ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

 肩甲骨の上部に棘上筋(キョクジョウキン)という筋肉があります。筋肉のガイド書などによりますと、肩関節を安定させる筋肉のひとつであり、腕を横に開く=肘を横に上げる(上腕骨の外転)働きをする筋肉と解説されています。
 “肩こり”は私たちにとって厄介な問題ですが、肩こりの根深い芯はこの棘上筋にあるのではないかと私は最近考えるようになっています。
 “肩こり”は幾つかのタイプに分かれます。
 
肩こりを感じる主な筋肉
 
 首の後側の首筋から肩甲骨にかけての“こり”は肩甲挙筋のこわばりが主な原因で、目の酷使や疲労、肩甲骨のズレなどによってもたらされます。
 皆さんが「肩が凝った!」と言って、ついつい手を当ててしまう肩上部は僧帽筋の“こり”であり、運動不足であったり、肩に力が入りやすい性格の人によく見られる症状です。
 首の横の深い部分、鎖骨の後ろにある凹みや、その奥から首の横にかけてガチガチに硬くなり首を動かすこともつらいと感じる場合は斜角筋や胸鎖乳突筋のこわばりであり、歯ぎしりや噛みしめの癖と深い関係があります。
 少し背中側の両肩甲骨の間や肩甲骨内縁に感じる違和感やハリや痛みは菱形筋のこわばりによるものですが、肩甲骨のズレが一番の原因ですので、それを直さない限り、いくら揉みほぐしても解決しません。

棘上筋01

 さて、棘上筋は肩甲骨の上の方の凹み(棘上窩)にありますが、絵で見るイメージより実際は太く強い筋肉です。「いつも肩に何かをしょっているように感じる」「いくらマッサージしても肩の芯の”こり”が取れない」と感じているのであれば、それはこの筋肉の凝りやこわばりによる可能性が高いと思います。
 棘上筋は角度的に、肩上部の方向から指圧するようにしてほぐすことが適していますので、通常のマッサージでは“表面を舐める”程度しか力を及ぼすことができません。マッサージを受けると“痛気持ちいい”と感じるかもしれませんが、“こり”を改善する効果は期待できないと思います。
 私は指圧によって棘上筋の凝りやこわばりに対応していますが、指圧を始めた最初の頃は「痛いけど気持ちいい」とほとんどの人が仰います。ところが指圧によって表面の凝りが取れ、深部に圧が及んで行きますと「痛~い!」となります。通常、だいたい3分程度は持続的な指圧を行っていますが、それでもなかなか芯まではほぐれません。人によっては10分くらい指圧し続けることもありますが、それでも満足にほぐれなかったりします。それくらいこの筋肉の凝りやこわばりは頑固です。私たちが肩こりと長く付き合っていかなければならない理由はここにあるのかな? などと感じています。

棘上筋の“こり”と“こわばり”
 まず最初に私が使い分けて表現している“こり”と”こわばり”について簡単に説明します。“こり”は筋肉内に含まれている血液や水分などの流れが滞ってしまい、内圧が高くなってコチコチに硬くなった状態を言っています。「中身が詰まりすぎた状態」とイメージしていただければと思います。“こわばり”は筋肉自体が収縮して硬くなっている状態、あるいは収縮する方向に力が働いていて“張っている状態”を言っています。筋肉を使いすぎると硬くなりますが、それは“こわばり”状態です。筋肉が何かの力で引っ張られますと、伸ばされたくないので縮む方向に力が作用します。この状態も“こわばり”です。ストレッチ運動をして筋肉を伸ばしていきますと、あり段階で痛みを感じ「これ以上伸ばすことは無理」と感じたりしますが、それは筋肉が弛緩伸張状態からこわばりに転じたということですので、それ以上伸ばし続けると筋肉を傷める可能性がありますので気をつけなければなりません。
 “こり”は内圧が高い状態、”こわばり”は縮んで伸びない状態、と大雑把にイメージしていただければよいと思います。

 さて、棘上筋のこわばりについて考えてみます。使い過ぎるとこわばり、余計なテンションがかかるとこわばりる、といった観点で考えてみましょう。
 棘上筋は肩甲骨と腕(上腕骨)をつないで肩関節の安定に貢献し、肘(腕)を横に上げる(上腕骨の外転)働きをすると説明されていますが、実は地味な働きをするインナーマッスルです。ですから、実際には肘を上げるという表だった動作よりも、上げた肘を降ろさないように保持する働きをしていると考えた方がよいと思います。
 例えば、本やノートに目を近づけてペンを使い続けている学生は、脇を開いた(肘を上げた)状態で字を書いているわけですが、この姿勢は棘上筋を使い続けている姿勢です。
 (以前に取り上げた)“首肩に力が入りやすいタイプ”の人は、親指と人差し指を中心に物を持つ傾向がありますが、そうしますと自然と脇が開いてしまいます。それはつまり、棘上筋を使っているということです。パソコンのキーボードを打つ時に肘が上がっている人は棘上筋を作動し続けているということです。

 また、棘上筋は腕を肩にしっかり結び付けて肩関節を安定させる大事な働きをしています。例えば重い荷物を持って腕が肩から引き離されるような負荷が掛かりますと、棘上筋が収縮して腕を肩にしっかり留めようとします。この時、引っ張る力が強すぎて棘上筋が耐えきれなくなりますと“腱板損傷”などを起こしやすい状態になり、四十肩や五十肩など肩関節周囲炎になることがあります。
 重い物を持つことの多い人、肩関節周囲炎の人や、かつてそうだった人、そういう人は棘上筋がこわばっているか、あるいは反対に疲弊して筋力が発揮できない状態である可能性が高いと思います。

棘上筋の“こり”
 棘上筋は“肩こりが辛くて思わず手を当ててしまうところ”より少し下の深部にあります。ほとんどの人は凝っていますので、その部分を指圧しますと心地良い痛さを感じます。ところが、この筋肉はイメージ以上に厚みがありますので、深部深部へと指圧をすることができます。そして深部は表層以上にこわばりが強くなっていますので、指圧を続けていますと“心地良い痛さ”から”とても痛い”に変わっていきます。
 また、長さも肩甲骨内縁(背骨側)から肩関節付近まで10㎝以上ありまして、内縁側の方が分厚くなっていますので、そのことを念頭に満遍なく指圧してほぐすことが効果的です。指圧をしている時は痛みを感じますが、少しでもほぐれますと肩から荷が降ろされたような感覚になると思います。
 肩の上面にある筋肉(僧帽筋)のこりはマッサージなどで揉みほぐすことができますが、棘上筋は深部にありますし、角度的に背中側からのマッサージではほぐすことが難しいですから、持続的な指圧でほぐすことをお勧めします。

棘上筋のこわばりはO脚やガニ股を招く可能性
 からだの骨格筋には連動しあう仲間の筋肉というものがあります。棘上筋は肩関節の一番深層にある外転筋ですが、股関節で同じ条件をあてはめますと小殿筋が該当します。そして、実際、棘上筋と小殿筋は連動しあっています。つまり、棘上筋がこわばっている人は小殿筋もこわばっているということです。小殿筋は股関節で大腿骨を外転させ、股関節を外に開く働きをしますので、棘上筋がこわばっている人は股関節が開いた状態になりやすく、股間が広がった体型、ガニ股、O脚になりやすいということになります。

