ゆめとわのblog

ホームページとは違った、より臨場感のある情報をお届けしたいと思っています。 また、テーマも整体の枠を飛び出してみたいと思います。 ホームページは以下です。 http://yumetowa.com/ お問い合わせはメッセージ欄でお送りください。

 以前にも情報発信したことですが、現在、細々と月2回のペースで整体の勉強会を行っています。
 私は整体の施術は「技術」だとかんがえていますし、私たちの仕事は職人の世界に分類されるモノではないかと思っています。ですから技術力が高まれば、自ずとそれに見合った結果がもたらされると考えています。
 私は「腰痛」を取り扱いますが、医学の世界では腰痛の代表的な病態として腰椎椎間板ヘルニアがあります。そして症状が悪化しますと整形外科的に手術を行ったりしますが、その成功確率=症状が解消される確率は○○%程度などと、確率を持ち出して手術を評価したりしています。
 これは職人(技術)の世界とは違った捉え方です。技術力があれば確実に成功しますし、失敗に終わったとするなら、それは技術力が乏しかったということだと私は考えています。
 私たちのからだには未知の部分がたくさんあります。ですから、一つや二つや、いくつも成功しても、どうしても克服できなくて失敗に終わってしまうこともあります。ですから究極的には、私はいつも技術力不足の状態であり、常に学び続けなければならない状況にあります。

 さて、現在勉強会に参加されている女性から、同業者のある本をいただきました。彼女は私の整体についてよく知っている人ですから、きっと私にも参考になるだろうと思われてくださったのだと思います。
 その本には私の好きな三木成夫先生の話題も登場しますので、興味深く読んでみました。そして「なるほど」と今後の課題にしたくなる新たなテーマも載っていました。
 ところが、思わず反発心が頭をもたげる内容もありました。
 詳細は省力しますが「私たちの骨格の歪み方には決まった法則性がある」といった主張をされているのですが、それが解せませんでした。
 私は長年の経験として、このような歪み方をしている人が多いのは知っています。しかし、反対に歪んでいる例外も少なからず知っています。ですから、「右利き、あるいは右側に重心を掛けている人はこのような歪み方をしている傾向がある」と、そして「もちろん例外もある」と記して欲しかったと、同じ技術者としては思ってしまいます。

 今の世の中は「○○を食べると痩せる」「○○は膝の痛みに効く」などと、興味をそそられる事柄に対して断定的に強く表現した方が受け入れられやすいのかもしれません。皆さんの視線が得られやすいのかもしれません。それは商売としては「是」とされるものだと思いますが、技術系を気取っている私は反発心をいだいてしまうのでした。

ゆめとわの整体に興味がある人へ

 ここからが今回の本題です。
 この新型コロナの自粛期間を利用して、私が行っていて、勉強会で説明している施術についてのサイトを作り始めました。
 私が行っている施術について興味があり、専門家を目指したいと考えている人を対象に作っていますので、専門用語が普通に出てきます。ですから、まったくの素人の人には解りづらいかもしれませんが、興味がありましたが是非ご覧になってください。

ゆめとわの整体 参考書サイト

 私は「理屈は必ず現象として現れる」と考えています。ですから、「理屈のための理屈」や「推論による確率」のようなものは除外しています。

  • 筋肉が痛むのは何故か?
  • 骨格の歪みとはどういう現象を指しているのか?
  • 何をもって骨格が歪んでいるというのか?

 まだまだ入門編しかありませんが、上記のようなことを説明しています。

 また、当初の話題に戻りますが、骨格を観察する技術力がしっかりしていれば、「私たちの骨格の歪み方は○○だ」と決して断定できないことがわかります。
 そして、そのような技術力を身につけたセラピストがたくさん増えることを期待しつつ、私の知っている知識と技術をオープンにしていきたいと考えています。

 日々現場で仕事をしながらですので、掲載の速度は遅いと思いますが、今後は施術の実践について記していこうと考えています。

 なお、筋肉の一般的な説明や、整体に関する一般的な知識等は他の書籍などを参考にしていただきたいと思っていますので、それらは抜け落ちています。

足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
メールアドレス info@yumetowa.com
ホームページ https://yumetowa.com
web予約 https://yumetowa.com/sp/reserve2.html

 今回は頻尿などの症状で苦しんでいた人の話題です。二人の40歳代の女性AさんとMさんの具体例を報告します。

子宮筋腫が大きくなって頻尿になってしまった

 Aさんが来店されたのは2年半ぶりのことです。来店された症状は腰痛で、結局それは軽いギックリ腰でした。久々の来店でしたので、いろいろと話しをしていたのですが、その話題の一つが2年ほど前から子宮筋腫が大きくなり、この半年はちょくちょくトイレに行かなければならないほど頻尿になってしまったとのことでした。
 自宅近くにある温熱療法の治療院で治療を受けると少し症状は緩和するけど、それでも効果は長持ちせず時間が経つと頻尿状態に戻ってしまうとのことでした。

 「子宮筋腫と頻尿は関係あるの?」と質問されました。
 「膀胱と子宮は隣接しているので、筋腫が大きければ膀胱が圧迫されて頻尿になることは考えられますよ」と私は応えまして、「ところで、筋腫の大きさはどのくらいですか?」と尋ねました。
 「だいたい10㎝くらい」とAさん。
 「それは、影響はあるでしょう」と私は言いました。

 「しかし、内臓が下垂していなければあまり影響はでないかもしれない」と私はつけ加えました。
 「そういえば、このところ下腹がぽっこりと出るようになってしまって。」
 「内臓下垂と関係あるの?」とAさん。

 「下腹が出てしまったということは、鼡径部が下がったということなので、内臓下垂につながる可能性がありますよ」
 「そうであれば、鼡径部が上がるように整えることで内臓が上がって筋腫がそれほど膀胱を圧迫しなくなるかもしれません。」「頻尿が改善する可能性は考えられますよ」と私は言いました。

 そして、鼡径部が上がって下腹がスッキリするよう全身を整えていきました。

 「どうして鼡径部が上がると内臓があがるの?」とAさん。
 「鼡径部は骨盤の前面から内臓がこぼれ落ちないように、道路のガードレールのような役割をしているので、鼡径部をしっかりさせることで内臓の収まりが良くなるんです。」「だから下腹もスッキリしてウエストも細くなると思いますよ」
 「また、私たちのからだには『上昇する力』があって、その力を発揮するためには鼡径部や舌が上がっていなければならなくて‥‥鼡径部はそういう意味でも大切なところなんです。」と私は言いました。

