ゆめとわのblog

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 食べることは栄養を補給するために必要不可欠なことですが、栄養を補給する目的であれば健康食品や薬などいろいろな方法があります。しかし、私たちは口を動かして食べたいという本質的な欲求を持っています。
 “そしゃくする”ということは、その運動によって筋肉が鍛えられ、脳の血流が良くなり、唾液が出て消化が良くなる、という生理機能的な効用をもたらしますが、それ以外にも“心地良くなる”という内面的な効果があります。
 ただし、快適なそしゃくができなければ「噛むのはかったるい」「顎が疲れる」といった反応になりますので「噛むと心地良い」ということにはまったく賛同できないことでしょう。

快適なそしゃくとは?
 スティック野菜をパリパリ噛むことが好きな人と嫌いな人がいると思います。顎を大きく動かしてそしゃくすることができる人は口腔の深いところ(奥歯の方)で噛み砕きながらパリパリ・モグモグしますが、それを快適に感じると思います。ところが顎を大きく動かすことができない人や反対咬合の人は、オトガイ(下顎の先端)の方に力を入れて噛むようになりますので、口先の方だけ動かして噛むような状態になってしまいます。また、この状態では噛む力も弱いので、硬いものは苦手に感じてしまうことでしょう。

閉口筋_咬筋・側頭筋

 ところで、顎を大きく使ってそしゃくすることのできない人に、「口先の方を使って噛んでいますよね?」と問いますと、ほとんどの人の反応は「?」マークです。何を言われているのか意味不明に思われるようです。物心ついた頃からずっとその噛み方ですから、それが普通だと思っています。顎関節がおかしくなった経験があったり、歯科治療や何かのアクシデントをきっかけに「噛み方が変わった」「長くかみ続けることが苦痛になった」と感じている人は、このことが解るようですが、そうでなければ解らないかもしれません。
 「噛み合わせがおかしくなった」という訴えはよく聞きますが、「噛み方がおかしくなった」という訴えはあまり聞くことはありません。しかし、噛み方がおかしくなることはよくあることですし、毎日を快適に暮らす上で、大切なポイントになると思います。

 さて、このことに関しまして私が今着目している筋肉があります。それは舌骨上筋群と呼ばれていますが、喉元にあります舌骨と下顎の骨をつないでいる筋肉で、オトガイ舌骨筋、顎舌骨筋、顎二腹筋という名前がついています。

舌骨上筋_口腔底

 “そしゃく”は“食物を噛む”ことが根本ですから、顎を閉じたり開いたりする運動が基本的な動作になります。(実際はもっと複雑です)
 それは顎関節を支点として、下顎骨を引き上げたり、引き下げたりする運動のことですが、下顎骨を引き上げる筋肉は閉口筋と呼ばれ、そしゃく筋である咬筋、側頭筋、内側翼突筋が主体になります。下顎骨を引き下げる直接的な筋肉は舌骨上筋群であるオトガイ舌骨筋、顎舌骨筋、顎二腹筋(前腹)です。
 実際のそしゃく運動は、舌筋や表情筋なども動員して複雑になりますが大雑把に申しますと、以上の通りです。

オトガイ舌骨筋と顎舌骨筋のこわばり状態

 ところで私が観察したところ、同じ舌骨上筋群でも顎二腹筋(前腹)とオトガイ舌骨筋、顎舌骨筋では働き方の性質が異なります。顎二腹筋(前腹)はオトガイを舌骨の方に引き寄せますが、オトガイ舌骨筋と顎舌骨筋は舌骨をオトガイの方に引き寄せるように働きます。
 この違いが実際のそしゃく動作でどういう違いになるかと申しますと、顎二腹筋を収縮させて口(顎)を開いた時には、下顎が後方(耳の方)に引かれますので顎関節が大きく動きます。一方、オトガイ舌骨筋や顎舌骨筋を働かせて口を開く時には舌骨や喉が前に動く形になりますので顎関節が動くというより喉元が動いてそしゃくをするような状態になります。ですから、口先だけで噛んでいるような感じです。

 「ア」を発声するために開口するとき、普通は顎二腹筋を使いますので下顎は耳の後方に動くのがハッキリと感じられます。「イ」を発声するときには、顎関節よりも下唇の下(オトガイ)に力が入るのが感じられると思いますが、オトガイ舌骨筋、顎舌骨筋が収縮します。
 ですからオトガイ舌骨筋、顎舌骨筋を使って噛んでいる人は、顎先から下唇にかけてと下顎の縁がこわばりますので、その辺りを指圧しますと痛みを感じます。また、喉もこわばりますので、顎の底面から喉や首にかけて硬くなり、厚みが増します。正面から見た時、首がスッキリせず、顔と首との境界もぼやけてしまうと思います。そしてこのような人は「そしゃくすることが心地良い」とは感じないと思います。
 他方、顎二腹筋を使って噛んでいる人は顎関節が大きく動きますし、そしゃく筋も上手に使えますので噛む力も自然と強くなります。硬いものを噛むことも平気です(歯や歯茎が弱くなければ)。顎関節の動きが大きくなるわけですが、それは筋肉を大きく伸びやかに使っていることと同じですので、「そしゃくすることは心地良い」と感じると思います。

鼻骨の状態が舌骨上筋群に影響を与える?
 私の鼻骨は今、少し下がっています。この状態で煎餅を噛んでみますと顎関節が大きく使われている感じはしません。しかし口先だけで噛んでいる感じでもありません。次に鼻骨を上に持ち上げながら噛んでみますと、顎関節が軽くなり、顎が大きく使われるようになります。そして今度は鼻骨を引き下げて噛んでみますと口先の方だけで噛むようになり、奥歯を使って噛むことができなくなってしまいます。ですから、鼻骨の状態が噛み方の影響を与えることがわかります。
 また、筋肉の状態も鼻骨によって変化することが観察できます。鼻骨を上げますと顎二腹筋の状態がしっかりします。鼻骨を下げますと顎二腹筋がゆるんで顎舌骨筋とオトガイがこわばります。
 鼻骨は下がりやすい骨です。眼鏡を使っている人の多くは鼻骨が下がっていることでしょう。花粉症の季節は、たくさんの人の鼻骨が下がります。花粉症で鼻炎が悪化する理由の一つは鼻骨が下がってしまうことだと私は考えています。
 
