて階段の上り下りで膝頭が痛むという症状を持っていたようで、鼡径部と左肘とこの左膝の状態を整えるように施術して、今度は5日後に来ていただくことにしました。
 5日後、「もう、めまいの方はすっかり大丈夫です。あとは膝だけです。」と仰いました。結局めまいを改善するのに3週間以上かかってしまいましたが、私にもよい経験になりました。これまでめまいに対しては、耳を整え、鎖骨下静脈を整えれば良いと思っていたのですが、目の見え方も考慮に入れなければならないし、鼡径部も関係するのだということがわかりました。

 二日酔いで布団に入ると天井がグルグル回ってしまうものも含めて、めまいは内耳にある三半規管の機能がおかしくなっている場合と、椅子から立ち上がったりするとき脳への血流が間に合わず一時的な脳貧血をおこしてクラッとしたりしてしまう場合とがあります。
 きっとこの方は左肘がおかしくなってからずっと右目への血流が悪く一時的な軽い脳貧血状態だったのだと思います。それだけでは自覚症状として不調をかんじる程ではなかったのですが、それに他の要因が重なったとき、はっきりとした症状として、めまいが現れたのかもしれません。それが40代の時と50代の時に一回ずつ、そして今回だったのではないでしょうか。
 今回、左肘を改善することによって、また鼡径部を整えることによって、不調のベースとなっていた血流の問題は改善されたと思います。ですから、もうこのように手強いめまに悩まされることはないかもしれません。そして、そうあって欲しいと願っています。

 めまいに限らず、同じような不調や不具合を時々繰り返してしまう人は、根本的な問題としてこの方と同じように血液循環不良が隠れているかもしれません。そんなことを今回は実感しました。

 建設現場や土木作業に長年従事している人の腰痛には特徴があるという話です。
 普通、腰痛になると痛みが辛いため身体を休めたり、痛みが少ないように動作するようになります。それが身体の自然な反応です。
 ところが、肉体労働をして家族を養わなければならないお父さんの腰は、少々痛みを感じても耐えられる腰つきに変化しています。痛いけど頑張れちゃうんです。畑仕事をしている農家の方も同様です。
 こういう方が「腰が痛くなった」と来店されると、一瞬私の中に迷いが生じます。
 腰痛にならないように身体を改善したいのだろうか?
 それとも、とりあえず今の腰痛の痛みを楽にしてほしいのだろうか? 

 多くの場合、「とりあえず今の痛みを楽にしてほしい」を選択されます。すると私は、少し不本意な思いを感じながらも、頭を切り換えてなんとかお客さんの要望に応えようと施術に入ります。
 こういう方々の腰の筋肉は一般の人のそれとは明らかに異なります。筋肉の芯の部分がガチッと硬くなってまるで骨のようです。ですから身体に柔軟性はありません。腰部の筋肉を硬くこわばらすことによって、負担の多い労働に耐えうる身体に変化していると言っていいかもしれません。
 このような方々もはじめは普通の人の腰痛と同じだったはずです。前屈みや中腰が辛く、重たい物や重労働になると腰が悲鳴をあげるほど辛くなったりしたのだと思います。ところが仕事を休むわけにもいかず、痛みに耐えながら毎日の仕事を繰り返しているうちに筋肉の方が質を変化させて労働をこなせる身体になったのだと思います。ですから「腰はいつも痛いよ! でも大丈夫!」という身体なのです。
 今回来店されたのは、その上で「もうかなり辛くなってきた」ということでしょう。
 こういう場合の施術は揉みほぐしが中心になります。手から足まで全身をほぐしていき、血液の流れを良くすることで硬くこわばっている腰部の筋肉が少しゆるむようにします。腰部への施術では、その骨のように硬くなっている芯の部分にグイッと指を入れていきますので、とても痛いはずです。お尻の深い部分も揉まれるとけっこう痛みを感じていると思います。
 揉みすぎてしまいますと、こわばらせて頑張っている筋肉が頑張れなくなってしまいます。そうなると今度は“力が入らない腰”になってしまいますので、ほぐしどころを見極めるのに神経を集中します。
 