ジャイアン

 ドラえもんのジャイアンは棘上筋と小殿筋がこわばった人を表しています。からだが太いか細いかは別にして、このような体型の人を見かけることがあると思いますが、それは改善できないものではなく、棘上筋や小殿筋を整えることによってスマートな状態になる可能性があります。

インナーマッスルとしての棘上筋
 インナーマッスルを文字通り解釈しますと、体表ではなく、体幹の骨格に最も近い、深部にある筋肉ということになります。ざっくり表現しますと、体表にある表層の筋肉は素速く大きな動作を行う働きをしていて、深層にある筋肉は骨格を支え、表層の筋肉が働きやすい状態を築く役割をしていると言うことができます。筋肉は骨格を足場に、自らを伸縮して骨格自体を動かし、からだの動作としています。ですから骨格がグラグラして不安定な状態ですと、上手に伸縮することができなくなり、からだの動作が不安定になります。インナーマッスルは、そうならないように骨格を安定させる働きをしています。
 棘上筋は肘を横方向に上げ、脇が開いた状態を保持するために働きます。例えば日曜大工で、ドライバー(ネジ回し)を使ってネジを回すとき、普通は肘を少し浮かせ状態で作業を行います。脇を閉じた状態では手先だけの動作になってしまい力を入れてネジを回すことができません。この、肘を浮かせた状態は棘上筋の働きによって保たれています。ですから、もし棘上筋が損傷して十分に働くことができなくなりますと、ネジ回しも思うようにできなくなってしまうということになります。

三角筋と棘上筋01

 棘上筋の表層には三角筋があります。肘を上げる動作では棘上筋とともに三角筋が使われますが、動作の主体は三角筋の方になります。三角筋の中部線維が収縮することによって肘を直角近くまで上げることができます。ところが上げた肘を、その状態で保持する場合は主役が三角筋から棘上筋に移ります。例えば肘を直角まで上げた状態を2分間くらい保つとします。最初の内は三角筋が使われていることが実感できますが、時間の経過とともに肩甲骨の上部が気になりだし、そこが疲労を感じるようになります。この状態が長くなりますと“肩こり”になりますが、それは棘上筋が”こわばった"ということです。
 
四十肩や五十肩(肩関節周囲炎)と棘上筋
 棘上筋は太くて丈夫ですから、そう簡単に疲弊して能力が極端に低下することはないと思います。ところが強い衝撃などによって損傷したり、他の筋肉との関係で酷使状態となって働きが悪くなったりすることはあります。
 肩関節が脱臼したり、あるいはそれに近い状態になった時、棘上筋が損傷することはあります。病名としては“腱板損傷”と診断されるかもしれません。(普段持ち馴れない重い荷物を持つ時は注意が必要です。)
 肩関節は棘上筋を含め、他の回旋筋腱板(肩甲下筋、棘下筋、小円筋)によって脱臼状態にならないように支えられていますが、これらの中のどれかの筋肉の働きが悪くなりますと、棘上筋にかかる負担が増えますので、棘上筋は酷使状態になります。その状態が長く続きますと、やがて負担に耐えられなくなって炎症を起こし、筋肉の能力が極端に低下する可能性があります。こうなりますと肩関節を正常に維持することができなくなり、いわゆる四十肩、五十肩と呼ばれる肩関節周囲炎となってしまいます。棘上筋は肩関節の安定に対して貢献度の高い筋肉ですから、棘上筋の損傷や疲弊による肩関節周囲炎は重症化します。腕が肩からぶら下がった感じになり、ただ立ったり座ったりしているだけでも痛みを感じ続けるようになってしまう可能性があります。
 ですから「棘上筋が損傷したかも」と感じた時には、なるべく安静にして筋肉の回復を待ってください。揉みほぐしたり、リハビリ運動などをしてしまいますと逆効果になって重症化への道を進んでしまいます。痛みをこらえながらの「関節が固まらないように動かさなければならない」は、この状態では全くの逆効果です。
 棘上筋の損傷や疲弊状態では、腕が肩関節から少し落ちた状態(上腕骨が肩甲骨から離れる)になりますので肩関節の動きが悪くなったり、他の筋肉に負担が掛かって痛みを感じたりします。そんな時の対処法としては、肩関節を安定させる意味で肩上部から上腕の外側面にキネシオテープを貼ることをお勧めします。それだけで働きの悪くなった棘上筋を補ってくれますので、肩関節は少し安定します。ストレッチや変な運動療法などをするよりも、テーピングをして1~2週間ほど余計な負荷ををかけることなく安静に過ごしていただいた方が筋肉の回復が速いと思います。2週間程度関節を動かさなくても固まってしまうことはありませんので、筋肉が回復してから運動を始めてください。

 私たちは、精神的にも肉体的にも“実は頑固な存在”だと、私は思っています。いろんな人を施術していますと、“こり”というのは肉体的頑固さの象徴なのかもしれないと思います。そして、もしかしたら肉体的頑固さの“根っこ”は棘上筋なのかもしれないと最近感じ始めています。棘上筋のこわばりや硬さはなかなか取れないのです。少し緩和したかな、と思っても2~3日後にはまた硬い状態に戻ってしまいます。
 棘上筋がコチコチに硬くなったとしても、それだけでは、“肩こり”として感じることはないかもしれません。「押されるとそんなに凝っているんだ! と感じるけど」というのがほとんどの人の反応です。
 しかし、「もし、棘上筋のこわばりや硬さが解決すれば、この上なく“肩が軽い”という感触を感じてもらえるのかもしれない」という思いの元、なんとか効率的なやり方はないかと模索している現在です。

 いくつか前の記事で、帝王切開などの手術で腹側の正中線である任脈にメスを入れたりしますと内臓の働きや体調に影響がでるというお話しをさせていただきました。
 今回は背中側の正中線上にメスを入れたりすることの影響について取り上げます。東洋医学(中医学)では背側の正中線を督脈(トクミャク)と呼び、腹側(陰)の任脈同様、からだのエネルギーの通り道として、またエネルギーの調整場所として大切にされています。
 
督脈

 私たちのからだは、腹側(陰)と背側(陽)、内臓系と体壁系という分け方に大別することができます。腹側には内臓があって、それは主として自律神経の働きによってコントロールされています。背側には背骨がありますが、背骨の中には脊髄が通っています。脊髄の先端が膨らんだものが脳であるわけですが、脳と脊髄は私たちも含めた脊椎動物の活動にとってなくてはならないものです。
 「頭をたくさん使う仕事をすると首や背中が張る」、「頭脳労働者は背中が張っている」という現象があります。脳をたくさん使うことは一体となっている脊髄もたくさん使われるので、背骨を中心にその周りの筋肉が張ってしまうことを現しています。オフィスでパソコン仕事ばかりしている人は、姿勢に問題があるだけでなく、目や頭、すなわち脳・脊髄を使い過ぎているので、首や肩や背中が凝りやすいですし、張りやすいと言うことができます。