 鼻骨が下がってしまう理由は幾つか考えられます。
 最近の眼鏡は軽いとは言え、やはり重みがありますので、眼鏡を使っている人はどうしても鼻骨が下がってしまいます。

後頭骨と鼻骨の関係性

 鼻骨と後頭骨はシーソーのような関係になっています。つまり後頭骨が上がると鼻骨が下がるということです。後頭骨は背骨や背筋(脊柱起立筋)を介して仙骨とつながっていますので、いつも姿勢が悪く背筋がゆるんだ状態になっている人は後頭骨が上がってしまいます。また仙骨や骨盤が下がっている人も後頭骨が上がってしまいます。
 東洋医学の考え方では鼻と肺は密接な関係ですが、実際、胸の状態と鼻骨は関係性があります。現代医学的には、胸腺の働きはほとんど無視されたような状況ですが、胸(胸骨)を触ると鼻骨が上がる場合があります。胸骨、あるいは胸腺は免疫系と関係がありますので、そこにエネルギーが与えられる(手で触る)と鼻の状態が良くなると考えることができます。 鼻づまり、くしゃみ等の症状の時に胸に塗る「ヴィックスヴェポラップ」はこのことを応用していると思います。
 実際、今の私は胸に手を当てると下がっている鼻骨が上がります。

ちょっとした“差”が、心地よさを決める
 「口を開く時に舌骨上筋群のどの筋肉を優先的に使っているか?」というのは、あまりにも細かく、マニアックな内容かもしれません。しかし実際に調子の悪くなった人、たとえば滑舌が悪かったり、舌が思うように動かせなかったり、喉がつかえたり、満足に噛むことができなかったりする人に対しては、こういう細かい点をチェックして調整しなければ症状を改善に向かわせる糸口に辿り着けなかったりします。反対咬合の人も、それを直そうとするのであれば、とても重要なポイントです。

 私たちは美味しい物をたべると心が高揚して楽しくなります。アルコールも、好きな人にとっては気分を高揚させたり、心を落ち着けたりすることに利用できます。その他にも趣味を楽しんだり、自分の嗜好にしたがって満足感を得て気分を高揚させたりしています。これらのほとんどは舌や目や耳など感覚器官を通じて取り入れた外部からの刺激がもたらしてくれるものですが、そういった外部の物が全くなくても心地よさを感じることのできる内的な道具も幾つか持っています。
 そして、その中の一つが“そしゃく”であると私は思っています。もう一つは“歩行”で、きっとその他にもいくつかあると思います。
 快適にそしゃくしていれば、それだけで自ずと心地良くなります。「心地よさとは、どういう状態で、そのためには脳から○○というホルモンあるいは化学物質が放出されている」と科学者は分析されるのかもしれませんが、私はそこには理由付けは必要ないと思っています。哺乳動物の一種である私たち人間は、生まれたばかりの赤ちゃんが母親の乳房に唇を吸い付けて一心不乱にそしゃく筋を働かせて乳を吸いますが、それが本来の姿だと思います。そしゃくすることが本来の状態であって、本来の状態になれば、“自ずと心地良くなる”のだと私は考えています。ですから、内的に心地良くなりたい、安らかな気持ちになりたい、リラックスしたいと考えるのであれば、快適なそしゃく、正しい噛み方を身に付ける必要があるのではないかと思います。

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 もうずいぶん前の話ですが、大事な契約書を取り交わす直前になって胃がキューっと縮むように痛くなった経験があります。「これが、神経性の胃の痛みということか?」とその時に思いました。”神経性胃炎”というのは確かに存在するのだと実感しました。
 私の場合は、その時以来、それほど胃が痛んだことはありませんが、毎日のように精神的ストレスを感じている人は、これに近い経験を毎日のようにしているということですから、胃潰瘍や、さらにそれが重症化して”胃に穴が開いてしまう”状態になってしまうのも理解することができます。

胃が傷つく‥‥器質的変化、病変
 胃自体がおかしくなって「胃の調子が悪い」「胃が痛い」となりますと、それは胃が傷ついて病変したということですから、医師に罹ってしっかり治療しなければなりません。
 嘔吐や胸焼けなどで胃液が口の方に上がってきた経験をお持ちの方は知っていると思いますが、胃液の中には胃酸と呼ばれる強い酸性の消化液(酸っぱい)が含まれています。胃酸は強い酸性の液体ですが、胃の中に入った食物を殺菌して消化する働きをしています。ところで、その強い酸は胃自体を傷つける可能性がありますので、そうならないように胃液に含まれる粘液が胃壁を守る働きをしています。
 健康な胃は胃酸と粘液をバランス良く分泌しますので問題になりませんが、粘液の能力を超えて胃酸が出過ぎますと、やがて胃壁が傷つき、炎症が起こったりして胃の器質的変化が始まり病気の状態に進んでしまいます。

 胃を傷つける要因として以下の項目が考えられているようです。
①薬の副作用
 鎮痛薬のロキソニンは胃薬と一緒に飲むことを勧められますが、それはロキソニンに含まれている成分が胃を傷つける可能性があるとされているからです。
 消炎鎮痛薬は胃壁を傷つける可能性がありますので、長期間服用するときは胃粘膜保護剤を一緒に服用した方が良いとのことです。