 通常の施術では腰痛を起こしている筋肉を探し出し、その原因を特定して、筋肉を調整しながら骨格の歪みを解消して腰痛が改善されるようにしています。しかし、こういう方々の筋肉はそういうアプローチではその場で満足を得られる結果は出せません。筋肉の質が普通とは違うからです。
 「しばらくは良いんだけど、また戻っちゃうんだよね」と言われると少し悲しい気持ちになるのですが、「三日おきに何回か来てください」というのも金銭的な負担を考えるとなかなか言い出せません。坐骨神経痛を伴う腰痛であれば、必ずそう言うのですが‥‥。
 それでも「ああ楽になった!」と言ってもらえると嬉しいことですし、心の中で「一月後か二月後にまた会いましょう」とつぶやきながら「ありがとうございました!」と言って見送らせていただいています。
 

 先日、“うつ”の人が来ました。この方は、何年も前から“そう”状態と“うつ”状態を繰り返していましたが、2ヶ月ほど前にうつ状態がひどくなり救急車で運ばれ、それから1ヶ月入院して治療を行っていたということです。退院して一月経ちますが、寝室から出る気になれなくて、いつも閉ざされた部屋で寝転んでいる。そして毎日たくさんの薬を飲んでいるとのことです。
 今は“うつ症状”をもった人の来店もしばしばありますが、このように本格的といいますか重度な“うつ”の人を施術するのは初めての経験でした。
 私は病気や病名については全然詳しくありませんので、うつ病が医学的にどのように定義されているのか、そしてどんな治療を行っているのかは正確には知りません。心理的病というより脳の病気の一つとされていて、治療はほとんど投薬によるもの、そんなイメージを持っているだけです。

 さて、先入観を持たずにその方を触ってみました。頭部へは酸素があまり回っていない感じでした。胸は少し凹み気味で、肋骨が内側に入っていて硬く、呼吸をしていてもほとんど動いていない状態でした。鼻の通りも悪く、目には生気が感じられません。歩くことも含め運動をほとんどしていないせいか、全身の筋肉がゆるんだ状態でした。どこを触っても頼りないのです。
 これでは活力が湧かないのは当然かもしれないと思いました。深呼吸をしてもらっても、深く息を吸えず、吸っている途中で挫折してしまう感じです。果たして私の施術でどこまでやれるかわかりませんでしたが、できることはやろうと思って施術に取り組みました。
 どうしても改善したいと考えたことは、呼吸の改善、胸の凹みの改善、胸郭を広げその動きがもっと自由になること、頭に酸素が十分に行き渡るようにすること、などです。これらを達成したからといって“うつ”の改善につながるかどうかはわかりませんが、少なくとも身体はとても楽になるはずです。それによって“やる気”が少しでも湧いてくるようになれば良いのになぁ、と思いました。
 呼吸の改善については、ホームページに記していますのでこちらを参考にしてください。
 胸の凹みと胸郭が狭い、つまり肋骨が内側に入っていることについて説明します。
 身体の中で胸はあらゆることに対する主たるセンサーであると考えています。低気圧や台風が近づくの感じると体調が悪くなる、ストレスを感じると胃が痛くなる、という人がたくさんいますが、これらを感じている場所は胸であると私は思っています。つまり“心は胸にある”と受け取っていただいてもよいと思います。医学的、科学的見解では“心は脳の働き”となるかもしれませんが、私は違った意見です。
 胸は12対の肋骨と真ん中にある胸骨でできた胸郭というカゴに囲まれた部分ですが、その中には心臓、肺と気管、食道、横隔膜、胸腺があります。肋骨は骨ですから、それ自身は硬いものです。その硬い肋骨がいろいろな状況に合わせて上下と前後にフレキシブル(柔軟)に動いていると言いますと信じない人が多いかもしれませんが、実際にそうなのです。
 “胸が凹んでいる”というのは、だいたい二個所で感じられます。最初の部分は鎖骨の少し下、第2、第3肋骨のところです。もう一個所は、みぞおちの少し上、第5肋骨くらいのところです。それらの肋骨が内側(胸骨の方)へ落ち込んでいる感じになります。上の方の凹みは精神的なこととはあまり関係ないようですが、呼吸が苦しい状態を招きます。第5肋骨あたりの凹みはストレスや心情と関係していると思います。ここがセンサーの本部のようなところだと思っています。この部分が凹んでいる人は、その部分によく手を当てて欲しいと思います。両手の先をその凹みの部分にあて、手のひらを肋骨において軽く外側に“胸を開く”イメージでしばらくじっとしていて欲しいと思います。両手の先が当たっているところは胸骨ですが、その内部には胸腺があります。加齢にともない胸腺は萎縮していくとされていますが、物質としての胸腺は小さくなったとしても機能としては大切な働きを担っているところですので、大切にして欲しいと思っています。
 胸郭全体が内側に入って狭くなっているのも含め、施術によって肋骨を動かそうとするとき、私はまず関係する筋肉を調整して行います。それでだいたいは思うようになります。ところが、この第5肋骨部分の凹みはそれでは対処できないことが時々あります。今回の人もそうでした。その場合は、私も直接胸骨に手を当ててその凹みを解消しようとします。今回はそうして対処しました。

