ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

 当院では、まずベッドに伏臥位(うつ伏せ寝)になっていただいた状態から施術を始めることが多いのですが、それは症状の別に関わらず、全身の状況を確認するところから施術に入りたいと考えているからです。
 背面の歪みを観察し、軽く擦ってからだを揺らしながら背骨の状況、筋肉の大きな変調、骨盤の状態などを確認していきます。
 そして時々、「この人は今、胴体(上半身)が本来よりも長くなっていて短足に見える状態だ」と思うことがあります。

 骨盤の位置が本来より下がってしまい、お尻も垂れてしまっているために短足に見えることもあります。
 あるいは、骨盤と胸との間が間延びしたようになっていて胴が長くなっていると感じる場合もあります。
 今回は、からだの歪みの一つとして、胴(上半身)が本来よりも長くなっている状態について取り上げてみます。

筋骨格系の問題で上半身が長く見える

 私たち日本人は欧米人やアフリカ系の人達と比べますと、お尻が下がって短足に見える傾向があります。実際に脚の長さが違う面もありますが、お尻(=骨盤)の在り方次第で見栄えといいますか印象がかなり違ってきます。

 骨盤が前傾していてお尻がプリッと上がっている人達は、やはり脚が長く見えます。反対に骨盤が後傾していてお尻の肉も下がっている場合は、実際以上に脚が短く見えてしまいます。
 ですから傾きも含めて骨盤のあり方はスタイルにとって重要です。

 そしてもう一つ、骨盤の傾きにも関係することですが、実際に骨盤の位置が下がってしまう場合があります。
 それは、お尻の筋肉である小殿筋と中殿筋に関係しています。

 小殿筋も中殿筋も骨盤(腸骨)から始まり、大腿骨の大転子というところに繋がっています。ですから、股関節で大腿骨を外側に開く(外転)働きがあると、解剖学などの専門書には記載されています。書物によっては股関節の内旋など違う働きをするとの記述もありますが、概して、小殿筋も中殿筋も同じような働きを行い、股関節を支え、歩行を支えるために働く筋肉であるとされています。

 ところが、私はまったく別の見方をしています。
 それは連動する筋肉のことを知ることでわかります。
 小殿筋は中殿筋に比べて短い筋肉ですが、膝関節では膝裏にある短い膝窩筋(しつかきん)と連動します。上半身の肩関節ではやはり短い棘上筋(きょくじょうきん)と連動し、肘関節でも短い肘筋(ちゅうきん)と連動します。
 短い筋肉は大きな動作に関わるよりも、関節において骨と骨の関係を正しい状態に整える役割を有していると私は考えています。
 ですから小殿筋は、股関節で骨盤と大腿骨の関係を適切な状態に保つ役割として重要です。

 一方、小殿筋より大きくて筋の長さも長い中殿筋は動作を支え、姿勢を保つ働きをします。理想的な状態で立つことのできる人は、立った時にお尻にエクボができますが、それは中殿筋の働きによるものです。

 そして、歩行の時に片脚立ち状態をしっかりした状態に支える役割を担っていますが、上半身で歩行運動に関わる腰方形筋(ようほうけいきん)と連動関係にあります。歩くときにお尻(=骨盤)がプリッ、プリッと左右交互に持ち上がるようになりますが、それは中殿筋と連動して上半身の腰方形筋が収縮することで骨盤を引き上げている姿です。
 ですから、中殿筋の働きが悪い状態になりますと、腰方形筋も収縮力を発揮することができませんので、骨盤の動きが感じられないトボトボとした、脚だけで歩いているような歩き方になってしまいます。

 さて、小殿筋も中殿筋も股関節を支える重要な筋肉ですが、互いに拮抗する関係になることがあります。つまり小殿筋が収縮してこわばった状態になりますと、中殿筋はゆるんで伸びた状態になります。そして、このような状態の人がたくさんいます。

 小殿筋と連動する筋肉の一つに膝裏の膝窩筋がありますが、膝裏がボーン膨らんで張っているような人のほとんどは膝窩筋がこわばった状態になっています。

 膝窩筋がこわばってしまう理由はいくつかありますが、踵重心やO脚で膝の裏側にテンションが掛かってしまう人(反張膝など)はこわばっている可能性が高いです。また、足首が硬くなっていて上手く軽やかに回すことのできない人も膝窩筋がこわばっています。
 足首の問題はもっと詳しく説明しなければならないと考えていますが、簡単に概要だけ申し上げます。

 足首(足関節)にはいくつもの大きな靱帯があります。捻挫の症状はその靱帯が損傷して伸びてしまったためにもたらされますが、足首の運動が足りなくなったり、あるいはしゃがみ込んだ姿勢や重心の掛かり方が偏ったりしますと、捻挫とは反対に靱帯が縮んで硬くなってしまいます。
 足首を回すと痛みを感じたり、あるいは一部(足首より前)は動くけど踵も含めた足全体を回旋することができないような人は足首の靱帯が硬くなっていると考えられます。
 足首の靱帯が縮んで硬くなりますと、ふくらはぎの骨(脛骨と腓骨)を足の方(=下方)に引っ張る状態になります。
 そしてこの時、膝関節に注目しますと、脛骨が下方に引っ張られたことによって大腿骨との関係で微妙に隙間が大きくなってしまいます。すると大腿骨と脛骨の関係を適切に保とうと働いている膝窩筋は自身を収縮させて関節を保持しようと頑張るようになりますが、これが膝窩筋のこわばり状態を招いてしまいます。

 膝窩筋のこわばりは筋連動の関係にある小殿筋をこわばらせますが、それによって拮抗する中殿筋はゆるんで働きの悪い状態になります。そして、それがお尻のたるみに繋がります。
 さらに、中殿筋と筋連動の関係にある腰方形筋もゆるんでしまいますので、肋骨と骨盤との間(距離)が拡がってしまい、胴が間延びしたような状態になりますし、骨盤が下がった状態になってしまいます。

 以上がよく見かける、小殿筋と中殿筋の関係による胴が間延びした状態の例ですが、小殿筋がこわばってしまう理由は膝窩筋のこわばりによる以外にもありますし、中殿筋がゆるんで腰方形筋の働きが悪くなる理由もいくつかあります。
 ですから、お尻を上げて脚が長く見えるようにしたいと考えるのであれば、小殿筋と中殿筋の状態に着目して、からだを整えることが筋骨格系での施術方法になります。

エネルギー不足で上半身が長くなってしまう

 上記で説明しました筋骨格系の問題で”胴長に見える”状態を整えることは、たいして難しいことではありませんが、なかなか手強い状況もあります。
 それは骨盤を中心とした、からだの中心部が力不足の状態になっていて、腹筋や腰部背筋の働きが悪いために胴長になっている状況です。

 からだを上半身と下半身に分けて考えたとき、肋骨(胸郭)から上を上半身、骨盤から下を下半身として、骨格のない(背骨はありますが)お腹と腰部をその繋ぎ役として見ることができます。
 繋ぎ役である腹筋と腰部背筋がしっかりしているのであれば、それは体幹がしっかりしているということであり、全身が一繋がりのものとして一体的に機能できます。

 例えば、手先を動かして作業するときでも、筋肉連動の仕組みによって足元や下半身からの力を利用することができますので、手先や手の筋肉はたいして疲れません。(同じ仕事をしても、疲れをあまり感じないような人はこのタイプに入ります。)
 ところが繋ぎ役である腹筋と腰部背筋の働きが悪い状態になりますと、上半身と下半身の動きに連動性がなくなってしまいます。手先を動かすときなど、足や下半身の筋肉はその動きに関わることができなくなりますので、腕や肩の力だけで作業を行うようになってしまいます。すると必要以上に力を入れなければならない状態になりますので顔や首に余計な力が入ってしまい、首肩のコリが強くなってしまう可能性が高くなります。もちろん手や腕の筋肉もこわばります。

 ときどき、このような状態の人を見ますが、その原因を私は「エネルギー不足の状態」と考える時があります。
 からだが「エネルギー不足」という状態を論理的に説明することは難しいのですが、感覚的に、やはり「体幹のエネルギーが足りない状態」というのが一番しっくりきます。

 それは仕事や作業のしすぎなどオーバーワークによってからだが疲れ、力が足りなくなってしまったという状態とは異なります。そうであれば休息をとることで解決することができます。
 あるいは、冷えなどの理由で筋肉の働きが悪くなったり、血流やリンパやエネルギーの循環が悪くなって力不足の状態になってしまうことがありますが、それとも違います。

 例えば風邪など引いて高熱がでてしまい、一日中布団の中で寝ていたとします。やがて高熱が治まり、頭も軽快になってきたので布団から出て何か食べようと起き上がろうとしたときに、何となくお腹や腰に力が入らなくなり、歩き方もフラフラしてしまうことがありますが、それに近い状況かもしれません。
 からだのエネルギーが高熱と闘うことに総動員されていたので、体幹のエネルギーがスカスカの状態になってしい、しばらくはエネルギー不足の状況になってしまう、そんな状況です。

