ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

 和服の女性は、少し内股気味の方が見栄えも良く、仕草が魅力的だと感じる人も多いかと思います。そんな伝統を心のどこかで引き継いでいるのか、“女の子”が内股であることに対して“気をつけなければならない”と考える人はほとんどいないかもしれません。私も、この仕事に従事していなければ、そんなことはまったく気にもしなかっただろうと思います。
 内股と似ているO脚はスマートさに欠けますし、膝や股関節に負担がかかりますので矯正したいと考える人は多いかと思います。しかし内股も(程度に寄りますが)O脚と同じように、からだに負担が掛かかりますので早めに修正した方が良いと思います。

 仰向けで寝た時に、足のかかとより爪先の方が内側に入ってしまうのが内股の人の特徴の一つです。O脚の人もこの傾向にありますので区別しにくいところですが、立った時に膝の間が拡がってしまうのがO脚の人の特徴です。内股だけの人は立位で膝の間が拡がってしまう感じにはなりません。
 
骨盤男女差

 女性と男性の骨盤や股関節を比べますと、女性の骨盤の方が広くなっている分、左右の股関節の間隔は離れています。大腿骨は離れた股関節から膝に向かって入ってくるわけですが、その角度が男性より大きくなっていますので、女性は男性より内股になりやすい傾向があります。

 さて、内股の弊害について取り上げてみます。
①下肢の内側がとてもこわばり、顔もこわばる
 下肢とは股関節から下の太股、ふくらはぎ、足のことですが、それらの内側の筋肉が強くこわばっているのが内股の人の特徴の一つです。
 内股になってしまう理由として、生まれながらに股関節に問題があり、下肢内側の筋肉がこわばってしまう結果として内股になっている、というのはあると思います。あるいは、女性生来の深層心理として、内股を閉じておきたい(決してガニ股にはなりたくない)というのがあって、無意識のうちに下肢の内側に力を入れていることで内股になってしまうというのもあると思います。
 いずれにせよ、内股の人に見られる下肢内側の筋肉の強いこわばりは腹直筋や内腹斜筋と連動しますので、胸郭の位置を下げたり、喉や首のこわばりにつながります。鼻を含めた顔中心部の不調を招く原因になる可能性もあります。

腹筋と下肢筋肉の連動

 例えば膝のお皿(膝蓋骨)のすぐ上の内側は大腿四頭筋の中の内側広筋がありますが、この筋肉がこわばりますと腹直筋の正中線(中央部)近くがこわばります。すると胸郭の中で胸骨を下に引き下げますが、それによって喉がこわばり、発声や嚥下に不調をもたらす可能性があります。あるいは恥骨を下げてしまいますので、それにともない腹筋全般がこわばったり、恥骨筋がゆるんで、その連動で膝に力が入りづらくなり(中間広筋のゆるみ)、階段を降りる時に不安定さを感じるかもしれません。

内股の筋肉01

 太股中央部の内側には長内転筋があります。おそらく(座位で膝を開かないようになど)内股を意識する人はこの筋肉がもっとも強くこわばっていると思いますが、そのこわばりは内腹斜筋のこわばりにつながります。すると胸郭を下げたり骨盤を歪ませたりすることになりますので、それに伴う不調がもたらされます。そして内腹斜筋のこわばり(塊)は腹痛や便秘の原因になる可能性もあります。下腹部の骨盤周辺に違和感やこわばりを感じて押してみたところ、内部に硬い塊があって痛みを感じ「腫瘍?」などと不安を感じる人もたまにいます。

内股の筋肉02

 太股内側の股関節から膝にかけて薄筋があります。あぐらをかいたり、股関節を開くストレッチ運動をしたときに「突っ張って開かない」と感じたり、痛みを感じる筋肉です。この筋肉のこわばりは股関節の安定と運動に深く関係している腸骨筋のこわばりを招きます。腸骨筋がこわばりますと、鼡径部で血液の流れが悪くなりますので下半身のむくみを招きます。また股関節の前面が伸びなくなりますので、仰向けで寝ると腰部が浮いて腰が痛くなります。うつ伏せや横向きでないと眠ることができないという原因の一つです。

②「ハの字」で歩くことの影響
 内股の人は足の爪先が内側に入った「ハの字」型の足で立ったり歩いたりしているわけですが、すると母趾先の内側と4趾と5趾の踵近くがこわばります。その辺りに力を入れてからだを支えているからです。
 母趾先の内側のこわばりは太股では長内転筋に連動しますので、益々内股が強調されたり固定化されることになります。
 和服に履く草履は、普通に歩くのではなく、内股でつま先をあまり上げることなく歩くのが似合いますが、そのような歩き方は足の内側(母趾側)ではなく外側を前に出すような歩き方です。それによって4趾、5趾の踵付近がこわばり外くるぶしが前にズレます。この状況は骨盤を含めて下半身の筋肉や筋膜の流れを歪めてしまいます。
 「気がスムーズに流れなくなる」「邪気を足裏から発散しにくくなる」と表現しますと怪しげに思われるかもしれませんが、実際そんな感じです。状態の良い人は目を閉じて、太股~膝~ふくらはぎ~足や足裏を頭の中にイメージすることができます。そして、それらが一本のラインで繋がっているイメージを思い描くことができます。しかし骨格が大きく歪んでいたり、筋肉や筋膜の流れが悪い人は、途中までしかイメージすることができません。「右脚は足裏まで一本のラインで繋がるのに、左脚は膝から下が途切れてしまう。意識が通じない。」というような状態になってしまいます。「気が通らない」「気の流れが止まっている」とはこのような状態のことだと思います。

 頑固な内股になっている人の歩き方を観察しますと、つま先立ちで歩いているような感じに見えます。つまり、踵よりも先につま先の方が着地しているような、そんな感じですから歩き方がとても不安定です。
 歩く動作は“片脚立ちを交互に繰り返す連続動作”ですから、全体重が片方の脚に乗った状態でしっかり立つことができなければなりません。そのために重要な働きをしている筋肉の一つに中殿筋がありますが、「ハの字」の人はお尻の筋肉がゆるんでいますので中殿筋を働かすことができません。中殿筋が収縮しますと「お尻にエクボ」ができますが、「ハの字」の人はどんなに頑張っても満足なエクボができません。しかし、そんな人でも両足の踵を付けて、つま先を開いて、つまり逆ハの字の状態にしてしっかり立ちますと、お尻にエクボをつくることが簡単にできます。骨盤もしっかりしますので自然と背筋が伸びて、顎も引かれます。内股の人はこの状態をつくることが上手くできませんので、姿勢を正そうとする時、背中に力を入れるようになりますが、それはからだに無理を強いることですから、やがて何処かに不調が現れるようになると思います。

内股を改善するために
 私の整体の先生は「形にこだわると間違ってしまう」と教えてくれました。ですから、少々O脚でも、少々内股でも、からだに歪みがあったとしても、からだが上手く機能していて不調がないのであれば「個性」と解釈して、無理に矯正する必要はないと思います。
 ところが、からだにいろいろな不調があって、その原因として内股に関連する筋肉の変調があるのであれば、それはやはり改善する必要があると考えます。