②過度のストレス
 過度のストレスがかかりますと自律神経の働きが乱れて胃液の分泌が過剰になり、胃の粘膜を傷つけるとされています。精神的ストレスだけでなく、暴飲暴食など胃に負担をかけることも胃液の過剰分泌を招くので気を付けなければならないということです。

③アルコール、コーヒーなどの飲料
 リラックス効果が期待できる反面、胃を刺激して胃酸を増加させる可能性がありますので摂りすぎないよう注意が必要だということです。

④ピロリ菌
 ピロリ菌は胃潰瘍や慢性胃炎、胃がんの原因になる可能性があるとされています。


自律神経と内分泌(ホルモン)
  胃をはじめ、私たちの内臓諸器官は自律神経によってコントロールされています。ですから内臓の働きや状態を整えようと考えるなら、まず自律神経を整えることを考えなければなりません。しかしながら実際の医療現場では、この単純で基本的な理屈を何処かに忘れ去っているようです。
 “規則正しい生活習慣”、“お腹を冷やさないために、シャワーだけで済まさずに湯船に浸かる”、“ご飯はよく噛んで食べる”、“気持ちよく歩く”、これらは自律神経を整える上で大切な事柄ですが、そのように指導されるお医者さんは少なくなってしまったようです。

 自律神経の働きとともに忘れてはいけないものがあります。それは内分泌系の働き、つまり“ホルモン”です。ホルモンについてはまだまだ解っていないことが多いようですが、細胞に働きを促す命令書のような存在だということです。
 病院での治療でよく使われるステロイド剤は、本来副腎という臓器(の皮質)で作られるホルモンで、血液の中に分泌されて全身の細胞に届いて働きます。ステロイドホルモンを受け取った細胞は、ストレスや炎症を緩和する働きをするようになり、結果として私たちのからだがストレスに打ち克ち、炎症を除去することができるようになります。
 ところで副腎はいつステロイドホルモンを産生するのでしょうか? また、どういった合図の元に産生するのでしょうか?
 それは脳下垂体から副腎に対して「ステロイドを産生せよ」という命令が届くことによって行われるということです。この脳からの命令もホルモン(副腎皮質刺激ホルモン)の形をとって血液の中に分泌され副腎に届くようになっています。
 つまり、からだの何処かに炎症が起きたり、ストレスを被った時などに、脳がそれらを処理するために副腎に対して命令を送り、ステロイドが生産されて処理が行われる仕組みになっています。(投薬などでステロイドが外部から与えられますと、脳と副腎の一連の連携と働きが省略されてしまいます。その状態が長期化しますと脳と副腎の働きが弱まります。その影響で副作用が起こる可能性が高いと考えられています。)

 胃に食べた物がやってきますと、それを消化するために胃自体が蠕動運動を起こし、食物分解のために胃酸が分泌されます。胃の蠕動運動には自律神経が、胃酸の分泌にはホルモンが関わっています。
 ですから、「胃の健康」を考えるときには、“自律神経の働きとホルモンの分泌”という両面で考える必要があるということになります。

胃のツボや反射区は有効か?
 薬を使わずに胃の状態を整えようとする時、いくつかの手段があります。鍼灸治療はその一つです。私はその理屈について詳しく知りませんが、おそらく経絡(ケイラク)や経穴(ツボ)を利用して治療されるのだと思います。

中脘
足三里2

 足三里というツボは有名でよく用いられますが、それは胃の経絡上にあります。そしてお腹の臍の上部には中脘(チュウカン)という胃のツボがあります。

 「足つぼマッサージ」という名称で呼ばれている足の反射療法(リフレクソロジー)には、“胃の反射区”を刺激することによって胃の状態を改善することができるという理屈があります。そして反射区は手にもありますので、胃の不調を訴える方に対して、私は両手両足の反射区を揉みほぐしますが、実際、即効的な効果を期待できることもあります。(全ての胃の不調が改善されるということではありませんが、有効性は高いです。)

足裏_胃の反射区

掌_胃の反射区

 反射区の効果については、私は二通りの考え方をしています。日々のボディケアとして反射区を利用するなら、いわゆる「足つぼマッサージ」店が普通に行なっているような、一つの反射区に対して数回の刺激を足裏や手のひら全体に行えばよいと思います。しかし、即効性を求めたいと考えるなら、それでは不十分です。「今、胃が痛いのでなんとかしたい」のであるなら、胃の反射区をしつこいくらいにほぐさなければなりません。持続的な指圧が適していると思います。力不足などの理由で、思うように指圧ができないならツボ押し棒などを用いて、3分とか5分とか痛みをこらえながら押し続ける必要があります。グイグイ押すと皮膚を痛めたり水膨れができたりしますので、グイグイ押すのではなく、ジーと押し続けることをお勧めします。
 するとある瞬間に、フッと緩む感じとともに痛みが和らいでいくのが感じられると思います。是非、そこまでやり続けてください。
 一回では改善しなくても、2日、3日とやっているうちに胃の状態が良くなることもあります。

 今回の記事も含めて三度にわたり胃の問題に対する私の考え方を説明させていただきました。
 背骨と胃のハリの関係、お腹側の問題と胃の不調、そして今回の胃の器質的変化、これら三つの角度でアプローチすることで胃の問題の多くは対応可能だと思っています。
 器質的変化が慢性化した状態、つまり胃の病状が進行した状態は、医師の治療が最優先です。
 ところで「場を整える」という考え方は大切だと思います。胃が自ら治ろうとしたとき、胃が置かれている空間(腹腔)に余裕があって、血液がしっかり届いて酸素と栄養が十分に供給される環境が大切です。体温も重要ですから、お腹を冷やさないようにしなければなりません。
 これらの記事が情報として少しでもお役に立てれば幸いです。