 このあと、「上昇する力」についていろいろ問答がありましたが、キーワードとして私はミトコンドリアの働きと鼡径部・舌・喉・足のアーチとの関係などについて応えながら施術を進めていきました。

 施術を終えたとき、まだ頻尿の問題については様子を知ることはできませんでしたが、ウエストが細くなって、下腹が引っ込んだことは実感されていました。そして、腰の状態も非常に楽になったとのことでした。

 その後、一週間ほどして来店された時に様子を伺いましたが、頻尿はかなり改善されていて、職場で午前中は一度もトイレに行かないで済むようになったとのことでした。
 「頻尿になる前とほとんど変わらない感じになった」
 「それまでは15分くらいしか持たない感じだったのでいつもそわそわしていたけど、そんな心配はまったくなくなった」とのことでした。

腰椎の問題で頻尿になり、下腹部に強い不快感

 Mさんの症状は幾つもありました。喉の痛みと不快感、腰痛、極端な頻尿、下腹部~陰部にかけての熱感と強い不快感、火照り、頭痛などです。
 座ることが非常に辛くて、横になるもの辛いので、一日中立った状態で過ごしているとのことです。夜もほとんど眠ることができないので、肉体的にも精神的にもまいっていしまい困り果てている様子でした。

 Mさんは更年期障害に該当する年齢でもあり、火照りや下腹部の不快感など、その影響もあるのかと思いそれなりに対応はしてきたとのことですが、最近になって座っていることが全くできなくなってしまったので、他に原因があるのではないかと考え、私のところを紹介されて来店されました。

 初回は、喉の痛みと不快感が最も気になるということと、全身をリラックスさせたいという要望でしたので、一通り通常の施術を行いました。
 頭痛、腰痛、頻尿、火照り等の症状に対応するつもりで、首肩を揉みほぐすことから始め、腰部では腎臓が膨らんでいましたので腎臓の反射区を刺激したり、骨盤を整えたりしました。
 腎臓が膨らんでいたことから、それが影響して頻尿になっていたのかもしれないと考えたり、全身がカチカチに硬くなっていましたので、血流も悪く、首から上への血流不足なども考えられます。そして、それによって火照りや頭痛といった症状がもたらされたのかもしれないとも考えました。
 また、喉の痛みと不快感は頚椎を整え、甲状舌骨筋など喉周辺の筋肉を整えることで症状は解消しました。
 一通り施術を終えますと、「スッキリして楽になった」ということで帰られましたので、その後、Mさんのことはほとんど気に留めていませんでした。

 ところが、2週間ほどしますとまた来店されまして、「まったく座っていられなくなってしまった」「あの時はスッキリしたけど、しばらくするとまた火照りが始まり、特に下腹部から陰部にかけて火照りが酷く、昨晩、一昨晩と全然眠れなくなってしまった」と仰いました。
 「ただ、腰の下の方を少しマッサージするとちょっと症状が落ち着くので、腰とか骨盤とかが関係しているのでは?」とも仰いました。

 そこで、今回は腰部に着目して施術を行うことにしました。
 細かく骨盤と腰椎を観察していきますと、第5腰椎が少し前方にすべっているのが確認できました。(正確には第4腰椎と第5腰椎の関節部分が前方に落ち込んでいました。)そして仙骨が後方にずれていて更に後傾していました。
 「これが原因かな~?」と疑いを持ちながら、いろいろ様子を探っていきました。

 そうであれば、下腹部から陰部にかけての火照り(熱感)や不快感は神経異常の症状であるとも考えられます。極端な頻尿も神経の働きがおかしくなっていることが原因なのかもしれません。
 また、座っていることができないという症状も、第4腰椎~仙骨にかけての不安定さが原因である可能性があります。骨盤(仙骨)と背骨(腰椎)との接点が不安定で、骨盤に上半身を乗せることが耐えられないと考えることができます。
 このようなことを思いながら、腰椎と仙骨の状態を修正する施術を行っていきました。

 ところで、Mさんの下半身は内股状態です。太ももが内側に少し捻れているのですが、それは子供の頃からの体型だということです。

 ところで、腰椎と大腿骨は大腰筋を介して直接的な関係があります。大腰筋は腰椎の椎体を起点(起始)として大腿骨の小転子というところにつながっていますので、内股で大腿骨が内側に捻れている状況は大腰筋をこわばった状態にします。
 つまり太ももが内側に捻れた内股状態の人は大腰筋がこわばってしまい(=収縮状態)、腰椎を前下方に引っ張っている状態になっている可能性があります。
 ですから、まず内側に捻れている大腿骨の状態を正すことから施術を始めました。
 大腿骨を内側に捻る(内旋する)働きをする筋肉には大腿筋膜張筋と小殿筋がありますが、それらの筋肉は強くこわばっていました。ですから、そのこわばり状態を解消するために多くの時間を足裏や踵や足首周辺の施術に費やしました。

 大腿筋膜張筋と小殿筋のこわばり状態が弱くなるにしたがって、前方に落ち込んでいた腰椎が少しずつ少しずつ後方に戻ってきましたので、この施術が正しい方向性であることはわかりました。

 大腿筋膜張筋と小殿筋の状態がある程度改善しましたので、次に仙骨が後傾している問題に取り組みました。
 Mさんの仙骨は単に後傾しているだけでなく、後方に出っ張った状態になっていました。ですから第4腰椎と第5腰椎の関係だけでなく、第5腰椎と仙骨の関係も悪かったわけです。
 骨盤内の臓器に対する神経は仙骨から出ていますので、仙骨の状態を改善することで膀胱の働きや下腹部から陰部に掛けての感覚異常などにも対応できるかもしれません。そのように私は思いました。

 仙骨の整え方は、実際いろいろ複雑でしたのでここでは説明を省略しますが、頚椎や頭部からの影響もありました。
 60分間、ほとんどの時間を腰椎と骨盤の調整に費やしましたが、前方に落ち込んでいた腰椎、後方に出っ張り後傾していた仙骨などはすっかり整いました。
 そして、ベッドに座っていただいた状態で、5分間くらいいろいろ微調整を行っていました。そしてその後、座っている間の様子を伺いました。
 「座っていることの辛さはまったく感じないし、違和感も火照りも感じない。ごく普通な感じです。」という返答でした。
 一応、症状の原因に対する予想も正しかったようで、思惑通りの結果は得られました。