 このように考えますと、この状態を解消するためには、本来体幹にあるはずのエネルギーが別の場所に行ってしまったのを(体幹に)呼び戻さなければならないということになります。
 東洋医学の「気の世界」に「導引」という手法がありますが、このことを指しているのかな? などと思ったりします。

 さて、ではどのような施術によって体幹のエネルギー不足状態を解消するかということになりますが、私は「筋肉を使える状態にすること」が肝心だと考えています。
 抽象的な表現ですが、この表現が最も正しいと思います。そして「使えない状態を、使える状態にする」というのは、私の仕事の核心的なところでもあります。

 からだに潜んでいる秘密の一面ですが‥‥、不思議なことに筋肉は、周辺環境を整えて、その筋肉が働きやすい状況になりますと、自ずと働くようになります。そして、その状態で働きだしますと自然とエネルギーが増大するようになります。(ただし、その筋肉にダメージがあったり、よほど疲労したり体力が衰えてしまったりした場合は違います。)
 つまり、エネルギーを高めるためには筋肉が適度に使われることが必要で、そのためには骨格が整っていて重心移動がスムーズに行える状況にあるなど、周辺環境が整っている必要があるということです。
 反対から申しますと、周辺環境など含めて筋肉が働ける条件が整っていませんと、働かせたくても働くことができないということです。

 ほとんどの人は、筋肉は「使えば、使えるようになる」と思っています。例えば腹筋が使えない状態なら、腹筋運動などトレーニングをすることによって腹筋の筋力が強くなりますので、腹筋が使えるようになるだろうと考えていると思います。
 ところが、それは誤解です。このブログでは何度となく申し上げてきましたが、重心移動が正しく行えないと目的の筋肉は作動することができません。

 少し前のブログで取り上げましたが、例えば座った状態で上半身を前傾させる運動では、腹筋が働いて下腹部の踏ん張りによって上半身の前傾を保てている状況が本来のあり方です。ですから、上半身を前傾するに従って恥骨付近に力が溜まってきます。

 しかし、これができない人がいます。上半身を前傾させる動作を背骨や腰部の筋肉で支えてしまうような人です。坐骨に重心(前傾運動の支点)が残ったままで上半身を屈めてしまうので、背中側の筋肉で動作を行ってしまうのです。
 腹筋を使って前傾動作のできる人は、動作の最初に重心を坐骨付近から恥骨の方に移しながら前傾動作を行います。ですから見かけ上は、恥骨や下腹部が前方に出るような感じで上半身を前傾させるようになります。

 重心の在り方によって作動する筋肉は厳密に限定されます。ですから、いくら腹筋を鍛えて筋力をアップしようとも、恥骨に重心が移らなければ腹筋は効率よく作動しません。「腹筋を使おう」「腹筋を使いたい」と意識しても、願っても、それは無理なのです。

 そして上半身の前傾運動だけでなく、私たちの日常生活の動きのほとんどで腹筋と背筋は交互に使われるようになっています。
 例えば歩く動作においては、上げた前足を着地するまでの過程では腰部が少し反って重心が後側(軸足)にありますので、背筋が主に働いています。しかし着地した前足が軸足に変わり、地面を蹴るようにからだを前方に移動する段階では、骨盤の前側に重心が移動して腹部前面の筋肉が仕事をするようになります。
 デスクワークにおいては、椅子に座り続けていますと腰が疲労しますので、しばしば姿勢を変えて座面に当たる場所を前後左右にちょこちょこ動かしたりします。それは無意識的な行為ですが、重心の掛かっている場所を変えることで、働く筋肉が特定の筋肉に偏らないようにしているということです。腹筋を使ったり、腰部の筋肉を使ったり、腹筋でも右側を使ったり、左側を使ったりして、特定の筋肉が疲労しないようにしているわけですが、それができるためには重心移動が思い通りにできる状態になっていなければなりません。腰や殿部を傷めたりして、ある一部分が体重の負担に耐えられない状態になっていますと、思い通りの重心移動は実現しなくなってしまいます。

 また、筋肉には特性がありまして、収縮し続けたり、伸ばされ続けたりと、同じ状態を長く続けていることが苦手です。
 収縮し続けたり、過度に使われ続けますと、こわばったり、あるいは疲弊して働きの悪い状態になってしまうことがあります。
 反対に、使われない状態が長く続いたり、伸ばされたまま長時間放って置かれますと、伸びきって戻らなくなったゴムやバネのような状態になって上手く収縮することができなくなってしまうことがあります。
 仮に、骨盤の後側(坐骨)にある重心を前方(恥骨)に移動することができない状態だったとしますと、それは腹筋を上手く使うことができない状態ということです。本人の感覚では「お腹に力が入らない」と感じるかもしれません。
 すると腹筋ではなく背筋ばかりを使ってしまうようになりますので、背筋は疲弊し、腹筋は収縮できない状態を招く可能性があります。

 実際、私が体幹のエネルギー不足と感じるタイプの人の姿勢は、背中が丸まって猫背気味で、骨盤が後ろに倒れている傾向があります。
 骨盤が後ろに倒れているということは、座った時に坐骨より後側に重心が掛かっているということですから、座った状態では常に背中側の筋肉ばかりに負担が掛かるようになってしまいます。
 ですから、体幹の背中側は背筋が使われすぎて疲労し、働きが悪くなって伸びた状態になっています。また、お腹側の腹筋はほとんど使われませんのでゆるんで伸びた状態になっています。
 この状況を言葉で表現しますと「腹筋と背筋の働きが悪いので骨盤と胸が離れて胴が長くなってしまった」ということになりますし、私は「エネルギー不足で胴長の状態になっている」と感じて表現しています。

 ですから、この状況を脱して体幹を本来の状態に戻すためには、恥骨側に重心を乗せることができる状態にして、腹筋を使えるようにすることが必要です。
 腹筋が使えるようになれば背筋に掛かる負担も減りますので、背筋の疲弊状態も解消することができます。体幹において腹筋と背筋のバランスが良くなりますので、エネルギー不足と感じた状態は解消されることになります。

 「おなかに力が入らず、内臓の働きも今一で、背中や腰の辺りがいつも張っている」と感じ、何となく胴も長くなったと感じるようであれば、以上のような状態なのかもしれません。



 以上、本来の姿よりも胴長に見えてしまう状況につきまして、筋骨格系の観点と、エネルギー不足の観点で説明させていただきました。

 先日、高校時代のクラブ仲間と忘年会を行いました。私以外は会社勤めの仕事をしています。来年は私たちは60歳になりますので定年が間近に迫っています。再雇用を考えている友人、別の会社への就職を考えている友人など、それぞれですが、平均寿命が延びた現在は60歳を超えても皆、まだまだ働かなければなりません。
 こんなことを思いますと、みんな歳をとっても若々しく元気でいてほしいと思います。そして、歳をとっても顔の皺は少なく、背中もスッと伸びた状態でいることは、生き甲斐と活力に満ちた生活を送る上で重要なことだと思います。

 これまで「上昇する力」や「舌の在り方」について取り上げてきました。そして、今回の「エネルギー不足」の話も含めて、私たちのからだに潜んでいる見えざる仕組みを知っていただき、活用していただき、人生100年時代を生き抜いていただきたいと思っています。90歳まで背筋の伸びたからだでいて欲しいと思います。

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 これまでのブログで幾度となく古傷による影響を取り上げてきました。今回は、幼児期の骨折による影響で、30年間も苦しみ続けている人の話です。
 Aさんは現在たくさんの症状を抱えていますが、舌の落ち込みとそれに関連して口呼吸・無呼吸・浅い呼吸という点に的を絞って説明させていただきます。
 呼吸は私たちの命そのものとも言えるものですが、その善し悪しは体調や健康に大きな影響を及ぼしますし、実際、呼吸状態の悪い人がたくさんいます。

 Aさんは3歳頃、左肘近くを骨折した経験を持っています。そして幼少期、頻繁に中耳炎を患っていたということです。なかなか症状が治まらなかったので左耳にチューブを入れて固定し、後日チューブを抜くという手術したとのことです。そしてその時、同時にアデノイドも切除したとのことです。
 その後、大人になって睡眠時無呼吸症候群と診断され、その原因は舌が顎に収まりきれないので寝ているときに気道に落ち込んでしまっているからだと医師は説明されたとのことです。
 さらに数年前、下垂体腺腫を患い、成長ホルモンの分泌亢進となって、舌、下顎、肋骨が大きくなってしまったとのことです。
 元々は顎の小さいアデノイド顔貌のような感じだったものが、下顎の肥大化によって受け口のようになってしまい、それも悩みの種となっています。さらに、舌も大きくなったことから無呼吸症候群が悪化したとのことです。
 下垂体腺腫は手術により取り除くことができ、ホルモン分泌も改善されたので舌の大きさは元の状態近くに戻ったとのことですが、下顎の大きさは戻ることなく、噛み合わせに問題が残ったままだということです。