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 「胃がもたれる」「胃がピリピリする」などの訴えがあった場合、胸郭の柔軟性が失われていたり、胸郭が胃の動きを阻害していたり、腹筋のこわばりが胃を圧迫している可能性なども考えられます。
 胸郭は胸椎と12本の肋骨でできた籠のようなものですが、その中に肺と心臓と食道が収まり、胸郭の底には横隔膜があります。そして横隔膜に接するように肝臓(右側)と胃(左側)があり、そのすぐ下に大腸の横行結腸が通っています。

体の前面

 呼吸で息を吸いますと肺が広がりますが、実は肺自体が自ら弛緩して拡がっているのではありません。肋骨が拡がり、籠の底(横隔膜)が下がることによって胸郭全体が拡がる仕組みを利用して、肺が拡がり空気が入るようになっています。ですから肋骨が拡がらなければ、また、横隔膜が収縮しなければ、息を吸っても空気は入ってきてくれません。
 そして、”胃もたれ”や”胃のつかえ”を感じるときは、胸郭が拡がりにくく横隔膜の運動が不十分である場合が多いようです。

胃と肝臓と骨格との位置関係

 さて、胸郭は下部では腹筋と背筋などによって骨盤につながっています。ですから、腹筋や背筋などがこわばって伸びにくい状態ですと、息を吸うとき上に上がってきてくれなくなります。さらに腹筋の中の外腹斜筋は胸郭を内側下方に動かす働きをしますので、外腹斜筋がこわばった状態ですと、胸郭は(正面から見て)幅が狭くなります。胸郭のゆとりが失われ、胸の厚みは増し、しかし細く絞られたような感じになります。見るからに息苦しそうです。
 その他にも肋骨の動きを制限してしまう筋肉がありますが、それらによって胸郭が身動きできない状態になってしまうことがあります。そうなりますと、狭い胸郭の中で心臓は動かなければなりませんし、胸郭の下部に接している胃や肝臓も窮屈な状態になってしまいます。
 この状況で、腹直筋のみぞおちの部分に硬いこわばりができていしまいますと、それによって胃はさらに圧迫を受けますので不調が増大した状態になってしまいますが、実際、胃もたれなどの症状を訴える時はそのような状況になっていることがとても多いです。

腹直筋のこわばりによる胃もたれ、圧迫感
 みぞおちのところが硬くなって胃の不調を訴えることがあります。「胃が炎症して張ってしまったのか?」と考えることもできますが、胃は張ると背中側に膨らむようですので、私は腹筋がこわばって硬くなり、その硬結が胃を圧迫していると考えて施術を行っています。実際、みぞおちのところがこわばっているのは腹直筋のこわばりです。

臍の「ゆ」によって胸郭が下がり胃を圧迫

 「どうして腹直筋のみぞおちのところがこわばるのか?」よく聞かれる質問ですが、お腹の冷えが原因であることが多いです。お腹が冷えている人はみぞおち部分に限らず、腹筋の深部が硬くなっています。手を深いところに押し込んでいきますと”まるで板のよう”と感じることもあります。腹直筋の表層は脂肪もあって柔らかいのですが、2㎝、3㎝‥‥と手を入れていきますと、とても硬くなっている部分につきあたることがあります。このような場合は、ほとんど冷えが原因だと思いますので、お風呂でゆっくり温まるだけで胃もたれは少し良くなるかもしれません。
 「お腹が冷えると腹筋の働きが悪くなって硬くなるのはわかるけど、どうして胃のあるみぞおちの部分が圧迫されるのか?」という素朴な疑問が沸くと思いますが、それを説明しだしますと長くなってしまいますのでここでは省略させていただきます。

手や腕の問題からくる胃の不調‥‥前鋸筋と腹斜筋のこわばり
 胃の問題を整体的に考えますと、胸郭の在り方はとても重要なポイントです。胸郭が狭い、胸郭が動かない、胸郭が硬い、胸郭が閉じている、これらの状態は胃の不調と浅い呼吸状態の原因になります。胸郭は背骨(胸椎)と12本の肋骨でできていますが、まず「それはとてもフレキシブルで、しょっちゅう動いてますし、いろんな要素で状態が変わるものである」と申し上げます。ほとんどの人は「骨なので動かない」というイメージを持たれていますが、それはまったく間違いです。
 息を吸うとき胸郭は拡がりながら持ち上がるのが普通の状態ですが、それは胸郭の上の方で筋肉が収縮して胸郭自体を持ち上げるのと同時に、肋骨と肋骨の間にあります外肋間筋が収縮し、胸郭の下方にあります腹直筋や腹斜筋が緩んで胸郭が持ち上がることを許すことを同時に行っているからです。ですから、肋骨でできている胸郭は関連する筋肉によって動いていることをまずイメージしてください。

身体前面胃の不調

 さて、腹筋の中には外腹斜筋と内腹斜筋があって、両方とも上半身を斜め方向に動かしますが、互いに反対方向に作用しあっています。例えば右側の外腹斜筋が収縮したり、こわばった状態になりますと、胸郭を右上外側から左下内側に向けて動かした状態になります。ですから両側の外腹斜筋がこわばりますと、胸郭は下に向かうほど内側に入りますので、胃や肝臓のある上腹部は狭い状態になってしまいます。この状態を正面から見ますと、上半身が細くなってゆとりがなくなっているように感じます。外腹斜筋のこわばりによって肋骨の動きは制限されていますので、呼吸は、腹部がペコペコ動いているくらいの状態になってしまいます。
 ところで、外腹斜筋のこわばり状態の要因はいろいろ考えられますが、実際のところ、最も多い原因は手の使い方であり、親指の状態と密接に関係しています。そして親指の状態と密接に関係している筋肉がもう一つありますが、それは前鋸筋です。前鋸筋は肩甲骨と胸郭を結び付けている大きく強力な筋肉です。パソコン業務など腕や肩を前に出している状態が長いと前鋸筋がこわばります。そして親指を使いすぎると前鋸筋はこわばります。デスクワークの仕事に従事している人たちのほとんどは前鋸筋がこわばっていますが、そうなりますと胸郭の動きはとても制限された状態になります。息を吸っても吐いても肋骨が動かなくなってしまいます。
 外腹斜筋がこわばり、前鋸筋がこわばった状態では、満足な腹式呼吸ができないため胸郭や横隔膜の動きは悪くなります。さらに胃や肝臓の居場所も窮屈ですので、「狭い場所でじっとしていなければならない」状態になってしまいます。私たち自身、どこか狭い場所に閉じ込められて身動きできなければ、気分は落ち込み体調も悪くなってしまいます。そう考えれば、胃や肝臓が不調になってしまうのは当然と思われます。胃は不調になれば不快さや痛みというサインをくれますが、肝臓は無言のままです。こんな状態のときは、胃も心配ですが肝臓も心配ですね。
 正面から見ると上半身が細く、しかし横から見ると胸に厚みがあって、呼吸をしても胸はほとんど動かず、胃の調子が悪いと感じているならこんな状態かもしれません。