 そして、第4腰椎と第5腰椎のこと、内股で大腿骨を内側に捻る筋肉が硬くこわばっていることなどが主な原因であることを伝えまして、「もし、また違和感などを感じるようになりましたら、太ももを外側に捻るようなストレッチを行ってください。あぐらをかいてしばらく座ってみるだけでも症状は緩和されると思いますよ。」とアドバイスして施術を終えました。

神経と血流について

 子宮筋腫ができてしまう理由、そして筋腫が大きくなってしまう理由については未だ原因が明確ではないようです。女性ホルモンの分泌には関係性が見られるようですが、はっきりしないことも多いようです。ところで、私は若い女性に子宮筋腫に限らず婦人科系の病気が目立つのが気になっています。
 女性ホルモンは卵巣が分泌しますが、そのコントロールは脳で行っているとされています。脳下垂体から血液の中に分泌される性腺刺激ホルモンが卵巣に届いて女性ホルモンが産生さる仕組みになっているとのことです。
 ですから、血流は重要です。脳と卵巣との間の血流状態に問題がありますと、女性ホルモンの分泌に問題が生じると考えることができるからです。

 また、子宮や膀胱、骨盤内臓物に関係する神経としては自律神経の骨盤内臓神経(副交感神経)と随意神経の陰部神経(感覚神経と運動神経)がありますが、どちらも仙骨(仙髄)に深く関係しています。
 そして神経というのは、神経管(ファイバー)とその中で働く神経伝達物質で構成されていますので、神経管も神経伝達物質もどちらも重要です。
 神経管を養うために動脈が伴行していますので、神経の働きという面でも血流は重要ということになります。

 Mさんが感じていた下腹部から陰部にかけての熱感や不快感は陰部神経の異常状態が原因だったかもしれません。
 腰椎が前に落ち込んだことで神経管が圧迫されて内部の神経伝達物質の働きがおかしくなったのかもしれません。あるいは正座をし続けるとやがて血流が途絶えて脚がしびれだしますが、同じような原理で感覚神経である陰部神経の反応がおかしくなったり、骨盤内臓神経が異常状態になったのかもしれません。

 私にはどちらが本当の原因かを判断する能力はありませんが、いずれにしても血流を邪魔する要因を除去して血液の流れを改善することは必要不可欠です。また、神経管を圧迫するような要因を除去するために、骨格を整えることも大切だと考えることができます。

内臓下垂を改善する‥‥鼡径部の大切さ

 Aさんに話題を戻しますが、Aさんの場合は子宮筋腫が大きくなって膀胱を圧迫しているために頻尿になってしまったという可能性が考えられました。子宮が大きくなる現象としましては妊娠があります。妊娠初期にはやはり膨らんで大きくなった子宮が膀胱を圧迫するために頻尿になったり、残尿感が残ったりする症状が現れると言います。ところがある時期を過ぎますと、子宮が膨らむ向きが上方(お臍の方)になるので、膀胱への圧迫が消えて頻尿や残尿感の症状が消えるということです。
 ですから、同じ理屈で考えますと、たとえ10㎝大の子宮筋腫であったとしても、その向きが上方に向かうようであれば膀胱への圧迫は改善すると考えることができます。

 胃下垂は内臓下垂の代表的な症状ですが、小腸が下垂して骨盤内臓物を圧迫する状況もあるかと思います。鼡径ヘルニア(脱腸)はその典型例ですが、妊娠が進んで子宮が大きくなり、鼡径部を圧迫して鼡径ヘルニアに近い状態になった妊婦さんをケアしたことがあります。
 その人は足首周辺が静脈瘤状態でしたが、体表の筋膜(皮下筋膜)がゆるんだ状態になっていて、鼡径部も下がった状態になっていました。お腹が大きいのに、加えて鼡径部も下がっていましたので、お腹が骨盤からはみ出てしまうような状態でした。私はひたすら筋膜の状態を整えることと、鼡径部を上げることの施術に専念していました。何回かの施術で鼡径部も安定し、鼡径ヘルニアに近い状態も足首周辺の静脈瘤も改善して無事出産されましたが、そのときに鼡径部の在り方は内臓の収まり方にとって大変重要だと知ることができました。

 Aさんに対しては鼡径部が上がるような施術も行いましたが、おそらくそれによって内臓全体の収まりが改善したので、筋腫で膨らんだ子宮が膀胱を圧迫する状態も改善されたのではないかと思います。
 女性で下腹が出ていることが気になっている人も結構いますが、それは「脂肪がついた」というよりも鼡径部が下がって内臓下垂の状態になっている方が多いのだと思います。
 ですから、鼡径部が上がるように調整することで、スタイルに対する悩みはけっこう解決できるのではないかと思っています。
 鼡径部の上げ方については、これまで幾度かブログに記してきましたので、そちらを参考にしていただくのもよいですが、ちょっとセルフケアでは難しいかもしれません。

足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
メールアドレス info@yumetowa.com
ホームページ https://yumetowa.com
web予約 https://yumetowa.com/sp/reserve2.html

 呼吸に関係する筋肉と骨格の動きについて、今一つ理解できないので説明して欲しいという要望がありました。
 横隔膜が腹式呼吸の要であることは理解されているようですが、息を吸ったときに腹筋がゆるむということに合点がいかない様子でした。
 ですから、今回はその方の疑問に応える内容ですが、皆さんの参考になれば幸いです。

吸気と呼気

 呼吸は吸気と呼気の組み合わせのことですが、息を吸う過程は吸気であり、息を吐く過程は呼気です。
 一般に言われている「呼吸」は肺呼吸、または外呼吸のことですが、肺に空気を取り入れる運動と肺から空気を吐き出す運動であるとも言えます。

 ところで、私たちの肺にはほとんど筋線維は存在しないと言われています。ですから、肺は自身の力で膨らんだり縮んだりすることはできません。周辺筋肉の働きや骨格の変化に依存して膨らんだり縮んだりしています。