督脈を傷つけると脳の働きが鈍る?
 側弯症を改善するために手術された若い女性が来店されました。7年ほど前に手術されたとのことですが、その後、思考力が低下し、計算が苦手になり、会話中に言葉がすんなり浮かんでこない、頭の中が真っ白、という症状に悩まされているとのことです。手術を選択したわけですから側弯も強かったのだと思いますが、手術前にはこれらの症状はなく、学業も優秀だったようです。
 背中を拝見しますと、骨盤の上7~8㎝のところから首のつけ根(頚椎6番くらい)までメスで切開した痕がありました。この時点での症状としてはには、頭の中が定まらない、全体的にボーッとした感じがしている、ということでした。そこで、背中の手術痕と頭の関係を確認するために、メスを入れ縫合したところに粘着力の弱い幅2㎝の絆創膏を貼ってみました。すると頭部全体がボーッとした感じ、つまり何処がボーッとしているのか解らない状態だったものが、「頭のこの辺りがおかしい」と指を差して示せるようになりました。症状を出している“元の部分”を絞ることができたことも収穫ですが、背中の縫合部分を何らかの方法で補うことができれば、頭(脳の働き)は変化するということが解りましたので、症状改善のための道筋が見えてきたということです。(この方に対する施術については後述します)

 その他に背中の督脈にメスを入れる手術としては、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症などがあります。今は内視鏡を使用して傷口を最小限にする手術方法もあるようですが、それでも傷は付きますし、場合によっては脊椎の棘突起を切除してしまうこともあるようですので、督脈が乱れる可能性は否定できません。
 また、脳脊髄液を採取したり、液量の調節をしたりする検査法や治療法もあるようですが、やはり督脈の大切さを思うと慎重に考えていただきたいと思います。
 私と同業者の施術方法に脳脊髄液にアプローチする頭蓋仙骨療法がありますが、人によって様々な反応が出るようです。劇的に症状が改善する人、変化がほとんど感じられない人、マイナス方向に反応が出てしまう人、いずれにしても督脈に関係する脊髄、脳、脳脊髄液などに対しては慎重に考えて対処すべきだと私は思います。

尾てい骨付近の打撲によって頭や目などに違和感
 その方は60才代です。常に目に違和感を感じていて「自分の目ではないように感じる」と言います。さらに頭の中も「常にボーッとしている」と言います。目の違和感は20年以上続いているとのことで、今年になって100万円以上の高いお金を払って目の手術を受けました。手術から2ヶ月以上経過していますが、やはり違和感は消えないようです。
 「頭がボーッとして、目がおかしい‥‥」ということは脳の働き、つまり督脈に問題がある可能性も考えられます。もちろん他に原因がある可能性も考えられますが、今回は督脈でアプローチしてみました。

陽谷・腕骨・少沢

 手に「陽谷(ヨウコク)、腕骨(ワンコツ)」というツボがあります。説明は省きますが、陽谷と腕骨が位置している小指外転筋は背骨の際を通る脊柱起立筋と密接な関係があります。つまり仙骨・尾骨と関連しますので、督脈に関係するとツボであると考えることが出来ます。
 この方の場合、この陽谷付近の深い深い部分にコリッとした硬い塊がありました。それをジーッと長い時間指圧しました。途中「目が飛び出しそうな感じがする」と仰いましたが、塊が取れるまで我慢していただきました。そして塊がほぐれますと指圧による痛みも消えて、同時に目が飛び出しそうな感じもなくなったとのことです。
 「そういえば思い出したわ! ちょうど20年ほど前、体調をすごく悪くして吐き出すものがなくなっても吐き続けるような‥‥。とても苦しかったけど、その時目が飛び出しちゃうかもしれないと感じたけど、今、同じような感じだった。」「今、思い出しけど、あのとき以来、目が自分のものではないような感じになって‥‥。」と仰いました。
 その後座っていただき、目や頭の状態を確認していただいたところ、目が自分のものではない感じは消えたとのことですが、目の前がぼやけた感じは少し残っているとのことでした。座った姿勢を観察しますと、骨盤が少し傾いて背骨も少し歪んでいました。尾骨付近を探っていきますと、弱い部分があって、それが原因で骨盤に歪みが生じているのがわかりました。その弱い部分に手を当てて補いますと、クシャッとなっていた骨盤がしっかりし、背骨がスッと伸びました。「これは、かつて尾骨付近を打撲したりケガした可能性が考えられるのですが‥‥」(私)
 そういう記憶は残っていないとのことでした。しかし、座った状態でお尻の溝が右に傾くほど尾骨が歪んでいる状態でしたので、「間違いなく打撲、それも強く打撲したに違いない」と私は感じました。そして、いつもそうするように、その弱くなっている部分にダイオードを貼って自然治癒力を促しました。すると目の前のぼやけた感じも消えたとのことです。(ダイオードについては過去の記事を)

 尾骨は督脈の出発点と言ってもよい部分です。「階段で足を滑らせて尾てい骨を強打した」「スキー(スノボ)で転んで尻もちをついた」「たびたびギックリ腰をしてしまう」「出産後腰の調子が悪い」というような経験をお持ちの人で「どうも頭がはっきりしない」と感じている人は、もしかしたら尾骨付近の問題が絡んでいるのかもしれません。

側弯症を手術した方への施術
 上記で取り上げました側弯症を手術された方についてですが、手術後も側弯症の状態は残ったままになっていました。手術前よりは見た目は当然改善されていると思いますが、側弯症の傾向、つまり背骨の捻れる力は解消されていませんでした。
 手術前は、捻れは大きかったものの、その“流れ”を邪魔する要素はなかったので頭は正常に働いている状態だった。それが、手術で器具を填め、捻れを強制的に修正したものの、捻れる力はそのままなので、“流れ”という面では器具によって邪魔される状況になっている。うまく流れないので、脊髄(脳)の働き方が悪くなってしまった。そんな風に考えることもできます。
 ここで言う“流れ”は、督脈のエネルギーと考えても良いと思いますし、脳脊髄液の中の電気的エネルギーと考えてもよいかもしれません。

側弯症(小菱形筋「こ」)

 さて、肩甲骨と背骨を結ぶ筋肉の一つに小菱形筋があります。この方の場合、左側の小菱形筋が非常に強く収縮した状態でした。その収縮によって頚椎7番、胸椎1番、2番が左側に大きく捻れた状態になっていました。私はこの捻れが側弯症の最初の原因ではないかと判断しました。小菱形筋は筋肉の連動として内転筋の一つ、薄筋と関連性があります。薄筋がこわばり、それが小菱形筋のこわばりとなって背骨の上部を捻れさせ、それによって背骨全体が歪み、時の経過や普段の姿勢(勉強をたくさんしていたようです)の影響で側弯症と診断されるほどになってしまったのではないかと想像します。
 左側の薄筋がこわばっている理由は左側の股関節がおかしかったからです。「小さい頃、股関節脱臼したとか、強い尻もちをついたとか、ケガした記憶はありますか?」と尋ねますと、尾てい骨を強く打ったことがあるということでした。そして調べていきますと、尾骨の本当に深い部分におかしな部分を発見しました。その部分に手を当てますと薄筋・小菱形筋のこわばりも軽減し、強く歪んでいた頚椎や胸椎の捻れが軽減しました。
 「幼少の頃の尾骨付近の強い打撲が原因で背骨が歪み始めた。」私はそう考えました。そして尾骨のその部分にダイオードを貼って傷の回復を促し、さらに歪みを改善すべく頭蓋骨の状態の確認作業に進みました。
 頭蓋骨は頭頂部が右に寝ているように歪んでいて、奥歯がしっかり噛み合わない状態でした。この方は学生の頃たくさん勉強をしていたようです。そんな話しを聞きますと、いつもペンを握っていて、右脇を開けた(肘を張ったような状態)姿勢が多かったことが予想されます。つまり右手の母指先や示指先が強くこわばり、右の前鋸筋がこわばって右肩甲骨が外側にずれ、それが原因で頭蓋骨が歪んでいることが連想できます。そして実際、そうでした。さらに毎日長い時間、カナル型のイヤホンで音楽を聴いているとのことでした。耳の穴はゆるんだ状態で、上顎骨が不安定なのはイヤホンの影響です。施術においてそれらを改善していきましたが、その頃になりますとぼやけていた頭の状態もだいぶ良くなったようです。
 この時までの施術状況を整理しますと、以下の通りです。
①背中の縫合部分である正中線上には幅2㎝の絆創膏が腰部から首のつけ根まで貼られています。
②尾骨の深い部分には打撲による影響を回復させるためにダイオードが貼ってあります。
③右手の主に母指先のこわばりをとって頭蓋骨の歪みを修整し、
④ゆるんでいた耳穴をしっかりさせることによって上顎骨がしっかりし噛み合わせが良くなった。