 呼吸に関係する筋肉を調整し、胸郭を整えることによって、それまで深呼吸ができないものがしっかりできるようになりました。もうこれだけで身体はとても楽になります。「スハッ、スハッ、スハッ」となっていた呼吸状態が「スーハー スーハー」となりました。あとは頭に酸素が行くようにすることです。

 普通、頭蓋骨は息を吸うとき広がり、息を吐くとき縮みます。そして頭蓋骨に手を当てていますと、手のひらに頭蓋骨の内部で何かが流動している息づかいを感じることができます。ところが、頭にあまり酸素(=血液)が届いていないと思われるときは、頭蓋骨のそのような動きも感じられません。
 前頭部の内部には副鼻腔があります。眉間の少し上の額のところです。鼻から吸った息をこの前頭部に通していただきたいのです。息が通ると前頭部に涼しい風が通過するのが感じられます。しかし前頭骨が歪んでいたり鼻骨が下がっていたりしますと、なかなかここに息を通すことができません。この方も頭蓋骨が歪んでいましたので、自力ではなかなか通すことができませんでした。
 鼻骨は下がりやすい骨です。眼鏡を掛けている人は鼻骨が下がっている可能性が高いと思います。それを普通の人に調整してくださいと言っても無理なので、一日に何回かでよいので、自分の手で鼻骨を上に上げて、鼻から吸った息が頭部に抜けるような呼吸を一回あたり1分くらい行って欲しいと思います。副鼻腔は頬骨のところにもありますが、空気を副鼻腔に通すことによって空気は掃除され理想的な状態に調整されて肺の中に取り込まれます。これは身体の負担を軽減するために大切なことです。口呼吸が悪いことの理由はここにあります。息を口から吸うと外気がほとんど直接的に肺に入りますので、汚れた空気を呼吸していることになり、身体は呼吸によっても負担を強いられてしまうのです。

 以上、50分ほどの施術を行いましたが、身体自体は来店時よりずっと良くなりました。楽になったということでしたし、外見でも目に落ち着き生まれ、顔の色つやも良くなりました。
 「少しはやる気がでましたか?」と質問しましたが、それにはハッキリとは答えられませんでした。しかし施術の途中から会話もするようになりましたし、帰りがけに私の名刺をお持ちになったので、「また来る気があるんだ」と私は内心でつぶやきました。

 またこの方が来店されたら、その経過を記していきたいと考えています。

 このブログでも、ゆめとわのホームページでも、筋肉・筋膜の“ゆるみ”とか“こわばり”という言葉が再々出てきます。これらは筋肉や筋膜の変調(正常ではない状態)についての言葉なのですが、なかなかわかりづらいと思いますので少し説明させていただきます。
 筋肉は意志や神経からの信号によって伸びたり縮んだりして働いています。
 ところで、自分の力量を見せようとして腕を自分の方に曲げながら二の腕(上腕)に“力こぶ”をつくる男性の姿を想像してください。この時、上腕にある上腕二頭筋が収縮して太く硬くなります。筋肉の発達している人はモッコリとした硬い筋肉の山ができます。これは筋肉が収縮した状態です。
 一方、上腕の裏側には上腕三頭筋という筋肉があります。この筋肉は同じ動作の時、収縮するのではなく伸びる方向に働きます。上腕二頭筋と上腕三頭筋は反対の働きをするので拮抗関係にある筋肉=拮抗筋と呼ばれますが、仮に上腕三頭筋が上手く伸びなかったとしたら、いくら筋力があったとしても腕を曲げることができなくなってしまいます。
 また、曲げた状態から腕を伸ばすときには上記とは逆に、上腕二頭筋が伸びて上腕三頭筋が収縮することになります。このように拮抗関係にある筋肉の働きが正常であれば、腕を曲げたり伸ばしたりする動作は非常に軽々とスムーズに行うことができます。