 肺の周辺骨格は胸郭であり、肋骨と背骨でできている籠のようなものですが、胸郭の底面には胸部(肺と心臓と食道)と腹部の境界となる横隔膜があります。
 横隔膜は筋肉ですが、弛緩しているときは天井が高くなったドーム状の形をしています。そして収縮しますと天井が降りてきて平らに近づく仕組みになっています。

 肺活量の高い人は肺の中に5000cc以上の空気が入りますが、からだの大きさをほとんど変えることなく、どのようにしてそれだけの空気を肺の中に取り入れるのかは、ちょっとした人体の不思議です。

横隔膜と肺の容量

 さきほど横隔膜が胸部と腹部の境になると申しましたが、胸郭内部の容量を拡げる一つの方法は、横隔膜を収縮してドーム状になっている天井を下げることです。
 単純に考えますと、それによって肺が下の方に拡がることができますので、その分だけ空気を取り入れることができるようになります。
 また、横隔膜に接している胃や肝臓は圧迫されてお腹が前に膨らむようになりますが、これはこれで重要な意味があります。

胸郭(肋骨)の動きと筋肉

 肺を膨らませる方法のもう一つは胸郭の容積を増やすことです。
 そして、その具体的な方法は胸郭の厚みを増すことです。

 胸郭を形成している肋骨の間には外肋間筋と内肋間筋があります。外肋間筋は収縮することで下位の肋骨を引き上げる働きをします。そして、内肋間筋は収縮することで上位の肋骨を下方に引き下げる働きをします。



 上図の左図のように通常時胸郭を形成している肋骨は腹側に向かって斜め下向きの状態になっています。
 吸気の動作に移ったとき、外肋間筋が収縮して下位肋骨を引き上げますが、外肋間筋の筋線維は斜め前方に向かって走っていますので、収縮することで下位肋骨を斜め後方に引き上げるようになります。ですから、上図の中央図のように斜め下方に向かっていた肋骨が平らに近い状態になります。つまり、胸郭の厚みが増すようになるのですが、それは胸郭が拡がることを意味します。

吸気動作‥‥横隔膜と胸郭運動の合わせ技

 胸郭の厚みが増して胸郭が拡がることと、横隔膜が下がることの両方で胸郭内の容積が大きく増えるようになりますので、肺の中に空気がたくさん入るようになります。
 ただし、胸郭と骨盤との間には腹筋群がありますが、吸気の時に腹筋が弛緩伸張しませんと外肋間筋が頑張っても肋骨を引き上げることができなくなります。
 ですから、一連の吸気動作の中で腹筋の状態も重要な要素になります。

胸式呼吸‥‥胸鎖乳突筋と斜角機と小胸筋

 また、胸郭を引き上げる働きを行う筋肉には胸鎖乳突筋、小胸筋、斜角筋などがあります。解説書などによりますと、これらの筋肉は「吸気動作を補助する」となっている場合もあります。
 そして、胸鎖乳突筋は鎖骨と胸骨を、斜角筋は第1~第2肋骨を、小胸筋は第3~第5肋骨を引き上げる働きをしますので、一般に言われている「胸式呼吸」を行う働きに関係しています。

 瞑想とか、ヨーガとか、その他の修行的な呼吸法は別にして、ごく普通の日常生活を送る中では、胸式呼吸も腹式呼吸もどちらも重要です。
 ですから「どちらを優先させるように呼吸をしたら良いか?」という問いや発想は意味のないことだと私は考えています。

 私たちは言葉を喋りながら無意識に息継ぎをしますが、その時は腹式呼吸ではなく、瞬時に胸郭を引き上げて必要量だけ空気を吸い込む胸式呼吸が主体になります。その意味で、胸式呼吸は大切です。
 たとえばカラオケなどでテンポの速い歌を歌うときには、瞬間的な息継ぎが必要ですが、胸式呼吸が上手くできない状態ですと息苦しくなったりリズムについて行けなくなったりします。
 高齢者が伴奏のリズムと合わなくなってしまうのは、リズム音痴になったというよりも、思っている具合に胸式呼吸ができなくなってしまうからかもしれません。

腹式呼吸‥‥横隔膜が要

 椅子に座って休んでいるときや、横になっているとき、寝ているときなどは腹式呼吸の重要性が増します。
 腹式呼吸の要は横隔膜の運動になりますが、その収縮と弛緩の波(リズム)は全身のリズムにつながります。そして、そのリズムが足先、手先、頭部まで拡がることで骨格筋はそれに合わせてゆるやかに収縮し、また弛緩します。
 それは全身の波動を形成しますし、マッサージ効果をもたらします。ですから腹式呼吸がスムーズに行われることによって疲労回復やリラクゼーションが実現すると考えることができます。
 からだは、朝目覚めたときに本来は疲労が取れてスッキリしているはずですが、目覚めたときからからだが重くて疲労感を感じるようであれば、それは腹式呼吸が上手くできていないからかもしれません。

横隔膜の運動と内臓の関係

 また、横隔膜は収縮することで胃や肝臓や大腸(横行結腸)を圧迫しますが、横隔膜が弛緩することでこれらの臓器が圧迫から解放されます。
 この圧迫と解放をゆっくりと繰り返す状況は胃や大腸の運動につながる点で大切ですし、特に肝臓にとっては重要です。肝臓は静脈系の臓器です。ですから、周りの筋肉などの力を借りて内部の血液を動かしています。
 私たちの食べた栄養などは小腸で血液の中に吸収されますが、その栄養などを含んだ血液が肝臓に送られます。血中の有害物質は肝臓の中で解毒され、栄養物質は様々な化学変化を受けて私たちの細胞活動にとって必要な物質に変換されます。そしてその即戦力と化したエネルギーの高い血液が心臓に還り、動脈に乗って全身の細胞に分配される仕組みになっています。
 ですから、肝臓で処理された血液は速やかに心臓に還る必要があるのですが、先ほど申した通り肝臓は静脈系ですから、他の力に依存して血液を循環させなければなりません。そして、この時に横隔膜の収縮・弛緩による圧迫と解放が役立つことになります。
 それは乳搾り(ミルキングアクション)と同じ原理です。圧迫を受けたときにギュッと絞られ、心臓に向かって血液は送り出されます。ですから、肝臓の働きにとって腹式呼吸による横隔膜の運動はとても大切であると言うことができます。