座りすぎと胃の不調‥‥腸骨筋のこわばり
 先日、チェロを演奏されていらっしゃる女性が来店されました。「楽器を脚の間に挟んで椅子に座り続けるので、それがけっこうきつくて‥‥」と仰っていましたが、股関節の筋肉がかなりこわばっていることが予想できました。

座り続ける弊害_腸骨筋のこわばり

 腸骨筋という筋肉が骨盤の内側にあります。大腿骨を骨盤につなぎとめて股関節を安定させ、太もも引き上げる働きをしていますが、座る姿勢を保つためにも働いています。また長内転筋という筋肉があります。椅子に座りながら脚に力が入っている人はこの筋肉がこわばってしまいます。足を組まずに、意識的に背筋を伸ばして姿勢良く座っている人のは、その姿勢を維持するために知らず知らずのうちに内股に力が入ってしまうのですが、それによって長内転筋や恥骨筋がこわばってしまいます。
 ここで筋肉連動の話になりますが、腸骨筋は太ももの内転筋である薄筋と連動関係にありますので、腸骨筋のこわばっている人は薄筋もこわばっています。あるいは反対に薄筋のこわばっている人は腸骨筋もこわばっています。
 つまり、デスクワークやその他のことで長く座り続けている人は、腸骨筋、恥骨筋、薄筋、長内転筋がこわばりやいと言えます。そしてこれらの筋肉は隙間の狭い鼡径部に影響をもたらします。筋肉はこわばると硬く太くなりますので、これらの筋肉がこわばりますと、狭い鼡径部の隙間が益々狭くなり、その中を通っている動脈、静脈、神経を圧迫することになります。これは下半身にむくみをもたらす原因の第一ですが、血流が悪くなることによって腹筋の働きが悪くなり、また内臓の働きに影響がでるということも考えられます。
 「呼吸が浅いし、胃がピリピリする」という方の薄筋と長内転筋がこわばっていましたので、「ちょっと痛いですが」と申し上げて、直にそれら内転筋を引き延ばしてストレッチしたところ、その場で呼吸と胃の問題が改善したことがあります。

 ですから、長時間デスクワークで座り続けているような人は、内転筋をゆるめるストレッチを毎日行ってみてください。きっと早々に効果が感じられると思います。
 チェロの奏者の方は、実際のところ無理な姿勢で我慢しながら座り続けているわけで、内転筋というより腸骨筋自体がとてもこわばっていました。そこで、腸骨筋をゆるめるストレッチを左右10秒間ずつやっていただきました。すると、途中までしか回らなかった首が、十分に最後まで回るようになりました。一つは股関節の動きが良くなったことに連動して首の動きも良くなったと考えることができます。もう一つは、腸骨筋が緩んだことで腹筋のこわばりがゆるみ、下がっていた胸郭が本来の位置に戻ったので首の筋肉に余裕が生まれ、動きがスムーズになったと考えることができます。

 前回は”背中側から見た胃の不調”について取り上げました。そういう観点で、今回は”お腹側から見た胃の不調”について説明させていただきました。
 繰り返しになりますが、胃の調子の悪い人を、お腹側から観察しますと以下のような特徴を見ることができます。
①胸が下がっている‥‥腹直筋と腸骨筋のこわばり
②上腹部が窮屈そうで胸郭の動きが悪い‥‥腹斜筋のこわばり
③呼吸が浅く、息を大きく吸うことができない‥‥胸郭が動かない
 ですから、これら3点を改善することが整体的なアプローチになります。そして、これらは生活習慣(湯船に浸からずお腹が冷えている、お腹を冷やすものを好んで食べている等々)、普段の姿勢やからだの使い癖によってもたらされる状態ですので、それらを改めないと根本的な解決にはなりません。

 これまでの経験で申し上げますと、施術によって胃の不調はかなり改善すると思います。しかし、日が経つとまた胃の不調に悩まされるようになってしまう人が多くいます。私は施術の時に、症状をもたらしている直接的な原因と思われることや、再びそのような状態にならないために気をつけてほしいことなどを申し上げるようにしています。

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 胃の不調を訴える方々の状態を観察しますと、大きく3つくらいのパターンに分けられるようです。
  • 胃そのものが不調だったり病気の状態だったり場合
  • 胸郭の動きが悪くなっていたり、腹筋のこわばりが胃を圧迫している場合
  • 背骨が捻れている影響で呼吸や胃の状態が悪くなっている場合
 ですから、同じように感じる胃の不調であったとしても、少なくとも3つの側面から状態を確認して対応しなければならないと私は考えています。
 今回は、3番目の背骨が捻れているために胃の調子が悪くなっているケースについて取り上げます。

 その方は女性ですが、「子供の頃から胃腸が弱かった」ということです。二人のお子さんを持つ母親である現在も、しばしば胃の不調に悩まされています。自覚症状としては、食事が食べられなくなるほか、背中の上部に硬結と圧迫感を感じる、胃の存在感を感じるなどですが、その他、呼吸が浅くなって息苦しい症状もあります。