上腕二頭筋と上腕三頭筋

 ところが何らかの理由で筋肉の一部に損傷した部分ができたとします。ケガや打撲などによって上腕二頭筋の一部分が収縮できない状態なると、途中までは曲げられるけど最後まで腕を曲げることができなくなります。あるいは拮抗筋である上腕三頭筋の一部分に塊のようなものができて、その部分が伸びなくなったとしてもやはり腕を最後まで曲げることはできなくなってしまいます。上腕二頭筋には腕を最後まで曲げる能力はあるのに、拮抗筋である上腕三頭筋にうまく伸びてくれない部分があるので腕を最後まで曲げることができなくなってしまうのです。

 上記では“ケガや打撲”、“塊”という言葉で表現しましたが、このようなものが筋肉にできてしまっている状態を筋肉が変調していると言っています。
 変調には二つのタイプがあります。
 ひとつは私が“ゆるみ”という言葉で表現しているもので、筋肉がうまく収縮できなくなっている状態です。“腑抜け”とか”中抜け”にも近いもので、触ると力感が感じられずヘニョヘニョしています。“伸びきったゴム”、あるいは“戻らなくなってしまったバネ”といった感じです。
 一つの筋肉全体がこのような状態になることは普通はありませんが、筋肉の中にこの働きが悪い部分ができてしまうと、筋肉全体のパフォーマンスが低下します。「筋力アップのトレーニングはしているんだけど、力が入らない」みたいな状態になってしまいます。

 変調のもう一つは”こわばり”です。これは筋肉の一部分が収縮したままの状態で、力をゆるめてもその部分だけ収縮が解除できないものです。あるいは一つの筋肉全体がこわばった状態になることもあります。
 “肩が張っている”、“背中が張っている”などと感じるのは、筋肉がこわばった状態にあるからです。そして、こわばりのある部分は押したり伸ばしたり、あるいは軽く触れたりするだけでも痛みを感じるのが特徴です。“足がつって痛む”という“こむら返り”は、強いこわばりが次から次へと生まれてしまうからです。

筋肉に変調ができてしまう理由
 筋肉は骨と骨を結び付けていますので、骨格が歪むと“こわばったり”“ゆるんだり”して変調をおこします。そのことについては別途取り上げますので、今回は骨格の歪みによるものは除外して説明させていただきます
 筋肉にゆるみができて働きが悪くなってしまうのは、打撲やケガなどの損傷によるもの、使いすぎて疲弊してしまったもの、反対にあまり使わないために機能が低下してしまったもの、などが考えられます。
 打撲やケガによるものはイメージしやすいと思います。肉離れなどの損傷もこれに入りますが、その部分に力が入らなくなるため、動かすことが辛くなります。それでも無理して動かそうとしますと他の筋肉に負担が掛かるため痛みを感じるようになります。ギックリ腰もこの類です。骨盤や背骨近くの筋肉や筋膜にキズがついてしまい力が発揮できなくなるため、ひどい場合には身体をまったく動かすことができなくなってしまいます。
 使いすぎて疲弊してしまった場合というのは、パンツのゴムを連想していただければよいかと思います。何度も何度も履いたり脱いだりを繰り返していますと、やがてゴムが伸びてしまいダラーッとなってしまいますが、それに似ています。疲労が蓄積したせいで筋細胞の働きが悪くなってしまったと考えられます。
 あまり使わないので機能が低下してしまうというのは、“筋力低下”の部類に入ります。これがとても顕著に現れるのは噛む筋肉です。食物をほとんど噛むことなくすぐに飲み込んでしまうような人や片方ばかりで噛んでいる人は、(噛まない方の)噛む筋肉がすぐにゆるんでしまいます。私たちの身体は食物を噛むことによって全身の筋肉が機能するようにできています。ですから、なるべく多く噛んでそしゃく筋を鍛えて欲しいのです。