 それから座っていただき、脳の働きがどうなったかを確認していきました。計算が苦手なこと、そして言葉を聞いてもそれを頭の中でしっかり理解することが難しい、という本人の訴えがどうなったかを確認しました。
 計算については九九を暗算していただきました。額の中央(脳の前頭葉)辺りを作業場として、例えば「3×1=3」「3×2=6」‥‥というのを絵として素速く描くことができるのであれば理想的だと私は思っています。人によって作業場が額の右側だったり、頭の後の方だったり、まちまちかもしれませんが、頭の特定の場所を作用場として絵を描くことができるのであれば計算に対する集中力は大丈夫だと思います。頭がボーッとしたり、真っ白な状態では、頭の何処にイメージを浮かべればよいかが定まりません。計算する作業場ができない状態です。
 暗算していただいた結果、大丈夫だということでした。
 次に、私が声を出して本を読みまして、その言葉の内容がすんなり理解できるかどうかを確認しました。いろいろ微調整しながら、しっかり、すんなり理解できる状態になりました。

 これで施術としては終了になりますが、懸念材料が一つ残っています。この方は一人住まいなので、背中に絆創膏を貼ることが困難です。また、お住まいは東京の東の方ですので、神奈川の西の端である私のところまではかなりの距離があり頻繁に来店されることは難問です。ダイオードを貼った尾骨部分は毎日触ってもらえればそれでケアになりますし、母指先のこわばりも、その他のこわばりも揉みほぐしていただくことで対応できますが、背中のケアをどうすればよいか‥‥。
 それを考えるために背中に貼った絆創膏を一度全部剥がしまして、本の朗読をもう一度やってみました。絆創膏がまったくない状態では少し理解しづらい状態になってしまいました。次に私が背中の上の方や真ん中や腰の方に手を当てながら朗読をしてみました。すると腰部に手を当てたときは理解しやすい状態になりました。手を当てることの意味は、弱っていてエネルギーの流れが悪くなっている部分を“補ってあげる”ということです。絆創膏を貼る意味も同様です。
 背中の手術痕は腰部から首のつけ根まで50㎝以上の長さがありますが、影響が強い部分は腰部の15㎝くらいかもしれません。その部分であれば、他者の手を借りずとも自分の手探りで絆創膏を貼ることができます。現に、そのようにやっていただきました。15㎝くらいの長さに切った絆創膏を手探りで背骨に沿って貼っていただき、再度私が本を朗読して理解しやすいかどうかを確認していただきました。「大丈夫です」という返事でした。

 側弯症の手術は、背中を切って背骨に器具を装着して歪みを矯正するものですが、「いつも背中に板が入っているように感じる」と仰いました。まだ若い方ですが、生涯その違和感とともに過ごさなければなりません。
 仕方がないことと言ってしまえばそれまでですが、学者の先生方には違うアプローチの可能性について真剣に追求していただきたいと願う気持ちです。東洋医学や漢方には、科学的に非合理で迷信じみた部分があるかもしれませんが、現代医学にとって役立つ大事な情報もたくさんあると思います。それらにも耳を傾け、からだの構造とエネルギーの流れ方の関係についてもっと知っていただきたいと思います。
 本来の意味での“病気としての側弯症”以外の側弯症は、必ず捻れの出発点があるはずです。それを探しだして修正することが改善のためのポイントだと思います。ただ単に毎年検査測定して、歪みが大きくなっていく経過を観察しているだけでは医学的治療とは言えないはずです。コルセットを装着したり、手術をすれば”側弯が進行しない”という対処法では、“芸がない”といいますか、進歩的ではないと思います。

 整体の現場で、さまざまな状態のからだと毎日接していますと、私たちのからだはとても神秘的で、「秘密がたくさん隠されているなぁ」と感じます。今回もそんな話になりました。現代医学では、背中にメスを入れることが脳の働きに多大な影響を及ぼすとは考えることもないかもしれません。しかし、現実は上記の通りです。「なるべく切らないこと」(手術は極力避ける)と、私もそうお勧めします。

 私の整体は東洋医学系のツボや経絡や陰陽説ではなく、現代医学の解剖学を基盤とした筋と筋膜、骨と骨格を頼りにからだを整える手段をとっています。ところが時々施術に迷いが生じたりするときツボを利用することがあります。今回は陽谷、腕骨を利用しましたが、その他にも合谷、足三里など有名なツボを使うことがあります。そして、それらは確かに有効ですし、それは解剖学では説明できない効用をもたらすこともあります。今後は少しずつ東洋医学系の施術も取り入れていこうと考えています。そして投稿していきたいと思っています。

 手先を動かしたり、からだを捻ったり、私たちの意志の力で筋肉を働かせる神経を随意神経と呼びます。反対に私たちの意志がほとんど通じない、例えば血圧をコントロールしたり、食物を消化・栄養・吸収したり、汗をかいて体温調整したりしている、からだの生理活動を自動的に行っている神経を自律神経と呼んでいます。
 自律神経は内臓を働かせる神経ですから、自律神経のバランスが乱れた状態が続きますと私たちは病気になります。そして病気になった時に処方される薬は、自律神経に働きかけて血圧を下げたり、血管を拡張したり、炎症を抑えたりしますので、「薬は自律神経を調整するためのもの」と言っても過言ではないと思います。
 私たちが普段口にしている食べ物(栄養)にもそういう側面がありますが、食べ物や薬以外では、呼吸が自律神経系をコントロールする窓口の一つです。
 自律神経は植物にもありますので別名、植物神経と呼び、随意神経は動物特有なので別名、動物神経と呼んだりすることがあります。

 さて、自律神経系は意志の力ではコントロールできませんので、実際のところ私たちは薬物を用いて調整しています。血圧をコントロールする薬は自律神経系をコントロールする薬です。血糖値やコレステロールをコントロールする薬は自律神経系をコントロールする薬です。
 ところで、これらの薬が存在していなかった時代、私たちの祖先は食物によって自律神経をコントロールしようとしていました。その名残は今でもたくさん残っていて、「ショウガは冷えに効く」とか「キュウリやトマトなど夏の野菜はからだの熱を冷ましてくれる」、「○○は血液をサラサラにする効果がある」などと、多くの人が食生活の中で実際に実践しています。また、さまざまにある呼吸法やヨガなどは、それぞれの表向きの目的もありますが、その根底には自律神経系のコントロールという目的が潜んでいます。からだをリラックスさせるのは自律神経の副交感神経系の働きですから、ゆったりとした深い呼吸が思いのままに実現できるようになるということは、いつでも自律神経をコントロールしてリラクゼーションを獲得することができるということに他なりません。
 その他、ペットと時を過ごすことによって「癒される」と感じるなら、それは自律神経のバランス回復にペットが役に立っているということです。海や山を眺めたり、波や水の音を聞いて癒されるなら、それも自律神経系が調整されているということです。