 現在も無呼吸症候群状態が続いていて、睡眠時が息苦しいためにシーパップを使用されているということです。
 また、舌が下がっているために滑舌が非常に悪く、他者と会話していても言葉がでなくなってしまうと仰っていました。
 呼吸では吐くことが苦手で、吸った空気を自然に吐き切れていないことが実感でき、最近では上顎が落ちてき細くなり、ガミースマイルのような状態に変化してきたとのことです。
 まだ30代半ばなのに、老化現象がどんどん進んでいるように感じられて非常に悲しい気分だと訴えられました。

 以上がAさんが大雑把な概略ですが、それを整理しますと以下のようになります。

  1. 3歳頃、左肘辺り(尺骨)を骨折した。
  2. その後、中耳炎を頻繁に発症し、それが慢性化したので左耳を手術した。そしてその時にアデノイドも切除した。
  3. 幼い頃から口呼吸であり、若い頃から無呼吸症候群の状態であり、現在もその状況。
  4. 数年前に下垂体腺腫を患い、無呼吸症候群が悪化して、息苦しくて眠れない状況になりシーパップを使うようになった。
  5. 脳下垂体からの成長ホルモンが分泌亢進状態となり、舌と下顎が肥大化した。手術後、舌の肥大化は改善されたが、下顎は大きくなったままで、受け口のような状態になってしまった。
  6. 舌が下がっているために滑舌はとても悪く、最近は上顎まで下がってきている。

 Aさんは、上記の舌と口呼吸に関係する症状以外に、慢性的な首肩の張りと、O脚および右股関節の痛みで10分以上歩き続けることができないという問題も抱えています。

施術の考え方と実際

 Aさんのいろいろな状況を伺って、私が最初に確認したのは左肘の骨折部位でした。もう30年以上前のことですし、本人も幼かった時のことなので、うろ覚え程度ではっきりとした骨折箇所は指摘できませんでした。ですから、私は手指の感触を頼りに骨折箇所を特定していきましたが、尺骨の肘関節付近に骨折痕があることを感じました。その場所に手指を当てますとAさんの舌が上がる気配を感じました。やはり私の予想は合っていたと思いました。
 おそらくAさんは、左肘を骨折した影響で舌が本来の位置より下がってしまったのだと思います。舌の上がり下がりに関しましては、以前に「上昇する力」という項目で説明させていただきましたが、体内に流れている上昇する力、つまり足元から頭部に向けて上がっていくエネルギーの流れが順調であれば舌が上がり、流れが弱まったり滞ったりしますと舌は下がってしまいます。
 左肘の骨折によって上昇する力が弱まってしまったために、舌が下がって口呼吸の状態になってしまったのだと考えられます。

 舌が下がりますと、自然と口は開いてしまいます。「口を閉じよう」と意識し続けていますと、舌の位置に関わらず口を閉じることはできますが、その場合はそしゃく筋を収縮させ続けることになりますので、いわゆる「噛みしめ状態」を継続することになり、顎関節の不具合や頭痛などの症状を招くことになります。(そして、そのような人はとてもたくさんいます)
 一方、舌が上がりますと、舌は口蓋(口の中の天井)を軽く押し上げる状態になりますが、その力で口を閉じ続けることができますので、顎(そしゃく筋)はリラックスした状態を保つことができます。つまり口は閉じていても奥歯は離れた状態を維持することができ、頬周辺や眉間からも力が抜けますので、副鼻腔を使った鼻呼吸ができるようになります。そして、それが普通の状態になります。

 Aさんの左肘、尺骨の骨折痕をしばらく手当てしていました。すると徐々にAさんの口の中で舌が上昇していくのが感じられました。そして、それまで全然できていなかった鼻呼吸が自然と少しずつ行われるようになっていきました。
 左肘を施術していた時間は10分ほどでしたが、じっとただ手指を当てていただけですのでAさんは何をされているのかわからず不思議に感じたかもしれません。

 「私は、この肘の問題で舌が下がってしまったと思っているのですが‥‥」
 「今、そこを施術しているのですが、舌は上がってきましたか?」と尋ねました。
 すると、これまでの記憶では経験したことのない体験ですから、戸惑いも混じりながら
 「確かに、(舌が)上がってきているかもしれない」と仰いました。

 「少しずつ鼻呼吸が始まってますけど、わかりますか?」と尋ねました。
 Aさんは不思議な世界に迷い込んだような感覚に襲われたのか
 「(左)肘と鼻呼吸と何か関係があるのですか?」と仰いました。

 鼻呼吸に関しては、私なりにこれまでいろいろ試行錯誤してきましたが、ベースになるのは「舌が上がっていること」だと思うようになりました。
 舌が下がった状態であっても、意識的に(あるいは無意識に)鼻呼吸を行うことはできます。”鼻づまり”の状態でなければ可能です。しかし、顎を脱力してリラックスした状態でありながら口を閉じ続けて鼻呼吸を続けるためには、舌が上がっている状態が必要です。
 口呼吸を克服するために、唇にテープを貼って強制的に口を閉じ、鼻呼吸を行うようにするような訓練もあります。私もかつて試したことがあります。しかし、寝ている間に無意識にテープを剥がしてしまうことも度々ありました。息苦しかったわけです。ですからこの方法は、今の私からしますと邪道ということになります。
 王道は舌が上がった状態を築き、そしゃく筋をリラックスさせた状態でも自ずと口が閉じる状態にすることです。そして舌が上がりますと鼻の通りが良くなりますので自然と鼻呼吸ができる状態になります。
 また、鼻骨は鼻の通りに密接に関係します。鼻骨が下がりますと鼻の通りは悪くなりますが、鼻骨は上顎骨と関節していますので、上顎骨が下がった状態では鼻骨も下がってしまいます。
 ですから理想としてましては、舌が上がって口蓋を軽く押し上げ、それによって上顎骨が高い位置を保つことができ、鼻骨も上がった状態を保てることです。

 また、鼻呼吸が重要である理由として副鼻腔に空気(吸気)を通すことがあります。副鼻腔は頬骨の深部に「上顎洞」、額(前頭骨)のところに「前頭洞」、鼻骨の奥に「篩骨洞」そしてさらに奥に「蝶形骨洞」があります。この副鼻腔に空気が通過することによって、空気はゴミを除去され、温度と湿度が調整されて気管や肺に入っても安全な状態に浄化されます。

 口呼吸が健康を害しやすい一つの理由は、口から空気を入れてしまうので副鼻腔における浄化作用を受けない不適切な空気が気管や肺に入ってしまうことです。途中、扁桃腺(ワルダイエル咽頭輪)などがあってバイ菌は除去される仕組みにはなってはいますが、冷たい空気や乾いたままの空気が気管に入ることになりますので、トラブルを招きやすくなります。

 Aさんの訴えには、口呼吸、舌の下がりによる無呼吸症候群、そして浅い呼吸がありましたが、舌が上がることによって口呼吸と無呼吸症候群の改善の道筋は見えました。あとは浅い呼吸について対応しなければなりません。
 呼吸が浅い状態を改善するためには、骨盤の可動性、胸郭の動き、副鼻腔、頭蓋骨の可動性というキーワードが登場します。
 胸郭(肋骨)の動きが悪い状態ですと、胸が広がらず胸式呼吸が十分にできませんので呼吸が浅くなってしまうのは想像しやすいと思います。それは主に肋骨と肋間筋や肋骨に関係する筋肉の状態に依存しますので、そちらを調整することになります。

 骨盤と頭蓋骨が呼吸の深さに関係することは、普通、連想できないかもしれません。しかし、実際は大いに関係します。
 息を吸ったとき、骨盤と頭蓋骨は(平たく言いますと)横に拡がります。そして息を吐き出すとき、拡がった骨盤と頭蓋骨は元の状態に戻ります。そっと耳上の側頭部に手のひらを当てて観察しますとそれが解ると思います。

 もし、頭皮や頭部の筋膜・筋肉が硬くなっていて頭蓋骨が広がらない状態だったとしますと、息は途中までしか吸うことができなくなってしまいます。頭を両手のひらでギュッと締め付けるように押さえた状態で息を吸ってみるとそのことがわかります。中途半端のところまでしか息は入ってきませんので、何となく息苦しさを感じると思います。

 噛みしめ癖、歯ぎしりの癖がある人は、側頭部の筋肉(側頭筋)が硬くなっていますので、頭痛を感じやすいのですが、同時に息が途中までしか入ってきませんので、呼吸にストレスを感じると思います。舌が下がっていて、そしゃく筋を使って口を閉じている人も同様です。
 Aさんの側頭部も非常に硬い状況でした。長年にわたる硬さですから、今、舌が上がったとしてもすぐに頭部の硬さが解消されるものではありません。ですから持続指圧によって側頭部の硬さをゆるめました。

 また、副鼻腔に息が入らないとやはり呼吸は中途半端な状態になってしまいます。
 四つある副鼻腔の中で頬の深部にあります上顎洞と、額にあります前頭洞に空気が通るかどうかを目安として施術を行います。

 上顎洞に空気が通りますと息を吸ったとき頬が涼しくなります。そうなるためには頬骨の間を拡げる必要があります。
 私たちはいろんな表情をしたり喋ったりしますが、それによって鼻周りの筋肉が硬くなってしまい頬骨間が狭くなってしまいます。ですから、軽い指圧などによって鼻周りの筋肉を和らげ、頬骨間を拡げるようにします。それによって上顎洞に息が通るようになります。(あるいは骨格が歪んでいて上顎洞に息が通らない場合もありますが、それは別の施術方法になります)