 一方、筋肉にこわばりができてしまうのは、連続して使い続けたり、強い力を込めて筋肉を働かせたことによる場合が多いです。
 こわばりが顕著に現れる部位としては顎周辺、手、足などです。噛みしめる癖や歯ぎしりの癖を持っていると必ず顎周辺の噛む筋肉はこわばります。片方ばかりで噛んでしまう片噛み癖の人は噛んでいる方の筋肉がこわばります。
 手作業が多い人は使っている筋肉がこわばります。パソコンでキーボードをたくさん叩いている人、スマホで文字入力をたくさん行っている人、ゲームでたくさん指を使っている人、これらの人も手指の筋肉がこわばります。
 歩き方が悪い人、外反母趾の人、これらの人の多くは小指側に重心がありますが、それでも地面を親指で蹴ろうとするため、足の親指の筋肉はこわばります。
 重たい物をたくさん持ったり、あるいは自分の能力以上に重い物を無理して持ったりすると、筋肉は自分をこわばらせた状態にして頑張るようになります。それによってこわばりが残ってしまいます。

 以上が直接的に筋肉を変調させる理由ですが、“ゆるみができたので、筋肉をこわばらせて頑張っている”というのもあります。そしてこれが一番多いかもしれません。
 例えば、(五十肩によく見られるケースですが)肩関節を支えるために働く筋肉が三つあったとして、そのうち一つがゆるんでしまい働かなくなったとします。するとそれまで三つの筋肉で行っていた仕事を二つの筋肉でしなければならなくなります。そうなると二つの筋肉は自分の通常の能力を超えて頑張らなければいけないため、より収縮するようになります。この理由でこわばりができてしまいます。すると肩は重苦しくなり、動きも悪くなります。
 この状態は外から触ると筋肉が張って硬くなっていますから、ついつい揉みほぐしたくなります。しかし自らを硬くしてなんとか肩の状態を保っているのに、それをほぐしてしまうと筋肉は頑張れなくなってしまい、肩関節が本当におかしくなってしまいます。そしてこれが五十肩を長引かせる最も多い理由であると考えられます。この場合の正しい対処方法は、ゆるんでしまった筋肉の状態を回復させることです。そうすることで再び三つの筋肉でバランス良く肩を支えることができるようになりますので、自ずとこわばっていた二つの筋肉はゆるんで変調が解消されます。

変調の修正‥‥ゆるみ=虚、こわばり=実
 東洋医学の診断に“虚・実”というのがあります。“虚”は虚弱体質という言葉でイメージできると思いますが、不足、弱い、働きが悪い、という感じでしょうか。“実”というのはイメージがつかみづらいですが、虚の反対の意味で用いられます。と言っても、強い、働きが良い、という意味ではありません。東洋医学的に言えば「邪気が充実している」となりまして、余計なものがたくさん詰まっているという感じです。“何かが滞っていてエネルギーの流れが悪い”ので、こちらも本来の働きができないという意味です。
 “ゆるみ(虚)”とはその部分の細胞の働きが悪いことと同じですから、細胞に働きかけるように施術を行います。そのためには、そっとその部分に手を当てることが一番だと思います。私はそうしています。先日「こんな軽い力で大丈夫なのですか?」とお客さんに言われましたが、それで十分なのです。寝ている赤ちゃんの頭を優しく撫でているような気持ちです。そっと、粘り強く、手を触れているとやがて細胞が活動を再開し、ゆるんで中抜けしていたところにだんだんとハリが戻ってきます。そして筋肉全体ががしっかりしてきます。
 “こわばり(実)”は余計なものが詰まっていて細胞が身動きできない状態ですから、その余計なものを排除しなければなりません。そうしないと血液も含め身体のエネルギーが流れないのです。 これに対する施術は痛みをともないます。“ゆるみ”に対する施術とはまったく違います。強い肩こりを揉みほぐすのに似ていますが、やがて“こわばり”がゆるんできますと痛気持ちよくなり、施術の後は解放感が感じられます。そして筋肉全体の働きも良くなります。

 以上が変調に対する直接的な施術方法ですが、実際の臨床では、上述したとおり“ゆるみ”ができたために別の場所に“こわばりが”できてしまった場合や反対に”こわばってしまった”ために別のところが“ゆるんでしまった”などの場合がほとんどですので、それらの関係性をしっかり見極め、施術方法を間違えないようにしないといけません。ゆるんでいる筋肉があって、別の筋肉がこわばって頑張っているのに、そのこわばりを取ってしまうと症状がさらに悪化してしまうからです。ですからこわばりを取る、つまり硬くなっているところをほぐす時は特に注意が必要です。

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