 川などで水の流れが停滞しますと、澱んで害虫が発生したりします。ですから、清潔を保つためには水は常に流れていなければなりません。
 血管や臓器の中を流れる血液も同様に考えることができます。速度は別にして、血液は常に流れている必要があります。肝臓の中の血液はとてもゆっくり流れていますので、ちょっとしたことで流れが停滞してしまうと考えられます。ですから、尚更肝臓の働きに関係する横隔膜の運動には注意深くあるべきだと思います。
 そして、横隔膜を良い状態に保つためには、呼気の在り方が重要です。

呼気の重要性と筋肉

 肺呼吸における肺の働きで最も重要なことは、静脈血の中にある古い炭酸ガスを体外に放出して新しい空気から酸素を取り出して動脈血の中に吸収するガス交換を行うことです。
 ですから、炭酸ガスを含んだ古い空気は全部体外に出したいとです。肺の中に炭酸ガスを含んだ古い空気が残っていますと、肺の健康にとっても良くありませんし、ガス交換の効率を悪くしますので、なるべく古い空気は残したくありません。
 そして、そのためには呼気をしっかり行う必要がありますが、吸気時に収縮した筋肉が今度は弛緩・伸張する必要があります。
 つまり、横隔膜、小胸筋、胸鎖乳突筋、斜角筋、外肋間筋などです。

 ところで、たとえば歯ぎしりや噛みしめの癖を持っている人は胸鎖乳突筋や斜角筋が常にこわばった状態になっています。ですから上手く弛緩伸張できませんので、しっかりとした呼気動作を望むことができなくなります。
 あるいは、パソコン業務やスマホ操作などで母指をたくさん使っている人は外肋間筋がこわばっている可能性が高いので、いつも息を吸っているのと同じ状態になっている可能性があります。
 これらの人は内肋間筋を働かせて肋骨を下げ、胸郭を薄くして容積を減らそうとしても、なかなか思うようにいきません。
 また、お腹が冷えているなどの理由で腹筋の働きが悪い状態ですと、やはり胸郭を下げることができませんので、「最後まで息を吐く」ということができなくなってしまいます。

 苦しくなるまで息を吐き出しますと、何も考えなくても反動として空気はたくさん肺に入ってきます。それが私たちのからだの自己防衛能力です。
 ですから、呼気が上手く出来ない人に対しては、「吐ききったところから、さらに吐いてください! 腹筋を絞るように吐ききってください!」という練習をしてもらっています。
 呼吸が上手くできないと自覚している人は、「呼吸」は息を吸うことから始めると思っていますが、そんな人はまず吐くことから呼吸を始めるようにするのがよいと思います。「吐けば自ずと空気は入ってくる」、これが自然な在り方です。

 こういう練習を毎日繰り返していますと、次第に腹筋の働きも良くなり、胸が下がるという感覚が理解でき、やがて首肩や顎などから力が抜けるようになると思います。


 以上、呼吸運動に関して筋肉の働きと骨格の変化を中心に説明した来ました。
 しかし、心臓の拍動と同様に、呼吸とは生命体としての根本ですから、本来は何も考える必要のないもののはずです。理屈を考えながら呼吸を行うこと自体がおかしなことであり、現代社会に生きる私たちは、そのくらい自然界から逸脱してしまっているのかもしれません。
 

足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
メールアドレス info@yumetowa.com
ホームページ https://yumetowa.com
web予約 https://yumetowa.com/sp/reserve2.html

 新型コロナウイルスの影響が長引く中で、多くの人が長い時間マスクを装着しています。ほとんどのマスクは、耳にゴムを引っ掛けて装着するタイプですが、それによるからだへの負担と弊害、そして、日々のケアについて説明させていただきます。

マスクを着けると頭がボーッとする

 もう花粉症の時期も終わりに近づいていますが、毎週来店されているMさんが2月初旬から花粉症対策のためにマスクをつけ始めていました。
 そして、来店されると「マスクをつけると何となく頭の中がボーッとするようで‥‥。」と仰いました。
 「それはマスクのゴムに耳が負けてしまっているんです」と私は答えました。
 「???」と、たぶんMさんは思われたと思います。

 ところで、軽い難聴や軽いめまいなどを訴える人には、耳が本来の位置よりズレていたり、あるいは「耳が取れそう」と私が感じるくらい耳のつけ根がゆるんでいることがあります。
 「耳が取れそう」という状態を言葉で説明するのは非常に難しいのですが、当人は耳を軽く引っ張られただけでも不安感を感じたり、不快感を感じたりする状態だと表現できるかもしれません。

 このような状態のときはマスクのゴムといった軽い刺激ですら、からだは嫌がります。そしてその「嫌!」という反応がMさんの場合は、頭の中がボーッとする状態だったのです。

 この時は、私はMさんの頭部周辺を施術して、耳がしっかりと安定した状態になるようにしました。そうすることで、外出時に装着する程度の、マスクのゴムの刺激であれば問題が無い状態になったと思います。
 その後も毎週来店されていますが、その時以来、この話題は一度も出ませんし、今も尚、新型コロナ対策でマスクを装着していますが、特に問題は感じていないようです。

頬がたるんで口角がさがり、口元に力が入らない

 顔を整える目的で定期的に来店されているSさんは、新型コロナのこともあってか、しばらくご無沙汰でしたが一月半ぶりに来店されました。
 そして、「口元がたるんで、ほうれい線が目立つようになって‥‥。それを直して欲しい」と仰いました。

 Sさんは終日パソコンを使う仕事に従事していますが、眼精疲労や座り続けることの弊害などがあって、顔が下がり、目元がこわばりやすいといった状態になりやすいタイプです。
 ですから、顔の問題とはいえ、全身を整える必要がありますので、今回も同じように施術を行っていきました。

 施術内容は毎回同じような感じなのですが、顔の下がりも改善して良い状態になりました。しかし、今回は口元を中心に頬や口角の筋肉が腑抜けのような感じで、垂れたままの状態に残ってしまっていました。