 ちょっと難しいのは額にあります前頭洞に息を通すことです。額の骨である前頭骨と鼻骨との関係が歪んでいますと前頭洞に空気を通すことは難しくなります。鼻骨が下がっていますと、まず前頭洞には息は通りません。
 眉間に縦皺が入りやすい人は、そこに力を入れる癖があるということですが、それも前頭洞に息が通るのを邪魔する要因です。息苦しいとか、辛いとか、目が見にくいとか、その他の理由で眉間に力が入ってしまう人はたくさんいますが、そのような人は眉間や眉のあたりを揉みほぐすなどしてしてみてください。

 Aさんの場合、30年にわたる辛さのためか、眉間に力を入れる癖がありました。そして舌が下がっていたことで上顎骨も下がり、鼻骨も下がっていましたので、前頭洞にはまったく息を通すことができませんでした。

 ちょっと話が飛びますが、Aさんは上記のこと以外に喉仏(甲状軟骨)から甲状腺のある部分が腫れているように硬くなっていました。
 「このあたりも腫れてますけど、甲状腺の問題はありませんか?」と尋ねました。
 「以前にバセドー病(甲状腺機能亢進症)だったのですが、今は治癒しているとの診断です」という返答でした。
 しかし、私の手には明らかに甲状腺が硬く腫れている感触が感じられましたので、やはり「おかしい」と思わざるを得ません。
 下垂体腺腫を患って、成長ホルモンの分泌が亢進したことに関連して甲状腺ホルモンが分泌過多になる状況になったのではないかとも考えられます。

 口呼吸、副鼻腔が使えない、アデノイド顔貌(アデノイド肥大)、下垂体腺腫による成長ホルモン分泌過多、バセドー病(甲状腺機能亢進)、これらは私の頭の中では一つに繋がってきます。そしてその大元は舌が下がってしまったことだと考えることができます。

 左肘の骨折の影響で舌が下がり、口呼吸となって副鼻腔を使わなくなります。それによりバイ菌が口から侵入しやすくなりますが、それを防御するためリンパ組織であるアデノイドが肥大します。さらに、(全くの憶測ですが)副鼻腔の一つである蝶形骨洞に空気が通過しないことで近接する脳下垂体の状態に何らかの変化が生じたかもしれません。成長ホルモンが分泌過多となり、それが甲状腺の活動に影響を与えてバセドー病を誘発し、薬物による治療で症状は改善されたものの名残は残っていて、それが甲状腺や喉の硬さになっているのではないかと、そう考えてみました。

 ですから、改善方法としましては副鼻腔にたくさん空気が通る状態を築くことになります。蝶形骨洞に空気が流れれば、その刺激を受けて脳下垂体は何らかの変化を起こし、ホルモンの分泌に変化が生じて、甲状腺の状態も変化するのではないかと考えました。
 さらに、長年の辛さのためか、眉間だけでなく喉元にも力を入れていたために甲状軟骨に関係する胸骨甲状筋と甲状舌骨筋がこわばっていました。

 これらの筋肉をゆるめる施術を行いました。そして前頭洞と上顎洞に息がよく通る状態にすることを行いました。さらに蝶形骨の状態を整えることで蝶形骨洞に空気が通るようにする施術をおこないました。
 そうしますと呼吸が深くなり、頭と胸が大きく動くようになりました。そして何分かそのような状態を保っていますと、硬く膨れていた甲状腺がスッキリしだし、喉元や首の緊張が取れていきましたが、「今、サッと肩の張りが取れました!」とAさんは仰いました。長年の辛さから解放された瞬間だと思います。
 
 おそらくAさんにとっては、今回の施術でこれまで経験したことのない体験を幾つかしたと思います。

  • 舌が上がることで上顎骨と鼻骨も上がり、(わざとでなく)自然と鼻呼吸ができるようになったこと。
  • そしゃく筋の力を使わずとも口を閉じていられるので、下顎が少し後退し、受け口の噛み合わせが少し変わったこと。
  • スーッと、鼻孔から吸った息が額(前頭洞)や頬(上顎洞)に拡がり、同時に胸が開いて深い呼吸ができること。

 これらの体験は新鮮だったと思います。

 また、Aさんは上記に記した症状以外に、O脚と股関節の痛みなども抱えていましたので、それらに対しても施術を行いました。

 ここから非常に遠くにお住まいのAさんは、新幹線に乗って何時間もかけて来店されました。
 そして4時間の施術を行いましたが、その中で、症状に対する施術と日々のケアについて教えて欲しいとのご希望でした。ですから3時間施術を行い、残りの1時間をセルフケアのやり方についての説明にあてました。 
 これまでのAさんの経過を考えますと、とても一度の施術で改善されるとは思いませんが、私にできることは精一杯させていただきました。当初から一回限りの施術でとお考えだったようです。「また来ることができるのは来年になってしまうかな」と仰り、また何時間も新幹線に乗って日帰りされるとのことでした。



 古傷による影響は、元気で体力があるときにはほとんど感じられないと思います。ところが体力が落ちたり、加齢によってからだの力が弱まりますと必ず何らかの症状を現すと思います。とい申しますか、そう断言できます。
 しかし、このことは現在の医療ではまったく無視されていると思います。30年前の骨折は骨が繋がっていれば治癒されていると医学は判断されるでしょう。
 数十年前の足首の捻挫が現在の骨盤の歪みの原因になっていたり、目がかすんでしまう原因になっているとは誰も思わないかもしれません。
 しかし、からだを順を追って丁寧に観察していきますと、必ずや治りきっていない古傷が大きな影響を及ぼしていることにたどり着きます。
 より快適なからだの状態を求めるのであれば、古傷をしっかり直すことが要になると思います。

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 私たちのからだは外界と「気」のやり取りをしながら生理現象を行っているようだ、という話を前回させていただきました。
 そして、手のひらと足裏は体内から外界に向けて気を放出する出口になっていて、そこから気が放出されている状態が望ましい、という話をさせていただきました。

 今回は具体例を示して、前回の続きをさせていただきます。

腎の気は足裏から出す

 しばしば腰痛と間違われるのですが、腎臓が膨らんで肋骨を圧迫しているために腰部から背中にかけて辛い思いをしている人がいます。

 腎臓は胸郭(肋骨)の下部~腰部にありますので、膨れたり腫れたりしますと下位肋骨を内側から押すようになります。
 仰向けで寝たりしと肋骨は背中側から内臓を押し上げるようになりますが、その刺激で腎臓のある辺りが辛くなり、耐えがたく感じる場合があります。あるいは、膨れや腫れが慢性化して硬くなりますと、常に肋骨を圧迫する状態になりますので、どんな体勢でも常に辛くなるという状態を招きます。
 この状態を「腰痛が悪化した」と感じる場合がありますが、からだを前後に動かしたり、左右に捻ったりすることに何の不自由さもなければ、骨格や筋肉の問題ではありません。つまり筋骨格系の腰痛ではありませんので、マッサージなど行っても症状はまったく改善しません。

 このように腎臓は膨らんだり腫れたりすることがあります。それが腎機能と関係しているのかどうかはわかりませんが、疲れが溜まったりしますとこのような状態になりやすいと思います。

 腎臓が肋骨を圧迫しているような状態に対しては、私は次の3点を考えながら施術を行います。
 ・耳と腎臓との関連性
 ・静脈系に問題があるか
 ・気の流れが停滞しているのか

耳と腎臓の関連性

 東洋医学の考え方では、腎臓と耳には深い関係があります。
 そして実際、このことは現象として現れます。

 耳が過敏な状態であったり、頭蓋骨が歪んで耳の位置がずれていたりしますと、その影響で腎臓が膨らむ、あるいはむくむことがあります。また反対に、腎臓の状態が思わしくなかったり、膨れた状態になりますと耳の機能に変調が現れることがあります。
耳の問題‥‥低音難聴 参照)

 耳が過敏な状態とは、それまではほとんど気にならなかった騒音などの音が気になるようになったり、音がうるさく感じたりする状態です。その他に、耳に膜が張っているように感じ音がこもったり、自分の声が頭の中で響いたりする耳管に関係する症状、難聴や耳鳴りなども腎臓と関係している場合もあります。
 これらのように耳の状態がおかしく、同時に腰部(腎臓のところ)に不快感や圧迫感を感じるようであれば、腎臓の膨れや腫れの問題を耳との関連性で考えてみるべきだと思います。

静脈系に問題があるか

 静脈とリンパをあわせてここでは静脈系と呼びますが、静脈系の停滞はむくみにつながります。ただその場合、腎臓だけがむくみということにはなりません。顔や手や足などもむくんでいて、さらに腰部が辛いようでしたら、静脈系のことも考えに入れて対処する必要があると思います。

 ただし私は、どんな人に対しても静脈系は必ず確認して整えるようにしています。私のような仕事は動脈系よりも静脈系を整えることに適していると思います。静脈系についての詳細はこちらを参照してください。