 これらのように自律神経系を調整する方法はいくつもありますが、「そんな気分になれない」と心理的に落ち込んでいる時や、もはや病気の域に突入していてペットや自然の力ではどうにもならないと感じている時は、今の時代、薬に頼ることになってしまうのでしょう。

片頭痛と自律神経の関係‥‥噛みしめと血管の収縮
 側頭部がズキンズキンと痛み出す耐えがたい片頭痛、頭部に“孫悟空の輪”が填められたかのように感じる慢性頭痛、これらは二つの側面から考える必要があります。

側頭筋と咬筋

 一つは筋肉の強い収縮によって頭が締めつけられている状態です。側頭部にはそしゃく筋である側頭筋がありますが、歯ぎしりや噛みしめの癖がありますと側頭筋が強く収縮した状態(筋肉のこわばり)になってしまいます。そのこわばりが頭部を締めつけますので頭痛をもたらします。
 もう一つは血管の収縮です。血管は自律神経の交感神経がコントロールしています。
 仮に、歯ぎしりや噛みしめを行う癖があったとします。その行為を行うためには側頭筋や咬筋への血流量を増やす必要があります。ところが側頭筋の血管がスムーズに拡張してくれなかった場合、心臓の働きで血液はどんどんやって来るのにホースである血管が拡がってくれないので内圧はどんどん高まってしまいます。この状態が長引きますとやがて血管は圧に耐えられなくなってしまうことでしょう。その反応が片頭痛であり、耐えがたい痛みをもたらすのかもしれません。
 あるいは、自律神経は正常に働いているのに“血液が流れにくい状態”になっているのかもしれません。筋肉には“収縮すると硬く太くなる”性質があります。側頭筋が強くこわばって筋線維が太くなりますと、筋肉内の血管を圧迫して血液が流れにくい状態になってしまいます。そこに心臓のポンプ力で血液がどんどんやってきますと、“狭い穴を無理やりこじ開けて通過する”ような状態になります。心臓の拍動に合わせて“ズキン、ズキン”と痛むような片頭痛は、このような状態なのかもしれません。

 この場合の対処しましては、まず噛みしめ状態を解除して側頭筋の収縮を弱めることから始めます。その上で、自律神経系をコントロールして血管の状態が整うようにするのがよいと思います。私のやり方としては、そしゃく筋をゆるめたり、手や足の指先を揉みほぐすことから施術を始めます。そして次に呼吸が整うようにからだ全体を調整していきます。

少商・母指先への施術

 以前に「本人の自覚に関係なく噛みしめ状態が存在する」ということを記しました。そしてそれは手の親指の先の部分(写真)のこわばりと深い関係があります。この部分が強くこわばって非常に硬くなっている人がいますが、そのような人はそしゃく筋が自動的にこわばっています。ですから、この手先のこわばりをほぐすことによってそしゃく筋のこわばりも弱まりますし、顎もゆるむようになります。それは片頭痛をもたらしている側頭筋もゆるむということでもあります。

老廃物や邪気が溜まりやすい部分・井穴

 そして、自律神経の働きを調整する意味で、手指の第一関節より先、爪との間を中心に指先の甲側をよく揉みほぐします。皆さんもやっていただくとわかると思いますが、揉みほぐしの最初のうちは痛みを感じることはありませんが、次第に痛みを感じるようになり、指によってはかなり痛く感じるようになるかもしれません。(非科学的な表現と受け取られるかもしれませんが、)この部分には老廃物やあるいは邪気が溜まりやすく、それが自律神経の乱れに関係している可能性がある私は思っています。指によっては爪と第一関節の間がプクッと膨らんでいるかもしれませんが、それは不必要な“老廃物(や未消化物)の溜まり”である可能性が高いと考えています。
 この指先の部分は東洋医学では井穴(セイケツ)とよばれるツボ(経穴)を含んでいますが、井穴は体内の気と外気の気とのやりとりをする部分であると考えられています。仮に井穴での通りが滞っていますと、体内の邪気や使い古された気を外に出して、自然界からの新鮮な気を取り入れることが不十分になってしまいますので、からだのバランスが乱れてしまうということになります。
 井穴については、もっともっと情報を集めて研究しなければならないと思っていますが、実際、指先への施術は有効です。

 さらに「頭が詰まったように感じる」タイプの頭痛もありますが、多くの場合、それは頭部の血液が心臓へ戻りにくい状態になっていることが原因だと思います。結果として頭に血がたくさん溜まった状態になってしまい、その圧迫によって頭が詰まったように感じているのだと思います。

外頚静脈と鎖骨下静脈の停滞

 このような場合、注目すべきは鎖骨下静脈の流れです。鎖骨下静脈は鎖骨と第1肋骨(一番上の肋骨)の間の狭い隙間を通っていますので、鎖骨が埋もれているような人をはじめ、鎖骨と第1肋骨の関係が歪んでいる人は流れの悪い状態になっています。鎖骨下静脈の流れが停滞しますと脳から心臓に戻る道筋の一つ(外頚静脈)が停滞しますので、「頭が重くスッキリしない」状態を招いてしまうのではないかと思います。
 埋もれた鎖骨を前に出すことによって鎖骨下静脈の流れを改善しようとした時、先ほどの手の親指の先を伸ばすことは有効です。
 親指先のこの部分は東洋医学では“少商”という肺経の井穴の部分になりますが、深部が硬くなっている人が多く、(自動的な)噛みしめ状態や鎖骨の後退をもたらしています。
 かなり痛みを感じますが、深いところにあるコリッと硬くなっている部分をほぐすことによって噛みしめ状態が改善し、鎖骨が前にでてきます。それによって“カカト重心”が改善し、鎖骨下静脈の流れも良くなりますので“頭がスッキリ”したり、自律神経のバランスにも影響して“片頭痛が楽になる”という複合的な効果を期待することができます。

呼吸と手指の先端(井穴)との関係
 呼吸の状態が悪いと首肩に力が入り、からだはなかなかリラックスできないということは以前に記しました。ここで言う“呼吸の状態が悪い”状態は、横隔膜をゆっくりゆるめながら息を吐き出すことができない状態、と受け取っていただいてもよいと思います。普通の人は、普段の呼吸が胸式で浅かったとしても「腹筋をじっくり使いながら、吐いたところから更に吐き出す感じで最後まで息を吐ききってください。」とやってもらいますと、大概できます。しかし、呼吸の悪い人はこれができません。「フッ」と短い時間で息を吐き出すことはできても「フーーーッ」と長い時間を掛けて吐き出すことができないのです。「横隔膜をゆるめるイメージで腹筋をじっくり使って吐いてみてください」とやっていただくのですが、全然できない人がいます。しかし、このような人でも声を長く発し続けることはできたりします。長い時間にわたって「フウゥゥー」と声を出し続けることができるということは横隔膜がゆるみながら腹筋が使われているということですので、呼気(息を吐く)の動作がちゃんとできている状態です。しかし、声を出さないとそれができません。声を出すとできるのに、声を出さないとできない、というのはちょっと不思議に感じますが、現実としてそういうことがあります。
 ところがこのような人に対して、両手の指先、さらに両足の指先を揉みほぐす施術を行いますと、自然と呼気ができる状態になることがあります。ベッドに仰向けになっていただきながら施術をし始めるのですが、最初のうちはほとんどお腹の部分に動き(腹式呼吸による腹筋の運動)が見られなかったものが、施術が進んでいきますといつの間にか腹式呼吸をし始め、息を吐いている時間が次第に長くなったりします。指先への施術は痛みを伴うのですが、からだはリラックスした状態になっていくのです。それは、指先への施術によって自律神経の状態が調整されているからだと私は考えています。