 「何か変だな?」と思いましたので、
 「頬の状態が戻らないのですが、何かいつもと違ったことでもしましたか?」
 「たとえば、エステで超音波をしたとか、電気を掛けたとか?」
 と尋ねました。
 「いえ、別に何もしていないし、思い当たることもないですが‥‥」という応えでしたが、
 「マスクをしているときが酷くなるのですが、口元に力が入らなくなり、ダラーッと垂れてしまうようで‥‥」とも仰いました。

 それを聞いてすぐに「これ(マスクのゴム)が原因だ!」と私は思いました。
 そこで、両耳の状態を確認してみました。
 先ほどのMさんのように「耳がゆるんで取れそう」という感じではありませんでしたが、ちょうどマスクのゴムが当たる耳たぶと頭との境辺りの筋膜がゆるんだ状態になっていました。
 そして、その筋膜のゆるんだところに手を当ててケアをしていますと、次第に口元や頬の筋肉に張りと力感が戻ってきました。

 SさんはMさんと違って、耳が不安定な状態ではありませんでしたが、仕事と通勤の長い時間にわたってマスクを装着し続けていますので、ちょうどマスクのゴムが当たり続けている部分の筋膜が疲弊した状態になってしまったのだと思います。
 そして、その影響で頬から口元にかけての筋肉と筋膜の働きが悪くなってしまっていたのです。
 私はその疲弊してしまった部分に3分くらい手指を当て続ける施術を行っていましたが、それで頬や口元の状態は良い感じに戻ってきました。

 この新型コロナの問題でマスクを装着しなければならない状況はまだまだ続くと思います。ですから、日々のセルフケアとして、寝る前に2~3分間、自分でそっと手を当てるケアをするようにアドバイスしました。
 「どこに、どのように手を当てれば良いですか?」とSさんは質問されました。
 「適切な場所と深さに手指が当たれば、ゆるんだ口元がしっかりするように感じますので、そうなるようにやってみてください。」と私は応えました。
 そして、「口元や頬を一生懸命マッサージなどしてもまったく無駄ですし、かえって逆効果になってしまう危険性もあるので、耳と頭の境のその部分だけケアしてください。」と申し上げました。

 今回は耳に掛けるマスクのゴムの弊害について、MさんとSさんの例で説明させていただきました。
 Mさんは耳の位置がずれていて、耳と頭のつき方が不安定なことが原因でした。ゴムによって耳が前に引っ張られた状態になりますと、からだはそれを不快に感じ、頭の働きが悪くなってボーッとする反応を呈しました。
 Sさんの場合は耳の状態に問題があったわけではありません。しかし、マスクのゴムという軽い圧迫ではありますが、それが長時間にわたって同じ場所に加わり続けたことによる弊害が現れました。その部分の筋膜が疲弊した状態になり、その影響で顔の表情筋や筋膜の働きが低下していしまい、頬が下がり、口元がゆるんでしまうという症状が現れました。

 私たちのからだは、このように思い掛けないことの影響で、不調を感じたり不具合を呈することがあります。
 そして、このような話題になりますと、「どの枕を選んだら良いのか迷ってしまう。」「枕を変えたばかりの時は調子良いんだけれど、使い続けているとやっぱり合わなくなってしまう。」という皆さんの話題をいつも連想してしまいます。
 それは枕が合わないのではなく、枕に当たっている面積が大きいと、その部分の筋膜が疲弊してゆるみ過ぎた状態になってしまい、圧迫に耐えられなくなって首や肩に力を入れて頑張ったり、歯ぎしりや噛みしめて頑張ったりしてしまうのだと思います。ですから、寝ていてもリラックスできなくて、それが辛いのだと思います。
 私たちのからだは寝たときに後頭部が枕(床)に当たるように出来ています。首は床に接触しないようになっています。ところが健康に良いとされている現在流行の枕は、首をサポートするという理屈で首に当たる面積がとても大きくなっているようです。
 少しの時間であれば、首がサポートされることの有益性が感じられると思います。しかし、その枕を使い続けていますと、やがて首の筋膜は枕からの圧や摩擦によって疲弊した状態になってしまうと思います。そしてやがて圧や摩擦に耐えられなくなり症状が現れるのだと思います。つまり、「床ずれ」と同じような感じです。
 そう考えますと、首はフリーになっている状態が好ましく、寝返りができやすい状況が好ましいと考えることができます。枕や床と接触していることが嫌になったらすぐに寝返りができて、頻繁に接触面を変えることができれば、皮膚も筋膜も疲弊することはありませんので。

 話しをマスクの話題に戻しますが、コロナに関係してまだまだマスクが必要な状況は続きます。
 Sさんのように長時間マスクを装着し続けることで色々な弊害や症状がもたらされる可能性は高いと思います。今回の話題が皆様の参考になれば嬉しいと思っています。

足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
メールアドレス info@yumetowa.com
ホームページ https://yumetowa.com
web予約 https://yumetowa.com/sp/reserve2.html

 薬局を経営されている60歳代後半の女性Sさんが、4ヶ月ほど前から首を普通に保つことが出来なくなってしまったと来店されました。「年末の仕事が忙しく、ずっと下を向いた状態でいたのがいけなかったのかなぁ?」と仰っていました。

 からだの状況を観察しますと、立位では、首はその根元(第7頸椎)のところからすっかり前に倒れていて、無理をしないと首を起こして正面を向くことができません。
 首が倒れたままの状態で頭を回旋させ、横を向きながら覗き込むような感じで目の前の相手と会話しなければならない状況です。
 そして、下腹を大きく前に出すような反り腰で、その反動として猫背であり、確実なかかと重心です。骨盤はすっかり後傾していて、お尻はすごく垂れた状態になっていました。

 座位では背もたれもないのに、背もたれのある椅子に座っているように上半身が後に傾いています。
 「少し上半身を前傾させるように座ってみてください」と申し上げても、それができません。坐骨のかなり後側に重心があって、そこから重心を前に移動することができないので、前傾姿勢ができないのです。

ポイントは3つ

 Sさんは、これまでにギックリ腰の経験はなく、腰痛の経験もそれほどないとのことです。それなのに下腹を前に突き出すような反り腰の立ち姿になってしまったのは何故なのか? という疑問が生じます。(この疑問に対する明確な答えはまだ掴みきれていません)

 反り腰の姿勢は、それだけで猫背をまねき首が前に出てしまいますが、おそらく何十年もその姿勢を続けていたと予想されますので、背面の筋肉はゆるみきった状態になっていると思われます。そして前に出た首を支えるために、首前面や胸元の筋肉は反対に硬くなっていると思われます。