気の流れが停滞している

 通常、からだは足裏から気を放出していますが、その流れを利用して腎臓は自身が放出すべき、いわば「邪気」とか「不要となった気」と呼べるものを放出していると私は思っています。
 ですから、足裏から気が放出できない状態になりますと、腎臓に気が溜まってしまう状態になってしまいます。私はそんなふうに考えています。
 この状態が長引きますと、腎臓が気で溢れたようになり、膨らんでしまうのではないかと思います。そしてその膨らみが肋骨を圧迫して辛くなったり、あるいは腰部(腎臓のあるところ)を手で圧迫すると「ウッ」と不快に感じて思わず声がでてしまう状況になってしまうのだと思います。

 昨年から整体療法の勉強会を行っていますが、先日の勉強会では「気の流れ」をテーマにしましたが、ちょうど参加者の一人の腎臓が少し膨らんだ状態になっていました。背部から腎臓のあるところを圧迫しますと「うっ」と声を出してしまうような不快感を感じます。
 「足裏から気が放出できるようになると、どう変化するか?」
 ということで勉強会を進めました。足裏から気が放出できるようにするためには、基本的には膝から下(下腿と足首と足)を整えることがポイントです。
 施術の詳細は省略しますが、骨格と筋肉を調整しますと、気が出る状態に変化しました。私が施術したのではなく、他の参加者に考えてもらいながら実際にやってもらいました。左右への施術で20分間くらいの時間を要したと思います。そして座ってもらい、腎臓の状態を確認し、さらに圧迫してみましたが、膨らみはなくなり、圧迫による不快感もなくなっていました。
 「腎臓で停滞していた気が足裏から出ていったので、膨らみが消え、腎臓に余裕が生まれた」ということだったと思います。

腎臓の反射区を利用して腎臓の状態を整える

 腎臓の膨らみ状態の程度によりますが、膨らみが大きく硬くなっているような場合は、実際の施術では上記で挙げました3つのことを実行しますが、さらに腎臓の反射区を利用します。
 「反射区」とはいわゆる「足つぼ療法」と呼ばれる施術の時に用いるツボ(正確には反射区)のことですが、そこを刺激することで対応する臓器に影響を与えることができるとされる部分のことです。

 腎臓の反射区は手のひらと足裏にありますが、私は両方を利用します。
 足裏の反射区を刺激するときは、「ここから気が出て行ってね!」という思いを込めて施術をします。そしてその後で手のひらの反射区を刺激しますが、この時の思いは「この刺激が腎臓に伝わって気の巡りが活発になり、腎臓の気がどんどん足裏に向かって欲しい」というものです。

 よほど腎臓の膨らみが頑固な状態でない限り、耳を整え、静脈系を整え、気の流れを整えて腎臓の反射区を刺激しますと、大概はそれで腎臓の膨らみは解消して、腰部に余裕が生まれます。それまで溜まっていた気が抜けていきますので、スッキリしてからだが軽くなった気になると思います。
 ところが、たまになかなかスッキリした状態にならない人がいますが、そのような人は長年の慢性化により腎臓の膨らみがとても頑固な状態になってしまった人だと思います。

頭や心の中のモヤモヤは手のひらから出す

 頭痛や頭重とは違いますが、何となく頭の中がモヤモヤしていたり、たくさん詰まっているように感じる時があります。静脈の流れが悪くて、頭の中に血液がたくさん残っているような場合もありますが、その他に、やはり「気」やその類のものが停滞していると感じられる場合もあります。
 多くの人は、深い眠りの時以外、ずっと頭の中で何かを考え続けていると思いますが、その思考も頭の中に残ったままですと、それは邪気と同じような影響を及ぼすのではないかと思います。
 本人はストレスが多いと感じているだけかもしれませんが、頭の中が「想いで満タン」といった感じの人が時々来店されます。

 また、不安や心配、苦しみや悲しみといった感情が胸に溜まっている人もいらっしゃいます。どうしてそれが右胸かなのか理由はわかりませんが、右胸の鎖骨の下辺りが硬く膨らんでいて、そこの深部を揉みほぐしますと強い痛みを感じる人がいます。
 それが単純に、右胸が硬いだけの問題であるならば、しばらく揉みほぐすことによって柔らかくなりますので、私はそれほど考えません。
 ところが、その硬さが影響して腰が張っていたり、頭部が歪んでいるなどの状況になっていますと、「柔らかくなればいい」と簡単には片付けられません。やはり根本的な原因を追及して、そのような状況にならないことを考えなければなりません。

 精神的ストレスも含めて頭の中を窮屈にしている思考の数々、心(胸)の片隅に巣くってしまったしつこい感情、これらは健康を害し、からだを歪める可能性があります。ですから、からだから排出する必要があります。そして余裕のある頭と心を取り戻していただきたいと思います。

 しかし、このしつこいものを「どうやって出したらいいの?」と、反論されると思います。

 そこで、そのための効果的な方法は、手のひらから放出される気と一緒に、外に出してしまうことだ、と私は考えています。

 手のひらから出すための最も簡単な方法は、手のひらを最大限に拡げることです。太陽に向かって、あるいは大空に向かって手を高々と上げ、手のひらを思いっきり拡げます。
 この状態をしばらく続けていきますと、手のひらの拡がりは大きくなると思いますが、次第に手のひらの真ん中辺りがムズムズしたりスースーしたりし始めると思います。それは気が抜けていく合図のようなものです。そして、その後はしばらくの間、普通にしていても気が通って抜けていく感じがしていると思います。そして、少し頭がスッキリしたり、心がスッキリしたりするのではないかと思います。

 私は整体師として、常にそのような状態であるようにするために、肘や手首や手指を整えます。
 頭や胸からの気は、肩関節~肘関節~手首(手関節)などの関節が歪んでいますと、なかなか流れ出てくれません。そして、これらの関節が慢性的に歪んだ状態になっている理由は、昔の古傷が治りきってないことによる影響と現在の手指の使い方の癖による影響が考えられます。
 詳細は専門的になってしまいますので、ここでは説明しきれませんが、前回記しましたように、手を握ってグーを作るときに人差し指側と小指側のどちらを主に使っているかは重要なポイントになります。
 人差し指と親指側を主体に手を使う人は、字を書く時に筆圧が強くなってしまいます。スラスラ字を書くという感じではなく、いろいろな動作で肘を挙げて脇が開いた状態になってしまう特徴があります。そして首や肩に力が入ってしまいますので、首肩のコリを感じやすくなります。
 そしてこのような人は、前腕(肘から手首にかけて)が内側に捻れ(回内位)ていますが、その反動で上腕(二の腕)が外側に捻れ(外旋位)、さらに肩(上腕骨)が前に出ているという特徴があります。手首も内側に捻れ、親指のつけ根が少し内側に落ち込んでいるかもしれません。
 これはパソコンやスマホを多用している人に多く見られる特徴ですが、このような人達はおそらく気が放出されていませんので、頭や心がスッキリしている状態ではないと思います。

 現在、かつてバイクで転んでしまい、右肩周辺を打撲した影響で不調を抱えている青年が来店されています。当初は、右肩関節周辺の問題以外に呼吸が苦しく、不安症で、少し鬱気も感じるという状況でした。
 これらの症状の主な原因は、右肩周辺と右腕の筋肉の損傷が治りきっていないことによって右腕と右肩の関係がおかしかったからです。
 初回の施術はその辺りの損傷を施術することに集中しましたが、それで呼吸が楽になりました。呼吸が楽になって頭部に酸素が十分行き渡るようになったのだと思いますが、それで不安症も改善したとのことでした。
 2週間後に2度目の施術を行いましたが、その間のことについて尋ねますと、呼吸の苦しさはかなり軽減し、鬱気も消え、不安症の方も良くなったとのことでした。
 しかし私の観点では、まだ手のひらから気が出る状況ではありませんでしたので、そうなることができれば彼の心理的な状況ももっともっと良くなるだろうと思いました。
 そんなことを思いながら、先日4回目の施術を行いました。思いの外、右肩周辺の回復が遅いので「打撲だけではないのかなぁ?」と思いました。そして、改めてからだをいろいろ観察していきました。
 すると、右足首で足趾のつけ根の靱帯が伸びているのを見つけました。捻挫痕のような感じです。そこを調整しますと右腕の状態がパシッとし始め、気が通るようになるを感じました。
 これでやっと手のひらから気が出る状態になることができます。そうなれば、もっと頭の中がスッキリするでしょうから、良い状態で安定すると思います。

 「人間は考える葦である」という有名な言葉がありますが、私たちは深い眠りにあるとき以外、ずっと考え続けています。ですから次から次へと思考が生まれているわけですが、それらがいつまでも頭に残っていますと、それは不調を招きます。
 私は皆さんの頭を触ったときに、「詰まっているなぁ」と感じることがあります。大概は頭部の右側が詰まっていて、実際後頭部の右側が大きくなっています。(そのように頭蓋骨が歪んでいる)
 そして、そんな時は「右手のひらから出して頭を軽くしたい」と思います。施術時間に余裕があれば、そのようにしています。