①どうして内股になるのか?
 少し内股の30代半ばの母親が時々来店されます。数年前は常に腰痛を抱えているような状態でした。今は腰痛よりも肩こりなどの方が気になるようですが、腰は相変わらず良い状態であるとは言えません。内股による骨盤の歪みが原因している可能性があります。
 「下の子供(幼稚園生)がすごい内股で‥‥」と仰いました。「女の子でしたっけ?」と尋ねますと「男の子なのにすごい内股で‥‥」ということでした。“骨格の遺伝性”が原因として考えられるのかな、などと思いました。
 私の娘も少々内股です。子供の頃から“立ち方”に不安を感じていました。膝の裏をすっかり伸ばしたような立ち方(反張膝) をしていました。O脚の人はこのような立ち方をよくしています。彼女は子供の頃からの姿勢によってO脚にはなりませんでしたが内股になってしまったタイプです。大人になった現在は反張膝で立つこともないのですが、体型は少々内股です。(家系的に他に内股の人はいませんので、遺伝性ではありません。)

 現在、“とても頑固な内股”の高齢の女性が来店されています。そのお嬢さんも強い内股で、はるばる遠くから来店されました。母と娘と、ともに強い内股ですから先天性、遺伝性のものと考えられますが、お嬢さんの内股は私も初めて体験するほど強いものでした。脚を外側に回旋させることはほとんどできず、“あぐらをかく”もできません。来店された主目的は内股を改善することではなく、他の耐えきれない不調を改善したいということでしたが、「この内股を何とかしないと良くならない」と私は判断しました。そしてこんなに内股が頑固な状態になってしまったのは、“先天性内股”+”内股状態で何十年も過ごした結果”だと思いました。

 内股の出発点は股関節ですから「股関節が異常?」と思われ、整形外科でレントゲンを撮り、医師の診断を受けた経験のある人も多いかと思います。骨と骨の関係として「関節が浅い」とか、角度が普通ではないとか、いろいろな診断があると思います。整形外科は画像を元に診断をしますが、骨(骨盤)と骨(大腿骨)の関係性だけで内股が悪い影響を及ぼす程になっているというのではなく、何の対策もしないまま長年放置したことによって関係する筋肉の変調状態が固定化してしまったために、からだに不調をもたらしていると考えることもできます。そうであるならば、筋肉の変調状態を元々の状態に戻すことによって固定化された内股に柔軟性が戻り、子供の頃のように「形は内股だけど、からだの機能に問題はない」という状態にできると思っています。

②内股を形成する筋肉のこわばり

股関節の外側にある小殿筋と大腿筋膜張筋のこわばり

内股_小殿筋と筋膜張筋「こ」

 内股状態は主に下肢内転筋がこわばっていることによってもたらされますが、骨盤の外側にある二つの筋肉が強い影響力を持っている場合があります。それは小殿筋と大腿筋膜張筋です。ただ、小殿筋の主な働きは股関節で“大腿骨を外に開く(股関節の外転)”働きであるとされていますので、内股とは反対の動きになります。つまり、小殿筋がこわばるとガニ股になりますので、私の見解に反対の専門家も多いかと思います。ところが、小殿筋には股関節を内旋させる(大腿骨を内側に回旋させる)働きもあります。同様に、大腿筋膜張筋も大腿骨の外転と内旋の働きをします。
 そして実際、内股の人は小殿筋、大腿筋膜張筋がこわばっているのですが、それを骨格的に当てはめてみますと、股関節で太股を開きながら内側に捻った状態となります。本人は脚を開きながら内側に捻っているという意識は持っていないと思いますが、筋肉の状態を観察しますとそのように解釈することができます。
 普通の状態の人が、この状態(脚を開きながら内側に捻る)を再現しようとしますと、踵の外側~足の小趾側にかけて強く力を入れることになりますが、実際、踵の外側の強いこわばりが小殿筋のこわばりに繋がり、足の小趾側のこわばりが大腿筋膜張筋のこわばりにつながります。
 ですから、内股の人の特徴である股関節での大腿骨の内旋を改善しようとするときの一番目の施術は踵外側筋膜と足の小趾側(4趾、5趾間)のこわばりをほぐすことになります。
 先ほど話題に出しました大腿骨をほとんど外旋させることができなかった女性は、踵の外側の強いこわばりを指圧してゆるめたことで、大腿骨を外旋させる動きができるようになりました。そして、この踵の外側は反射区としては卵巣にあたりますが、この方は卵巣嚢腫を経験しています。もしかしたら偶然一致しただけかもしれませんが、強い内股で長年過ごしていたために踵外側が強くこわばってしまい、卵巣の反射区が血行不良状態となり卵巣の病変を招いてしまった可能性も否定できないと私は考えています。

下肢の内転筋のこわばり
 上記で説明しました小殿筋と大腿筋膜張筋は内股の人だけでなくO脚の人もその他の人もこわばっていることが多い筋肉です。特徴としては股関節で大腿骨が少し外に飛び出しているように感じる(骨盤から太股が外に出っ張っている)、太股が内側に捻れている、あるいは太股外側の筋肉がボーンと張って目立っている、というのがあります。
 内股の人はO脚の人と比べますと膝の間が離れているのではなく内側に寄っていることが特徴ですが、それは太股内側筋肉の緊張やこわばりによってもたらされます。ご自分では太股内側に力を入れているつもりはまったくなくても、自然とこわばった状態になっています。
 こわばっている筋肉について少し説明しますと以下の通りです。

a.内側広筋のこわばり‥‥膝のすぐ上の内側が硬くなっている

内股_内側広筋「こ」

 内側広筋は大腿四頭筋の中の一つですので、学問的には内転筋の中に含まれていません。ですから、“内股”とは特に関係のないように考えられているかもしれませんが、実際は非常に深い関係があります。
 内側広筋は膝周辺ではスネの骨(脛骨)の内側に筋膜を伸ばして付着しています、ですから内側広筋の膝周辺部がこわばりますと、脛骨を内側に内旋させながら引っ張り上げるように歪ませます。そして、その流れは脛骨前面内側の筋膜を通して足首に同じような歪みをもたらします。ですから内股で内側広筋が強くこわばっている人は、たとえば仰向けで寝たときに、単に足が内側に捻れて足が「ハの字」になっているだけではなく、内くるぶしから土踏まずにかけて引き上げられているような、上を向いているような状態になっています。
 「足首周辺でエネルギーの流れは止まってしまうので、排泄すべき気をうまく出すことができない=デトックスできない」と私は感じます。
 内側広筋のこわばりは、足では母趾先の内側のこわばり、手では小指つけ根の内側のこわばりと関係が深いので、それらをほぐすことが施術方法の一つです。

b.長内転筋のこわばり‥‥膝をくっつける意識が強いとこわばる

内股_長内転筋「こ」

 太股中程の内側にある内転筋で、こわばっている人の多い筋肉です。内股の人のこの筋肉が強くこわばりますと太股の上1/3から膝にかけての部分がグイッと内側に捻れます。膝のお皿(膝蓋骨)が内側に入っている人は、長内転筋のこわばりによる可能性が高いです。女性が椅子に座って膝が開かないように内転筋に力を入れるとき一番働く筋肉ですので、デスクワークをしている女性の多くはこの筋肉がこわばっています。そしてその影響は下半身のむくみ、お腹の硬さ他、いろいろな不調をもたらします。
 そして、長内転筋のこわばりで重要なことは、この筋肉の連動が足では母趾外転筋、ふくらはぎでは後脛骨筋につながっていることです。