 からだに対する私の観察では以下の状態が見られました。
  • 胸郭が狭く(正面から見ると“細い”)なっているため胸郭内の臓器(肺、心臓、肝臓、胃、食道)が圧迫された状態になっている。
  • 本来は呼吸に合わせて動いている胸郭の動きがほとんど無く、横隔膜の動きも悪いので、酸欠状態に近くなっていると思われる。
  • 胸椎の4~6番が大きく右(頭部から見ると反時計回り)に捻れていて、その右側が盛り上がるように硬く張っている。他に同じような捻れを持つ脊椎は頚椎2番、6番、7番、腰椎4番。
 胃の不調や器質的変化の兆候の一つとして“背中のハリ感”があります。胃は張ると背中側に膨らむということですが、そうなりますと“胃がもたれる”状態を超えて“背中が張って息苦しい”状態になるようです。背中を床につけるのが嫌なので仰向きで寝ることが出来ず、横向きやうつ伏せ寝でないと眠れなくなってしまうかもしれません。

胸椎の捻れによる背中のハリと胃の不調

 さて、こんな状態の方ですが、捻れている胸椎を私の手を使って正しい状態に戻しますと、途端に息が入って呼吸が楽になるのが感じられました。そのままその状態を少し保っていますと、「胃や腸が楽になる」と仰いました。そして、私が操作していた手を胸椎から離してしまいますと、すぐに不調の状態に戻ってしまいました。
 つまり、今回の胃の不調と背中のハリは胸椎が捻れていることが主な原因だったということです。ですから、胸椎の状態を改善できれば胃の不調は改善されるということですので、そのような施術を行っていきました。

 胸椎の上部では頚椎の6、7番が同じような捻れをしていました。そしてその上部を探っていきますと頚椎2が同じように捻れていまして、その頚椎2番を私の手で正しい位置に戻すと、頚椎6、7番、と胸椎3~5番の捻れも戻り、呼吸と胃の状態が楽になるのが確認できました。ですから、頚椎2番の捻れを修正することが、今回の問題を解決するための施術になります。
 途中の経過は省きますが、左肩関節と左手に問題があって頚椎2番が捻れた状態になっていましたが、その原因をさらに追っていきますと左の膝関節で下腿(膝下)が外側にズレていて、その原因は左足にありました。この方は腰が大変悪く、その影響で歩き方に問題があります。現在、歩き方を直すことに取り組んでいますが、その過程で左足のバランスが悪くなっていること、さらに目の使い方や頭の使い方の癖(考え方の癖など)もあって頚椎が捻れやすいという要素を常に持っています。
 「子供の頃から胃の調子が悪い」ということでしたが、もしかしたら腰を悪くする以前から歩き方がおかしかった状態で、そこに頭や目の使い方の問題が絡んだときに“胃の不調”がやってきていたのかもしれません。

 別の例では、「この何日間か胃の調子が悪く、背中が張って頭もモヤモヤ重たい」という方が来店されました。上記の例の方ほど状態は悪くありませんが、やはり胸椎6番が頭から見て反時計回りに少し捻れていました。この方の場合は頚椎2番が上記の例とは反対に時計回りに捻れ、かつ少し左にずれていました。原因としては二つありまして、一つは眉間から眉にかけてこわばっていたこと、そしてもう一つは右顎につよい噛みしめがあったことです。

後頭下筋群と上部頚椎

 上目使いをする人、猫背などで首が前にでている人は物を見るときに眉間から眉にかけてのラインに力を入れてしまいますので、そこがこわばっていることが多いです。すると後頭骨と頚椎1、2番を繋いでいる後頭下筋群がこわばりますので、頚椎2番の棘突起を引き寄せるためストレートネックになったりします。また食いしばったりして顎の筋肉(そしゃく筋)がこわばりますと頚椎1番を引き寄せます。おそらくその力関係で、頚椎1番が右にずれた反動で2番が左にずれ、なおかつ時計回りに捻れたのではないかと思われます。ですから、右顎のこわばりを取って、眉間周辺のこわばりを取る施術を行いました。
 「どうして眉間に、特に右側の眉ラインやおでこに力が入ったのですかね?」と尋ねますと、「スマホを買い換えたばかりで、けっこう凝視していたからかなぁ‥‥」と思い当たることがあったようです。

 「肩こりをほぐして欲しい」と来店される方の場合、ベッドにうつぶせ寝の状態から施術に入るのがほとんどです。最初に背中の様子を見ますが、私は背中を大きく4つの区分に分けて観察します。背中の上部、肩甲骨の部分までが第1区分、その下~胸郭の上2/3くらいまでを第2区分、胸郭の下1/3~腰部の上部までを第3区分、そしてその下から骨盤までを第4区分といった感じです。
過去のブログでは背中を3つの区分に分けて記事を投稿しましたが、今は4つの区分に分けた方がより実用的であると考えています。)

背中の張りや痛みの原因区分2

 第1区分のハリの多くは肩甲骨の位置がズレていることや肩甲骨に関わる筋肉がこわばっていることが原因です。そして第2区分のハリは胃の状態などに関係していると考えています。第3区分は腎臓の腫れがハリをもたらしている可能性が高いと思いますし、第4区分のハリは腰痛に関連する筋肉のこわばりである可能性が高いと言えます。

 そのように観察しながら施術を行いますが、第2の区分にハリや硬さなどがある場合は、胃の調子などを尋ねるようにしています。肩が凝る
要因はいくつかありますが、胃腸の具合が悪いときに肩が張ってしまうことはよくあることです。ですから、肩こりを解消してスッキリしていただくためにも、胃の調子に関連した背中のハリは気になるところです。
 そして、背中の第2区分にハリがある場合は、大抵胸椎が歪んでいます。胃が張っているから胸椎が歪んでいるのか、それとも胸椎が歪んでいるから胃が張っているのか、それをしっかり鑑別して施術を行わなければなりません。そこで間違ってしまいますと“無駄な施術”、“意味の無い施術”になってしまいます。