井穴(セイケツ)は自律神経系を整えるツボ?
 東洋医学の世界では自律神経系を整えるためのツボとして井穴を捉えているようです。特に薬指の井穴に注目している治療家も多いようですが、薬指は別の面で私も注目しています。
 私の臨床経験では「井穴は自律神経を整えるための効果的なツボである」ということに完全に同意できる段階ではまだありません。しかし、井穴あるいは指先の状態が間違いなくからだに影響を及ぼしていることは知っています。
 「邪気や老廃物(未消化物)が溜まって腕が重たい」という表現を現代医学ではどう捉えるのか知りませんが、現実としてそういうことはあります。そんなときに、膨らんでいる爪と第一関節の間を中心に指先を(かなりの痛みをこらえながら)揉みほぐしますと、腕がスッキリして軽くなります。鎖骨が埋もれていてカカト重心の時に、あるいは本人の意志に関係なく噛みしめている状態(咬筋が収縮している)の時に親指の先を揉みほぐしますと鎖骨が前に出てきて、噛みしめ状態が緩和されます。カカト重心が改善し、血流も良くなり、頭がスッキリして顔から力が抜け、真にリラックスできる状態になります。
 私は毎日、湯船の中で両手の指先を揉みほぐしていますが、皆さんにも是非やっていただきたいと思っています。それだけで10分近く湯船の中にいるようになりますが、今の時期はからだが芯から温まります。
 揉み始めは痛みを感じません。しかし表層が柔らかくなり、揉んでいる指先が奥の方に届くようになりますと次第に痛みを感じ出します。ある指はものすごく痛くなるかもしれません。しかし許せる範囲で痛みをこらえながら揉み続けてください。一つの指は少なくとも30秒は揉んでください。さらっと揉んだだけでは効果は期待できません。

 病気から縁遠くなり、健康的なからだを維持するためには自律神経の働きがとても重要だと私は考えています。栄養について考えたり、薬やサプリメントを摂取したり、ウォーキングをしたりする目的の半分以上は、実は自律神経を整えるためだと思っています。
 植物は人工的な操作をしない限り、ほぼ100%、自然界のリズムに従って生きています。 自律神経は植物神経と呼ばれることもありますが、それは本来、宇宙や自然界のリズムと完全に調和した存在であるという意味です。
 自律神経失調=自律神経がバランスを失っているということは、からだのリズムが自然界のリズムと調和していない状態であるということです。自然の風景を眺めたり、風に触れ、波や水の流れる音に接することが自律神経を整える上で役に立つのは、それらの行為によってからだのリズムが自然界のリズムに同調して修正されるからだと思います。そして自己努力で自律神経を整えようと考えるのでしたら、規則正しい生活習慣を築き、呼吸を見直し、日々のケアとして手や足の指先をマッサージしていただきたいと、そう思います。

 大脳がとても発達した私たち人間は、自律神経が担当する領域を脅かすほどに随意神経系、つまり意志や思考や感情の力の方が強くなっています。怒りや不安や心配事に頭が支配されますと、それまで正常だった血圧は一瞬にして異常な状態になってしまったりします。
 精神的に不安定な状態では、ゆったりした呼吸は実現できませんし、指先を揉みほぐしてもたいして効果は期待できません。ですから「自律神経を整えよう!」と実践する時には頭の中(随意神経系)を静かな状態にした上で、呼吸やマッサージを行ってください。これは大事なポイントだと思います。

 足裏(足底)やカカト(踵)がとても硬くなっている人がたくさんいることは前にもお話ししました。私は、腰痛や下半身に症状を抱えた方はもちろん、頭痛や首・肩のこりの人であってもほとんどの場合、足裏やふくらはぎを施術します。そして、「どうしてこんなに硬くなってしまうのだろう?」と思うことがよくあります。
 そしてたどりついた一つの見解が、“カカト重心の人が多い”ことです。私たちが普段立ったり歩いたりしている地面が硬いコンクリートやアスファルトなので自ずと足底は硬くなってしまうということを以前に記しましたが、それに加え、カカトで立っているためにどうしてもカカトが硬くなってしまうのだと思います。

カカト重心の人の特徴
 カカト重心の人の外見上の特徴があります。(すべてがあてはまるわけではありませんが)

①反り腰
 本人は背筋を伸ばして良い姿勢を保とうとしているのだと思いますが、腰の上部を反らせてしまうとカカトの方に重心が移ってしまいます。

②首が前に出ている
 肩甲骨の位置はカカト重心を改善するための決め手の一つです。肩甲骨が後方にあるとカカト重心になってしまいますが、このような人はバランスを維持するために頭部を前に出すようになってしまいます。「肩甲骨が後ろにあるので顔が前に出る」と言った方が解りやすいかもしれません。肩甲骨は鎖骨と対になっていますので、肩甲骨が後にある人は正面から見た時に鎖骨が埋もれてしまってよく見えないか、存在感が乏しい状態になっていると思います。首が前に出ていて鎖骨がハッキリ見えないような人は、カカト重心である可能性が高いと言えます。

③ガニ股歩き
 立った状態で意図的にカカトに体重を乗せようとしますと(少し後に反ろうとしますと)、膝の内側に力が入らなくなり膝が少し開いた状態になります。この状態で歩きますと、必然的にガニ股歩きになってしまいます。
 カカト重心の人は、常に後方から何かに引っ張られているのと同じ状態ですから、どうしても膝が外に向かってしまうような歩き方になってしまいます。女性の方で、それが気になる人は意図的に膝を締めて歩こうとしますので内股歩きのようになりますが、それはからだに無理を強いることになりますので、カカト重心を是非改善していただきたいと思います。

カカト重心の弊害
 カカトに体重が乗っているということは、後から何かの力で引っ張り続けられているようなものです。ですから前に進むためには普通の状態以上に力が必要になります。それはからだに疲労を蓄積しますし、筋肉に無理を強いる結果を招きます。また、カカトで立っているので、からだはバランスをとるためにいろいろ不自然な状態になります。

カカト重心の人2

 下半身の方から見ていきますと、後に倒れないようにするために腰や下腹部を前に出すようになります(=腹が出る)。そしてその反動として背中を反らせますので腰部や背中の下部にハリや緊張を感じるようになります(=反り腰、慢性的腰痛)。そして肩甲骨が後に位置するようになりますので首や頭が前に出て猫背になってしまいます。(上述の通り)