 今回の話題に対する説明をどれだけの人が信じてくれるかわかりませんが、私は実際に体験していること、つまり私の真実をそのまま記しました。
 そして、このようなことは実際に勉強会でのテーマにしていますので、誰もが知って体験することができます。もちろん、来店された方も知ることができます。
 頭や心がスッキリしない人、不安や恐れとどう対峙すればよいかと悩んでいる人、腰部が辛く感じている人、からだの中に気が停滞していると感じている人、そんな人は機会があればご来店ください。

足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
メールアドレス info@yumetowa.com
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 今回は、現代医学(科学)ではまったく無視されているような「気」についての話題です。

 昨年から月二回のペースで整体の勉強会を行っていますが、参加者に私の手のひらを見せて、
 「私の右手からは気が出ていますが、左手からは出ていません。」
 「左手の方は親指と人差し指の間の辺りでは反対に気が入っていってますが、わかりますか?」
 と、唐突に尋ねてみました。
 
 普段は、現代科学に基づく解剖学の用語を使って勉強会を進めていますので、「気」のことに関しては皆さんほとんど無知の状態です。

 「エッ????」という反応でしたが、

 「とりあえず、私の手のひらを触って、左右を比べてみてください」と言いました。

 最初は、戸惑うばかりといった反応でしたが、
 「右手の方は、手のひらの中央部分から何かが出ているような気がしませんか?」
 「左手の方は、同じ部分にそのような感じがないことはわかりますか?」
 と誘導しますと、
 「そう言われると、そのような気がする」と反応が返ってきました。
 いきなり「気」のことを問われても、それは戸惑うばかりだったと思います。

 次に、私は両手を握ってグーを作りました。
 そして、また尋ねました。
 「右手と左手で握り方が違うのですが、何処がどう違いますか?」

 答えは、右手の握り方では、小指と薬指側が中心になってグーを作っていて、左手の方は人差し指と中指を中心にグーを作っているということでした。
 つまり、手のどこを主に使って握る動作を行っているのか、使っている筋肉と気との関係を知って欲しかったのです。

 唐突ですが、
 運動会のリレーで、バトンを握るとき、どこで握るのが良いか? ということにも通じるのですが、小指側を中心に握るのが正しい在り方です。そうであれば、走るときに肩に力が入りませんので、腕を大きく振ることができますし、走りながら「バトンを落としてしまうかも」という心配も感じません。
 反対に、親指と人差し指側を主に使ってバトンを握ってしまう人は、自然と肩に力が入ってしまいますので走りが遅くなってしまいます。また、バトンを落としやすいと不安も感じてしまいますので、ギュッと強く握るようになります。ですから、益々肩に力が入った走り方になってしまいます。

 そして、それは「気」の流れと関係しているのですが、そのことを勉強会の参加者に知っていただきたいと思ったのです。
 手のひらから気が出ている人は小指側を中心に握りますが、それは理にかなっています。
 手のひらから気の出ていない人は親指側を中心に握りますが、それは理に反していますので、からだが不調や不具合を招く可能性が高くなります。
 これが簡単な説明ですが、整体療法の入門としてとても大切なことです。

体内と外界(体外)をやり取りしている「気」

 「気」とは何か? という問いに対しては、私はほとんど答えることができません。
 以前、私が今の仕事を始めて間もない頃、「気」とかオーラとか、そういう面に敏感な人がいまして、私が施術をしている最中、クライアントのからだから「黒い煙のようなものが出ている」と言われたことがあります。
 私の目には何も見えませんでしたし、その頃は気に対してもそれほど敏感ではありませんでしたので、「あ~、そうなんだ」ぐらいにしか思いませんでした。しかし、長い間この仕事をしていますと、私も少しずつ気に対して敏感になり、今は「気の流れ」がなんとなくわかるようになっています。
 そして、次のような見解を持つようになりました。

 からだやからだの部位から気が放出されているとき、それは良い状態です。
 からだから気が出ていない、あるいは外界から体内に向けて気を取り込んでいるような状況は改善が必要な状態です。
 からだ(体内)と外界(体外)は「気の流れ」を通して影響し合っていますが、それが最も顕著にわかるのが、手のひらの中心部と足の裏の土踏まずのところです。その部分は全身的な「気」の出入り口のような役割を担っているのかもしれません。

 私は当初、状態の良い人は足裏や手のひらから気が放出されていますので、いわゆる「邪気」がからだから出ていっている、デトックスされているから好ましい状態だと思っていました。
 ですから、手のひらや足裏から気の出ていない人、気が逆に体内に吸い込まれているような人は、体内で生産される不要な気(=邪気)が出せないので体調が悪くなってしまうのかもしれないと思っていました。
 ところが、それはどうも違うようです。

 私は「気」についての見識があるわけではありませんので、体内での気の巡り方を知っているわけではありません。ただ、状態の良い人は体内の気が充実していて、それをどんどん放出しているかのように感じています。
 手のひらの真ん中あたり、足裏の真ん中から土踏まずにかけてのところからスーッと涼しい空気が抜けていっているように感じます。
 そして状態の悪い人はそのようには感じられず、気の流れが停滞しているか、反対に外からの気を体内に向けて吸い込んでいるように感じています。

「気の流れ」と施術時の私の反応

 私の行っている整体療法は解剖学をベースに、骨格筋と筋膜と骨格を対象としていますので、現代科学で説明のできる類のものです。
 ですから「気」についての詳細を知っているわけではありませんし、「気」を前面に出して施術を展開しようとも考えていません。
 しかしながら、西洋医学(現代医学)ではまったく無視されている「気の存在」を、私は実感として認識しています。さらに施術においては気の流れを指針として頼りにしています。

 また私の手の話に戻りますが、勉強会の参加者の一人に、「気」に敏感に反応する女性がいます。
 彼女自身は自覚しているわけではないのですが、私の(気の出ていない)左手を見ますと上瞼が少し落ちて眠たそうな表情になります。そして左手を見続けますとテンションがどんどん下がってしまうようになります。
 反対に、気の出ている右手を見ますと、瞳が大きくなるように瞼が開き、顔の表情も元気になっていきます。
 そして、彼女は私の手だけでなく、別の人の足裏を見ても同じような反応をします。

 私の左手の「気が出ていない部分」(親指と人差し指の間、生命線のあたり)は実は「気を吸い込んでいる」のだと私は捉えています。
 彼女が私の左手を見たときにテンションが下がってしまったのは、彼女の中にある「気」が私の左手に取られてしまったからかもしれまん。もし彼女が、誰かに気を取られても大丈夫なくらい元気な状態、気が充実している状態、あるいは取られてもすぐに気を補充したり生み出すことのできる状態であったならば、テンションが下がることはなかったのかもしれません。

 そんな、彼女の反応を考えながら、私自身はどんな反応をするのか、それを探ってみました。
 すると、私は施術において、気の出ていない手のひらや足の裏を見たり触ったりしますと舌が下がってしまうことがわかりました。そして、施術を行ってその部位所が整い、気が出るようになるにつれ、次第に舌が上がっていくのがわかりました。
 舌が「上がる・下がる」は、「ら行=ら・り・る・れ・ろ」の喋り易さで判別できます。舌が上がっている状態では、苦もなくスラスラと素速く「ら行」を喋ることができます。
 舌が下がってしまいますと、一々舌を持ち上げてからでないと舌先が動きませんので、素速く「ら行」を喋ることができませんし、喋りたい気分にはなりません。

 クライアントの足や手を施術しながら無音の声で「ら・り・る・れ・ろ」と喋ってみます。施術部位の状態が良くなりますと舌が上がってスラスラと動かすことができますので、施術法が間違っていないことが確認できます。そして、どこまで施術を続けるべきかの判断もできるようになります。
 これまでは、いわゆる経験に基づく「見当」を頼りに施術の具合を決めていましたが、これからは、「気が出るようになって私の舌が上がるまで整える」という指針がはっきり持てるようになりました。

「気の流れ」の停滞における症状

 どんな症状であれ、それが筋骨格系の影響によるトラブルであれば、それは物質的な、つまり解剖学的な分野でのアプローチを行うことから施術を始めます。それが私のやり方です。もっと解りやすく申しますと、筋肉と筋膜と骨格を整えることから施術を始めます。

 しかし、「気の流れが停滞している」ことが原因で症状が生じている場合もあります。
 例えば、頭の中がストレスや思考で詰まった状態になっていて、モヤモヤしたり、ボーッとしたり、あるいは鬱(うつ)のように感じてしまっている場合などです。
 また、心情的に胸が苦しい場合も同様です。心配や不安や恐怖、あるいは怒りなど感情的な問題は胸を圧迫します。
 これらのような場合は、その余分なものを手から放出してしまうのが良いのではないかと思っています。
 思考や感情も気と同じレベルのものだと考えますと、たくさんあっても邪魔で、脳や心の正常な働きを狂わせるかもしれません、ですから、溜めずにどんどん放出してしまうのが良いと考えますと、その出口としての場所は手のひらではないかと思っています。
 また、背中や腰が張ってしまい「寝ていても辛い」という場合があります。それは慢性的な胃の張り、腎臓の膨らみによるものかもしれません。そんな場合は、気が胃や腎臓、あるいは他の臓器に溜まっていて流れていない可能性も考えられます。
 こんな時は足裏から出してしまう=足裏から気が出ていくように整えることで、症状が改善される場合もあります。