 余談になりますが、仰向けで眠ることが出来ない人がけっこういます。①座り仕事が多くて腰や股関節の筋肉がこわばって伸びない、②舌がゆるんでいたり、喉が捻れていて仰向けだと気道が狭くなってしまい、イビキ、無呼吸になってしまう、③内圧の高くなった(腫れた)腎臓が肋骨で圧迫されたり、胃の張りで背中を床に着けたくない、などの原因が考えられます。

脊椎の調整と背中のツボ
 東洋医学では、背骨に沿って内臓を調整するためのツボ(?穴)があると考えられています。また、内臓の働きを調整している自律神経も背骨に沿って通っていますので、「背骨に沿って?穴を指圧すると内臓の働きが調整される可能性がある」と整体の学校では教えます。実際、お客さんの反応は「気持ちいい」「心地良い」というのが大半ですので施術に取り入れることも多いのですが、「本当に、内臓の調整効果があるのだろうか?」と思いますので、そのうち実証実験をしてみたいと考えています。
 ところが、歪んでいる脊椎を調整しますとからだの状態が変わることは実体験としてわかっています。頚椎の歪みを直しますと、モヤモヤしていた頭がスッキリしたり、噛みしめて痛みや重苦しさを感じていた顎周辺が楽になったり、動きの悪かった首が良く回るようになったりします。腰痛の時は大概腰椎が歪んでいますので、腰痛を改善するための道標として腰椎の状態を確認しながら施術したりします。そして胸椎の歪みを直すことで、呼吸が改善し胃腸の調子が良くなったりします。

 おそらく現代医学ではこのような観点はないでしょうから、“背骨の微妙な歪みや捻れが体調不良の原因かもしれない”という発想はないと思います。しかし現実は現実ですから、背中のツボの件も含めて、背骨と体調との関係を研究して医療の現場に取り入れていただきたいと願っています。

 胃の問題に対する別のアプローチについては別途取り上げたいと考えています。

足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
メールアドレス info@yumetowa.com
ホームページ http://yumetowa.com

 その人は30歳代半ばで、やや痩せている男性です。来店されるなり、内臓の検査データなどをお見せになりからだの不調について説明されはじめました。まだまだお若いのにたくさん不調を抱えておりました。
 「内臓が不調になったので、からだが歪んだのか? あるいは、からだが歪んだ状態が長く続いたので内臓が病変したのか?」
 皆さんは、どちらのケースが多いと思われますか。“操体法”という整体法の産みの親である橋本敬三氏(故人、医師)は「からだの歪みが原因で病変している場合の方が断然多い」という主旨のことを語っております。私は医者ではないので、そのことの真偽について私見を述べることはありませんが、整体師という立場では「からだの歪みを修整することで内臓の働きが戻り、病気が良くなってくれれば嬉しい」と考えています。そしてこの度来店された方に対して、そのように対応させていただきました。

右半身に問題あり‥‥右半身が下がっている
 右の顎関節の開きが悪く、胆嚢の機能が悪く、胃・腸に問題があり、子供の頃からアトピー性皮膚炎で現在も治らず、いびき、無呼吸症候群‥‥、ざっとこんな症状をお持ちで、その他にはコレステロール、動脈硬化の傾向があるとのことでした。子供の頃から一生懸命サッカーをやっており、激しく動いて血流が盛んになっているときは症状が緩和していたことから、普段の血流にも問題があるのではないかと考えておられました。
 からだを見ますと、確かに大きく歪んでいました。上半身が左下の方に、頭から見て左巻きに捻れていて右顎、右鎖骨、右胸が骨盤の左側にむけて強く引っ張られている状態でした。右顎関節の問題は、この捻れによる影響が大きかったです。下顎骨の右側(右のエラ)が下に引っ張れているので、口を閉じるのに余計に力が要ります。ですから右側の咬筋が左側より力を入れて使うように必然的になってしまいますが、その結果右側の咬筋が噛みしめ状態となり顎の開きが悪くなってしまいます。
 また、胸郭が左巻きに捻れていることによって横隔膜の動きは当然悪くなり、腹式呼吸が不十分な状態になっています。さらに、同じ理由で胸郭内の右側、つまり右肺や肝臓も常に圧迫されていることから働きが低下していることが予想されます。胆嚢は肝臓系の機能の一部ですので、ここは厳密に対処しないといけない、と考えました。
 この方に限らず、胸郭の右側が圧迫されて不調を訴える方に対しては、細部にわたって調べ、対応しなければならないと考えています。なぜなら、そこには肝臓があるからです。少し話は難しくなりますが、肝臓は静脈系の臓器です。静脈系ということは自分の力で血液を流すことは苦手であり、心臓のポンプ力も及ばないので、周りの助けによって血液を巡らせなければなりません。
 ふくらはぎが浮腫みやすく“第2の心臓”などと呼ばれることがあるのは、心臓から離れているので心臓のポンプ力は及ばないため、歩くことによって筋肉を動かし、筋肉が収縮と弛緩を繰り返す力(ミルキングアクション=乳搾り)を利用して血液を循環させなければならないからです。静脈やリンパは動脈のように搏動しませんので、その周りの筋肉運動の力を頼りに血液やリンパ液を心臓に向けて進ませる仕組みになっています。
 食べた食物は胃や十二指腸など消化器系によって分解され、小腸で栄養成分として吸収されて血液の中に入ります。その後、その栄養豊かな血液は門脈(門静脈)と呼ばれる静脈を通って肝臓へ送られます。そして肝臓で解毒・分解・合成されてからだに必要な物資として生まれ変わります。血液の中にある余分な糖分はグリコーゲンとして蓄えられ、アミノ酸はタンパク質に合成され、有害物質は解毒され無害化されます。このように肝臓で処理された血液が心臓に戻り、肺でガス交換された後、動脈血となって全身に送られる仕組みになっています。ですから肝臓の働きが悪くなりますと、新陳代謝に必要な物質が欠乏してしまうことになります。その状態が続きますと、やがて私たちはからだを正常に維持することができなくなってしまうのです。