 母趾外転筋は踵の内側から母趾の側面と下面を通って外反母趾で痛みを出すところに繋がっています。ですから母趾外転筋がこわばるような歩き方(外反母趾の人が行っている母趾を捻って地面を蹴る歩き方)をしますと外反母趾が痛み出すとともに踵の内側も硬くこわばります。

前脛骨筋と後脛骨筋の拮抗関係
 
 さらに連動している後脛骨筋もこわばるのですが、そうなりますと土踏まずの踵寄りの部分(舟状骨)が足首の方に引き上げられます。見た目は扁平足の反対で、ハイアーチのようになるのですが、それは良いことではありません。筋肉の拮抗関係で前脛骨筋がゆるむため土踏まずの指先側(母趾中足骨)が落ちてしまいます。そして指先は甲側に曲がりますので、ハイヒールの靴を履いているわけでもないのに足の形がそのような感じになってしまいます。これでは足の母趾がしっかりしませんので、足裏の全体感として力不足になってしまい、指先に必要以上に力を入れて歩くようになってしまいます。足趾は曲がり、足趾のつけ根部分にはタコができてしまいます。

内股による母趾の捻れ

 内股の人は、足の小趾側指先の方から着地するような歩き方になってしまいますので、母趾を効率よく使うことができません。外反母趾でもないのに母趾先を捻って地面を蹴りますので、母趾の第1関節の2趾側が強くこわばってしまいます。見た目では母趾の内側が地面の方に捻れて落ち込んでいるような感じになります。この状態は母趾外転筋と後脛骨筋をこわばらせ、なお一層長内転筋のこわばりを助長する結果を招きます。

c.薄筋のこわばり‥‥膝裏や股関節の伸びが悪くなり腰痛を招く可能性

内股_薄筋「こ」

 太股内側の真横、股のつけ根(恥骨近辺)から膝にかけて細長い薄筋があります。開脚などのストレッチ運動のときに、開脚にストップをかけてしまう筋肉です。この筋肉がこわばった状態ですと、あぐらの姿勢が辛くなったり、股関節を開く動作が気持ちよく行えません。そして重要なことは、この筋肉が骨盤内にあります腸骨筋と連動関係にあることです。腸骨筋はとても強力な筋肉で、腿上げ運動で働いたり、仰向けで寝た状態から腹筋を使って起き上がるときに股関節で上半身を持ち上げる働きをします。座ることの多い仕事の人は腸骨筋がこわばっている可能性が高いですが、すると鼡径部で血管を圧迫することになりますので、下半身がむくんでしまいます。
 ”内股の人は薄筋が強くこわばっている”ということではないのですが、時々薄筋が強くこわばった内股の人を見かけます。そういう人は本当に脚の内側に力を入れて動作をしているのかもしれませんが、膝裏が伸びませんので仰向けで寝ても膝が少し曲がった状態になっていますし、膝裏が腫れぼったくなっている人が多いです。

短内転筋
 小さな筋肉ですので目立ちませんし、解剖学の解説書などでもあまり取り上げられていませんので情報量が少な筋肉です。恥骨に深い部分と大腿骨の上部を繋いでいますが、その位置関係からこの筋肉が収縮しますと大腿骨を外側に回旋します(股関節の外旋筋)。“骨盤と大腿骨の上部を結ぶ短かく丈夫な筋肉”であるという共通点、方や外旋と内転(短内転筋)、方や内旋と外転(小殿筋)という正反対の働きをするという点で、短内転筋を考える上では小殿筋を常に念頭に入れなければならないと私は考えています。

 上記で説明した薄筋がこわばった人はあぐらの姿勢が苦手ですが、短内転筋のこわばりが強い人はあぐらの姿勢ができないかもしれません。「股関節の根元が開こうとしない」という言葉があてはまると思います。
 まだ、確定的に言える段階ではありませんが、短内転筋と足の母趾と2趾の間の骨間筋は連動性があるように感じています。

③内股を改善するための施術
 今回は内股に関係する筋肉について、いつもより細かく説明させていただきました。内股の程度は様々ですが、ある人はこれらの筋肉の一つだけが変調をおかしくなっているだけかもしれません。あるいは、全部の筋肉がこわばっている”強烈な内股”と表現できるような人もいます。
 私は施術者として、おかしな状態になっている筋肉を一つ一つずつ全部修正することが内股を改善するための王道だと考えています。O脚や外反母趾などに対しても同様ですが、骨格ばかりに注目してコルセットや装具を使ったりして矯正する方法は、私は採用しません。
 筋肉は必ず連動します。内股のある筋肉がこわばりますと、必ず腹部や手や顔の何処かがこわばります。ですから、内股の筋肉のこわばりをそのままに形だけ整えたとしても、からだの不調は改善しないということになってしまいます。筋肉は形状記憶するような要素を持っていますので、長い年月こわばった状態の筋肉を修正しようする場合、それは時間と忍耐力が必要となります。ですから骨格矯正や歪みの矯正を望まれて来店される方々の中には、時間がかかることに耐えきれず途中で止めてしまう人も多くいます。
 今、おかしくなったのなら、今、元の状態に戻せるかもしれません。しかし内股の場合は、長年に渡る状態進行の結果、からだに不調や不具合が現れたということがほとんどですから、改善のためには忍耐がどうしても必要になります。そのように考えていただきたいと思いますし、根気強く筋肉の変調を改善していけば、内股とは全然関係ないと思われる目の不調が良くなったり、呼吸が良くなってリラックスできるからだになったりという副産物が必ず得られます。内股=つまり”からだの中心ラインの強いこわばり”を改善することは、日々の生活に快適さをもたらすことにつながります。
 
 犬や猫、牛や馬などほとんどの哺乳動物は四つ足です。爬虫類はもっと地面に這いつくばるように動いていますが、それは地球の重力の影響をあまり受けないようにするためだと考えることもできます。ところが私たち人間はすっかり重力に対抗するように2つの脚だけで立って歩きます。ですから下肢にかかる負担はとても大きいと言うことができます。
 私のところに来られる方々は、「調子がおかしい」人がほとんどだからかもしれませんが、脚が“棒のよう”だったり、パツンパツンにむくんでいたり、足や足趾に無理が掛かっている人ばかりです。おそらく”普段がそのような状態”なので、ご自分では“下肢がおかしな状態”だという認識はないのかもしれません。そんな状況の一つ現れがこのたび取り上げた内股です。
 私は施術者として「もっとリラックスしてスッキリした脚になってほしい」と願いながら施術を行っています。そのためには、内股状態の強い人は、内股状態を改善する必要があります。骨格の状態が良くならなければ、いくらマッサージをしても、リンパを流しても、その場限りのものに終わってしまいます。
 膝関節はどこもおかしくないのに正座ができない人がいます。膝を深く曲げると太股やふくらはぎに突っ張りを感じ、その状態を保持することができません。その方は70年以上内股状態で過ごしてきました。下肢の筋肉が形状記憶のように頑固になっていますので、何度も何度も施術しなければなりません。それでも、一月くらい経つと短時間であれば星座ができる状態になりました。そしてもう少し施術を続けていけば、本人の願いである正座が再びできる状態になることでしょう。そしてやがて筋肉の形状記憶状態も解除されて、もっともっと楽に、歩いたり、立ったり、座ったりすることができるようになると私は思っています。