 足底では、カカトで立っていることは不安定ですから、自然と足の指(足趾)を曲げて足趾に力を入れて、足趾で踏ん張ってからだを支えるようになります。それは足底の筋肉に緊張状態をもたらしますので、カカトだけでなく足底も硬くなってしまいます。また足趾の筋肉はふくらはぎにつながっていますので、ふくらはぎも硬く太くなり血流も悪くなります。この状態は、足の冷えやむくみの原因の一つであると考えられます。

 足趾が曲がる=足趾に力を入れて立ったり歩いたり、あるいは座ったりする状態は、腰痛の原因になります。O脚、外反母趾、内反小趾等々下半身の問題の原因になるだけでなく、顔や首から力が抜けない、呼吸が悪いなどの問題にも絡んできますので、カカト重心は是非改善していただきたいと思います。

カカト重心と、硬いカカト、曲がった足趾との関係性
 「扁平足はからだが疲れやすい」というようなこと聞いたことがある人も多いと思います。足底には縦と横にアーチがあって、立ったり歩いたりする時にクッションのように働いてくれます。この仕組みによって地面からの衝撃は和らぎ、私たちの重み(体重)は分散されるので足をはじめからだの骨格が護られるようになっています。扁平足の人はこのアーチの働きが乏しくなってしまうので、足腰に掛かる負担が増えてしまい、“疲れやすい”、”故障しやすい”となってしまいます。
 ところが、この原理は重心の位置が良いところにある人に通じる理屈だと言えます。カカトに重心のある人の場合、足底のアーチがちゃんとしていたとしてもクッションの役割があまり果たせなくなってしまいます。

足に掛かる重心と足底_1

 重心が良い位置(私は足首の前側、足の甲の出発点くらいだと思っています)にある人の場合、体重の重みによって縦アーチが沈みますが、それによって重みは爪先側とカカト側に分散されます。足底の筋肉は伸ばされ、合わせて足趾も伸びます。重みが掛かることによって足が平たく引き伸ばされるようになります。

足に掛かる重心と足底_2


 一方、カカトに重心がある人の場合、立った時に爪先側が少し浮いたような状態になります。この状態は不安定ですので、自ずとからだは足趾を曲げて立位の安定を保つようになります。誰かに前方から押されて後に倒れそうにバランスを失った時、私たちは足趾をギュッと曲げて倒れないように頑張りますが、これと同じようなことがカカト重心の人には起こっていると考えていただければ解りやすいかもしれません。足趾を曲げることは足底の筋肉を収縮させることと同じですので、足底は硬くこわばった状態になります。また、重心も足底の力もカカトに集まりますので、カカトはとても硬くなってしまいます。

 カカトが硬くなるとどうなるのか? という疑問に全部答えられるわけではありませんが、幾つかの不都合については確認しています。
 カカトの内側にはふくらはぎの深部にある後脛骨筋と長趾屈筋の腱が通っています。また足底の母趾外転筋の出発点でもあります。これらの筋肉は太股の内転筋(長内転筋)と連動関係にありますので、カカト重心の人は太股の内側がコチコチに硬くなるのと同時に骨盤が後に傾きます。腹部では内腹斜筋もこわばってしまいますので、お腹の伸びやかさが失われたり、時には便秘になったりするかもしれません。
 また、カカトの外側には股関節の外側に位置する筋肉(中殿筋、小殿筋、大腿筋膜張筋)と関係の深い部分がありますので、股関節で太股の骨が出っ張ったような体型になったり、股の間が広くなってしまったりすることが考えられます。骨盤から下肢が少しはみ出たような状態です。さらに小殿筋は肩の棘上筋と連動しますので、肩関節の動きが鈍く感じたり、脇が常に開いているような体型になったり、肩に何かをしょい続けているように感じたりするかもしれません。
 その他には、舌が硬くなっていて喋りづらさを感じたり、飲み込み(嚥下動作)が悪く感じたりしているかもしれません。

カカト重心を改善するために
 私が知っていることだけで申し上げれば、カカト重心を改善するための考え方は二つあります。(この先、もっと増えるかもしれませんが)
 一つ目の考え方は、“推進力のあるからだ”にすることです。カカト重心の人は後から何かの力に引かれているとか、向かい風の中に立ち続けているような状態ですから、前に進む力=推進力の乏しい状態です。骨盤は後傾し、お尻も垂れ気味になっています。この状態を克服して推進力のあるからだ、つまり歩いていても「自然に、前に前に脚が進んでいく」状態にするためには仙骨を前傾させて骨盤の後傾を改善することが必要です。
 仙骨の状態を整えることについてはだいぶ前に取り上げましたが、骨盤底の柔軟性やヒラメ筋、半膜様筋というハムストリングを整えることが必要になります。
 二つ目の考え方は、鎖骨を前に出すことです。鎖骨と肩甲骨は腕を動かす土台として一対になっていますが、合わせて上肢帯と呼ばれています。
 鎖骨を前に出すことは肩甲骨を前に出すという意味でもありますが、カカト重心の人のほとんどは肩甲骨あるいは鎖骨が本来の位置よりも後方にある状態ですので、これを改善する必要があります。

鎖骨を出すとかかと重心が改善_1
鎖骨を出すとかかと重心が改善_2

 パソコン作業が増えた今日、肩甲骨が外側に拡がり、肩が巻くように前に出て鎖骨が喉の下の方に埋もれてしまったような状態の人が増えています。猫背とも言えますし、胸が狭く閉じ込められたような状態であるとも言えます。このような状態はカカト重心になりやすい状態ですので、胸を開き(前鋸筋や大胸筋や小胸筋のこわばりを解消し)埋もれた鎖骨を表に出し、肩甲骨の位置を本来の状態に戻すことがカカト重心を改善するためには必要になります。

 普通は以上のように、仙骨のあり方を整え、鎖骨と肩甲骨の位置と状態を整えることで、多くのカカト重心を改善することは可能です。その他に、腰椎の在り方がおかしかったり、膝や足に故障を抱えていることによってカカト重心になっている場合などもありますが、基本としては仙骨と鎖骨・肩甲骨であると今の私は考えています。

 カカト重心にならないように意識的に体重を前に掛けて対応するという方法を思いつかれる方もいると思いますが、その状態はからだの何処かに力を入れて操作しているわけですから不自然な状態です。カカトの高い靴などを履いてもカカト重心を解消することができますが、それはそれで足の何処かに力が入ってしまいますのでやはり不自然な状態です。そうではなく、自然に立った時にカカト重心が克服されている状態になっていることが本道であり、大切です。
 以前に申し上げましたが、私たちが動作を行うということは“重心を移動させる”ことに他なりません。この重心移動がスムーズで上手な人が運動神経が良い人、バランス感覚の良い人であると言ってもよいと思います。
 そのためには、重心のホームポジションがカカトや爪先にあるのではなく、良い場所にくるようにからだを整えていただきたいと思います。ヨガやピラティスやいろんな健康運動によって、しなやかで健康的なからだを作り上げていくことは大切なことだと思いますが、その効率を高めるためにも重心の在り方を気に掛けていただきたいと思います。