 そして全身を触りながら確認していきましたが、実際そのような感じになっていました。
 お尻の筋肉はとてもゆるゆるで、「しっかりした状態に戻せるだろうか?」と考え込んでしまうほどの状況でした。
 それでも、この問題(反り腰)が1番の要だと感じました。骨盤の後傾が改善され、お尻の筋肉がしっかりすれば、骨盤を中心に動くことができるようになって反り腰は改善されると思います。反り腰が改善されれば、猫背も改善され、首は自ずと立ってくると思います。
 ですから、次の3つのポイントに重点をおいて施術を行うことにしました。

  1. 反り腰の改善‥‥かかと重心にも通じることですが、骨盤が前傾して中殿筋に力が入る状態になれば、骨盤を中心に立ったり座ったりすることができるようになります。すると自然と反り腰状態は改善されていきます。
  2. ゆるんだ背面筋肉の機能回復‥‥長年の姿勢や下を向き続けることの多い仕事の影響で、首の後側の筋肉が伸びきった状態になっています。そして、その状態は首の後側だけでなく、背骨を支える筋肉(脊柱起立筋群)にまで及んでいますので、普通の人なら何の苦もなく行える「顔を上げる動作」ができない状態になっています。
     うつ伏せで寝た状態で、頭を上げて前を向くことが出来ないことからも、それがわかります。
  3. 首の前面~胸にかけてのこわばった筋肉の改善‥‥猫背で首が前に出てしまった姿勢であり、さらに首背面の筋肉が働きの悪い状態でありながら、なんとか首の状態を支えるためには、首前面の筋肉で頑張るしかありません。
     ですから、首前面の筋肉は強くこわばった状態になっていましたが、こわばりは胸回りの筋肉にまで及んでしました。顎は噛みしめ状態になって緊張していますので、肩こりも酷くなってしまいます。

 上記の3つのポイントは互いに関連し合っていますので、一度の施術で全部を行う必要があります。
 たとえば、首後面の筋肉を調整を行わないまま首前面のこわばりを取ってしまいますと、首を支えるために頑張っているのものがなくなってしまいますので、症状はさらに悪化してしまいます。
 このことは重要で、一般の人は「硬いところをほぐせば良くなる」と思っているようですが、首後面の調整を行わないまま、硬くこわばっているところを揉みほぐしたり、あるいは低周波などの電気をかけてゆるめたりしますと、とんでもない状況になってしまう可能性もありますので十分に注意してください。

反り腰を改善するために

 反り腰は「下腹を前にだしてバランスを取っている姿」とも解釈することが出来ます。ですから、「どうして元々のバランスが崩れてしまったのか?」という問題を追及しなければなりませんが、多くの場合で、ケガ(ギックリ腰や肉離れも含む)や歯の治療や手術といったことがきっかけになっています。ところが、Sさんの今の段階では記憶では、そのようなものは覚えもなく思い出せないとのことでした。(何度か施術しているうちに、フッと思い出すかもしれません。そのような人は多いので)

 Sさんの下腹を前に出す姿は骨盤に寄りかかっている状態であるとも解釈できます。このような状態をほとんどの人は骨盤を使って立っていると認識するかもしれませんが、それは間違いです。ただ骨盤に寄りかかっているだけです。

 反り腰の人は、骨盤が後に傾いていてお尻の筋肉がたるんでいるという特徴があります。若い人や子供たちはお尻の筋肉がプリプリしていますのでたるんでいるようには見えないかもしれませんが、年齢や若々しさに関係なく、骨盤が後傾しますとお尻の筋肉はたるみます。

 ですから、反り腰を改善するためには骨盤の後傾を改善する必要がありますが、要となるのは骨盤の中心である仙骨・尾骨です。

 仙骨は直接背骨(脊椎)に繋がっていますので、頸椎の状態や頭蓋骨(後頭骨)の影響を受けます。また尾骨は会陰や肛門を含んでいる骨盤底筋と直接関係していますし、間接的には太股裏側のハムストリングや大内転筋などの影響を受けます。

 椅子に座り続けることの多い人は骨盤底筋が硬くなっていますので、ストレッチは有効です。

 また、ふくらはぎがガチガチに硬くなっているのに反して、太股の裏側がユルユルになっている状態の人がいます。それはかかと重心の兆候であり、足裏の筋肉も硬くなっているはずです。ですから足裏の筋肉をよく揉みほぐすことは対症療法として有効です。
 ふくらはぎの筋肉は足の指(足趾)や足裏の筋肉の状態が反映されますので、硬いふくらはぎを揉みほぐすよりも足裏や足趾をよく揉みほぐした方が効果的です。
 そしてふくらはぎの筋肉の硬さが改善されますと、太股裏側のユルユルも良くなってしっかりとした感じになりますが、仙骨の状態もしっかりして、ある程度骨盤の後傾は改善されると思います。
(専門的には、半膜様筋と大内転筋の状態が良くなることが肝心です)

 頭部や頚部の問題で脊椎が歪み、その影響で仙骨が下がって骨盤が後傾している状況もあります。これについては、他(以下)の2つのポイントを調整することで修正します。

ゆるんでいる背面筋肉の回復

 ゆるんで働きの悪くなっている状態の筋肉を、私が専門家として施術で回復させるためには、以下の2つのことを行います。

  1. 筋肉の働きを邪魔する要因となっている骨格(脊椎)を調整する
  2. 細胞の働きが悪くなっている部分にエネルギーがやって来て細胞の働きが活性化するように手を当てる

 背骨は24個の脊椎が繋がって形成されていますので、一つ一つの脊椎(椎骨)はある程度自由に動ける状態になっています。そしてそれが故に、骨格は歪みやすいわけですが、椎骨が下を向いた状態(背骨の出っ張り=棘突起は上を向いた状態)では、その部分の筋肉は収縮しづらい状況になりますので、仙骨を引き上げる能力が低下してしまいます。
 ですから、脊椎の一つ一つを確認しながら椎骨が下向きになっているものを正すように調整を行います。(施術の詳細は省きますが、背骨をバキバキすることは全くありません)