 食べることは栄養を補給するために必要不可欠なことですが、栄養を補給する目的であれば健康食品や薬などいろいろな方法があります。しかし、私たちは口を動かして食べたいという本質的な欲求を持っています。
 “そしゃくする”ということは、その運動によって筋肉が鍛えられ、脳の血流が良くなり、唾液が出て消化が良くなる、という生理機能的な効用をもたらしますが、それ以外にも“心地良くなる”という内面的な効果があります。
 ただし、快適なそしゃくができなければ「噛むのはかったるい」「顎が疲れる」といった反応になりますので「噛むと心地良い」ということにはまったく賛同できないことでしょう。

快適なそしゃくとは?
 スティック野菜をパリパリ噛むことが好きな人と嫌いな人がいると思います。顎を大きく動かしてそしゃくすることができる人は口腔の深いところ(奥歯の方)で噛み砕きながらパリパリ・モグモグしますが、それを快適に感じると思います。ところが顎を大きく動かすことができない人や反対咬合の人は、オトガイ(下顎の先端)の方に力を入れて噛むようになりますので、口先の方だけ動かして噛むような状態になってしまいます。また、この状態では噛む力も弱いので、硬いものは苦手に感じてしまうことでしょう。

閉口筋_咬筋・側頭筋

 ところで、顎を大きく使ってそしゃくすることのできない人に、「口先の方を使って噛んでいますよね?」と問いますと、ほとんどの人の反応は「?」マークです。何を言われているのか意味不明に思われるようです。物心ついた頃からずっとその噛み方ですから、それが普通だと思っています。顎関節がおかしくなった経験があったり、歯科治療や何かのアクシデントをきっかけに「噛み方が変わった」「長くかみ続けることが苦痛になった」と感じている人は、このことが解るようですが、そうでなければ解らないかもしれません。
 「噛み合わせがおかしくなった」という訴えはよく聞きますが、「噛み方がおかしくなった」という訴えはあまり聞くことはありません。しかし、噛み方がおかしくなることはよくあることですし、毎日を快適に暮らす上で、大切なポイントになると思います。

 さて、このことに関しまして私が今着目している筋肉があります。それは舌骨上筋群と呼ばれていますが、喉元にあります舌骨と下顎の骨をつないでいる筋肉で、オトガイ舌骨筋、顎舌骨筋、顎二腹筋という名前がついています。

舌骨上筋_口腔底

 “そしゃく”は“食物を噛む”ことが根本ですから、顎を閉じたり開いたりする運動が基本的な動作になります。(実際はもっと複雑です)
 それは顎関節を支点として、下顎骨を引き上げたり、引き下げたりする運動のことですが、下顎骨を引き上げる筋肉は閉口筋と呼ばれ、そしゃく筋である咬筋、側頭筋、内側翼突筋が主体になります。下顎骨を引き下げる直接的な筋肉は舌骨上筋群であるオトガイ舌骨筋、顎舌骨筋、顎二腹筋(前腹)です。
 実際のそしゃく運動は、舌筋や表情筋なども動員して複雑になりますが大雑把に申しますと、以上の通りです。

オトガイ舌骨筋と顎舌骨筋のこわばり状態

 ところで私が観察したところ、同じ舌骨上筋群でも顎二腹筋(前腹)とオトガイ舌骨筋、顎舌骨筋では働き方の性質が異なります。顎二腹筋(前腹)はオトガイを舌骨の方に引き寄せますが、オトガイ舌骨筋と顎舌骨筋は舌骨をオトガイの方に引き寄せるように働きます。
 この違いが実際のそしゃく動作でどういう違いになるかと申しますと、顎二腹筋を収縮させて口(顎)を開いた時には、下顎が後方(耳の方)に引かれますので顎関節が大きく動きます。一方、オトガイ舌骨筋や顎舌骨筋を働かせて口を開く時には舌骨や喉が前に動く形になりますので顎関節が動くというより喉元が動いてそしゃくをするような状態になります。ですから、口先だけで噛んでいるような感じです。

 「ア」を発声するために開口するとき、普通は顎二腹筋を使いますので下顎は耳の後方に動くのがハッキリと感じられます。「イ」を発声するときには、顎関節よりも下唇の下(オトガイ)に力が入るのが感じられると思いますが、オトガイ舌骨筋、顎舌骨筋が収縮します。
 ですからオトガイ舌骨筋、顎舌骨筋を使って噛んでいる人は、顎先から下唇にかけてと下顎の縁がこわばりますので、その辺りを指圧しますと痛みを感じます。また、喉もこわばりますので、顎の底面から喉や首にかけて硬くなり、厚みが増します。正面から見た時、首がスッキリせず、顔と首との境界もぼやけてしまうと思います。そしてこのような人は「そしゃくすることが心地良い」とは感じないと思います。
 他方、顎二腹筋を使って噛んでいる人は顎関節が大きく動きますし、そしゃく筋も上手に使えますので噛む力も自然と強くなります。硬いものを噛むことも平気です(歯や歯茎が弱くなければ)。顎関節の動きが大きくなるわけですが、それは筋肉を大きく伸びやかに使っていることと同じですので、「そしゃくすることは心地良い」と感じると思います。

鼻骨の状態が舌骨上筋群に影響を与える?
 私の鼻骨は今、少し下がっています。この状態で煎餅を噛んでみますと顎関節が大きく使われている感じはしません。しかし口先だけで噛んでいる感じでもありません。次に鼻骨を上に持ち上げながら噛んでみますと、顎関節が軽くなり、顎が大きく使われるようになります。そして今度は鼻骨を引き下げて噛んでみますと口先の方だけで噛むようになり、奥歯を使って噛むことができなくなってしまいます。ですから、鼻骨の状態が噛み方の影響を与えることがわかります。
 また、筋肉の状態も鼻骨によって変化することが観察できます。鼻骨を上げますと顎二腹筋の状態がしっかりします。鼻骨を下げますと顎二腹筋がゆるんで顎舌骨筋とオトガイがこわばります。
 鼻骨は下がりやすい骨です。眼鏡を使っている人の多くは鼻骨が下がっていることでしょう。花粉症の季節は、たくさんの人の鼻骨が下がります。花粉症で鼻炎が悪化する理由の一つは鼻骨が下がってしまうことだと私は考えています。
 
 鼻骨が下がってしまう理由は幾つか考えられます。
 最近の眼鏡は軽いとは言え、やはり重みがありますので、眼鏡を使っている人はどうしても鼻骨が下がってしまいます。

後頭骨と鼻骨の関係性

 鼻骨と後頭骨はシーソーのような関係になっています。つまり後頭骨が上がると鼻骨が下がるということです。後頭骨は背骨や背筋(脊柱起立筋)を介して仙骨とつながっていますので、いつも姿勢が悪く背筋がゆるんだ状態になっている人は後頭骨が上がってしまいます。また仙骨や骨盤が下がっている人も後頭骨が上がってしまいます。
 東洋医学の考え方では鼻と肺は密接な関係ですが、実際、胸の状態と鼻骨は関係性があります。現代医学的には、胸腺の働きはほとんど無視されたような状況ですが、胸(胸骨)を触ると鼻骨が上がる場合があります。胸骨、あるいは胸腺は免疫系と関係がありますので、そこにエネルギーが与えられる(手で触る)と鼻の状態が良くなると考えることができます。 鼻づまり、くしゃみ等の症状の時に胸に塗る「ヴィックスヴェポラップ」はこのことを応用していると思います。
 実際、今の私は胸に手を当てると下がっている鼻骨が上がります。