 時々、小学生や中学性や高校生など若い人たちが来店されますが、椅子に座った状態でも、足底を床に着けるのではなく足趾を丸めている人たちをけっこう見かけます。これは単に“姿勢が悪い”とか”仕草がおかしい”という言葉で済ませてはいけないことだと思います。その状態が彼女や彼らにとっては自然であり、足裏を地面に着ける状態は不自然なわけですから、“貧乏揺すり”などと同じように、からだの何処かに狂いが生じているのだと考えられます。若い時分からそうであれば、将来的に不具合が表面化する可能性はとても高いと思います。
 ですから、若い人たちをもった親御さんは、“それくらいのことで‥‥”と見逃さないでいただきたいですし、スマホで酷使している親指などは原因になっているかもしれません。鎖骨を前に出す一つの方法は母指先を伸ばすことです。スマホ操作で酷使している指の第一関節はかなりこわばっています。それを伸ばすのはとても痛みを感じますが、それによってカカト重心が改善し、足趾が伸びて足裏で地面を捉えることが自然な状態になる可能性は高いと思います。

 Aさん:「9年前、長男を出産してから噛みしめるようになってしまい、朝起きると手まで握っていることが多くなり、しょっちゅう頭痛と顎の不調に悩まされているんです。」
 私:「自然分娩だったのですか?」
 Aさん:「最初の出産は帝王切開でした。二人目は、お腹を切ることは良くないと聞かされたので、無理して普通分娩にしたんですけど。」

 Aさんの方の今回の来店の主目的は、噛みしめによる顎の不調、後頭部の頭痛、左が向きづらい首の不具合を解消して欲しいというものでした。その他に、下の歯茎が年々薄くなって後退しているので、将来歯が取れてしまうのではないかという不安を抱えています。彼女は子供の頃から顎が小さく、歯並びが悪かったので抜歯による歯科矯正をしています。そして弱い側弯症でもあります。
 歯茎の後退は歯列矯正の影響が大きいと私は思います。抜歯を伴う矯正によって歯茎がゆるんでしまったままになっていることはよくあることですが、それによって噛みしめ癖になってしまったり、舌が硬くなって動きが悪くなるなどの不調がもたらされているケースは多いです。

 頭痛と噛みしめはセットになっているといっても過言ではありません。ですから噛みしめ状態と噛みしめてしまう癖の両方を何とかしないと本質的な問題の解決には向かいません。
 噛みしめ状態に対する考え方は二通りです。一つはこれまでの噛みしめが蓄積してそしゃく筋がコチコチに硬くなっていることです。これは単純な肩こりと一緒で、指圧によってほぐすことで対応し、改善することができます。
 もう一つは、自分では力を使っていないのに筋肉が勝手に収縮して噛みしめ状態になってしまうことです。からだの他の部分からの影響で自然とそうなってしまうので、その原因を解決しなければなりません。
 そして、その原因の一つとして歯科矯正による歯茎の弱さがあります。Aさんの場合、下の両側の小臼歯部分の歯茎がとても弱く、そこがしっかりするように施術しますと噛みしめ状態を起こしている咬筋の一部がゆるんで収縮から解放されました。
 しかし、歯茎への施術だけでは全部が解決するわけではなく、収縮状態が残ってしまいますので他にも原因があるということになります。そこで、もう少しお話しを聞いてみますと、冒頭の「9年前、長男を出産(帝王切開)してから噛みしめるようになってしまい、朝起きると手まで握っていることが多くなり、しょっちゅう頭痛と顎の不調に悩まされているんです。」という話しがでました。
 “帝王切開”、幸い縦方向にメスを入れているとのことでしたので、まだケアが楽です。帝王切開に限らず手術痕の影響でからだが不調になることはよくあることです。
 「では、私は隠れていますので、このテープをメスが入ったところ(縫合されている)に貼ってください。」と言って、ニチバンの最も粘着力の弱い絆創膏を貼ってもらいました。その後でそしゃく筋の状態を確認しますと、収縮状態はすっかり解消されて、顎のエラ部分(下顎骨)が少し下がった感じになりました。
 あとはこれまでの噛みしめで蓄積された強い凝りをほぐす施術を行いました。それで頭痛はすっかり解消し、首のコリも含めてからだ全体からこわばりによる緊張感が取れました。

帝王切開のテープケア

 少し前の投稿で、噛みしめ癖になる原因にエネルギーの循環不良があると記しましたが、帝王切開に限らず手術痕はエネルギー循環を弱めてしまう可能性が高いです。からだには微弱な電流が流れています。神経の働きは電気信号の伝達ですから、電流の流れが悪いところがありますと筋肉の働きは弱まります。ギックリ腰は仙骨尾骨部分に傷がついて(肉離れなど)しまうことですが、からだの中心部分の筋肉が働かなくなりますと腰だけでなく、からだ全体が動かなくなってしまいます。ギックリ腰で身動きが取れなくなってしまうのは、このような原理によるものです。

任脈と帝王切開

 下腹部は骨盤臓器や内臓の働きにとって重要なところですから、そこの電流の流れ悪くなりますとからだ全体の生理機能が低下すると考えられます。基礎代謝も落ちますから太りやすくなりますし、冷えやむくみという問題も出てくるようになるのではないかと思います。メスを入れるということは少なくとも皮膚とその下にあります筋膜は切断されるということです。その後、メスの傷はくっつきますが、それは元の状態に戻るというより“接着する”に近いのだと思います。ですから、どうしても流れが弱くなってしまいます。その部分が手や足などからだの中心から遠い部分であればそれほど大きな問題にはなりませんが、帝王切開のようにからだの正中線上であれば、やはり影響が強く出ると考えた方が良いと思います。
 このような場合ので施術としては、「電流の流れがよくなりますように」という意識を込めて傷になっている部分に手を当てることです。(こういうことを言いますと宗教的な何か、と受け止める人もいますが、全然そんなことではありません。実際これが一番効果あるのです)手を当てて“補う”ことを何度も何度も続けているうちに、やがてその必要がなくなる状態が訪れます。それまではケアを続けて欲しいと思います。
 しかし実際問題として、長さ10㎝の傷だった場合、手を当てるのも難しいのでテープ(絆創膏)を貼ることも手段の一つです。その原理の詳細はわかりませんが、テープを貼ることによって電流の流れが良くなるのかもしれません。

絆創膏

 以前に両方の膝を人工関節にした後、腰痛を発症して苦しんでいる人が来店されました。一通り施術した後、手術でメスを入れたところ全部にテープを貼り、「毎日、このようにテープを貼ってみてください。」とアドバイスしました。すると次に来店された時、「腰痛がかなり良くなった」ということでした。そして、その後来店されることはありませんでした。
 このような事例はたくさんあります。手術痕だけでなく、転んで膝を打撲して深めの傷痕が残っている、擦り傷や切り傷が残っている、そんな時にテープを貼ることは有効だと思います。

 現代医学ではたいして重きを置かないかもしれませんが、伝統医学的にはからだの正中線上は大切にしなければならないと考えます。東洋医学では腹側の正中線は任脈と言いまして、急所がたくさんある場所とされているため大切に扱うよう指導されます。
 
 ところで、帝王切開された方全員が噛みしめの癖を持つわけではないと思います。Aさんの場合は、その他に歯茎の問題や軽い側弯症がありますので、からだが疲労しますと噛みしめるだけでなく手まで握りしめてしまうほど全身に力を入れてしまう症状になってしまうのだと思います。
 しかしながら、帝王切開は正に任脈上を切開するわけですから、やはりからだには大なり小なり負担が掛かることになります。分娩方法の選択について考えている方がいらっしゃるなら、この辺りのリスクについても考慮していただきたいと思います。

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