 このブログを読んでくださっている人には何度もこの話を出して恐縮しますが、筋肉がゆるんで働きが悪くなってしまった状態は、伸びきってしまい戻らなくなったゴムにたとえることができます。ジャージやパジャマなどのウエストのゴムは使い続けているうちに伸びてしまい、ダラーンとしてしまいますが、筋肉も疲弊してしまいますと同じような感じになってしまいます。

 猫背の姿勢では、肩甲骨周辺の山(出っ張り)の部分の筋肉は伸びやすくなってしまいます。加えて首が下に向いているわけですから、首後面の筋肉は伸ばされ続けているわけで、疲弊して戻らないゴムに近い状態になってしまうのは当然のことであると言えます。
 ただ、ゴムはその弾力性や収縮力を取り戻すことは不可能ですが、筋肉の場合は、少しずつでも機能を回復することができます。そこに望みはあります。そして、そのためには筋細胞がしっかり働けるようになることが必要ですし、エネルギーが必要です。ですから、手当ては有効な手段です。

首前面~胸にかけてのこわばり

 私たちのからだには「補ってバランスをとる」という仕組みが備わっています。
 たとえば、左足の小指をケガして小指側に荷重をかけられない状態になったとします。すると、からだが勝手に調整して自動的に右足を主体にして動くようになったり、あるいは左足の親指側で頑張るようにして小指側の負担がなくなるような使い方をするようになったりします。

 Sさんの場合もこの仕組みが働いて、ゆるんで働きの悪くなっている背側の筋肉を補うように自動的に腹側の筋肉が頑張って姿勢を支えるようになります。つまり、腹筋や胸筋や首前面や喉の筋肉が背筋の分まで頑張るのです。ところが、反り腰の姿勢が影響して下腹の筋肉(腹筋)もゆるんでしまい力が入らないので、胸~首にかけての筋肉で頑張るしかない状態になってしまいます。
 ですから、胸回りの筋肉と首前面の筋肉はこわばった状態になっていますが、それもまた、首を上げることが出来ない原因になっています。

 斜角筋(しゃかくきん)はこのブログでもしばしば登場する筋肉ですが、首の運動と運動制限に深く関与する筋肉です。
 文献上は、その本来の働きは呼吸運動を補助することになっています。しかし実態は、頚部の不快感や首のコリと運動制限などの原因になる筋肉です。さらに、そしゃく筋と深い関係にありますので、噛みしめや歯ぎしりなどの癖に直接関わっています。
 また、頚椎を歪める筋肉ですので、脳神経の働きにも影響をもたらします。中斜角筋が強くこわばって眼の働きが悪くなっていることは頻繁に見受けられる現象です。

 Sさんの場合、普通はあまり見られない現象として3つある斜角筋のすべてがこわばった状態になっていました。つまり、3つの斜角筋のすべてが首(頚椎)を前下に引っ張っている状態でした。この状態では、首を起こすことは難しいですから、斜角筋のこわばりを解消することが必須事項となります。

〇大胸筋のこわばりと前鋸筋のこわばり

 Sさんの斜角筋がこわばっている原因を探していきますと、胸に拡がっている大胸筋が硬くこわばっているところにたどり着きました。中でも腕のつけ根の辺りの線維が強くこわばっていました。
 胸を揉みほぐすようにしてこわばっている大胸筋をゆるめますと、頑固にこわばっていた斜角筋が少しずつゆるみ始めました。

 そして次に大胸筋がこわばっている理由を探しましたが、それは体側にあります前鋸筋(ぜんきょきん)の硬さが原因でした。長年にわたるこわばりの蓄積なのか、ゆるめる施術を行ってもなかなか筋線維がゆるみません。前鋸筋は手の親指と関係する筋肉ですが、脇が開いた状態で手を使い続けていたのかもしれません。
 両側の前鋸筋をしばらくの間ゆるめていましたが、すると呼吸が深くなり始めて次第に全身から力が抜けていきました。そして、大胸筋のこわばりもゆるみ、斜角筋や首周りの他の筋肉もゆるんで、楽な状態になりました。

 私の施術は、筋肉の連動や骨の連動といった仕組みを利用しながら全身を整えていくものですが、前鋸筋と大胸筋が連動し、さらに斜角筋が連動するといった流れがあることは認識していませんでした。しかし、今回は明らかにこのような現象が起きました。
 このことについては追々考察していこうと考えていますが、もしかしたら腹筋が使えない状態だったために、胸回りの筋肉が総動員で頑張っていた結果として前鋸筋も大胸筋も斜角筋も全部硬くなってしまったということなのかもしれません。

 さて、以上の3つのポイントについて施術を終え、ベッドに座っていただきました。すると、すっかり良くなったというわけではありませんが、背もたれに寄り掛かるような姿勢ではなくなっていました。ほぼ垂直な感じで座ることができていて、首も立ち、まっすぐ正面を向くことができる状態になっていました。
 そして、立位を確認しましたが、反り腰状態もだいぶ軽減していました。かかと重心がすっかり良くなったわけではありませんが、施術の方向性は正しいと知ることができました。

 Sさんから話しを伺いますと、若い頃から反り腰だったようです。
 長年にわたるその癖はすぐには改善できないと思いますので、何度か施術を行っても「3歩進んで2歩下がる」というような感じになると思います。しかし、やがては確実に症状は克服でき、さらに反り腰と猫背が改善されれば、この先、効率的で快適なからだの使い方ができると思います。


 前述しましたが、今回の説明で皆さんに知っておいていただきたい大切なことは、3つのポイント全部を調整しなければ良い結果を期待することはできないということです。
 そして3つはバラバラにあるのではなく、密接に関連し合っています。
 反り腰によって猫背になり、背面の筋肉が伸びて首が支えられなくなり、それを支えるために首前面~胸にかけて硬くなり、それが故に益々猫背が進み、それが故にさらに反り腰になってしまう、といった関連性があります。ですから、反り腰も修正しなければなりませんし、背中の筋肉の働きも戻さなければなりませんし、硬くなっている首前面~胸の筋肉もゆるめなければなりません。どれか一つ欠けても良いバランスを築くことはできないと私は考えています。

足つぼ・整体 ゆめとわ
電 話  0465-39-3827
メールアドレス info@yumetowa.com
ホームページ https://yumetowa.com
web予約 https://yumetowa.com/sp/reserve2.html

↑このページのトップヘ