ちょっとした“差”が、心地よさを決める
 「口を開く時に舌骨上筋群のどの筋肉を優先的に使っているか?」というのは、あまりにも細かく、マニアックな内容かもしれません。しかし実際に調子の悪くなった人、たとえば滑舌が悪かったり、舌が思うように動かせなかったり、喉がつかえたり、満足に噛むことができなかったりする人に対しては、こういう細かい点をチェックして調整しなければ症状を改善に向かわせる糸口に辿り着けなかったりします。反対咬合の人も、それを直そうとするのであれば、とても重要なポイントです。

 私たちは美味しい物をたべると心が高揚して楽しくなります。アルコールも、好きな人にとっては気分を高揚させたり、心を落ち着けたりすることに利用できます。その他にも趣味を楽しんだり、自分の嗜好にしたがって満足感を得て気分を高揚させたりしています。これらのほとんどは舌や目や耳など感覚器官を通じて取り入れた外部からの刺激がもたらしてくれるものですが、そういった外部の物が全くなくても心地よさを感じることのできる内的な道具も幾つか持っています。
 そして、その中の一つが“そしゃく”であると私は思っています。もう一つは“歩行”で、きっとその他にもいくつかあると思います。
 快適にそしゃくしていれば、それだけで自ずと心地良くなります。「心地よさとは、どういう状態で、そのためには脳から○○というホルモンあるいは化学物質が放出されている」と科学者は分析されるのかもしれませんが、私はそこには理由付けは必要ないと思っています。哺乳動物の一種である私たち人間は、生まれたばかりの赤ちゃんが母親の乳房に唇を吸い付けて一心不乱にそしゃく筋を働かせて乳を吸いますが、それが本来の姿だと思います。そしゃくすることが本来の状態であって、本来の状態になれば、“自ずと心地良くなる”のだと私は考えています。ですから、内的に心地良くなりたい、安らかな気持ちになりたい、リラックスしたいと考えるのであれば、快適なそしゃく、正しい噛み方を身に付ける必要があるのではないかと思います。

ゆめとわのホームページ

 もうずいぶん前の話ですが、大事な契約書を取り交わす直前になって胃がキューっと縮むように痛くなった経験があります。「これが、神経性の胃の痛みということか?」とその時に思いました。”神経性胃炎”というのは確かに存在するのだと実感しました。
 私の場合は、その時以来、それほど胃が痛んだことはありませんが、毎日のように精神的ストレスを感じている人は、これに近い経験を毎日のようにしているということですから、胃潰瘍や、さらにそれが重症化して”胃に穴が開いてしまう”状態になってしまうのも理解することができます。

胃が傷つく‥‥器質的変化、病変
 胃自体がおかしくなって「胃の調子が悪い」「胃が痛い」となりますと、それは胃が傷ついて病変したということですから、医師に罹ってしっかり治療しなければなりません。
 嘔吐や胸焼けなどで胃液が口の方に上がってきた経験をお持ちの方は知っていると思いますが、胃液の中には胃酸と呼ばれる強い酸性の消化液(酸っぱい)が含まれています。胃酸は強い酸性の液体ですが、胃の中に入った食物を殺菌して消化する働きをしています。ところで、その強い酸は胃自体を傷つける可能性がありますので、そうならないように胃液に含まれる粘液が胃壁を守る働きをしています。
 健康な胃は胃酸と粘液をバランス良く分泌しますので問題になりませんが、粘液の能力を超えて胃酸が出過ぎますと、やがて胃壁が傷つき、炎症が起こったりして胃の器質的変化が始まり病気の状態に進んでしまいます。

 胃を傷つける要因として以下の項目が考えられているようです。
①薬の副作用
 鎮痛薬のロキソニンは胃薬と一緒に飲むことを勧められますが、それはロキソニンに含まれている成分が胃を傷つける可能性があるとされているからです。
 消炎鎮痛薬は胃壁を傷つける可能性がありますので、長期間服用するときは胃粘膜保護剤を一緒に服用した方が良いとのことです。

②過度のストレス
 過度のストレスがかかりますと自律神経の働きが乱れて胃液の分泌が過剰になり、胃の粘膜を傷つけるとされています。精神的ストレスだけでなく、暴飲暴食など胃に負担をかけることも胃液の過剰分泌を招くので気を付けなければならないということです。

③アルコール、コーヒーなどの飲料
 リラックス効果が期待できる反面、胃を刺激して胃酸を増加させる可能性がありますので摂りすぎないよう注意が必要だということです。

④ピロリ菌
 ピロリ菌は胃潰瘍や慢性胃炎、胃がんの原因になる可能性があるとされています。


自律神経と内分泌(ホルモン)
  胃をはじめ、私たちの内臓諸器官は自律神経によってコントロールされています。ですから内臓の働きや状態を整えようと考えるなら、まず自律神経を整えることを考えなければなりません。しかしながら実際の医療現場では、この単純で基本的な理屈を何処かに忘れ去っているようです。
 “規則正しい生活習慣”、“お腹を冷やさないために、シャワーだけで済まさずに湯船に浸かる”、“ご飯はよく噛んで食べる”、“気持ちよく歩く”、これらは自律神経を整える上で大切な事柄ですが、そのように指導されるお医者さんは少なくなってしまったようです。

 自律神経の働きとともに忘れてはいけないものがあります。それは内分泌系の働き、つまり“ホルモン”です。ホルモンについてはまだまだ解っていないことが多いようですが、細胞に働きを促す命令書のような存在だということです。
 病院での治療でよく使われるステロイド剤は、本来副腎という臓器(の皮質)で作られるホルモンで、血液の中に分泌されて全身の細胞に届いて働きます。ステロイドホルモンを受け取った細胞は、ストレスや炎症を緩和する働きをするようになり、結果として私たちのからだがストレスに打ち克ち、炎症を除去することができるようになります。
 ところで副腎はいつステロイドホルモンを産生するのでしょうか? また、どういった合図の元に産生するのでしょうか?
 それは脳下垂体から副腎に対して「ステロイドを産生せよ」という命令が届くことによって行われるということです。この脳からの命令もホルモン(副腎皮質刺激ホルモン)の形をとって血液の中に分泌され副腎に届くようになっています。
 つまり、からだの何処かに炎症が起きたり、ストレスを被った時などに、脳がそれらを処理するために副腎に対して命令を送り、ステロイドが生産されて処理が行われる仕組みになっています。(投薬などでステロイドが外部から与えられますと、脳と副腎の一連の連携と働きが省略されてしまいます。その状態が長期化しますと脳と副腎の働きが弱まります。その影響で副作用が起こる可能性が高いと考えられています。)

 胃に食べた物がやってきますと、それを消化するために胃自体が蠕動運動を起こし、食物分解のために胃酸が分泌されます。胃の蠕動運動には自律神経が、胃酸の分泌にはホルモンが関わっています。
 ですから、「胃の健康」を考えるときには、“自律神経の働きとホルモンの分泌”という両面で考える必要があるということになります。

胃のツボや反射区は有効か?
 薬を使わずに胃の状態を整えようとする時、いくつかの手段があります。鍼灸治療はその一つです。私はその理屈について詳しく知りませんが、おそらく経絡(ケイラク)や経穴(ツボ)を利用して治療されるのだと思います。