 これらにつきましては具体的な症例がありますので、次回に紹介いたしますが、長年の悩みが、気を放出できるからだに整えることで解決する場合もあります。


 私は昔、中国で、気功師による施術を受けたことがあります。
 私のからだに一切触れることもなく、部屋の窓を全開にして、外気から気を取り込んで私に送り、治療するという理屈だったと思います。
 しかし、私には何をされているのかサッパリ解りませんでした。そして何の効果があったのかもサッパリ解りませんでした。この治療は外気功による治療だということです。
 また、中医学の講習で、自分で行う気功も教えてもらったことがあります。自分で自分の気をコントロールすることによって、からだを強くするというものでしたが、内気功と呼ばれています。
 そして、実際のところ外気功も内気功もよく解りませんでした。

 このように「気」は、わかる人には解るけど、わからない人にとってはサッパリ理解できず「まやかし」と受け取られてしまう場合もあります。
 ですが、中国で初めて経験してから30年が経って、今は、その存在をしっかり認めることができるようになりました。
 細かいことは解らなくても、「気」(あるいは「プラーナ」)が体内を巡り、外界とやり取りしながら私たちの生理現象に大きな影響を与えていることを知るようになりました。

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 無呼吸症候群を気にされている人は最近増えているようです。少し前まではいわゆる「中年」以降の男性に多い症状と考えられていましたが、今は30歳代の男性や、女性の人でも気になっている人が結構いらっしゃるようです。
 また、「しゃべり」に関して、滑舌が悪い、喋っていると息苦しくなってしまう、大きな声が出せない、発声が長く続けられない等々、困っている人もいらっしゃいます。

 今回は、舌に関係して、私が気になること、また最近発見したことなどを説明させていただきたいと思います。

舌のトレーニングは要注意

 無呼吸症候群に対する対処法として舌を大きく出したり、回したりするトレーニング方法が有効であるという情報があるようです。
 そのトレーニング法について、「どう思いますか?」と度々聞かれます。
 そして、この問いに対する私の応えは一貫して「止めてください」です。

 無呼吸症候群の原因の一つとしまして、舌(舌筋)がたるんでいるので、寝ている間にそのたるみが気道に落ちてきて、気道を塞いでしまうために無呼吸状態になってしまうというのがあります。
 ですから対策として、舌筋を鍛えてたるみを解消する必要がある、という理屈のようです。

 そして、その情報通り、真面目に、一年間毎日トレーニングを続けている人(女性)が来店されました。
 この女性の来店の目的は、頭痛と顎周りを中心とした顔面のこわばりと、首肩の張りの解消でした。現在は精神的ストレスもかなり強いとのことで、知らず知らずのうちに噛みしめてしまっているとも仰いました。
 そして、顔のこわばりに対する施術行いながら喉周辺を触ったときに、かなり硬くなっていましたので、「喉周辺が硬いのですが、何かありましたか?」と尋ねたところ、舌のトレーニングの事を話してくださいました。
 「一年間、毎日舌のトレーニングをしていたのでは、喉周辺がこれだけ硬くなるのもわかる」と内心思いました。そして、喉元~舌骨周辺~オトガイ(顎先)にかけのこわばりをじっくりゆるめていきました。
 すると次第に顎周辺~喉元にかけてのこわばりはゆるんでいき、顔のこわばりも解消されて、顔の表情が豊かになりました。首や肩からも力が抜けて「あぁ、ゆるんだあ~!」と仰いました。

 この女性は60歳代ですが、テレビの情報番組を見て「無呼吸症候群にはならないぞ」ということで、舌を大きく出すトレーニングを毎晩数分行っているとのことでした。

 情報番組の情報は、良いような、悪いような、どちらもあると思いますが、気をつける必要があるのだろうと思います。
 普通の人にとって、情報番組の情報が正しいか誤りかを識別することは非常に難しいことです。テレビなどでは、その情報は「正しい」というのを前提としていますし、「テレビが言うのだから、まず間違い」と私たちの多くは思っていますので、つい信じてしまうのは仕方のないことかもしれません。
 ですから、私は、「とりあえず2週間やってみてください」、そして2週間続けても良い効果や変化が感じられないなら、それは止めたほうがいいです、と申し上げたいです。
 からだに対して適切なトレーニングであれば、2週間も続けていれば必ず変化が現れると思います。そして、不適切なトレーニングであれば、速ければその場で、遅くても2週間で、悪い影響が現れると思います。
 今回の舌のトレーニングは、後者(2週間)の方だと思いますが、喉元や顎周辺や顔が硬くなったり、首や肩にコリを感じるようになると思います。

 さて、舌(舌筋)はからだの中でも非常に複雑な筋肉の一つです。
 筋肉には腕や足の筋肉などのように骨格を動かして動作を生み出す「骨格筋」と、食道や胃や小腸・大腸といった内臓系の「平滑筋」があります。
 カエルやカメレオンは舌を長く伸ばして獲物を捕獲しますので、その舌は私たちの手と同じような働きをしています。ですから、舌は骨格筋の側面を持っていると考えることができます。私たちは喋るときに舌を操りますが、それも骨格筋としての性格を現しています。ところが、食べ物を口に入れた後、そしゃくにともなって舌を巧みに使います。そして食塊を嚥下して食道~胃に送りますので、その意味では、舌は消化系の内臓の働きも担っています。ですから舌筋は内臓系の筋肉としての側面も持っています。
 
 ちょっと話は難しくなりますが、手や足を動かす骨格筋は、意志によってコントロールできる随意神経によって支配されています。一方、内臓系の筋肉は意志に影響されない自律神経によって支配されています。ですから舌筋は、随意神経と自律神経の両方の支配を受けている筋肉になります。
 舌筋を鍛えるためのトレーニングで舌を動かし続けたとします。それは随意神経のコントロールですが、舌からしますと普通とは違う種類の随意神経系です。普通は発声したり、喋ったりする種類の神経信号ですが、大きく舌を出し、その状態で大きく動かすのは舌からしますと不自然な神経信号であり行為です。
 このようなトレーニングを続けていますと、やがて舌はその運動を「普通の行為」にするために少し変質するようになります。舌先でいろいろな技をする人がいますが、舌には順応性と可能性があるのだと思いますが、舌筋は変化する可能性に富んでいる筋肉であるとも言えます。

舌を大きく出す行為は舌筋を強く収縮させる行為です。

 舌のトレーニングによる舌筋の強い収縮行為が1回、1日、1週間、あるいは2週間であれば、まだ大きな問題を起こすようなことにはならないかもしれません。ところが、半年、1年と続けていますと、それはある種の変化を固定化してしまう危険性があります。形状記憶に似た状態をもたらしてしまうとも考えられます。
 毎日のようにトレーニングを継続していますと、舌筋はこわばった状態になり、それがやがて固定化してしまいます。そして、そのこわばりはやがて周囲の組織に影響を及ぼすようになり、喉(甲状軟骨、甲状腺)や顎関節周辺や顔面の筋肉にこわばりをもたらすことになります。そして、それがからだのいろいろな不快感や不調を招いてしまう可能性があります。
 舌が強くこわばったり、あるいは反対にゆるんだりして働きが悪くなりますと、それは当然、自律神経経にも影響を及ぼします。スムーズな嚥下ができなくなったり、呼吸が不調になったりする可能性も考えられます。(現に、舌の問題で呼吸が悪くなっている人はたくさんいます)

 わざわざ無理なトレーニングをしなくても、普通に食べて、普通に喋っているだけで舌はたくさん動きますので、それで十分だと私は思います。本来、私たちのからだはそのようにできているはずです。
 誰とも会話することなく、食事でのそしゃくも不足しているのであれば、舌のトレーニングは或る程度必要かもしれませんが、そうでないのであれば全く必要ないと、私は考えています。

舌のトレーニングより、舌の位置が大切

 無呼吸症候群に関して、舌が気道を塞がないようにするためには、舌の位置とむくみの無い状態の方がよほど大切であると私は考えています。そして、現に、そのような結果がもたらされています。
 以前に取り上げたことですが、舌の位置は呼吸と喋りにとって重要です。舌が正しい位置にある人は、口を閉じてリラックスした状態でも口蓋(口の中の天井)を少し押し上げるような状態になっています。それは上顎骨を微力ながら持ち上げている状態ですので、鼻骨も上がり副鼻腔に空気を通しやすい状態にします。また、そしゃく筋など顎に関係する筋肉を作動させなくても口を閉じていられますので、頭部もゆるんだ状態なり、呼吸に合わせて頭蓋骨が拡がることを可能にします。つまり、静かでゆったりとした呼吸が可能な状態になります。