肝臓の働き

 さて肝臓は静脈系ですから、周りの力を借りて血液を循環させています。門脈を通って肝臓に入った血液は、肝臓の中の細かい道(毛細血管)に枝分かれします。それは、川が小川に分かれ、小川がさらに細かいチョロチョロの流れに分かれ、水の流れがとてもゆっくりになるのと同じです。とても細いところをゆっくり流れる水は岸辺の草や水中の石や微生物の作用を受けて浄化されます。浄化された水は再び合流して小川となり、やがて本流に合流しますが、その時には川の水はすっかりきれいになっています。肝臓における処理もこれと同様だということです。
 ところで、細い川の流れが滞るとどうなりますでしょうか。水はゆっくりでも流れていれば“浄化”に働きますが、水溜まりのように流れがなくなってしまいますとやがて“腐敗”し悪臭を発生するようになってしまいます。ですから肝臓内の血液は流れが停滞してしまってはいけません。うっ血状態になってしまっては病気になってしまう可能性が高まります。

体の前面01
 
 肝臓は横隔膜のすぐ下の右側に位置しています。ですから腹式呼吸による横隔膜の運動は肝臓内の血流に影響力があると考えることができます。腹式呼吸では、息を吸ったときに横隔膜が収縮して胸が拡がり腹部が圧迫されます(お腹が前にでる)。つまりこの時肝臓は横隔膜と他の臓器に挟まれて圧迫をうけます。次に呼気(息を吐く)の時は横隔膜が弛緩して腹部がゆるんで拡がります。それまで圧迫を受けていた肝臓は解放された状態になります。呼吸運動に合わせて行われる圧迫と解放の繰り返しはミルキングアクションです。ふくらはぎの血液が少しずつ心臓に向かった進むように、肝臓内の毛細血管にある血液も少しずつ前進します。ですから肝臓にとって横隔膜の運動はとても大切ですし、肝臓が位置している胸郭(肋骨)の状態も大切だと整体的には考えることができます。
 胸郭が捻れていて肋骨が常に肝臓を圧迫しているような状態は、肝臓の力を弱めてしまうと考えられますが、この方の上半身の捻れは正にそのような状態であったと言えます。

腹直筋と外腹斜筋と内腹斜筋
 私たちが会話で普通に話している「腹筋」には、正確には四つの筋肉があります。腹筋の発達した人のイメージは「お腹の筋肉が割れている」なのかもしれませんが、その筋肉が腹直筋です。その他に、筋線維がお腹を斜に走る外腹斜筋、内腹斜筋、そして横に走る腹横筋があります。さらに施術的観点では、腹直筋は中心から3つのラインに分けて考えます。

肝臓の圧迫

 そして、右半身の肋骨下部から上腹部にかけて、つまり肝臓に直接関係する運動を整えようとするとき、右側の外腹斜筋と腹直筋の一番外側のラインの状態は一番気になるところです。
 右半身の外腹斜筋がこわばった状態ですと、胸郭を(頭部から見て)左巻きに捻り下げますので、肝臓は肋骨によって圧迫された状態になってしまいます。あるいは左半身の内腹斜筋がこわばった状態でも同じような状況です。
 胸郭(肋骨)は歪んだ状態ですので、肋骨を足場に運動している横隔膜の動きも当然悪くなってしまいます。
 腹直筋の外側ラインがこわばった状態ですと、息を吸う時、胸郭を上げることができなくなってしまいます。つまり息をたくさん吸い込むことができません。これは腹式呼吸が中途半端な状態になっているということですが、肝臓に対するミルキングアクションが不十分になってしまいますので、肝臓内の血流が停滞気味になってしまう可能性が考えられます。

 外腹斜筋、腹直筋以外の問題で肝臓や胃を圧迫していたり、ミルキングアクションが不十分になっていることも当然あります。
 しかしながら肝臓(や胆嚢)機能のことを優先して考えた時には、この右半身の肋骨下部と上腹部の筋肉の状態は細心の注意を払って観察し、厳密に整えなければならないと私は考えています。

 ところで、この男性は右半身の外腹斜筋と腹直筋、左半身の内腹斜筋に根強い問題がありました。そしてその原因を追究していきますと、両足の指に根本的な問題点が見つかりました。おそらく子供のころから打ち込んでいたサッカーによる影響だと思います。
 現在、海外にお住まいなので次の来店がいつになるかわかりません。日々自分でできるセルフケアをアドバイスしましたが、「上手くやってくれてればいいけど‥‥」と思っています。

整体的な観点でも
 もう長くお付き合いしている方々には、「胃の調子が悪くて」とか「むくみが強いので腎臓かしら」など内科的症状や、時には「歯が痛くなって」という症状で、私のところに来られる人もいらっしゃいます。
 私は整体師ですので、筋骨格系を中心にからだを整えるのが仕事です。薬のことは全く分かりませんし、血液検査の数値を言われてもほとんどわかりません。ですが、実際、からだだけを見て整えていきますと胃腸の痛みや不調、歯痛他、いろいろな症状が自ずと消えていくことがあります。

 ですから「長年、医師の治療を受けているが症状の改善が思わしくない」と感じられていらっしゃるようでしたら、一度ご来店いただければと思います。整体的な観点では「どう捉えるのか?」ということを知っていただくだけでも意味があるかもしれません。

足つぼ・整体 ゆめとわ
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