中脘
足三里2

 足三里というツボは有名でよく用いられますが、それは胃の経絡上にあります。そしてお腹の臍の上部には中脘(チュウカン)という胃のツボがあります。

 「足つぼマッサージ」という名称で呼ばれている足の反射療法(リフレクソロジー)には、“胃の反射区”を刺激することによって胃の状態を改善することができるという理屈があります。そして反射区は手にもありますので、胃の不調を訴える方に対して、私は両手両足の反射区を揉みほぐしますが、実際、即効的な効果を期待できることもあります。(全ての胃の不調が改善されるということではありませんが、有効性は高いです。)

足裏_胃の反射区

掌_胃の反射区

 反射区の効果については、私は二通りの考え方をしています。日々のボディケアとして反射区を利用するなら、いわゆる「足つぼマッサージ」店が普通に行なっているような、一つの反射区に対して数回の刺激を足裏や手のひら全体に行えばよいと思います。しかし、即効性を求めたいと考えるなら、それでは不十分です。「今、胃が痛いのでなんとかしたい」のであるなら、胃の反射区をしつこいくらいにほぐさなければなりません。持続的な指圧が適していると思います。力不足などの理由で、思うように指圧ができないならツボ押し棒などを用いて、3分とか5分とか痛みをこらえながら押し続ける必要があります。グイグイ押すと皮膚を痛めたり水膨れができたりしますので、グイグイ押すのではなく、ジーと押し続けることをお勧めします。
 するとある瞬間に、フッと緩む感じとともに痛みが和らいでいくのが感じられると思います。是非、そこまでやり続けてください。
 一回では改善しなくても、2日、3日とやっているうちに胃の状態が良くなることもあります。

 今回の記事も含めて三度にわたり胃の問題に対する私の考え方を説明させていただきました。
 背骨と胃のハリの関係、お腹側の問題と胃の不調、そして今回の胃の器質的変化、これら三つの角度でアプローチすることで胃の問題の多くは対応可能だと思っています。
 器質的変化が慢性化した状態、つまり胃の病状が進行した状態は、医師の治療が最優先です。
 ところで「場を整える」という考え方は大切だと思います。胃が自ら治ろうとしたとき、胃が置かれている空間(腹腔)に余裕があって、血液がしっかり届いて酸素と栄養が十分に供給される環境が大切です。体温も重要ですから、お腹を冷やさないようにしなければなりません。
 これらの記事が情報として少しでもお役に立てれば幸いです。

 「胃がもたれる」「胃がピリピリする」などの訴えがあった場合、胸郭の柔軟性が失われていたり、胸郭が胃の動きを阻害していたり、腹筋のこわばりが胃を圧迫している可能性なども考えられます。
 胸郭は胸椎と12本の肋骨でできた籠のようなものですが、その中に肺と心臓と食道が収まり、胸郭の底には横隔膜があります。そして横隔膜に接するように肝臓(右側)と胃(左側)があり、そのすぐ下に大腸の横行結腸が通っています。

体の前面

 呼吸で息を吸いますと肺が広がりますが、実は肺自体が自ら弛緩して拡がっているのではありません。肋骨が拡がり、籠の底(横隔膜)が下がることによって胸郭全体が拡がる仕組みを利用して、肺が拡がり空気が入るようになっています。ですから肋骨が拡がらなければ、また、横隔膜が収縮しなければ、息を吸っても空気は入ってきてくれません。
 そして、”胃もたれ”や”胃のつかえ”を感じるときは、胸郭が拡がりにくく横隔膜の運動が不十分である場合が多いようです。

胃と肝臓と骨格との位置関係

 さて、胸郭は下部では腹筋と背筋などによって骨盤につながっています。ですから、腹筋や背筋などがこわばって伸びにくい状態ですと、息を吸うとき上に上がってきてくれなくなります。さらに腹筋の中の外腹斜筋は胸郭を内側下方に動かす働きをしますので、外腹斜筋がこわばった状態ですと、胸郭は(正面から見て)幅が狭くなります。胸郭のゆとりが失われ、胸の厚みは増し、しかし細く絞られたような感じになります。見るからに息苦しそうです。
 その他にも肋骨の動きを制限してしまう筋肉がありますが、それらによって胸郭が身動きできない状態になってしまうことがあります。そうなりますと、狭い胸郭の中で心臓は動かなければなりませんし、胸郭の下部に接している胃や肝臓も窮屈な状態になってしまいます。
 この状況で、腹直筋のみぞおちの部分に硬いこわばりができていしまいますと、それによって胃はさらに圧迫を受けますので不調が増大した状態になってしまいますが、実際、胃もたれなどの症状を訴える時はそのような状況になっていることがとても多いです。

腹直筋のこわばりによる胃もたれ、圧迫感
 みぞおちのところが硬くなって胃の不調を訴えることがあります。「胃が炎症して張ってしまったのか?」と考えることもできますが、胃は張ると背中側に膨らむようですので、私は腹筋がこわばって硬くなり、その硬結が胃を圧迫していると考えて施術を行っています。実際、みぞおちのところがこわばっているのは腹直筋のこわばりです。

臍の「ゆ」によって胸郭が下がり胃を圧迫

 「どうして腹直筋のみぞおちのところがこわばるのか?」よく聞かれる質問ですが、お腹の冷えが原因であることが多いです。お腹が冷えている人はみぞおち部分に限らず、腹筋の深部が硬くなっています。手を深いところに押し込んでいきますと”まるで板のよう”と感じることもあります。腹直筋の表層は脂肪もあって柔らかいのですが、2㎝、3㎝‥‥と手を入れていきますと、とても硬くなっている部分につきあたることがあります。このような場合は、ほとんど冷えが原因だと思いますので、お風呂でゆっくり温まるだけで胃もたれは少し良くなるかもしれません。
 「お腹が冷えると腹筋の働きが悪くなって硬くなるのはわかるけど、どうして胃のあるみぞおちの部分が圧迫されるのか?」という素朴な疑問が沸くと思いますが、それを説明しだしますと長くなってしまいますのでここでは省略させていただきます。

手や腕の問題からくる胃の不調‥‥前鋸筋と腹斜筋のこわばり
 胃の問題を整体的に考えますと、胸郭の在り方はとても重要なポイントです。胸郭が狭い、胸郭が動かない、胸郭が硬い、胸郭が閉じている、これらの状態は胃の不調と浅い呼吸状態の原因になります。胸郭は背骨(胸椎)と12本の肋骨でできていますが、まず「それはとてもフレキシブルで、しょっちゅう動いてますし、いろんな要素で状態が変わるものである」と申し上げます。ほとんどの人は「骨なので動かない」というイメージを持たれていますが、それはまったく間違いです。
 息を吸うとき胸郭は拡がりながら持ち上がるのが普通の状態ですが、それは胸郭の上の方で筋肉が収縮して胸郭自体を持ち上げるのと同時に、肋骨と肋骨の間にあります外肋間筋が収縮し、胸郭の下方にあります腹直筋や腹斜筋が緩んで胸郭が持ち上がることを許すことを同時に行っているからです。ですから、肋骨でできている胸郭は関連する筋肉によって動いていることをまずイメージしてください。