 これとは反対に舌の位置が下がって下の歯を押してしまうような場合(低位舌)は、そしゃく筋を脱力させた状態では、口が開いてしまいますので口呼吸になってしまいます。口呼吸を避けるために口を閉じようとしますと、顎先やそしゃく筋を収縮させることになりますが、それは顔に力が入った状態であり、頭部も硬くなります。上顎骨も下がり鼻骨も下がりますので、副鼻腔には空気が入らず、ゆったりリラックスした良質の呼吸は望めなくなります。
 また、舌の位置が下がっていることは、舌に締まりがなく、ゆるんでいることでもあり、そのゆるんだ舌筋が気道に落ちて無呼吸になる可能性も考えられますし、イビキをかく可能性も高まります。

 さらに、無呼吸症候群を考えるときに、舌のむくみも気になるところです。
 東洋医学では「舌の大きさ」を体質を診断するときの尺度の一つとしています。舌は心臓と関連性のある器官とされていますが、体質が弱くなりますと舌が腫れて大きくなり、口からはみ出すようになると考えられています。そしてその目安が「歯痕(しこん)」と言いまして、舌が歯を押してしまうために舌の縁に歯型がついてしまう状況です。鏡の前でご自分の舌をだして観察したときに、歯型があるようでしたら注意が必要です。
 舌がむくんで大きくなった状態は、当然気道を塞ぎやすくなりますので無呼吸症候群やイビキの原因になります。
 ですから、舌のむくみを解消しなればなりませんが、舌だけのむくみを改善することは不可能です。東洋医学では舌と心臓が密接な関係にあると申し上げましたが、即ち、心臓の働きも含めて全身的にむくみを改善する必要があります。
 (参照 循環のポイント‥‥鎖骨下静脈と鼡径部
 あるいは、口の中で「舌が邪魔」なほどに余っているように感じるのであれば、心臓の状態についても確認する必要があるかもしれません。

舌や周辺の動きに関して大切な首の筋肉

 何年も舌の動きと喋りに関して苦しんでいる青年がいます。まともに喋ることができなくなってしまったきっかけは、英語の発音練習をしていて、かなり舌に無理を強いてしまったことだと本人は仰っていますが、確実なところはわかりません。
 喋ることができなくなって、病院(言語聴覚士)やボイストレーニングのところなどを頼ったそうですが、何の改善も見られなかったようです。
 現在は、舌の動きも戻って言葉は普通に喋ることができるのですが、喋りながらのブレス(息継ぎ)ができないので、息苦しくなって喋れなくなるといった状態です。
 この青年は、長年の苦労によってか、あるいはトラブルを起こしたときのトラウマによるものか、舌や喉を動かすときに、どうしても口先から喉元にかけての部位しか動かさない癖になっています。

 ここで構造的な話題になりますが、学問的な見解として、舌と喉を動かす筋肉は舌骨を境にして二つの群に分かれています。舌骨は喉仏(甲状軟骨)のすぐ上にありますが、舌骨から頭蓋骨の下顎にかけての筋肉群を舌骨上筋群、舌骨から胸にかけて筋肉群を舌骨下筋群と言います。



 顎を開いて開口する場合、顎を閉じる働きをするそしゃく筋がゆるんで伸びますが、同時に、舌骨から下顎骨に繋がっている顎二腹筋(前腹)と顎舌骨筋、そしてオトガイ舌骨筋が収縮して下顎を舌骨の方に引き寄せます。
 また、食物を嚥下して食道に送る際は、食塊を飲み込む最初の段階で一度喉仏(甲状軟骨)が上にあがり、そして下がって「ゴクン」という嚥下動作が完了します。
 この嚥下動作では舌骨上筋群と舌骨下筋群が協働して舌骨と喉仏(甲状軟骨)を動かすことになります。そして唾を飲み込んだり、発声で声帯を動かしたりするときにも、同じように舌骨上筋群と舌骨下筋群が協働して甲状軟骨を動かします。(声楽家の喉仏が大きく上下に動くのはビックリしますが、これらの筋肉の働きによるものです)
 ですから、舌骨上筋群と舌骨下筋群、そして口を閉じる働きをするそしゃく筋の状態が良ければ、舌に関係する動作は滞りなく行えるという理屈が成り立ちます。
 ところが、実際は、それだけでは事足りません。

 舌と喉を動かすためには、僧帽筋や頭板状筋など首の背面の筋肉がしっかり働ける状態にあることが必要になります。

 頚部(首)を前後二つに分けたとき、舌や舌骨や喉、舌骨上筋群や舌骨下筋群は前側にあります。そして僧帽筋や頭板状筋、肩甲挙筋は後側に属しています。(胸鎖乳突筋も後側に属している筋肉と考えます)
 舌や舌骨、甲状軟骨に直接繋がっている筋肉のすべては前側にありますので、前側の筋肉の働きだけで、そしゃく、しゃべり、嚥下などの動作は完了できると理屈ではそうなります。しかし、実際は後側の筋肉が働かないと前側の筋肉がスムーズに働くことはできません。

 話を青年に戻しますが、彼は現在、毎日そしゃく筋や舌骨上筋群や舌骨下筋群を意識的に動かすように努力しています。顎の使い方を工夫したり、息の吸い方や吐き方を自分なりに調整しながら、昨日より今日、今日より明日、ちょっとずつでも前進しようと努力し続けていますが、どうしても首の前側だけに意識を向かわせてしまいます。
 「もっと首の後側を意識して顎を動かしてみて」とアドバイスするのですが、首の後側の感覚が乏しいので、使い方がまったく解らないと言います。

 通常、口を開いて下顎を下げるとき、鼻から息が入ってきますが、この時に同時に僧帽筋がゆるんで肩甲骨が少し下がります。そして頭板状筋は収縮して首の後面をしっかり支える働きをします。もし、頭板状筋が収縮できなかったり、あるいは僧帽筋(上部線維)がゆるまず肩甲骨が下がらない状態になりますと、顎を上手くゆるめることができず、顎を開いても鼻から息を取り入れることができません。

 この状態をそしゃく動作で説明しますと、一般的にそしゃくは「モグ・モグ」ですから、口を閉じた状態のままで顎だけ上下左右に動かしています。
 例えば「モグ」の「モ」のときに顎を開いて、「グ」の時に顎を閉じたとします。普通であれば、「モ」のときに鼻から息が入り、「グ」の時に鼻から息が出ていきます。このような仕組みになっていますので、口を閉じたまま「モグ・モグ」していても息苦しさを感じません。
 しかし、これができない状態ですと、「モグ・モグ」していると苦しくなってしまいますので、口を開けて「クチャ・クチャ」そしゃくするようになってしまいます。

 喋るときも同様です。私たちは喋りながら(=息を吐きながら)、無意識に、合間合間で瞬間的に吸気を行っています。それをブレスと言いますが、効率よいブレスを可能にするためには、首の後側の筋肉の働きが不可欠になります。その他に舌や鼻が下がっていないこと、舌骨筋群の状態が良いこと、頭皮や頭部の筋筋膜が硬すぎないことなどが条件になりますが、僧帽筋をはじめとして、後頚部の筋肉の状態が隠れた要となります。

 この青年が、どうアドバイスしても上手くブレスができず、すぐに息苦しくなってしまい、喉元の動きばかりを気にするようになってしまいますので、究極の策としまして、ベッドにうつ伏せになった状態で顔だけ上げた状態になってもらいました。普通に見ますと姿勢の悪い格好ですから、良いことだと思われませんが、後頚部の筋肉を収縮した状態にしたかったので、あえてこの格好をしてもらいました。

 すると、これまで長い間の苦しみが何処かに行ってしまったかのように、ごく普通に喋ることができるようになりました。後頚部の筋肉を収縮したままの状態にしたわけですが、それによって前頚部の舌骨上筋群、舌骨下筋群、舌筋がリラックスして使えるようになり、ブレスもごく普通にできるようになりました。そして長い時間喋り続けることが可能になりました。
 後頚部の筋肉を収縮させたことで、頭部と頚部をしっかり支えることができる状態になったのですが、それによって鼻腔が拡がり、自然と顎から力が抜くことができるようになったことも要因の一つだと思います。そしておそらく、頭板状筋を収縮させたことで僧帽筋をゆるめることが可能になり、開口と同時に息が吸える状態になったのだと思います。

 「この首の後側の使い方を、からだで覚えて‥‥!。これまでとは全く違った感覚だと思うけど、今までの使い方の癖を脱するために、うつ伏せになり、声を出して本を朗読するなどして、首全体を使って舌を動かす感覚を覚えて欲しい。」と申し上げました。

 その後、うつ伏せ状態を解除して、座った状態になりますと、やはり上手く使えなくなり、息苦しさが戻ってしまいました。しかし、また一つ、前進のための光明が見えました。
 後頚部の状態がこんなにも舌やその周辺の動作に影響を与えるとは私自身思っていませんでした。良い発見ができたと思っています。



 これまで舌についても何度か取り上げてきましたが、私はやはり、とても重要なものだと考えていますし、舌の重要性を益々感じるようになっています。
 舌は味を感じる感覚器官の一つであると同時に、喋りやそしゃくや嚥下の要ともなる大切な行為器官でもあります。
 ですから、大切に、大切にしてください。
 妙なトレーニングなどして舌を壊さないでください。

足つぼ・整体 ゆめとわ
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