身体前面胃の不調

 さて、腹筋の中には外腹斜筋と内腹斜筋があって、両方とも上半身を斜め方向に動かしますが、互いに反対方向に作用しあっています。例えば右側の外腹斜筋が収縮したり、こわばった状態になりますと、胸郭を右上外側から左下内側に向けて動かした状態になります。ですから両側の外腹斜筋がこわばりますと、胸郭は下に向かうほど内側に入りますので、胃や肝臓のある上腹部は狭い状態になってしまいます。この状態を正面から見ますと、上半身が細くなってゆとりがなくなっているように感じます。外腹斜筋のこわばりによって肋骨の動きは制限されていますので、呼吸は、腹部がペコペコ動いているくらいの状態になってしまいます。
 ところで、外腹斜筋のこわばり状態の要因はいろいろ考えられますが、実際のところ、最も多い原因は手の使い方であり、親指の状態と密接に関係しています。そして親指の状態と密接に関係している筋肉がもう一つありますが、それは前鋸筋です。前鋸筋は肩甲骨と胸郭を結び付けている大きく強力な筋肉です。パソコン業務など腕や肩を前に出している状態が長いと前鋸筋がこわばります。そして親指を使いすぎると前鋸筋はこわばります。デスクワークの仕事に従事している人たちのほとんどは前鋸筋がこわばっていますが、そうなりますと胸郭の動きはとても制限された状態になります。息を吸っても吐いても肋骨が動かなくなってしまいます。
 外腹斜筋がこわばり、前鋸筋がこわばった状態では、満足な腹式呼吸ができないため胸郭や横隔膜の動きは悪くなります。さらに胃や肝臓の居場所も窮屈ですので、「狭い場所でじっとしていなければならない」状態になってしまいます。私たち自身、どこか狭い場所に閉じ込められて身動きできなければ、気分は落ち込み体調も悪くなってしまいます。そう考えれば、胃や肝臓が不調になってしまうのは当然と思われます。胃は不調になれば不快さや痛みというサインをくれますが、肝臓は無言のままです。こんな状態のときは、胃も心配ですが肝臓も心配ですね。
 正面から見ると上半身が細く、しかし横から見ると胸に厚みがあって、呼吸をしても胸はほとんど動かず、胃の調子が悪いと感じているならこんな状態かもしれません。

座りすぎと胃の不調‥‥腸骨筋のこわばり
 先日、チェロを演奏されていらっしゃる女性が来店されました。「楽器を脚の間に挟んで椅子に座り続けるので、それがけっこうきつくて‥‥」と仰っていましたが、股関節の筋肉がかなりこわばっていることが予想できました。

座り続ける弊害_腸骨筋のこわばり

 腸骨筋という筋肉が骨盤の内側にあります。大腿骨を骨盤につなぎとめて股関節を安定させ、太もも引き上げる働きをしていますが、座る姿勢を保つためにも働いています。また長内転筋という筋肉があります。椅子に座りながら脚に力が入っている人はこの筋肉がこわばってしまいます。足を組まずに、意識的に背筋を伸ばして姿勢良く座っている人のは、その姿勢を維持するために知らず知らずのうちに内股に力が入ってしまうのですが、それによって長内転筋や恥骨筋がこわばってしまいます。
 ここで筋肉連動の話になりますが、腸骨筋は太ももの内転筋である薄筋と連動関係にありますので、腸骨筋のこわばっている人は薄筋もこわばっています。あるいは反対に薄筋のこわばっている人は腸骨筋もこわばっています。
 つまり、デスクワークやその他のことで長く座り続けている人は、腸骨筋、恥骨筋、薄筋、長内転筋がこわばりやいと言えます。そしてこれらの筋肉は隙間の狭い鼡径部に影響をもたらします。筋肉はこわばると硬く太くなりますので、これらの筋肉がこわばりますと、狭い鼡径部の隙間が益々狭くなり、その中を通っている動脈、静脈、神経を圧迫することになります。これは下半身にむくみをもたらす原因の第一ですが、血流が悪くなることによって腹筋の働きが悪くなり、また内臓の働きに影響がでるということも考えられます。
 「呼吸が浅いし、胃がピリピリする」という方の薄筋と長内転筋がこわばっていましたので、「ちょっと痛いですが」と申し上げて、直にそれら内転筋を引き延ばしてストレッチしたところ、その場で呼吸と胃の問題が改善したことがあります。

 ですから、長時間デスクワークで座り続けているような人は、内転筋をゆるめるストレッチを毎日行ってみてください。きっと早々に効果が感じられると思います。
 チェロの奏者の方は、実際のところ無理な姿勢で我慢しながら座り続けているわけで、内転筋というより腸骨筋自体がとてもこわばっていました。そこで、腸骨筋をゆるめるストレッチを左右10秒間ずつやっていただきました。すると、途中までしか回らなかった首が、十分に最後まで回るようになりました。一つは股関節の動きが良くなったことに連動して首の動きも良くなったと考えることができます。もう一つは、腸骨筋が緩んだことで腹筋のこわばりがゆるみ、下がっていた胸郭が本来の位置に戻ったので首の筋肉に余裕が生まれ、動きがスムーズになったと考えることができます。

 前回は”背中側から見た胃の不調”について取り上げました。そういう観点で、今回は”お腹側から見た胃の不調”について説明させていただきました。
 繰り返しになりますが、胃の調子の悪い人を、お腹側から観察しますと以下のような特徴を見ることができます。
①胸が下がっている‥‥腹直筋と腸骨筋のこわばり
②上腹部が窮屈そうで胸郭の動きが悪い‥‥腹斜筋のこわばり
③呼吸が浅く、息を大きく吸うことができない‥‥胸郭が動かない
 ですから、これら3点を改善することが整体的なアプローチになります。そして、これらは生活習慣(湯船に浸からずお腹が冷えている、お腹を冷やすものを好んで食べている等々)、普段の姿勢やからだの使い癖によってもたらされる状態ですので、それらを改めないと根本的な解決にはなりません。

 これまでの経験で申し上げますと、施術によって胃の不調はかなり改善すると思います。しかし、日が経つとまた胃の不調に悩まされるようになってしまう人が多くいます。私は施術の時に、症状をもたらしている直接的な原因と思われることや、再びそのような状態にならないために気をつけてほしいことなどを申し上げるようにしています。

 胃の不調を訴える方々の状態を観察しますと、大きく3つくらいのパターンに分けられるようです。
  • 胃そのものが不調だったり病気の状態だったり場合
  • 胸郭の動きが悪くなっていたり、腹筋のこわばりが胃を圧迫している場合
  • 背骨が捻れている影響で呼吸や胃の状態が悪くなっている場合
 ですから、同じように感じる胃の不調であったとしても、少なくとも3つの側面から状態を確認して対応しなければならないと私は考えています。
 今回は、3番目の背骨が捻れているために胃の調子が悪くなっているケースについて取り上げます。

 その方は女性ですが、「子供の頃から胃腸が弱かった」ということです。二人のお子さんを持つ母親である現在も、しばしば胃の不調に悩まされています。自覚症状としては、食事が食べられなくなるほか、背中の上部に硬結と圧迫感を感じる、胃の存在感を感じるなどですが、その他、呼吸が浅くなって息苦しい症状もあります。

 からだに対する私の観察では以下の状態が見られました。
  • 胸郭が狭く(正面から見ると“細い”)なっているため胸郭内の臓器(肺、心臓、肝臓、胃、食道)が圧迫された状態になっている。
  • 本来は呼吸に合わせて動いている胸郭の動きがほとんど無く、横隔膜の動きも悪いので、酸欠状態に近くなっていると思われる。
  • 胸椎の4~6番が大きく右(頭部から見ると反時計回り)に捻れていて、その右側が盛り上がるように硬く張っている。他に同じような捻れを持つ脊椎は頚椎2番、6番、7番、腰椎4番。
 胃の不調や器質的変化の兆候の一つとして“背中のハリ感”があります。胃は張ると背中側に膨らむということですが、そうなりますと“胃がもたれる”状態を超えて“背中が張って息苦しい”状態になるようです。背中を床につけるのが嫌なので仰向きで寝ることが出来ず、横向きやうつ伏せ寝でないと眠れなくなってしまうかもしれません。

胸椎の捻れによる背中のハリと胃の不調

 さて、こんな状態の方ですが、捻れている胸椎を私の手を使って正しい状態に戻しますと、途端に息が入って呼吸が楽になるのが感じられました。そのままその状態を少し保っていますと、「胃や腸が楽になる」と仰いました。そして、私が操作していた手を胸椎から離してしまいますと、すぐに不調の状態に戻ってしまいました。
 つまり、今回の胃の不調と背中のハリは胸椎が捻れていることが主な原因だったということです。ですから、胸椎の状態を改善できれば胃の不調は改善されるということですので、そのような施術を行っていきました。

 胸椎の上部では頚椎の6、7番が同じような捻れをしていました。そしてその上部を探っていきますと頚椎2が同じように捻れていまして、その頚椎2番を私の手で正しい位置に戻すと、頚椎6、7番、と胸椎3~5番の捻れも戻り、呼吸と胃の状態が楽になるのが確認できました。ですから、頚椎2番の捻れを修正することが、今回の問題を解決するための施術になります。
 途中の経過は省きますが、左肩関節と左手に問題があって頚椎2番が捻れた状態になっていましたが、その原因をさらに追っていきますと左の膝関節で下腿(膝下)が外側にズレていて、その原因は左足にありました。この方は腰が大変悪く、その影響で歩き方に問題があります。現在、歩き方を直すことに取り組んでいますが、その過程で左足のバランスが悪くなっていること、さらに目の使い方や頭の使い方の癖(考え方の癖など)もあって頚椎が捻れやすいという要素を常に持っています。
 「子供の頃から胃の調子が悪い」ということでしたが、もしかしたら腰を悪くする以前から歩き方がおかしかった状態で、そこに頭や目の使い方の問題が絡んだときに“胃の不調”がやってきていたのかもしれません。

 別の例では、「この何日間か胃の調子が悪く、背中が張って頭もモヤモヤ重たい」という方が来店されました。上記の例の方ほど状態は悪くありませんが、やはり胸椎6番が頭から見て反時計回りに少し捻れていました。この方の場合は頚椎2番が上記の例とは反対に時計回りに捻れ、かつ少し左にずれていました。原因としては二つありまして、一つは眉間から眉にかけてこわばっていたこと、そしてもう一つは右顎につよい噛みしめがあったことです。

後頭下筋群と上部頚椎

 上目使いをする人、猫背などで首が前にでている人は物を見るときに眉間から眉にかけてのラインに力を入れてしまいますので、そこがこわばっていることが多いです。すると後頭骨と頚椎1、2番を繋いでいる後頭下筋群がこわばりますので、頚椎2番の棘突起を引き寄せるためストレートネックになったりします。また食いしばったりして顎の筋肉(そしゃく筋)がこわばりますと頚椎1番を引き寄せます。おそらくその力関係で、頚椎1番が右にずれた反動で2番が左にずれ、なおかつ時計回りに捻れたのではないかと思われます。ですから、右顎のこわばりを取って、眉間周辺のこわばりを取る施術を行いました。
 「どうして眉間に、特に右側の眉ラインやおでこに力が入ったのですかね?」と尋ねますと、「スマホを買い換えたばかりで、けっこう凝視していたからかなぁ‥‥」と思い当たることがあったようです。

 「肩こりをほぐして欲しい」と来店される方の場合、ベッドにうつぶせ寝の状態から施術に入るのがほとんどです。最初に背中の様子を見ますが、私は背中を大きく4つの区分に分けて観察します。背中の上部、肩甲骨の部分までが第1区分、その下~胸郭の上2/3くらいまでを第2区分、胸郭の下1/3~腰部の上部までを第3区分、そしてその下から骨盤までを第4区分といった感じです。
過去のブログでは背中を3つの区分に分けて記事を投稿しましたが、今は4つの区分に分けた方がより実用的であると考えています。)

背中の張りや痛みの原因区分2

 第1区分のハリの多くは肩甲骨の位置がズレていることや肩甲骨に関わる筋肉がこわばっていることが原因です。そして第2区分のハリは胃の状態などに関係していると考えています。第3区分は腎臓の腫れがハリをもたらしている可能性が高いと思いますし、第4区分のハリは腰痛に関連する筋肉のこわばりである可能性が高いと言えます。

 そのように観察しながら施術を行いますが、第2の区分にハリや硬さなどがある場合は、胃の調子などを尋ねるようにしています。肩が凝る
要因はいくつかありますが、胃腸の具合が悪いときに肩が張ってしまうことはよくあることです。ですから、肩こりを解消してスッキリしていただくためにも、胃の調子に関連した背中のハリは気になるところです。
 そして、背中の第2区分にハリがある場合は、大抵胸椎が歪んでいます。胃が張っているから胸椎が歪んでいるのか、それとも胸椎が歪んでいるから胃が張っているのか、それをしっかり鑑別して施術を行わなければなりません。そこで間違ってしまいますと“無駄な施術”、“意味の無い施術”になってしまいます。

 余談になりますが、仰向けで眠ることが出来ない人がけっこういます。①座り仕事が多くて腰や股関節の筋肉がこわばって伸びない、②舌がゆるんでいたり、喉が捻れていて仰向けだと気道が狭くなってしまい、イビキ、無呼吸になってしまう、③内圧の高くなった(腫れた)腎臓が肋骨で圧迫されたり、胃の張りで背中を床に着けたくない、などの原因が考えられます。

脊椎の調整と背中のツボ
 東洋医学では、背骨に沿って内臓を調整するためのツボ(?穴)があると考えられています。また、内臓の働きを調整している自律神経も背骨に沿って通っていますので、「背骨に沿って?穴を指圧すると内臓の働きが調整される可能性がある」と整体の学校では教えます。実際、お客さんの反応は「気持ちいい」「心地良い」というのが大半ですので施術に取り入れることも多いのですが、「本当に、内臓の調整効果があるのだろうか?」と思いますので、そのうち実証実験をしてみたいと考えています。
 ところが、歪んでいる脊椎を調整しますとからだの状態が変わることは実体験としてわかっています。頚椎の歪みを直しますと、モヤモヤしていた頭がスッキリしたり、噛みしめて痛みや重苦しさを感じていた顎周辺が楽になったり、動きの悪かった首が良く回るようになったりします。腰痛の時は大概腰椎が歪んでいますので、腰痛を改善するための道標として腰椎の状態を確認しながら施術したりします。そして胸椎の歪みを直すことで、呼吸が改善し胃腸の調子が良くなったりします。

 おそらく現代医学ではこのような観点はないでしょうから、“背骨の微妙な歪みや捻れが体調不良の原因かもしれない”という発想はないと思います。しかし現実は現実ですから、背中のツボの件も含めて、背骨と体調との関係を研究して医療の現場に取り入れていただきたいと願っています。

 胃の問題に対する別のアプローチについては別途取り上げたいと考えています。

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